21 ANO 2011
言わずと知れたバビシュ党である。チェコでは最近法律で選挙に使える資金の上限が決められたが、選挙と関係のない部分での政党の広告費には特に制限はない。なので、ANOのような資金に余裕のある政党、政治家は選挙がないときにも、道路沿いの巨大な広告スペースにポスターを張り出している。もちろん一番目に付くのが、ANOのポスターである。ポスターが多いほうが選挙に勝つというわけではないし、2000年代の初めの選挙が始まると町中のいたるところにポスターが貼られたり、破られたりして景観を破壊していたのに比べるとましにはなっているのだけど。
現在ひんぱんにチェコテレビのニュースで公開される各社の世論調査によれば、このANOの支持率が圧倒的に高い。今年の初めぐらいまでは、社会民主党も10パーセントぐらいの差で追っていたのだが、今では倍ぐらいの差になってしまっている。これはANOがどうしたというより、社会民主党が自滅したというのが正しい。最近はソボトカ首相の退陣が決まっていらい多少支持率の揺れ戻しはあるようだが、ANOが選挙で勝つのを阻止するのはむりだろう。
ゼマン大統領は、選挙で勝った党の党首に組閣の命令を出すと断言しているが、それがそのまま組閣が成功することを意味するわけではない。第二党である社会民主党が三位、四位に入った政党と連立を組んでバビシュ首相の誕生を阻止する可能性もなくはないのだ。ただ、共産党と組むのを嫌がる党は多そうだし、TOP09とキリスト教民主同盟も組むのは難しそうだ。
バビシュ首相で大統領がゼマン氏以外、首相はバビシュ以外でゼマン大統領、どちらの組み合わせがましなのだろうか。
22 Dobrá volba 2016
「良き選挙2016」でいいのかな。単数だから「良き選択2016」のほうがいいか。詳細はもちろん不明である。
23 Sdru?ení pro republiku - Republikánská strana ?eskoslovenska Miroslava Sládka
「共和国のための連合」でいいかな。規模的には連合よりも「会」のほうがいいかもしれない。副題は「ミロスラフ・スラーデクのチェコスロバキア共和党」。
怪しい名前とは裏腹に1989年のビロード革命の頃に設立された政党で、90年代には国会議員も擁していたようだ。その後はじり貧というやつで、倒産したり、解散したり、あれこれあったものが2016年に再建されたものである。中心人物のミロスラフ・スラーデク氏の名前が冠してあるのは、かつてのメンバーから名称の変更の要求があったのかもしれない。
分離してからすでに25年、今でもチェコスロバキアという名称を使用する政党があることは、それなりに感慨深い。それが何の意味を持ちえないものであったとしても。
24 K?es?anská a demokratická unie - ?eskoslovenská strana lidová
ここにもチェコスロバキアを冠する政党があった。というか正式名称が、キリスト教民主同盟—チェコスロバキア人民党だということを知らなかった。ニュースなどでは前半を「キリスト教民主党」という形で使うことが多いし、後半を使うときでも人民党の部分が使用されるのである。最初は「リドフツィ(人民党員たち)」が、キリスト教関係の政党と同じなのが理解できなかった。「人民」というとどうしても「人民共和国」を思い浮かべてしまうのである。
もともとは二つの政党の連合だったのかもしれないが、現在では完全に一つの党として機能している。TOP09のところでも書いたように、2010年の選挙で失った議席を、2013年に取り返し、今回の選挙で更なる躍進を求めて、TOP09と組んでいた市長無所属連合を引きはがして取り込もうとしたのだが、失敗に終わった。この失敗が選挙結果にどんな影響をもたらすだろうか。
個人的には、シンボルカラーらしい黄色が、どぎつすぎて目が痛くなるので、もう少し柔らかい色にしたほうがいいと思う。この政党のシンボルカラーも、ウクライナのオレンジ革命に触発された社会民主党が大々的に活用するまでは、存在しても、共産党の赤以外はそれほど目にはつかなかったのだけど、最近はちょっとうんざりするぐらい使われていて食傷気味である。
25 ?eská strana národn? sociální
「チェコ国家社会主義党」と訳すと、ナチスを思い起こすので、チェコ民族社会党と訳しておこうか。ナチスは「国家」と「社会主義」に「労働者」も加わるんだったかな。「社会主義」も「労働者」も左翼の政党に似合いそうなのに、極右の政党が使う論理がいまいち理解できない。ナチスに似ているからと言ってこの党が、極右の政党だとは限らないのだけど。
以前社会民主党を飛び出したパロウベク元首相が設立した政党「LEV21」も、正式名称はナチスっぽい名前だったんだよなあ。パロウベク氏は今年の夏に社会民主党への復党を願い出て拒否されていたからLEV21は消滅したのかもしれない。こっちは多分左翼政党だったはずである。
26 REALISTÉ
直訳して、「現実主義者たち」ではあれなので、現実主義党としておこうか。2016年末に設立された新しい党である。それ以外はよくわからない。
27 SPORTOVCI
こちらも直訳して「スポーツ選手たち」では話にならないので、スポーツ党としよう。実は密かに5パーセントの壁を越えて議席を獲得してくれるのではないかと期待している。問題は、こっそり、ひっそり立候補したので、スポーツ選手たちが選挙に出ることがほとんど知られていないことである。スポーツ出身の下院議員というと、パロウベク氏に引っ張られて社会民主党から出馬して当選したアイスホッケーのシュレーグル氏が有名なのだけど、この人が出馬したときは結構ニュースでも話題になった。それなのに今回の元スポーツ選手たちの出馬は、立候補が締め切られるまで全く話題にならなかった。
候補者名簿を見たわけではないので、実際に誰が立候補しているのかはわからないが、新聞の記事に取り上げられていただけでも、元サッカー代表のペトル・ラダ監督や、元サッカー選手で解説者というよりはサッカーファンの立場からコメントすることが多いビーゼク氏なんかの名前が見られた。他のスポーツからも立候補している人がいるようで、スポーツ界の現在の政治への不満を集約することができたら、結構いいところまで行くんじゃないだろうか。
みんな政治は素人だろうけど、当選したら緑の党や海賊党とは違って、いい意味で政界を混乱に陥れてくれることが期待できる。できればさらに踏み込んで、来年の大統領選挙に誰か立候補してくれんものかね。長野オリンピックの英雄ドミニク・ハシェクとか、元サッカー協会会長のイバン・ハシェクとか人材はいそうなんだけどねえ。
この件、もうちょっとだけ続く。
9月14日21時。
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