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2018年01月01日

チェコ語の動詞3(十二月廿九日)





     単数    複数
 1人称 jsem   jsme
 2人称 jsi      jste
 3人称 je     jsou

 どこから語尾と考えるのかも厄介なのだけれども、複数に関しては、「me」「te」「ou」と一人称単数が「u」で終わる動詞と同じ形になっていることは大切である。三人称単数の「e」も入れてもいいか。二人称単数も口語では「jseš」という形を使う人も多いから、「jsme」「jste」は、「jseme」「jsete」の「e」が落ちた形とみなしてもよさそうである。
 そして、モラビア方言では、一人称単数で「su」もしくは「sú」という形が出てくる。実際の発音では「j」が略されることが多いから、もともとの形はおそらく「jsu」だったはずである。つまり、「být」の現在変化も「u」で終わる動詞のグループに入る可能性もあったということである。この変化は最初に出てくるし、使う機会も多いので覚えるのに苦労はしないのだけど、そうなっていたらちょっとだけチェコ語の動詞の勉強が楽になっていたかもしれない。「být」の未来変化は、一人称単数が「budu」となるわけだしさ。

 二つ目の不規則動詞は「jíst(食べる)」である。こちらも先に変化形を挙げると以下のようになる。

     単数    複数
 1人称 j-ím   j-íme
 2人称 j-íš    j-íte
 3人称 j-í    j-edí

 三人称複数以外は、一人称単数が「ím」で終わるものとまったく同じである。「jíst」が「jím」になるのと、どちらが覚えるのが大変だろうか。「jedí」のほうが覚えにくいとしても、それは使う機会が少ないからである。「私は食べている」というのと、「あいつらは食べている」というのの、どちらを使う機会が多いかは、改めて考えるまでもない。

 三つ目としては「v?d?t(知っている)」を挙げよう。

     単数    複数
 1人称 v-ím   v-íme
 2人称 v-íš    v-íte
 3人称 v-í    v-?dí

 形としては「jíst」とまったく同じだが、解釈が異なる。三人称複数の形だけは、原形の「v?d?t」から規則的に一人称単数を作った場合の変化形なのである。だから、一人称単数が「ím」で終わるもののうち規則的に一人称単数が作れるものと、作れないものの混合変化だということができそうである。こういう解釈が、変化を覚えるのにどこまで役に立つかはわからないけど。

 忘れているものがなければ、最後の不規則変化となるのは、「chtít(ほしい/ほしがる)」である。この動詞、変化形に「j」が現れないにもかかわらず、一人称単数が「i」で終わる。その上、三人称複数は、一人称単数が「ím」で終わる動詞のうち原形が「et」で終わるものの一部と同じ形になる。

     単数    複数
 1人称 chc-i   chc-eme
 2人称 chc-eš   chc-ete
 3人称 chc-e    cht-?jí

 これもモラビア方言では、一人称単数が「chcu」、三人称複数が「chcou」となり、こちらのほうが覚えやすい。昔、サマースクールでテレビのインタビューを受けたときに、意図的に「chcu」を使って、モラビアの方言も勉強しているよと、ひそかにアピールしたことがあるのだけど、気付いてもらえなかったのか、外国人の間違いだと思われたのか追加で質問されることはなかった。プラハよりもモラビアに親近感を感じる人には、ぜひ「chcu」を使ってほしいものである。
 また、次回取り上げる予定だが、過去分詞が「cht?l」になることを考えると、かつては、もしくは方言では、原形が「cht?t」となる形も存在し、その三人称複数の形が、現在のチェコ語に残されていると考えてみたくなる。 

 不規則に変化する動詞は、原則として以上のものだけなのだが、接頭辞をつけて作られる派生動詞も同じように変化することは忘れてはいけない。日本語でも不規則は「する」と「来る」の二つだけだといわれるが、特に「する」の場合に限りないほどの派生動詞を生み出し、すべて「する」と同じように不規則変化をするのと同じだと考えればいい。この接頭辞をつけた派生動詞が元の動詞と同じ変化をするというのは、すべての動詞に当てはまることなのだけれどもさ。

 動詞の現在形の人称変化は、名詞に比べたら種類も少なく、規則性も高いので、覚えるのもそれほど大変ではない。その分、書けることも少なくなるわけである。ということで次回からは過去形のお話である。こっちもそんなに長くはならないかな。
2017年12月30日23時。







チェコ語中級








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