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2016年03月27日

ベリコノツェ、またの名をイースター(三月廿四日)




 では、ハロウィンの次に来るものはと考えて、イースターはどうだろうと思いついた。他の国のイースターは知らないが、チェコやスロバキアのイースターならイベントとしては、面白いと言えなくもない。日本だと、イースターは「復活祭」などと訳されてキリスト教と密接に関係していると思われているようだが、本来はキリスト教とは関係のない春の訪れを祝う行事で、特にチェコのイースターには、キリスト教の香りはまったくない。もちろん信者の中には教会に行くという人もいて、特別なミサも行われているようだけれども。

 イースターの月曜日の朝、男の子たちは、柳の木の若枝を何本か編んで作った柔らかい棒を持って女の子の友達のいる家を巡る。呼び鈴を押して、持参した棒で出てきた女の子のお尻を叩いて、そのお礼に棒の先にいろいろな色のリボンを結んでもらう。話によると、女の子が健康で丈夫な子供が生まれるようにという願いを込めてのことだという。またイースターエッグをもらうために、叩きながら「色つきの卵をちょうだい。色つきがなければ白いのでもいいからちょうだい。どうせ鶏がまた産んでくれるでしょう」などという内容の歌を歌う。他にも女の子の家では、男の子たちに配るためのお菓子を焼いて準備しておかなければならないらしい。


 どうだろうか。子供たちの間で流行ると、いじめの口実になりかねないので避けたほうがよさそうだけど、若者の間なら、パーティーのイベントなんかになら出来そうな気もする。でも、女性が一方的に叩かれて、お菓子や卵やお酒を準備しなければならないというのに、女性差別だとかなんだとか言い出す人もいるかもしれない。チェコの都市部でも、その性かどうかは知らないが、ほとんど廃れてしまった行事になっている。
 でも、スロバキアに行くと、さらに女性にとって過酷になるのだ。チェコと同じように棒で叩くところもあるらしいが、それに加えて女性に冷たい水をかけるところが多い。ひどいところでは、春とも言い切れない川や池に女性を投げ込む。そんなニュースを見た記憶があるのだが、記憶違いであると思いたいような気もする。これはさすがにやめたほうがよさそうだ。

 では、商売のネタになるだろうか。イースターに関する商品として売られているものとしては、まず、田舎では自分で作る男の子たちが女の子をたたくために使う柳の若枝を編んで作った棒。これは、イースターのころにチェコにきたらお土産にはなるかもしれない。一般には「ポムラスカ」と呼ばれているが、他にも地方によっていろいろな呼び名があるらしい。それから、これはチェコに限らないが、イースターエッグ。チェコのチョコレート会社は、イースターの時期だけ子供向けに、卵の形をした中が空洞になったチョコレートや、イースターのシンボルらしいウサギの形をしたチョコレートを販売しているが、基本的には子供向けの商品だからなあ。

 スタロブルノというビール会社は、イースターのビールと称して、緑色のビールを販売している。これは、イースター前の木曜日が「緑の木曜日」と呼ばれるところから来たものらしい。だたし、それほど美味しいものではないし、無理して飲んだり何杯も飲んだりする必要はないだろう。たまたま入った飲み屋で出していたら、話の種に飲んでみると言うのが正しいスタンスである。口の悪い知人は、アイルランドの聖パトリックの日に飲む緑のビールの真似で、その残り物をイースターのビールに回しているんじゃないかなんて言っていた。チェコのワイン業者がフランスのボジョレヌーボーを真似て、聖マルティンのワインなんてものを始めたという例もあるので、あながち間違いではないような気がする。

 ちなみに、チェコ語では「イースター」を「ベリコノツェ」というのだが、イースター諸島も、「ベリコノツェの島々」と呼ばれている。モアイの作成と移動に関して画期的な説を出したチェコ人もいるのである。

 ちょっと気の利いた話にしようとして自爆。普通にイースターの話を書いたほうがよかったかなあ。反省の意もこめて恥をさらすことにする。「大失敗作」というカテゴリーを作ろうかしらん。

3月25日23時。




タグ: 伝統行事 失敗
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