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2017年11月15日
中性名詞2——チェコ語文法総ざらえ(十一月十二日)
とまれ、我々チェコ語学習者は、名詞の格変化を覚えようとして苦労する初学の頃、「nádr?í(駅)」「nám?stí(広場)」などの名詞にぶつかって、幸せな気分に浸ったものだ。チェコ語にもこんなに格変化が簡単な名詞が存在するのだと。少なくともこの中性名詞だけは格変化を間違えずに使えそうだと思ってしまうわけである。何せ、1格から6格まで同じ形で、7格も末尾に「m」をつけるだけでいいのである。
念のためにまず単数の格変化表をあげておく。
2格nádr?-í
3格nádr?-í
4格nádr?-í
5格nádr?-í
6格nádr?-í
7格nádr?-ím
自分が使う分には確かに楽なのだ。動詞によって区別しなければならない前置詞「na」の後に来る格も、この名詞なら4格も6格も同じだし。しかし、そのうちに、気づくことになるのだ。見ただけ、聞いただけで何格なのかがわからないのは結構不安なものだということに。この名詞が格変化しないことへの不安を感じられるようになったということは、チェコ語に十分毒されているということだから、チェコ語を勉強する上では喜ぶべきことである。ただ、日本語は助詞を使うので問題ないのだけど、英語で話そうとするときまで、格変化させたくなるのは少々問題である。
複数はもう少し難しくて以下のようになる。
1格nádr?-í
2格nádr?-í
3格nádr?-ím
4格nádr?-í
5格nádr?-í
6格nádr?-ích
7格nádr?-ími
それでも、3格、6格、7格を除けば、単数1格と同じだから、この手の名詞は単数と複数の区別でも苦労することになる。救いはこのタイプの名詞には、「vít?zství(勝利)「p?átelství(友情)」などの、「-ství」で終わる概念語、動詞の受身形から作られる名詞など、複数形では使いにくい、別な言い方をすると、チェコ語で複数として認識しえるのかどうかわからない名詞が多いことで、とりあえず、「utkání(試合)」などの数えられることが確実なもの以外は単数で使うようにするしかない。あれ、救いにはなっていないかな。
厄介なのは、軟変化の形容詞の複数の変化とほとんど同じでありながら、2格で形容詞の複数2格の特徴である「ch」が出てこないことで、ここでよく間違えてしまう。ということで複数で使うのは避けたい名詞だということになる。
さらに厄介なのは、形容詞の軟変化型の人を表す名詞が存在することで、「rozhod?í(審判)」「pr?vod?í(車掌)」など、仕事をしている人が男性か女性かで格変化が変わるのである。特に女性の場合には、単数では1格から7格まで形が変わらないし、複数になると形容詞の軟変化は男性、女性、中性の区別がなくなるので、中性名詞と混同してしまいがちである。
救いはこの手の形容詞の軟変化型の名詞そのものは数が多くないことなのだけど、動詞からこの手の名詞が作れてしまう。名詞としてだけでなく形容詞的に名詞の前でも使えるこの手法、使えるようになると、使う分には重宝する。他の国の人は知らないけど、日本人なら絶対に使いたくなるはずである。
チェコ語では、動詞の三人称複数の形に「-cí」を付けることで、その動作をしているという意味の形容詞(連体修飾節と言ったほうがいいかも)、もしくはその動作をしている人という意味の名詞を作れるのである。例えば、「jít」の三人称複数の形「jdou」から、作られる「jdoucí」を使うと、普通は「?lov?k, který jde kolem」となるものが、「kolem jdoucí ?lov?k」と日本語の語順と同じようにできてしまう。普通のチェコ語の語順にして後ろからかけることもできるし、この語法が使えるようになると表現の幅が広がる。さらに「kolem jdoucí」だけでも「近くを歩いていく人」という意味で使えるのである。
自分で使う分には、どういう品詞で、どういう意味で使うのかをしっかり意識して使えば、それほど大きな問題にはならないのだけど、相手に使われたときにとっさに判断するのが難しい。まあ、この辺は本来の中性名詞の話から完全に逸脱しているので、動詞の話になったときに改めて説明することにしよう。
とにかく「-í」で終わる中性名詞というのは、最初のうちは簡単そうに見えるけれども、勉強を続けていくうちに、混乱のネタが増えていって厄介になっていくものなのである。この手の名詞が嫌だなあと思えるようになったら、チェコ語学習者として一人前と言ってもいいのかもしれない。
2017年11月13日14時。