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2019年12月05日
ビール巡礼(十二月二日)
一言で言えば、ビールを擁護するためにありとあらゆる言説を利用するというもので、チェコにおけるすべてのすばらしいことは、ビールのおかげだと主張していた。コメンスキーもちょっと引用されていたのだが、古いチェコ語だったのかなんだったのか、ビールとの関係性が読み取れない引用だった。ビールの専門家なら理解できたのかな。
もちろん、そんなとんでもない話ばかりではなく、チェコ人の一人当たりのビール消費量が世界最高だと言うのには気をつけなければならないところもあるなんてことも言っていた。最近はチェコ人一人当たり一年間に150リットル弱のビールを消費するというデータが紹介されることが多い。ただ、そのチェコ人の中には、未成年でビールを飲んではいけない人や、体質的に飲めない人など、ビールを飲まない人も含まれている。だから、そんな人たちを除外して飲む人だけの平均値を出せばはるかに大きい数字が出てくるはずである。
同時に、消費量のほうには、チェコに来た外国人が飲んだ量も含まれている。チェコに来る外国人の多くがビールを飲むことを目的にチェコに来ることを考えると、観光客が平均的なチェコ人以上に呑んでいる可能性も高い。そんなことを考えると、この平均値に大きな意味を与えるのは危険だとか何とか言っていた。それでも、チェコ人が世界で有数のビール好きであることには疑いの余地はない。こんな番組作ってしまうぐらいだし。
チェスケー・ブデヨビツェの回では、今のサムソンにつながるドイツ系の市民の設立したビール会社と、チェコ系の市民が設立した現在のブドバルの関係について解説してくれて、この問題に新たな始点を得ることができた。チェコ系の市民がブドバルを設立したのは市政におけるチェコ系の発言力を強化するためだったのだと言う。当時は納税額によって市政に与える影響力が変わっていたらしいのである。その計画は成功し、ビールのおかげでチェスケー・ブデヨビツェにおけるチェコ系市民の発言力が高まったのだというオチが付く。
この時点で、この番組であれこれビールについて解説している爺さんをどこかで見たことがあるのに気付いた。やさしげな風貌でゆっくりしゃべるのはありがたいのだけど、ちょっと発音が微妙で聞き取りにくいところがある。カレル・シープか、ヤン・クラウスのトークショーだったと思うのだけど、ビールに関するとんでも理論、ありえなくはないけど証明の仕様のない説を披瀝していた人だ。本業は医者だったかな。
確かカレル・ヒネク・マーハだったと思うが、チェコの誇る詩人、特に自然の美しさを描かせたら右に出るもののない詩人が、北東ボヘミアのリベレツ地方からフラデツ・クラーロベー地方のあたりを旅してすばらしい紀行文を残しているらしい。定説によれば、というか内容に即すと、詩人は有名なお城いくつも巡り歩いて、そのときの感動を文章にしたことになっている。
しかし、この爺さまは違うと言う。詩人が本当に訪ね歩いたのは、お城ではなく、ビール工場だと言うのだ。証拠としては、詩人が訪れたお城、もしくはその近くに必ずビール工場があったこと、ビール工場が近くになかったお城には、訪れる甲斐がありそうなところにも訪れていないことを挙げている。
つまり、詩人は城を訪問するとまずビール工場に行ってビールを飲み、ほろ酔いの状態でお城を見、ビール工場からビール工場へ向かう間に見た自然の美しさを書き留めたのだと。うーん。チェコ人ならやりかねないとは思うけど、これで証明になるのかね。地図を持ち出して、ビール工場のあったこの城は行っているけど、なかったこっちは行っていないなんて説明を受けると、説得されたくなってしまう。とりあえず飲み屋の馬鹿話としては最高だということで最終的な評価にしておく。
この爺さまと組んで番組をやっているのは、最近チェコテレビに重用されているマテイ・ルップルト(読み方違うかも)という歌手。ビールを飲みながら二人で掛け合いをするシーンも多く、酔っ払いの与太話は多少わからないところはあっても楽しいよなあと思わせてくれる。番組表で時間を確認してまで見ようとは思わないけど、たまたまチャンネルが合うとしばらく見てしまう。
興味のある方はチェコテレビのネット放送で見られると思うのでぜひ、 ここ から。何これとあきれて見るのをやめてしまう人が多いと思うけど。
2019年12月2日22時。
タグ: ビール