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2019年12月21日
鉄道大混乱(十二月十八日)
ダイヤが変わった日は、日曜日だったので平日に比べると走る本数も、利用客の数も少ないため、それほど大きな混乱は起こらなかったようだ。それでも走るはずの列車が影も形もなかったとか、線路の改修工事が長引き、代替バスを走らせたはいいものの、時間が余計にかかることが新しいダイヤには反映されていなかったために、本来であれば乗り継げるはずの電車に乗れなかったなんて話も聞こえてきた。
そして、月曜日になるとダイヤ改正による混乱ははるかに大きなものになった。通勤や通学、出張などで電車を使う人は多いのだから当然といえば当然である。ニュースによると最悪の状況だったのは、ズリーン地方のローカル線のうちフセティーンからウヘルスケー・フラディシュテを越えてスタレー・ムニェストに向かう路線。日曜日の時点ではまともに運行できていなかったらしいが、月曜日は運行はしたものの、分単位ではなく、時間単位での遅れを連発して、スタレー・ムニェストの駅でオロモウツ行きに乗り換え損ねた人たちがぼろくそに文句を言っていた。
さらに、主要駅に設置された切符売り場が、システムの不備とかで全く機能せず、すべて閉鎖。車内で車掌から購入することになったようだ。これは月曜日だけでなく火曜日も継続し、フセティーンの駅では、アリバの切符をチェコ鉄道の窓口で購入させるなんてこともやっていたらしい。アリバでは、サプライヤーが納入した販売システムに問題があったと他人のせいにしているが、車両の行き先表示といい、事前のチェックとかしていないだろうとい言いたくなる。
理解できないのは、なんでこんな会社を選定したのかということで、親会社のドイツ鉄道なんて本国のドイツでも、運行システムや機材はともかく、サービスや運行業務に関しては10年以上前のチェコ鉄道レベル、下手すればそれ以下の会社である。日本だとドイツの鉄道というだけですごいというイメージがあるだろうけど、ドイツ在住経験者の話によるととんでもないらしい。プライドだけは無駄に高いという評判も聞いたことがある。
そんな会社が、二流国として見下しているチェコのの子会社に十分な配慮をするわけもなく、行き先表示の変更が間に合わなかったのも、車両の払い下げの時期がドイツ鉄道側の事情で遅くなったからに違いあるまい。これまではアリバは一日に一往復か二往復、スロバキアとプラハを結ぶ便を運行していただけだから、問題が発生しても、利用者はチェコ鉄道や他の私鉄を利用することで、回避することができていた。今回のダイヤ改正に当たって、地方のローカル線の各駅停車を運行する会社として選ばれたということは、その線で問題が発生したら、利用客にはどうしようもないということである。これは確か別の路線の話だけど、代替バスの手配に何時間もかかったなんて話もある。
他の私鉄でも問題が全くなかったというわけではないようだが、大半は線路や駅の改修工事による遅れだった。全く問題を起こさず、一番高く評価されていたのは、プラハの近くのローカル線を走らせることになった小さな会社で、ニュースのインタビューには社長兼運転士という肩書の人が登場していた。ダイヤの変更で運行を引き継ぐ前から、線路や駅の改修工事などにもかかわって準備を進めてきたのがよかったのだろうと語っていた。
ローカル線の各駅停車ではなく、ブルノ−オストラバ−ボフミーンを結ぶ長距離の急行の運行を担当することになったレギオジェットは、自社の責任ではない混乱を抑えるために協力を申し出ている。乗客の中には、運行業者が代わったということを知らない人たちがいて、チェコ鉄道の切符でレギオジェットの急行に乗ろうとする人たちがいるらしいのだが、今年いっぱいはそんな人たちも乗車させるという発表をしている。
この路線、各駅停車は今まで通りチェコ鉄道が運行し、レギオジェットが運行するのは急行だけなので、乗る電車によって買うべき切符も変わってしまうのである。オロモウツ行きの急行も途中までは同じ線路を走っているし、ややこしいとしか言いようがない。この辺もEU主導の競争を増やして云々ということなのだろうけど、今回のは現時点では不便になったとしか言いようがない。
何でもかんでも競争をあおって、入札で決めればいいというものではないことは、わかっていると思うんだけどなあ。プラハの中央駅の改修工事とか、却って高くついた例なんていくらでもありそうだし。次に鉄道を利用するのは1月のプラハ行きで、それ以外はしばらく利用する予定がないのが救いか。でも来年の夏あたりに鉄道でチェコ国内をあちこち回ろうとしている人は注意しないと大変かもしれない。
2019年12月19日22時。