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2020年01月29日
アホマスコミ(正月廿六日)
チェコも日本と同様、まともな、正確な情報を伝えることに主眼を置いて冷静な報道を続けるメディアもあれば、国民の不安をあおることで売り上げやら視聴率やらを挙げようとするメディアも存在する。そんなメディアにとってみれば、今回の騒ぎというのは、あることないこと書き飛ばせる最高の機会のようだ。
そんな状況で、新型ウイルス対策に関して、今日の午後厚生大臣や厚生省衛生局長の記者会見が行われた。注目されたのは感染者の入国を防ぐためにどんなことをするかということだったが、現時点では取り立ててできることはないという発表だった。もちろん、その前に現況の分析が語られ、どうしてマスコミで報道されている対策を取る意味がないのかを丁寧に説明していた。
実際、特に新型ウイルスの騒ぎがなくても、飛行機の中で動けなくなるような高熱を出した場合には、飛行場で隔離されて問題がないことが確認されるまで外に出してもらえないはずである。だから、本当に発症して重症化してしまった患者が飛行機に乗っていた場合には、ほぼ確実に発見され一定期間隔離されることになる。以前、知り合いが一度乗り継ぎの飛行場で引っかかってチェコに来るのが遅れたことがある。
また、中国からの直行便の乗客を対象にした検査にしても、チェコだけがその検査を導入しても効果が限られているという理由で現時点の導入を否定した。中国からチェコに来る人の多くは、他国の空港を経由してプラハに入ったり、他国の空港から鉄道でチェコに入ったりするので、現時点でのリスクの小ささと、検査の導入の効果の小ささを勘案すると導入する意味がないという。実際これまで感染を疑われた人は、直行便ではなくよその国経由でチェコに入ってきた人ばかりのようだ。
そして、重要なのは中国から戻ってきたチェコの人たちに正確な情報を与えて、少しでも疑わしいと思ったら病院にかかるように指導することだと付け加えた。もちろん、必要がない限り人ごみの中に出ないとか、健康的な生活を心がけるなんていうのは、例年のインフルエンザ対策と大差ないのだから、一般の人が何か特別な対策をしなければならないわけではないとも言っていたかな。
全体としては、きわめて穏当な内容の発表だったと思う。言い方は悪いが、現時点では対岸の火事なのだし、いざという時の準備をしながら状況を監視するぐらいしかチェコにできることはないだろう。ここで、国が冷静さを失ったら、前回の新型肺炎のときと同じことを繰り返すことになりかねない。その反省も、今回の冷静な対応に現れているはずだ。
以前の新型肺炎のときには、タミフルが効くらしいということで、慌てたチェコ政府は、製薬会社の売り込みもあったのだろうが、大量のタミフルの備蓄に走ったのだ。あのとき政府は、鬼の首を取ったかのように薬の確保に成功したことを自慢していたのだが、最終的に大枚はたいて購入した薬はほとんど使われないまま後日廃棄処分されたようだ。マスコミのあおりを受けた政府が、他の国に先駆けて確保しようと交渉した結果、製薬会社に大儲けさせる結果になったのだった。もちろんこの件で政治家も役人も責任を取るなんてことはなかった。
さて、クソマスコミの話だが、これだけの記者会見を受けて質疑応答に移った瞬間、「空港ではどんなチェックを導入するのですか」など、何らかの具体的な規制が行われることを前提とした質問がいくつかとんだ。お前ら今の今まで何を聞いていたんだ。現時点でできることはないと言っていただろう。外国人が本読みながら片手間に聞いて理解できたことが理解できなかったのか。相手の話をろくに聞かないで、頭の中で作り上げたストーリーをもとに、政府の無体策を批判するとかやるんだろうなあ。
こういうのの存在を考えると、報道の自由だとかなんだとかが全く意味のないものに思えてくる。マスコミを特別視するのはそろそろやめる時期に来ているんじゃないのかねえ。報道の自由なんか存在しなくても、本物のジャーナリストであれば伝えるべきことを伝えるはずだしさ。もんだいはそんなジャーナリストが存在するかどうかである。チェコにはいそうだけど、日本にはいなさそうだなあ。
2020年1月27日24時。
タグ: マスコミ批判