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2020年03月18日
非常事態にうんざり(三月十五日)
15日夜の12時の時点で国境が貨物の輸送を除いて閉鎖され、滞在許可を持たない外国人に対しての入国と、チェコ人と滞在許可を持つ外国人に対して出国が禁止されることになっている。例外として、国境を越えて仕事に通っているチェコ人は、国境から100キロ以内なら毎日国境を越えてもいいことになっている。ただし、その場合には会社の発行した就業を証明する書類が必要になるという。木曜日の時点では危険地域に指定された国だけが出入国規制の対象だったのだが、翌日には対象をすべての国にすることに変更されていた。
そこで気になるのが、チェコの日本企業に赴任している人の中に、年度末の三月末で帰任が決まっている人がいることである。帰任と滞在許可の期限が重なるなら何の問題もないだろうが、そんなタイミングのいい人はほとんどいるまい。滞在許可を残している場合に空港で出国を止められる可能性があるのか心配だったのだが、ちょうどオロモウツにも何度か来てくれたことのある方が帰任することが決まっていたし、大使館からの情報で、非常事態宣言中は再入国できないという条件で出国が認められることが判明した。一安心である。
金曜日の夜のニュースで、昼から深夜にかけて営業しているレストランの店主が、今日が最後の夜遅くまで営業できる日で、明日からは昼間だけの営業になるから、営業時間を朝からにすることも考えなければならないと言っていたのに、土曜日の朝起きたら飲食店は全面的に営業禁止になっていた。例外として、料理の出前と、客を店内に入れずに窓口で持ち帰りの販売は許可されるという。使い捨ての容器の手配に苦労するのだろうなあ。
非常事態宣言が出た木曜日の時点では、バビシュ首相が自信満々の様子でお店の閉鎖は絶対にしないと言っていたはずなのだが、食料品店や薬屋など生活必需品を扱うお店を例外として、すべての店舗の閉鎖が決定された。これも土曜日の朝起きたら決まっていたんだったかな。この対策をとる理由として、ショッピングセンターに人が集まるのを避けたいという理由を挙げていたが、学校の授業を中止にして、スポーツクラブでの練習もできなくなった子供たちや、スポーツや演劇、映画などを見ることができなくなって暇をもてあますようになって人たちが、買い物するわけでもないのにショッピングセンターに集まるようになるのは予想できたと思うのだけどね。
何か新しい対策を導入するたびに、この対策が効果を表すかどうか確認した上で、次の対策を考えるという発言を聞くような気がするのだが、効果があるとかないとかいえない段階で次の対策が追加される。次々に矢継ぎ早に対策を立てるというか、変更を加えていくことで、規制される側の人々が思考力を奪われているような感もある。
バビシュ首相は、日曜日の午前中にはテレビのインタビューで、国全体の隔離というイタリアと同じような政策を導入することを示唆していたのだが、政府の会議が延々と続いた結果、正式に発表されたのは夜遅くなってからだった。当初の予定では午後3時だったのかな。国全体を隔離状態に置くというのもよくわからないのだけど、できるだけ外出を避けるように求めるのが中心のようだから今までとあまり変わらないような気もする。散歩は、出先で人に会わなければいいらしい。
政府の発表の仕方にしても、ANOのバビシュ首相だけでなく、社会民主党のハマーチェク内務大臣も対策の正当性を訴えるためか、ウイルスの危険性を声高に叫ぶことが多く、対策そのものの効果よりも、自分たちはこれだけの対策をやっているのだとアピールしているような印象を与えるのもうんざりする理由になっている。やるなら徹底的にというのは悪くないのだけど、規制の進め方とか、発表の仕方とか、もう少し何とかしてくれんかね。
政府主導でコロナウイルスの感染の検査ができる病院を増やして、検査数を増やすと宣言した結果、不安の解消のために検査を求める人が押し寄せて、現場が悲鳴を上げていて、病院関係者がインタビューを受けるたびに、症状の出ていない人は検査をする意味がないどころか、検査のための行列で感染する恐れもあるから来ないでくれと連呼している。それでもある漠然とした不安から検査を求める人は堪えないようで、日本と似ているなあ。陰性になったからと言って、その後も感染しないというわけではないのだから、検査なんて症状が出てからで十分だと思うけどね。個人的には受けるなら症状が消えてから受けたいところだ。ちなみにオロモウツの大学病院では、検査を始めて数日で資材が尽きて検査ができなくなっている。困ったもんである。
2020年3月16日24時。