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2020年07月19日
鉄道事故対策(七月十六日)
それにチェコの踏切が危険な状態にあるというのは、確かな事実である。遮断機のある踏み切りもなくはないけれども、遮断機がなく電車が近づくと点滅を始める信号があるだけというところの方が多い。そんな危険な踏切に遮断機をつけ、ストゥデーンカのペンドリーノの事故が起こった踏切など遮断機があっても事故の頻発する特に危険な場所は、立体交差にして踏み切り自体をなくしてしまう計画のようである。
一部の専門家の意見では、安全上の観点から言えば、プラハ—オストラバ間などのの電車が最高時速160kmで走っているような路線に踏切が残っていることが間違いだという。新幹線方式、もしくは高速道路方式で専用の路線を仕立てて道路と交差するところは全て高架にすればよかったのだろうけれども、予算の問題もあるしなあ。ストゥデーンカの踏切を立体交差にという話は、事故直後からあったのに予算の問題もあって、十年以上の時間が経過しても実現していないのである。
個人的には、この踏切の安全の問題は、設備ではなく、チェコの人々の意識の問題だと考えている。踏切に進入する際に一時停止が義務づけられているところも多いのだが、それを無視する人も多いし、遮断機が降りているのに進入したり、電車が見えているのに停車しなかったりと、踏切をスリル万点のアトラクションと考えているのではないかと言いたくなる。踏切ではなくても本来進入禁止のはずの線路上を近道として常用している人も多いようだし、今のままでは設備上の安全対策が進んでも事故は減らないんじゃないだろうか。
今回の事故の連続に直接の対策をとろうとしない運輸省と違って、労働省が機関士の過酷な労働環境が人為的なミスが頻発している原因ではないかと見て、調査に乗り出した。職を失うことを恐れる機関士の多くがカメラの前で話すことは拒否しているようだが、もれ聞こえてくる話によれば、早朝から翌日の午後まで、一応夜間の睡眠時間が数時間取られているとはいえ、ほぼ二日間ぶっ通しの勤務があったり、同一区間を何度も往復する場合に、始発と終着の駅でろくに休憩時間も取れないまま朝から晩までひたすら運転させられる勤務があったりするらしい。
それから、チェコ鉄道だけではなく私鉄が運行を始めた結果、複数の鉄道会社で勤務する機関士も問題になっている。一つの会社では勤務時間に上限があるため、もう一つの会社で働くことで収入を増やそうとしているらしい。その結果、ここの機関士の実際の勤務時間が把握できなくなっているので実態を調査しようというのである。この複数の会社での勤務の原因のひとつとして、私鉄の参入で機関士の人手不足が起こっているという話もある。
これを動かない運輸省に対して、積極的に対策をとる労働省と評価してはいけない。この手の調査は前回事故が連発したときにも、実施すると言われていたのだが、実際に行われたのか、行われなかったのか、結果についてはニュースにならず、今回同じような人為的なミスによる事故が再度連発しているのである。
機関士の超過労働に対する対策として、カミオンのドライバーに義務付けられているようなデジタル式の運転時間を記録する装置などで個々の機関士の勤務時間を管理することも考えられているようだけど、カミオンでもしばしば悪質な業者が記録の書き換えをしたり、まともに記録しなかったりしたということで摘発されているから、どこまで効果があるのか。
2020年7月17日16時。
タグ: 事故