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2020年07月24日
サマースクールの思い出(十)——三年目(七月廿一日)
それはともかく、ニュースを見ていたらポーランドから来たという上級クラスの学生がインタビューを受けていた。二年前は下のクラスにいた奴じゃないか。今回は一番上にいそうである。もう一人インタビューを受けていたのも一年半しか勉強していないと言うウクライナ人で、スラブ系の人たちのチェコ語学習の早さにうらやましさを感じてしまう。
なんてことを考えていたら、三年目のサマースクールのことを思い出し、同時にブログ一年目に、過去のサマースクールのことについて書きながら、二年目で止まっていることも思い出してしまった。ということで、久しぶりに過去のサマースクール、三回目のサマースクールについて書いておこう。とはいえ、このときを越えるサマースクールは存在しようがないだろうというものだっただけに、全体的な印象は強く残っていても個々の出来事についてはあまり覚えていないのであるが。
師匠の元で一年チェコ語を勉強して、自分もある程度チェコ語ができるようになったという多少は根拠のある自信とともに、ある意味満を持して参加した三年目のサマースクールは、一番上のクラス、師匠のクラスとなった。一年目は初日の最初の授業で逃げ出したくなったが、今回はそんなこともあるまいと思っていた。逃げ出したいとは思わなかったが、いい意味でとんでもなかったこのときの授業は、驚きに満ちていて終わってほしくないという気持ちもまた大きかった。
我々のクラスに集まったのは、人数は十人と他のクラスよりも少なかったが、その質は、翌年の一番上のクラスと比べても、一昨年の一番上のクラスと比べても高かった。まず、ポーランド人が4人。みんな同じ大学の4年が終わったところで、当時は制度が変わる前だったので学士を卒業はしていなかったが、実質修士課程の学生だった。ただでさえ、チェコ語を身につけるスピードの速いポーランド人が4年も勉強していたのだからその実力は推して知るべしである。
スラブ系ではブルガリア人の大学生も2人来ていたが、個性豊か過ぎるほかの学生たちに埋もれて、あまり印象に残っていない。それよりは、ハンガリーの大学でチェコ語科の5年制の修士課程を卒業したばかりだったか、9月に卒業する予定だったかのカティの印象の方が強く残っている。本当の意味で学校で勉強したチェコ語と言う意味では、日本人の見本になるようなチェコ語だった。スラブ系の連中は勉強していなくても何となくわかるというから嫌になる。
それから、一人年配のドイツ人もいた。ただし、この人、子供のころはオパバの近くに住んでいて、普通にチェコ語を使っていたと言うから、一から勉強したというよりは、学びなおしたタイプの人で、ドイツではギムナジウムで先生をしていて、希望者を集めてチェコ語の授業もしているなんてことをいっていたと思う。発音はドイツ語の影響を受けて外国人には聞き取りづらいこともあったけれども、語彙や文法の面ではあまり苦労していなかった。発音も4週間もいっしょにいれば慣れるしね。
そんなつわものどもの中に、日本人が二人。もう一人は以前スイスで仕事をしていたときにチェコ語の勉強を始めたという人で、その年の冬から師匠の元でチェコ語を勉強していたけど、まだ半年だったし、二人とも授業についていくのが大変だった。授業自体が普通の授業ではなかったので、外大あたりの上級生でも大変だったかもしれないけど、予習はしても意味がなく、宿題と復習、それに毎晩の酒に大忙しだった。いや、昼から飲んでることも多かったしなあ。
教科書は参加費の中に含まれているから、あったはずである。多分、初日はちょっと使ったと思う。初日の最初の授業は、自己紹介から始まるさまざまな会話で終わり、二コマ目の授業で教科書を使って、師匠が何か質問はないかと言った時点から、教科書が省みられることはなくなった。我先に、とはいっても大抵口火を切るのは、ハンガリー人のカティか、ドイツ人のディートルか、我々日本人のどちらかだったけど、質問をし、師匠が丁寧に質問してくれたのだが、次々にじゃあこういう場合はどうなんだと関連する質問が続出して、気がついたら授業終了の時間になっていた。
ポーランドの連中が話を広げることが多かったし、みんな自国のことを細かくチェコ語で話せるだけの実力があったから、うちの国ではこうだぞとか、なんでチェコはこうなんだとか言う話でも盛り上がった。一番覚えているのは、ポーランドのルカーシュが言い出した「ポーランドの婆ちゃん最強説」で、その具体例を挙げた説明に大笑いになったのだった。
こんなところで、長くなったので以下次回ということにしよう。
2020年7月22日14時。