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2021年04月20日
GRU健在(四月十七日)
とまれ、旧ソ連の裏の部分をになっていたGRUは、すでに存在しない、いや存在するとしてもKGBと同じように名称の変更が行われているだろうと思い込んでいた。そうしたら、午後8時から行われたバビシュ首相とハマーチェク内務大臣の緊急記者会見で、チェコの情報部の長期にわたる調査の結果、GRUのメンバーがチェコ国内で破壊工作を行った事実が確認されたとして、ロシア大使館に勤務する外交官のうち、諜報活動に携わっていることが明らかな18人を国外追放処分にすることを発表した。
GRUが関与したとされる事件は、今から6年半ほど前の2014年10月と12月に、ズリーン地方の小村ブルビェティツェで起こった弾薬倉庫の爆発事件である。倉庫は、幸い村の集落からは離れた森の中に分散して置かれていたため、犠牲者は最初の爆発の際の二人の従業員だけで済んだが、大量の弾薬の置かれた場所での爆発だっただけに、長時間、一回目は七時間、二回目は何日かにわたって爆発が続いたようだ。ブルビェティツェだけではなく周囲のいくつかの村の人たちも避難所生活を余儀なくされた。
今回、チェコテレビのレポーターが、この事件に関しては、亡くなった二人の情報も含めて、警察から発表させることが以上に少なかったと回想していたが、警察と軍の情報部では、情報規制が敷かれていたのはロシアの破壊工作の疑いがあったからだと認めていた。捜査に六年以上かかったと考えるべきなのか、六年以上経って新たな情報が出てきたとか、情報を公開できる状態になったとか考えるべきなのだろうか。
さらに、驚くべきことは、公開された実行犯とみなされる二人組の写真が、2018年にイギリスで起こったロシアからの亡命者暗殺未遂の容疑者とされている二人組の写真だったことだ。このときはノビチョクという毒物が使用されたことが明らかになっており、それに関してゼマン大統領がチェコでも作ったことがあるとか発言して物議を醸していた。爆破工作と同時にノビチョクの入手も命じられていたなんて話になれば、お話としてはできすぎなのだが、公式発表によればイギリスで使われたものとチェコで作られたものは、同じノビチョクではあっても微妙に違うらしい。
ロシアが弾薬庫の爆破を行った理由としては、チェコからブルガリアに輸出されることになってた弾薬が反ロシア勢力の手に渡るのを防ぐためだったという説明がなされている。このブルガリアへの輸出というのが、正規の輸出だったのか、密輸だったのかはわからないけれども、チェコは武器産業が盛んで、各地に輸出しているのである。だから北朝鮮もチェコ国内であれこれ入手しようと活動を続けているのだし。
それで、この事件への報復として、外交官のふりをしたロシアの諜報部員を十八人国外退去処分にしたことについて、ほとんどの政党は賛意を示していて原子力発電所の新たなブロックの建設など巨額の公共事業からロシア企業を排除することを求めているが、共産党とオカムラ党だけが反対の意を示している。事件の全貌が完全に明らかになったわけではないのだから慎重にとか、話し合いで解決するべきだとか主張している。日本で同じような事件が発覚したら、日本の防諜機関にこのような事件を公式発表できるところまで解明できるかはともかくとして、リベラルを自称する人たちが、同じようなことを主張するんだろうなあなんてことを考えてしまった。
チェコ国内の親露派の筆頭であるゼマン大統領は、現在のところ何もコメントしてない。これまで散々チェコの諜報機関の活動について批判を続けてきたのだけど、どんな言葉が出てくるか注目である。まさかデッチ上げだとしてロシアを弁護するようなことは言わないと思うけど。
2021年4月18日24時30分。