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2021年05月30日

復帰(五月廿六日)




 毎年、この時期に仕事が一段落つくので、気が抜けがちで、最初からそんなに高いものでもないのだけど、書くものの質も落ちるような気がしているので、これを幸いとまとまったお休みをとることにした。今年は一年毎日なんてことは目標にしていないから、これまでも何度か「仮文」と称して休んだこともある。今回は当初は休む気はなかったので、事前に「仮文」は出さなかったし、お休みの間はブログの管理画面にも入らなかった。

 もちろんこのままやめてしまう気は全くなかったので、問題はどのタイミングで再開するかだった。書くことへの意欲がたまるまで待っていたら、いつになるかわからないし、意欲が全くないわけでもなかった。必要なのはきっかけである。ロシアがチェコをアメリカと並ぶ敵性国家に認定したというニュースが出たときも、ちょっと動きかけたのだが、怠け癖が発動して踏ん切りがつかなかった。それで、一週間は過ぎたし、十日も過ぎそうだから、いっそ六月からの復帰にしようかなんてことを考えていたら、衝撃の、いや笑撃のニュースが飛び込んできた。



 後任に選ばれたのは、プラハの大学病院の院長を勤めているというアレンベルグル氏だったのだが、就任早々から、これは交替しないほうがよかったんじゃないかと言いたくなるような言動を繰り返していた。バビシュ首相がまともな、信頼を失っていない状態だったら、引き立て役としてよかったのだろうけれども、バビシュ首相が期待したと思われる規制に責任のある大臣を更迭して、支持率を取り戻すというのは完全に失敗に終わった。
 さらに、就任後しばらくして、その資産をめぐるスキャンダルが明らかになって、むしろ政権への支持率を減らす結果になっていた。まあ現在のANOの支持率はこれ以上下がらないところまで落ちているから、実害はないのかもしれない。一定数の支持者たちはどんなスキャンダルがあっても、野党やマスコミのデッチ上げだとしてバビシュ氏支持をやめないのである。現状では有権者の20パーセントぐらいだろうか。

 アレンベルグル氏のスキャンダルというのは、一つは大臣就任に際してなのか、それ以前の病院の院長としてなのかはよくわからないのだが、いずれにしても義務に基づいて公表した資産に漏れが多いというものである。特に不動産に関してはマスコミの調査が進むにつれて数が増え、最終的には百件を越えて、時価換算の総額も単に医師や病院の院長として仕事をしているだけでは、手に入れられるはずのないレベルになっていた。
 また、自らの所有する物件を、自ら院長を務める病院に貸し出して、多額の家賃を手にしていたというのも批判の対象になっていたが、この手のやり口はチェコではそれこそ日常茶飯事で、厚生大臣に就任していなかったら見逃されていた可能性は高い。チェコの野党もマスコミも、身内に似たようなことをやっている人がいるからか、政権攻撃のねたにならないかぎり、この手の瑣末事は取り上げようとはしない。

 これらの批判の高まりに耐えかねたのか、アレンベルグル氏はバビシュ首相に辞表を提出した。ここまでは、こちらの想定内だったのだが、後任の名前には驚愕するしかなかった。ほんの八か月前に感染症対策を巡る混乱の責任を取らされて辞任したアダム・ボイテフ氏が再任されるというのである。スパルタの監督と同じぐらい交代が早いなんて声も上がっていたけれども、流石のスパルタでも一月、二月で監督を代えることはない。以前の監督が再任されることはあるけど。
 いやはや、バビシュ政権のお笑い担当は、これまでは社会民主党のノミネートで身内からもクレームのついたスタニェク氏が就任した文化大臣か、テョク氏の後の大臣がカレル・ゴットの追悼式に権力をかざして割り込むぐらいしか能がなく、ハイパー大臣ことハブリーチェク氏が兼任することになった運輸大臣だったのだけど、完全に厚生大臣に取って代わられた感じである。

 ボイテフ氏は、どこぞの国に大使として赴任するという話もあったのだけど、実現はしなかったのだろうか。この秋の下院の総選挙には出馬しないということだから、政界引退後のポストとして提供されたということか。ANOも既成の大政党とやり口が変わらなくなってきたなあ。とまれ、これも復帰、あれも復帰ということで、このニュースをきっかけに再開することにした。
 ボイテフ氏復帰のニュースを聞いたのが火曜日、書くのに復帰したのは水曜日なのだが、投稿復帰は土曜日ということにしよう。そうすれば休んだ期間はちょうど二週間になるし、筆の進み具合を考えると、書く日と投稿する日にずれがあったほうがいいし。
2021年5月27日24時30分。











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