免疫では様々な免疫細胞が協調して働くことが重要ですが、高齢者では各細胞の機能や数に異常が出ることがあります。その結果、各細胞の作用のバランにも異常が起きて、一部の作用が ”暴走”することがあり、これが重症化に関与するようです。
まず自然免疫、その後で獲得免疫が発動
時間差で働く獲得免疫は、病原体を見分けてピンポイントで攻撃するもので、「T細胞」や「B細胞」が担います。まだ病原体の出会ったことのないT細胞やB細胞が活性化するには、樹状細胞からの刺激などが必要になるため、時間がかかるのです。T細胞とB細胞の一部は生き続けて、同じ病原体が再度侵入してきたときにすぐの獲得免疫を発動できるように備えます。
加齢で進む、免疫細胞の質の低下と胸腺の萎縮
様々な免疫細胞は、保津隋にある【造血幹細胞】から作られます。食細胞は加齢しても数は減らないものの、食作用は衰えます。それの伴い、樹状細胞が病原体の情報を伝える作用も弱まります。T細胞なども、加齢とともに機能が低下していきます。また、樹状細胞細胞などの機能の暴走をT細胞が抑える、いわばバランス維持の機能も衰えます。
T細胞の衰えには、加齢による胸腺の萎縮も関与しているとかんがえられています。B細胞に攻撃の指令を送るなど”獲得免疫の司令塔”として働くT細胞は、病原体を正しく認識し、自分の体は攻撃しないよう、胸腺において”訓練”と”選抜”を受ける必要があります。胸腺の萎縮は、このようなＴ細胞の成熟を妨げると考えられています。委縮は２０代後半から始まり、大きさは４０歳で約５０％、７０歳で１０％以下になるとされています。
T細胞の衰えはB細胞のも影響し、獲得免疫全体の機能低下に結びつきます。さらに自然免疫の機能低下も相まって、「感染症にかかりやすい」「異常な免疫反応が起きやすい」「ワクチン接種の効果が弱い」などにつながると考えられています。
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