病院で最後の食事となる朝食を食べた。普通食の食事はなんと美味しいことか。
身辺の整理は全て終えた。後は旦那が迎えに来るのを待つだけだ。
支払いも終え、前日からお世話になった内科、外科の担当医師、看護師達に丁寧にお礼を言って回った。
「お世話になりました」という言葉がぴったりだ。患者が元気な姿で退院していくのが、医師、看護師には一番嬉しいものかもしれない。みんなで食べてもらおうと買った菓子折りを看護師に渡したが、受け取ってもらえなかった。これほど良くしてもらったのにお菓子一つ渡せない。お礼の言葉しかなかった。
久しぶりに化粧をし、コンタクトを付けて入院時に着てきた洋服を着た。
入院中はすっぴんのメガネ姿でなりふり構っていなかった。白髪も毛根から2cmほど出ているが、それ以外は入院時と変わらない。8kg体重が落ちて少しスリムになったぐらいだ。
本当に治った、元の生活に戻れるという実感が沸いた。
旦那が迎えに来てくれた。同室の胃癌の女性はまだカウンセリング中であった。直接お別れの挨拶をしたかったが、帰ってこないので置き手紙をして一歩先に退院した。
外に出ると、まだ日差しが強く暑い。車に乗り込み外の様子を見ると、世界が輝いて見えた。何気ない風景だが、こんなに美しく明るかったのかとびっくりするほどだ。涙が出そうになった。
旦那と帰りに大型のショッピングモールに立ち寄った。お昼時なので、簡単にフードコートで食べることにした。私は念願のマクドナルドのハンバーガーを食べた。他にもメニューはあったが、がっつりとハンバーガーにかぶりつきたかったのだ。美味しい、お肉がものすごく美味しかった。
当分は油分の強い食べ物やお酒は控えてくださいと内科の医師に言われていたが、退院した日だけは我慢できなかった。幸いにして膵臓は元気に働いてくれたようだ。
買い物をして旦那と家に戻った。台所に入ると、様子が変わっている。旦那が調味料の置き場を整理し、綺麗にしてくれていた。また、ベランダの植木達にも水をやり、手入れをしてくれていたようだ。
家がこんなに愛しい場所だとは。久しぶりの調理も楽しい。夜は旦那と食事をしながらテレビを見て笑った。
誰にも気兼ねなく、好きなことができる場所。長い入院生活後の自宅は、格別の居心地の良さだった。
会社に戻る前に美容院に行き、毛染めした。完全に元気になった気がした。仕事へは退院後3日目から復帰した。私は元気そのものだった。普通に残業時間に仕事をしていたら、周りが早く帰るようにと心配して声をかけてくれた。9月末の期末の忙しい時期にも間に合った。それでも数ヶ月間は頭の働きが悪かったように思う。しかし周りの配慮もあり、私は無事仕事にも復帰することができた。
週に一度お見舞いに来てくれた女性の先輩にお礼を言いにいくと、とても喜んでくれた。
私は今でも1〜2年に1回は血液検査とCTを撮っている。インスリノーマは大半は再発しないらしいが、念のためである。膵臓は以前のとおり、元気に油っぽい食事もお酒も受け入れ、問題なく働いてくれている。
この闘病記録はもっと簡単にまとめるつもりであったが、書いているうちに細かく書きたくなった。
もしも低血糖やインスリノーマの疑いや原因不明で悩んでいる方がいたら、少しは役に立つかもしれない。
書いていくうちに辛かった日々も、沢山の人達に助けられたことも思い出した。
自分の命は沢山の人達に助けられて今あること、健康はとても有難いものであること、日々生きれることは、当たり前ではないこと、病気になったからこそ身に浸みてわかったことだ。
これからもお世話になった方への感謝を忘れず、健康に気をつけて毎日を前向きに歩んでいきたいと思う。
〜闘病記録はこれで終わりです。最後までご覧いただき、ありがとうございました〜
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インスリノーマは腫瘍を切除すれば後は薬なしですが、体にメスを入れることは絶対に良いことではありません。(腫瘍の位置や大きさにより沢山膵臓を切った人は逆の糖尿病にもなる可能性もあります)また、術中他の臓器どうしが癒着したり、内臓を治す為とはいえ、傷つけるので長期的にも体への負担は免れません。
お若いのにお薬を今後飲み続けるのはお辛いですが、現在の症状が緩和され、以前より快適な生活が送れるならば、ようさんにとってお薬は必要不可欠ですね。
ようさんがお元気になられ、病気の間できなかったこと、これからやりたい事や夢が叶いますよう心から応援しています!
2週間の検査入院を経て、インスリノーマはなく、下垂体前葉機能低下症と診断されました。下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモンが足りていないそうです。そのため、足りない分のホルモンを薬で補うという治療をします。治る見込みはあまりなくずっと薬を飲むことになるかもしれませんが、やっと病気がわかったのでこれで症状が良くなればいいなと安心しています。少しずつ頑張っていきます!ありがとうございました。
ようさんのご様子をお聞きしていると、低血糖の可能性が高いように思います。私は頭痛はそう多くありませんでしたが、朝起きられないなどようさんと共通の症状はずっとありました。ようさんのように中学生時代から症状が続いたのであれば、慢性低血糖の状態であると思われるので普通の低血糖の症状とは明らかに症状が違います。高血糖の場合は対応が早いですが、低血糖、特に慢性低血糖にはお医者様でも慣れてない方が多いです。特にインスリノーマは医者でも実際に治療に当たった方は少なく、専門の検査を受けてやっと病名が上がります。患者が少ないので、インスリノーマで起こる色々な症状でさえ、まだ把握されていない状態です。ようさんの食後2時間後の血糖値65は低いですよ。(私もそれぐらいの値の時に、医者から普通だと言われ、長い間低血糖を疑いませんでした)そんな自分の経験からブログに残そうと思った次第です。
ようさんが現在血糖値の検査をされているとお聞きし、ほっとしています。まずは病院の内科、糖尿病の治療をしている科で専門の検査をなされるのが第一です。インスリノーマの腫瘍は膵臓にできる為、ある程度の大きさ(威力)になるまでCTなどでも映らない可能性が高いようです。
インスリノーマの腫瘍は切除時には私の場合約2.5cmでしたが、威力は強烈で普通の食事では血糖値は追い付きません。インスリノーマと診断されたら、お医者様は入院を薦められるはずですが、ぜひ指示に従ってくださいませ。インスリノーマの場合、手術で取り除くのが一般的ですが、癌などのように後の治療で辛い思いをすることは無いと思います。
腫瘍さえ無事に取り除ければ、後は楽です。^^
私は手術後はずっと普通の健康で快適な生活を続けています。
ようさんが早く的確な治療を受けられ、健康な普通の生活を過ごされますよう、祈っています。もし良ければ、治療後(回復されてからでも結構ですので)またお元気なコメントがいただければ、これ以上嬉しいことはありません!
学生時代から何の病気か判らず、不安で辛い想いをずっとされていたかと思います。長かったことでしょう。
まだお若いようさん、早く不安が解消し、健康で輝く将来が開けますよう心からお祈りしています!
早いもので手術後7年が経ちました。とても元気に過ごしています。ビールも毎日飲んでいます(笑)。私はインスリノーマと診断がつくまでが一番不安でした。病気への対処法がわからず、理解してもらえず、周りに迷惑をかけてばかりで。今はお辛いとお察ししますが、回復を信じて頑張ってください。応援しております!ブログには、いつでもお越しくださいませ。(^^)
日付が前の記事にコメントします…すみません。
闘病お疲れ様でした。克服、おめでとうございます。
私は現在、インスリノーマ疑いでクリニックに通院中で、今後大学病院に紹介され検査入院という方向、という経過の者です。
貧血のように意識ギリギリで倒れそうになったり、気分が悪くなり病院にかかっていましたが、子供が未就園児と園児ということもあり、育児でお疲れなんでしょう、自律神経失調症でしょう、精神安定剤だしましょうか?という医師ばかりで、検査しても食道炎しかみつからず…気合いだけで踏ん張ってきました。しかし限界…何かあっても子供を守れない!と思い、思いきって実家に帰って親に責められながらも色々受診したところ、クリニックの医師に、低血糖を見つけていただきました。
まだ確定ではないのでわかりませんし、医師に、珍しい疾患だから大学病院でも見つけてもらえないこともある、と言われてへこんでいましたが
闘病記録や経過を読ませていただき、発見までのつらさ、闘病生活、快方後の明るい世界に、私だけじゃなかった、そして治るかもしれない!と希望が持てました。
親には未だに気持ちが弱いせいと言われますし、保険のきかない検査に不安もありますが、がんばっていこうと思います。
また読みに来てもよいでしょうか…。
元気をいただきました。ブログに残していただき、ありがとうございます。
お嬢様、お元気に回復され何よりです。本当に危ないところでしたね。。腫瘍が大きくなると物凄いインシュリンを出します。ブログにはかいつまんで書きましたが、朝には痙攣や意識が定かでない状態がよくありました。幸いにして家族、病院の皆さんのお蔭で助かりました。インスリノーマは医師、病院側でさえ患者の経験が少なく私も最初は精神科送りでした。また膵臓の腫瘍はCTで映らないと、インスリノーマの診断が付くことが難しい場合もあります。インスリノーマ患者は無意識のうちに低血糖に慣れ、無意識に甘いものを摂り血糖値を下げないよう体が対処しているようです。手術後、脳のダメージも徐々に回復してくると思います。再発が少ない腫瘍ですが、医師の指導に従って定期的に検診をなさってくださいませ。私も手術後7年になりますが、こうして元気に過ごし、食事もお酒も飲食し血糖値も普通です。膵臓も何事も無かったかのように働いてくれています。
ゆきりんさん、インスリノーマの発見が遅れたと責めないでください。激しい発作で初めて発見されるような病気です。インスリノーマは遺伝性はなく、細胞の特別変異的なもので、お嬢様が自分の生活が悪かったと責める必要もありません。
お嬢様が看護の立場に向かわれるお気持ち、本当によくわかります。辛い目をなさいましたが、長い目で見ると人生で大変貴重な体験をされたとも感じます。
ゆきりんさん、お嬢様、ご家族様共に、これからも健やかにお過ごしなさいますように。このブログが少しでもお役に立てたことが嬉しいです。ありがとうございました。
はじめまして
インスリノーマの闘病記読ませていただきいただきました。
去年の夏に19歳の娘がインスリノーマになりました。大学進学を機に家から離れ、寮生活を始めて4ヶ月が過ぎた頃でした。
マメに連絡をくれる娘でしたのでしたが、ある日、携帯で連絡が取れず…夜、寮の方に部屋を見に行ってもらいました。寝ているようだと連絡をもらい、バイトもしていましたので疲れているんだなぁと一度は安心しました。次の日の朝になっても連絡が取れないので、また寮の方に確認していただきましたが、すでに反応はなく救急搬送となりました。
慌てて、主人と片道6時間かけて走りICUに入りショックを受けました。
意識はなく、MRIの脳の画像は白い部分がありました(低血糖による脳のダメージ)
搬送時の血糖値は37、暑い部屋に丸一日 昏睡していたので熱中症にもなっていたのとだ液を誤嚥してしまい肺炎にもなっていました。ブドウ糖を投与しても一時的には上がるが直ぐまた下がってしまう…
はじめ原因がわからないといわれたのですが、10日あまりICU.HCUとお世話になり、一般病棟に移り、内分泌科の先生からインスリノーマの可能性があると言われました
。聞いたこともない病名で、聞ける人もいなく不安な日々が続きました。
娘は血管が細かったため、いつでもブドウ糖を投与できるよう腕にカテーテルをつけて過ごしました。
CT検査、大腿部からのカテーテル検査(カルシウムを流すもの)の後、運良く腫瘍が見つけられたのと、間違いなくその腫瘍からインスリンが大量に分泌されているとわかりました。手術は脾臓を温存して膵臓の尾部部分とともに腫瘍を切除しました。
約、膵臓の3分の1は切除したことになります。
その後は、しばらくの間 膵液漏も見られましたが、救急搬送から3ヶ月経ち無事に退院することができました。
搬送時は、前のお嬢さんに戻れるのは難しい 意識は戻ったとしても脳のダメージがあるのでベッドの上の生活になるかもしれないと言われたのですが、お医者さんや看護師さん、リハビリの先生 たくさんの方のおかげで娘は以前と変わらないところまで元気になりました。
健康体できた娘でしたので、驚くばかりで…甘いものが食べたいとかおやつを食べ続けたいとか 体が時々痙攣するとラインに入ってたことはあったのですが、さびしいのを、食べることでまぎらわせてるのかなと思ったり、食事付きの寮生活でしたので食べることに関しては心配していませんでした。
もっと早く気づけばよかったとか、病院に行くんだったと自分を責め悔やみましたが
非常に稀な病なので発見も診断も難しいんですよとお医者さんに言われました。
娘は現在 通っていた大学には戻らず、お世話になった看護師さん、リハビリの先生に魅せられ 今度は自分が看護する立場になりたいと 予備校に通い勉強しています。
元気になり、本当に良かったです(涙)
長いコメントになりました。すみません
小町さまも どうぞお身体に気をつけてお過ごしください。
読んでいただき、ありがとうございました
夏になれば、傷跡の痛みは忘れられました。傷口は温めたら少しは痛みが和らぐと思います。
手術後2年目も冬場は傷跡がピリピリしました。しかし、内臓が張ってる感じは手術後も特にはありませんでした。
(腹膜炎で開腹手術をした友人は、内臓が張る、長く傷口が傷むと嘆いていました。人によって状態が違うのかもしれません。)
私の場合は腫瘍は2.5cm程で、膵臓も腫瘍の周りを最低限しか切っていない状態です。ふーやんさんとは、切っている場所や体調、状態が違いますので、もし内臓からの痛みや張りが継続するようであれば、主治医へご相談くださいね。
私はビールが好きで、退院後に反動で油っぽい食事やビールもたまに飲みましたが問題はありませんでした。
が、退院一ヶ月後ぐらいに胸やけ状態があり、会社の産業医に薬をもらって治りました。やはり油っぽい食事やお酒、疲れ、ストレスはできるだけ避けたほうが良いかと思います。会社復帰後は周囲の人が気を使ってくれ、私に無理をさせないように配慮してくださったので助かったとも感じます。
私は手術後6年以上経ちますが、元気に暮らしています。食事は手術前と変わらず何でも食べ、飲みますし、特に気をつけていることはありません(笑)
インスリノーマは稀な病気なので、周りの人に聞けないので何かと不安ですね。もし他にもご質問があれば、いつでもコメントをくださいませ。
ふーやんさんも、早くお元気になられるように祈っております。
入院中、このブログで励まされていました。ありがとうございます。
今年1月にインスリノーマで入院、開腹手術。膵液漏れのため3週間予定が1か月入院のうえ、先週退院しました。手術後1か月以上たった今でも食事後は傷の横が痛みます。主治医の指示のもと、食事はアルコールなし、油ものはできるだけ避けています。あと3週間後多忙な職場に戻る予定ですが、この痛さのある状態で仕事ができるかどうかが不安です。そこで質問ですが、小町さんは傷の痛みとかはどれくらいでとれましたか?また、内臓がはっているような感じはありましたでしょうか。ご多忙中申し訳ありませんが、お時間があれば教えて下さい。