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2020年01月12日
プラトンについて!法政大学通信教育部文学部史学科倫理リポート
プラトンについて!法政大学通信教育部文学部史学科倫理リポート
それは、主にソクラテスとの対話方式で書かれた初期対話篇に見られる。
ソクラテスの倫理は主に対話を通じて相手の無知を自覚させ、新たに真の知を探索させようとする方法である。
つまり、人間の生き方は自分自身を知ることによって、自分自身を含めた人間は知者の存在ではなくて、無知の存在であるとし、人間は無知であるからこそ、自分自身に無い知を愛し、そして、知を求めるものだと考えた。
ソクラテスの生き方は、ほんとうに生きるとはどういうことかを問い続けた生き方だと思われる。
ソクラテスの生き方に対して、ペロポンネソス戦争に敗れ、政治的、社会的に不安に陥っていたアテナイでは、反感の意を唱える者も現れてくる。
そして、最終的には死刑となって、死んでいくわけである。
プラトンは師匠であるソクラテスの運命な死を目の当たりにして、人間の本当の生き方や国家のあり方、道徳のあり方など考えさせられたと思われる。
プラトン哲学は後期には自己流の哲学へと発展を遂げると考えられているが、しかし、根底にはソクラテス哲学が存在していると思う。
ソクラテス哲学は主に人間を対象にしていたのだが、プラトン哲学は人間だけでなく、国家や宇宙など、その領域を広げた所に特徴があると言えるだろう。
プラトンの倫理学の中心となるのは、イデア論だと思われる。
イデアとは、形相のことで、プラトン流の解釈なら、実在するものや真実のものと言った物事の本質を表す言葉である。
例えば、美しいと感じる物があったとするなら、その美しい物のなかには、永遠不変の美のイデアが存在していると考えられた。
プラトン哲学の特徴は、物体や固体よりもその内側にあるものを重要視している。
言いかえると、現実世界にある物よりもイデア界を重要なものとして扱っている。
人間の生き方で考えるなら、肉体を鍛えるよりも、内側の精神や魂などを鍛える方が重要であるとの考えである。
この考え方は、魂の世話を主張した師ソクラテスの思想ともほぼ同じと見る事ができる。
プラトンの考え方は、神が自然の万物を作りあげる時にその原型となるのがイデアだと考えた。
すなわち、イデアは万物を創造する時の設計図のようなものであると考えられる。
このようにイデアは神の意志が入った神聖なものとされた。それに対して固体は模型にしかすぎないと考えられた。
この神の思想のような空想的で非現実的な考え方は、プラトンの倫理学では重要となってくる。
それは、人間にとって偉大なことは、神にとらわれることであるとの思想である。
神に人間がとらわれると言う事は、すなわち、神よって人間の意思が動かされる事を意味している。
例えば、恋愛をしているときなど、自分自身には恋愛相手の良さが分かるが、しかし、他人にはまったく、恋愛相手の良さが理解されない。これは、神にとらわれたことによって、その人にしか分からない相手の良さを発見することである。
このように、人間の生き方は神の意志と密接に関りをもっていると考えられた。
このプラトンの空想的な神の思想は、後に、中世キリスト教の教義などと結びついていき、歴史的にも人間の生き方に大きな影響を与えることになる。
また、プラトンは魂の三分説を唱え、魂をイデア界に関る部分と現象社会に関る部分との2つに分け、また、現象界は勇気と欲情的なものとに分けられるとした。
プラトンは魂の三分説の中で、理性は魂を支配し、正しく導く存在と考えられ、勇気は理性のよき支配を受けながら、理性を助けて欲情を正しく導く存在とし、また、欲情は健全な肉体を維持する存在だと考えられた。
また、プラトンは人間の生き方だけでなく、政治にも興味を示している。
理想の国家を作るためには、その統治階級者となるべき人には徹底した教育が必要であると考えた。
そのため、プラトンは学園アカデメイアを創設し、学園で理想国家の統治者になるべき人間を育てていくことになる。
プラトンの理想国家論は理想的な人間と理想的な国家は本質的には同じだと考えた。
そのため、理想的な人間を育てることは、理想的な国家を作る事と同じあると考えた。
プラトンの理想国家論は、人間を3階級に分け、それぞれの階級には独自の任務と道徳観が必要であると考えられた。
まず、上級者階級は法律や制度の制定などを行い、また、市民を統率することを主な任務とする。上級者階級に必要な徳は知恵であるとかんがえられた。
次ぎに防衛者の階級は国家の防衛を行うので、戦う事を主な任務とする。
防衛者階級が必要とする徳は勇敢である。
次ぎに生産者階級は国家が必要とする生活必需品の生産が主な任務で、必要とする徳は節制である。
また、以上三つの徳を国家活動の中で統一されることによって、調和が生まれ、そして、公正という徳が生まれる。
これら4つの徳によって国家が理想的に運営されると考えられた。
これら4つの徳のうちもっとも重要な徳と思われるのは知恵だが、しかし、それは、4つの徳全てが理想的に機能している状態でのみ発揮されることである。
4つの徳が理想的に発揮される倫理的社会とは国家の事を指している。
(西洋哲学史 今道友信 1987 講談社 参照)
(プラトン初期対話篇研究 上田徹 2001年11月20日 東海大学出版会 参照)
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