Cubadebate、2020年6月1日
キューバ共和国外務省声明
キューバはテロリズムと政治的操作を糾弾する
同リストは単独的かつ恣意的なものであり、根拠もなければ国際的な権威や支持も伴わない。これは周知の通り、米国政府が下す傲岸な決定において、その意向に従わない国々を中傷したり圧力をかける目的のためだけに使用されるものだ。
米国政府は主な根拠として、コロンビア民族解放軍(ELN)の和平交渉団メンバーがキューバ国内に滞在していることを挙げた。
広く周知の通り、ELNの和平交渉団がキューバにいるのはエクアドルが仲介役を突然降りた後、コロンビア政府とELNの依頼を受けて和平プロセスが2018年5月、ハバナに移ったためである。
この和平対話は2017年2月7日、キトで開始された。当事者の依頼を受けて、キューバはブラジル、チリ、エクアドル、ベネズエラ、ノルウェーと共に和平プロセスの保証国を務めた。
2018年8月7日、イバン・ドゥケ氏がコロンビア大統領に就任して以降、同国政府代表がサントス前大統領の任期中に始まった対話の継続を目的として、同年8月8日から2019年1月までの期間にキューバ及びELN和平交渉団と数次にわたり意見交換した。その過程において、我が国は十分慎重に振る舞い、保証国としての役割を厳格に遵守した。
2019年1月、ボゴタの警察学校への襲撃を受けてキューバ大統領及び外務大臣は即座にコロンビア政府と国民、特に犠牲者の遺族に向けて弔意を表明した。同時に、あらゆる形式及び形態のテロ行為を否定、糾弾する我が国の確固たる姿勢を改めて示した。
コロンビア政府はその後、キューバに滞在するELN和平交渉団に対する政治的かつ法的行動を開始し、和平対話を中止した。さらに“和平交渉が決裂した場合のルール(決裂ルール)”を無視する決断をし、コロンビアがその他6ヶ国と調印した約束事項を完全に破棄した。
和平交渉の枠組みにおいて、“決裂ルール”は2016年4月5日、コロンビア政府、ELN、保証国の間で調印された。内容としては、和平対話が決裂した場合、ELNのメンバーが安全にコロンビアに帰国できるよう定めている。
キューバ政府はこれまでも現在も、合意文書が定めるところに従い、同ルールを適用するよう主張する。この姿勢は国際社会の幅広い支持を得ており、コロンビアの武力紛争を交渉によって解決しようと尽力する関係者らからも支持されている。これは国際的に認知された実践であり、国際法に則し、保証国及び和平対話の開催国としての約束事項を遵守するものとして改めて評価されている。この“決裂ルール”を適用しないことにより、ELNメンバーがキューバに留まっているのである。
コロンビア政府はキューバに対し一連の敵対的行為を行った。その行為とは、コロンビア和平に対するまごうことなきキューバの貢献に対する、不愉快かつ政治的な操作を通じた、公式声明や、脅迫、告発が含まれる。毎年国連総会においてキューバ国民に困難や被害をもたらす米国の経済・貿易・金融封鎖の撤廃を求め採択される決議を支持してきたコロンビアの歴史的な態度にも変化が起こった。1992年以来コロンビア歴代政府が一貫して変えなかった立場が明らかに変わった。
同日、米国は対テロ対策に十分に協力していないとみなす国々のリストにキューバを加えたと発表した。コロンビア政府和平高等弁務官のミゲル・セバジョス・アレバロ氏が公に述べたところによると、キューバを加えるという国務省の決定はコロンビア政府への支援、及びキューバに対しELNの和平代表メンバー引き渡しを執拗に要請するコロンビアへの「大きな支援」であった。
このセバジョス氏の発言はコロンビア国内の幅広い和平支持層の批判を受け、数人の政治家は政府に対し、この発言および「決裂ルール」を無視することについての説明を求めた。
キューバ外務省はコロンビア政府和平高等弁務官の声明を断固拒否する。
コロンビア政府和平高等弁務官の発言より推察されることは、コロンビア政府の行動は我が国に対する米国の攻撃的な目論見にとって有益であり、その論拠を容易にするだけではなく、ラテンアメリカ・カリブ地域の一国に対する米国の恥ずべき行為を「支援」するものであるということだ。
我が国に民族解放軍(ELN)幹部が滞在している事実をもとに米国は非難するが、これは根拠の乏しい、不誠実な、意味のない、コロンビア政府の恩知らずな態度から生まれた口実である。セバジョス氏の発言がなにがしらかの信用に値するとするならば。
いずれにせよ、コロンビア政府の同意があるとしても、米国の非難には全く根拠がない。対テロ闘争におけるキューバと米国との二国間協力、法の適用と遂行のための協働などにおいては具体的な実績があり、そのうちいくつかは最近のものである。にもかかわらず、国務省は事実を意図的に歪曲し、今回の決定を下した。
キューバは米国領土から組織され、資金援助され、実行された数多くのテロ行為の犠牲となってきた国であることを想起しなければならない。それらのテロ行為は、かの地で政府の寛容さと庇護を享受するグループや個人によって行われたもので、それは周知の現実である。過去には米国政府によって直接準備された国家テロの犠牲になったこともある。米政府は時には同国で組織された犯罪と共鳴して行動することもあった。そのような行為によって、3478人のキューバ人が死亡し、2099人が何らかの障害を負ったか、現在も負っている。
去る4月30日、我が国の駐米大使館がテロ攻撃の的になった。事件以来、米政府は共犯的沈黙を維持し、事件を告発も非難もせず、キューバとその施設への暴力的攻撃を誘発しようとする在米のテロリスト個人やグループに対して行動を起こそうともしない。
その結果、在ワシントンのキューバ大使館へのテロ攻撃の後、在米のキューバ外交官や大使館に加えて、メキシコ、コスタリカ、アンティグア・バームーダ、カナダ、キプロス、オーストリア、アンゴラでもキューバの外交官と大使館の安全が脅かされた。全てのケースはそれぞれの政府に報告された。
米国の明らかな共犯姿勢は、テロリズム容認と受け止められる危険を伴う。その姿勢はキューバに対する攻撃と暴力煽動の政策が強化されたことと連動している。そしてその政策は、二国間協力プログラムに基づいてキューバ人医療従事者が活動する国々にも及んでいる。
テロリズムを告発し精力的に行動する我が国の決意は憲法にも明文化されている。いかなる形態であろうといかなる表れであろうと、テロリズム、とくに国家テロに反対する我が国の立場は絶対的、断定的なものであり、然るべき法律で保障されている。
米国政府がテロリズムに対して自らの立場をかくも断定的に表明することができるのかどうかと疑う理由は有り余る。
キューバはコロンビアの和平への支援を変わることなく続けてきた。そして、コロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC−EP)との和平協定実施の保証国としての立場から努力してきた。しかし、コロンビア政府は同協定を保護しようとせず、その厳密な実施も保証されなかった。
外交ルートを通じて申し入れたように、キューバ外務省はコロンビア政府に、コロンビア和平過程の保証国の条件について、特にキューバのそれについて、どのような立場なのか知らせて欲しいと要請する。
同様に、コロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC-EP)の和平協定の適用と実施に関する同政府の立場を知ることも必要とする。
キューバ外務省は、コロンビア政府に対し、米国務省リストにキューバを加えることにどのような理由で関与するのか公式な立場を発表するよう強く望む。さらに、この問題での米国との事前の会合でのコロンビア政府関係者の役割と立場は何であったのか明らかにするよう要請する。
テロリズムの犠牲となってきた国としてキューバは、このようなセンシブルな問題において、あらゆる政治的操作とオポチュニズムの表れを嘆くものである。
2020年6月1日、ハバナ市
キューバTV(2020年6月1日)
MINREX: Cuba condena el terrorismo y la manipulación política
http://www.cubadebate.cu/especiales/2020/06/01/minrex-cuba-condena-el-terrorismo-y-la-manipulacion-politica/#.XtZWyjozbIU