フレデリク・セペダ
Cubadebate、2023年11月19日、Joel García記者
ラティーノアメリカーノ球場での試合はわずかな観客で開始され、セペダの各打席に注目は集まった。最初の二打席での単打2本と、その後の四球で、新記録達成は明日土曜日の試合に持ち越されたかに見えた。しかし野球の神は予言と数字についてよくわかっており、つまり8+5+4は17になる。きょうがその日であった。
インドゥストゥリアレスの抑え投手フアン・ハビエル・ペニャルベル・エルナンデスは、9回の最初の二人の打者を比較的簡単に抑え、6対1と得点差は大きくつけているものの、最後の27番目のアウトは、果し合いのようであった。セペダが自身の記録を狙ってきていることはわかっていた。二塁打で十分だし、三塁打はより難しい、本塁打は・・・、「よし、本塁打をセペダはどんな投手からも打つ、もしセペダがこれまでベストの投手たちから打ってきたのなら、なんで私からそれを打てないことがあろうか」、と右腕は思った。
しかし、彼はマウンドに素早く上がり、自身の速球でセペダを驚かせたかった。その直球はほぼ90マイルだったが、セペダのスイングで一瞬にして右翼席に消えていった。「わかってた、わかってたんだ・・・」と、このインドゥストゥリアレスの相手投手は誇らし気に言っているようでもあり、わがキューバリーグ史上もっとも偉大な選手の一人がいつも以上に早く走るのを見ていた。
ホームベースを踏んだとき、まず彼に挨拶したのは捕手のオスカール・バルデースだった。セペダは自身のコレクションのためにボールを自分に渡すよう求めたが、誰かが消せない宝物としてボールを抱えてしまっており、そのボールは、その小さな個人的コレクションにとってよりも、歴史の力で打った人物にとって、より意味がある、と説得することが誰もできなかった。
セペダはただ笑みをうかべ、チームの同僚や相手チームの選手たちからの抱擁に笑顔で応えた。それは自身通算353本目の本塁打であり、三塁打54本と二塁打447本とあわせて、サンティアゴのレジェンド、オレステス・キンデランの記録853本を抜いた。キンデランからは5月にも彼の通算塁打数の記録を抜いていた。
自身のサンクティ・スピリトゥスチームとキューバ代表チームのユニフォームにもっとも忠実なセペダは、通算四球数と通算出塁率(OBP)部門においてキューバ野球史上に残る選手の一人でもある。またヨルダニス・サモンとともに通算二塁打部門の首位を争っており、通算安打数はダネル・カストロに次いで史上2位につけている。彼はプレーを楽しんでおり、いまなお球場に入ることが彼を奮い立たせ、毎朝のモチベーションとなっている。
声明?、とそのとき私は思った。自身五回目のWBC出場を阻まれるといったような癒しがたい近年に犯された数少なくない不正義を忘れることなく、彼は新たな偉業のあとでなにかを語るだろうか? 言うべきことが何かあるだろうか。新たな記録のたびにささげるべき相手がいるだろうか。
私が彼に電話すると、彼は落ち着いて丁寧に対応して、私のお祝いのことばに感謝を示した。私は声明が欲しいのではなく、数週間前にキンデランが自身の記録をセペダによって消されるのを見るのはどういう気持ちか聞かれて何と私に答えたか君が知っているか知りたいだけだと伝えた。「キンデは何と言ったの」、とセペダは興味津々に問うた。
「セペダは野生児だ」、とキューバ野球殿堂にもっとも直近で選ばれた一人、キンデランは私に言った。それを聞いた「野生児」は息をつき、そんなに大げさにせずにそのことを書くよう私に頼んで、電話を切った。これで私は年代記と、彼の声明と、そして854の長打を手にしていた。854の長打というのは、共有すべき854のことばという意味である。数えてみてくれないか。
キューバTVニュース(2023年11月17日)
フレデリク・セペダ 記録更新シーン(2023年11月17日)
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インドゥストゥリアレス対サンクティ・スピリトゥス 完全版(2023年11月17日)
El extrabase 854 y las declaraciones de Cepeda
http://www.cubadebate.cu/opinion/2023/11/19/el-extrabase-854-y-las-declaraciones-de-cepeda/