ヒッコリー・ロードの殺人 (ハヤカワ文庫) [ アガサ・クリスティ ]
価格: 858円
(2021/2/6 11:39時点)
感想(6件)
土曜日なので、先週のポワロさん
「ヒッコリー・ロードの殺人」の感想です。
ある学生寮でたて続けに起きた盗難騒ぎ。それは連続殺人事件の序章だった。
ミス・レモンの姉が管理人をしているヒッコリー・ロードの学生寮で盗難が相次ぐ。ポワロはディナー講演の名目で学生寮に出かけ、オーナーや学生たちに話を聞く。翌日、女子学生のシーリアが盗んだのは自分だと告白。盗難癖があるという彼女だが、全てを自分がやったわけではないという。その夜、シーリアが睡眠薬を飲んだ直後に急死す
感想
ポワロが出てくる話で学園を取り上げるのは非常に珍しいほうですね。
この後出てくるであろう、「ハトの中の猫」と、この二作品じゃないのかな?
すでにポワロはおじさん? ナイスミドル。といったほうがいいのかな?(笑)
なので、学校には縁がない。ということだと思うし、
学校に殺人が起こるなんて、
学校は安全な場所であるべきだという神話からなのか、
学園物はなかなかないけれど、それは、彼女が学校に通っていなかったからだと思われる。
行ったことがない場所の話は書けないからね。
彼女の家が貧しくて、学校に通えなかったわけではなく、
母親の信条から、「学校に通わなくていい、7歳まで字を覚えなくていい」
ということから、学校に通っていなかったらしい
学校に通っていなくても、字が書けなくても、
後世に残る稀代のミステリーの女王になるのだから、
このお母さんの信条も捨てたことはないなぁ。
でも、実際、自分の子供にできるか?
と言われると別問題だが、
さて、珍しい「学校」というキーワードが出てくるが、
学校での授業風景があるわけじゃない。
学校が用意したシェアハウスが舞台。
いろんな学部の大学生が共同で暮らしている。
そこで、不思議な盗難事件が起こる。
その調査していたら、殺人が起こる。
ミス・レモンのお姉さんが居たことをポワロが初めて知る。
などなどなど、ちょっとくすりと笑える部分が多くある。
いろんな伏線があるが、
それがありきたりすぎて、そのありきたりな小道具をよくも重要証拠品に仕立てたものだと、
本当に感心する。
アガサ・クリスティの着眼点の妙は、一般的でない。と思う。
主婦をしていたミステリー作家は、やはり主婦らしい目線になるし、
サラリーマンだったり、と、過去それぞれが培ったものの上で見る方向がある。
でも、アガサ・クリスティのそれが、どこか子供が見ているもののように感じる時がある。
すごく偉そうなことを言っているけれど、
子供が「なぜ?」「どうして?」というあれに近い。
「なんで、みんなで同じリュックを持っているの?」
「これが無くなってしまったら、みんなどうするかしら?」
など、気持ちはいたずらな少女のような感じがする。
特にこの話は。
だからこそ、舞台が、まだ未熟な、だけど体は大人な大学寮にしたのかもしれない。
これがもし、貴族の館で起こっても、
または、紳士が通うクラブで起こっても面白くはなかっただろう。
適材適ネタ。適所ならぬね(笑)
ただ、このネタが浮かんだ経緯を知りたいよね。
なぜこれを閃いたのか?
何から閃き、これを完成させたのか。
それは、やはり「電球」なのかな?
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