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昨夜(2021年3月6日フジテレビ系列)放送された
「死との約束」の感想です。
原作読んだはず……。読んだよなぁ(汗)
読んだ気がする……。
原作印象よりも、デビット・スーシェ主演のポワロのほうが印象深く、
古代エジプト遺跡を巡るあの情景に心惹かれたのを覚えています。
まだ、放送(BSP17時ごろの再放送)はされていないので、今後の楽しみに置いておくとして。
今日の感想は、昨夜の分ですが、
勝呂 武尊(仰々しい名前だ)という「世界的有名な探偵」シリーズの3作品目です。
もちろん前2作品もアガサ・クリスティ—作品で、
勝呂はポワロなのですが、息子ですら、これはポワロではない。と違和感を覚える人物に仕上がってます。
とはいえですよ、
そこは、人を引き付けるアガサ・クリスティ—の原作と、
喜劇脚本家の三谷幸喜氏の巧みな采配で
すっかり引き込まれてしまう。
1作目のオリエンタル急行では、多少、アルバート・フィーニーのような
大袈裟で、高圧的な印象があったけれども、
2作品目のアクロイド殺し(黒井戸殺し)は、残念ながら見逃してしまって、
3作品目の、今回も、存分に、高圧的で、大袈裟なポワロ、もとい、勝呂になっていた。
なんだってこんなんなんだろう?
と思うけれど、それが余計に引き込まれてしまう原因でもある。
けぎらう人は多くいるかもしれないが、
なんだって、こんなふうにしてしまったのか?
と首を傾げてみると、
もしかすると、これは、わざとやっていて、実際はそうではない奴?
昼行燈的な? など少々思ってしまうが、
そうではないようで……あれが素のようだ
とはいえ、昭和30年代の探偵像を創造するときに、
現代の探偵ではダメだし、かといって、テレビ創世期に流行ったようなハードボイルドでも、
やんちゃで茶目っ気のある探偵でもよくない。
なんせ、相手は、世界的に有名な探偵の一人ポワロなわけだから
ポワロの人物像は、変な口ひげに大袈裟な態度、過剰な自信家でなければならない。
だが、昭和30年ごろにそのような日本人は、偉そうな政治家化、金持ちしかいない。
探偵がそんな感じでは居なかったはずだ。
いや、そもそも、30年代に探偵が居たのだろうか?
戦後10年しかたっていない時に、探偵を雇えるほどの事件があったのだろうか?
と考えると、彼がそれほどまでに活躍していることのほうが面白い。
金田一耕助もその辺りに居たらしいが、
彼は貧乏を絵に描いたように、下宿先の女将さんから金の催促をされている。
探偵とは貧乏である。というのが、戦後の日本の探偵像だとしたら、
これほど仕立てのいいスーツを着て、高級時計を見につける勝呂という男は、
一体どんな人なんだ? と思えばこそ、
あの、大袈裟な振舞いにも納得いくというもので、
そこが、三谷幸喜マジックなのだろうなぁと感心する。
時代的に30年代の服装なのか? とかいろいろ思う節はあるけれど、
まぁ、4Kのせいで、安っぽい服も高価に見えてしまう時代ですから、
仕方ないと割り切って、
とにかく、昭和30年代のころの、
慇懃無礼な小男が居たとしたら、やはり、勝呂のような感じになるのかもしれませんね。
とここまでは、勝呂に関する感想で、
ここから、本題に行くけれども、見てない人や、
そもそも、見たくないという人、原作を見ていない人のために
ネタバレはしないでおきたいのだが、
一度見てはいるので、犯人は解っているはずだけども、
まぁ、何と言いますか、アガサ・クリスティ—マジックで、
何度読んでも、ミスリードされてしまう。
あれ? この人だっけ? いやいや、この人だったっけ?
最終的に、やっぱり、犯人はこいつだったかぁ。変わってないよなぁ。
と、同じ本を何度見ても同じところでミスリードされる。いいお客でしょ?(笑)
この話は、はっきりとした伏線があるので、
それを忘れず、それを意識すれば犯人はすぐにわかるようなものです。
判るはず……
息子も、そのセリフ怪しいと思った。とは言ってた。
だけども、それが意図するところまでは見抜けなかった。
とし、私も、犯人があやふやだったので、リセットして、
初見として(頑張って初見のように頭を空にして)見てから、
「犯人は—」
と息子と推理ごっこをする。
「もう、いかん、眠い。でも、気になる」
という息子。ビデオとって、寝る? と言ったが、
「今から、犯人探しやん? これで寝るほうが気になる」
たしかに。と、結局0時まで見てしまうわけで(笑)
犯人のトリックには、なかなか難しいものがあるけれど、
でも、出来ないわけなさそうだし、
原作ではエジプト遺跡だった場所が、
熊野古道という、どちらも神秘的で、何やらいそうな雰囲気の場所
というのも相まって、
天狗だの、神様だの、そんな不思議なモノが居そうで、
そんなモノたちが、トリックの単純さを複雑に見せた気もする。
そして、何より、この話に引き込まれ、
結果、最後まで見てしまったのは、俳優が素晴らしいからで、
もし、俳優がそれほど素晴らしくなければ、見ないで済んだかもしれない。
頼りになりそうなくせに、実はヘタレな長男や、気の強い嫁。
ぐずぐずする次男や、しっかりしている風で、そうでもない長女、かわいそうな次女。
おせっかいな医者に、気の強そうな議員。自己を持たない秘書。怪しい男。
彼らがどこに居てもちゃんと良い持ち味でうろうろしている。
私のお気に入りは、長男嫁のシルビア・グラブさん
この女優さんなんだか好きです。高島兄のお嫁さんですよね? 美人だ。
と、子供たちや、関係のある人たちを差し置いて、
私の、この作品でも主演女優賞は、
本堂夫人を演じた松坂 慶子さんでしょう。
愛の水中花ですよ。(笑)
悪役が悪役でいてくれることこそ、その話しがよりよくなる
と、最近特に思う。
悪役のくせに、いい人感を出すと、話しが面白くない。
悪役がにっくき悪役でいてくれるからこそ、
加害者に同情するのだから。
だからこそ、松坂さんのあの意地悪なおばあさんの演技は「巧い」としか言えない。
あんな意地クソ悪いばあさん、殺されて当然。と言わしめる演技、
だからこそ、続きが気になって見れたのだと思う。
思いがけず、最後まで見てしまったけれども
観てよかった。と思った。
そうなると、2作品目の、「黒井戸殺し」ちょっと、見たかったなぁと後悔する。
BSPでポワロの「死との約束」をやった時には、
また、違った感想になるのかな? それはそれで、自分も楽しみ。
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