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感想部「許されようとは思いません」作者 芦沢 央
ジャンル ミステリー
短編集
簡単に説明すると、ミステリー5編です。
本当に、それ以上も、それ以下もない。
ただ、この本を読んでいて、ちょっとミステリー? と首をひねったので、調べてみた。
「ミステリー」と「サスペンス」について
同じような印象を受けるけれど、全く違う視点なんだとかで、
たしかに、ミステリーだと、謎解きをメインとし、立派な探偵がいてこそだが、
サスペンスとなると、どうもドラマチックになりがちだ。
崖の上で犯人が告白するとかね。なんだって、拘置所にいる犯人をわざわざ連れ出して、
白状させるのか不明だし、犯人に背中を見せて、崖縁に立つって、怖いわぁ
という点でも、ミステリーとサスペンスは違うようで、
この本も、ちょうどサスペンスよりな印象を受けた。
なかなか心情をゆすぶるもので、
これはかなり、自己負担が大きいものです。
読んでいて、錯覚率が高い。
読んでいたら「もし、主人公の立場だったら?」と考えたりしないだろうか?
そう考えたときに、「ぜひとも主人公と同じ行動をとるだろう」と思うはずだ。
最初の事故を目撃した男にしろ、
孫大好きなお祖母さんにしろ
姉のことが好きだからこそ憎んでしまった妹にしろだ。
ただ、三作品目のは、ミステリーでもサスペンスでもなく、
いや、そうなのだろうが、まさに「世にも奇妙な~」という話
奇妙すぎるわけじゃないが、オチが……怖い。
五作品目のは、ただただこの表題にもなっているだけあって、
インパクトも、内容の濃さも、他の四作品以上だ。
各短編話を事細かに感想を書くのは野暮なので、
この一冊を通しての感想を書くとすれば、
この作家の心情を誘導する書き方かなかなかだと思う。
上から目線ではなく、「これは……」と絶句してしまうのだ。
面白かった? 面白くなかった? という二択であれば、面白かったよ。
だけど、面白いとは違う。これは、ちょっと違うホラー感を感じるにはいい本。と紹介する。
ぞくっとするような人間の心情ホラーです。
特に、四作目のなんかは、伏線じゃないのに、全く気付かなかった
そして、最後に来て、自分がまんまとはめられていることに気づいた。
これは巧い。
最初の作品の口調などが少々イライラさせられたが、
それもこれも、主人公の性格を映しているのだ。
そういう所も巧い。
だから、あっという間に読んでしまい、そして、
あっという間に、沈んだ。
これは……闇が深い……
「そう? 何書いてたか解らなかった」とか
「全然面白くなかった」
という感想をもったなら、それはそれで幸せなんじゃないかな。
気付いちゃったホラーですよ。
知らなきゃ、気付かなきゃよかったのに。と思うホラー
涼しくはならなかったし、ただただ後味は悪いのっだけど、
ちょっと進めたい、心情サスペンスな一冊です
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