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ハナブサチロロ
世田谷区出身。

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posted by fanblog

2019年06月04日

映画『さらば愛しきアウトロー』(2018/米/デヴィッド・ロウリー監督)@京橋テアトル

洒落た銀行強盗紳士の幸福感溢れる物語。
全体のオールド感はスーパー16?o撮影によるものとのこと。
ジャジーな中でキンクスの「ローラ」がすっと入ってくるサントラもいい感じである。

80歳を超えたロバート・レッドフォードのチャーミングな笑顔は永久に不滅です。
日比谷シャンテにぴったりなお洒落な映画。
こういう邦画がなかなかないんだよなあ。


2019年05月08日

映画『誰もがそれを知っている』(2018/西・仏・伊/アスガー・ファルハディ監督)@京橋テアトル

主人公が帰省すると事件が起きるのは万国共通か。
思春期真っ最中の少女・イレーネ(カルラ・カンプラ)のバイクシーンから危うさを感じてドキドキする。
『ゴッドファーザー』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』など結婚式が印象的な作品は多いが、この作品も重要なシーンとなっている。
細かくリハーサルを積み重ねたらしい。だからこそあの盛大な結婚パーティーから始まる親戚・隣近所人間関係を撮影できたのだろう。

決して後味は良くはない。簡単には水に流せない。

2019年03月22日

映画『僕に、会いたかった』(2019/錦織良成監督)@ショウゲート試写室

主人公・徹の母親(松坂慶子)が毎日せっせと漁船を掃除する姿から優しさが滲む。
昔観て好きだった映画『椿姫』(1988/朝間義隆監督)の松坂慶子の笑顔を思い出す。
穏やかで美しい風景とは対照的な風や波をもう少し感じたかった。
島留学をする高校生の愛美の抱える闇をもう少し見たかったし、めぐみと徹の接近ももっと見たかった。

主題歌「天使のはしご」がいいな、と思ったら浜田真理子の歌声だった。


2019年03月12日

映画『僕たちのラストステージ』(英・加・米/2018/ジョン・S・ベアード監督)@松竹試写室

脚本・俳優がとても良い。
特に主人公二人のそれぞれの妻たちのキャラクター、関係性が後半ムードを盛り上げてゆく。
脚本家も監督も登場人物には相当思い入れがあるのだろう。
また、楽屋から撮影所を歩いて来る長回し、舞台袖・セット裏のやり取りなどシーンごとの美術・ジョン・ポール・ケリー(『アバウト・タイム』など)の仕事が効いていた。
ローレル&ハーディの笑いはドリフにも受け継がれたと思う。
時間を共に過ごした友達の顔が浮かぶ映画。


2019年02月26日

映画『唇からナイフ』(2018/じんのひろあき監督)@シアターバッカス

いわゆるオムニバスではなく、物語たちが繋がっている。混在している。編集上でも物語が行ったり来たりもする不思議な映画。
基本的には会話劇で溢れて来る会話から金、性、自意識が不気味に染み出て来る。
核心には近づきそうで近づかず、腹の探り合いでもあるような雰囲気もあり、気がつけば狂気の沙汰である。
餌に操られる鳩たち、高層ホテルの廊下を歩く女の子のロングショット、マンションの一室に充満してから終わっていく思春期、自販機前の二人を狙う望遠、などなど魅惑の時間。
ラブホでのカッターのやり取りは、すーっと恐怖の世界に落とされた。
そして帰り道に卵焼きを食べたくなった。

この高円寺の劇場・シアターバッカスは30名ほどしか入れない小さな劇場であるが雰囲気がとても良い。ふと昔、高田馬場にあったACTミニシアターを思い出す。

夕飯は千歳船橋の寿司清。旨い。
つまみの玉子もとても旨い。

2019年02月17日

映画『バイス』(2018/米/アダム・マッケイ監督)@松竹試写室

ポスタービジュアルを一見すると硬派な実録映画に見えるが…。
再現ビデオのように進行し、途中で、あれれ?となる。
しかし、最高峰のキャスト&スタッフによる面白政治映画。
美術は時代時代の背景を作りこみ、俳優陣は迫真の演技をする。
その一方でそれらをまるで茶化すような映像もインサートされる。
飲んだくれでろくでなしの青年が恋人に怒られて改心し、アメリカ政府の権力を握るまでになる、ある種サクセスストーリーでもあるのだが、監督がこの作品に影響を与えた映画は『シド・アンド・ナンシー』とインタビューで答えているのも頷ける。
カメレオン・クリスチャン・ベールはもちろん素晴らしいが、サム・ロックウェルが演じたジョージ・W・ブッシュが軽くていい。

こういう作品が生まれてくるのもUSAの不思議さの一つでもある。



2019年02月13日

映画『バーニング 劇場版』(2018/韓/イ・チャンドン監督)@ TOHOシネマズシャンテ

映画を観る前に有楽町のストーンでコーヒー。
ここはとてもいい。

『バーニング 劇場版』、痺れる刺激。
トランプの声、北朝鮮の放送、中国の存在、大きな触れることのできないシステムの中ではあってもなくてもどうでもよく感じる物はある。
例えば「自分」という個。
物語は曖昧なものばかりである。
猫はいたのかいなかったのか。
あの猫はボイルだったのか。
井戸はあったのかなかったのか。
母親以外の無言電話は誰からなのか。
ビニールハウスは…。

ライトを出来るだけ使わず、逆光を生かした撮影が不穏な空気を醸し出す。主人公がビニールハウスのドアを開ける時、まるで影が彼に近づいていくようで怖い。撮影は『哭声 コクソン』を担当したホン・ギョンピョ。
ただ運転しているシーンだけでも不安が募る。編集の技か。

ギャッツビー・ベンがマイルスを鳴らすのはとてもキザだけどヘミのダンスに魅了されてしまった。

ラストは曖昧さを残したまま唐突ではあるがそれがいい。

2019年01月31日

映画『美人が婚活してみたら』(2018/大九明子監督)@ アスミック・エース試写室

前半はゆるくギャグを交えた時間が続く。芸人さん含め変わったキャラたちもご愛敬。
モテ男・矢田部(田中圭)登場あたりから空気が変わっていき、回想含めた後半の畳みかけがさすが。主人公だけでなく親友・ケイコ(臼田あさ美)の心情もしっかり描かれている。
さてさて人は何のために結婚するのだろうか。

ちなみに撮影の中村夏葉カメラマンは篠田昇氏の弟子。様々なシーンで自然光が当たっているような雰囲気が感じられた。

2018年12月13日

映画『ビール・ストリートの恋人たち』(2018/米/バリー・ジェンキンス監督)@松竹試写室

映画『デトロイト』(キャスリン・ビグロー監督)とはまた視点が違うものの物語の背景には差別社会がある。
冒頭、歩いてくる一組のカップル。二人はお互いを愛しあっているがその瞳には不安の影がある。

以後、二人のシーンはほとんど回想で、見つめ合うだけで、語らうだけで泣けてくる演出。じわあっとカメラが動けば、じわあっと感情が動く。
レコードは回り、雨音は続き、ベッドは軋む。実際には軋んではいないが尾崎豊「I LOVE YOU」の世界も重なる。

無実の罪で収監されたヒロインの家族のチームワークが温かい。家族が住む古い家は特別広くはないが品が良い。父親と話すテーブルも洒落ていた。
美術はジム・ジャームッシュ監督の『コーヒー&シガレッツ』『パターソン』なども手掛けたマーク・フリードバーグ。さすが、芝居場のムードを上げている。

ネチネチしたいやーな感じの巡査を演じたエド・スクライン、被害女性をかくまう男を演じたペドロ・パスカルなど少ないシーンでも印象付ける。

デートムービーではある。デート後の食事は少し言葉少なになってしまうかもしれない。ただ、どんな状況でもお互いを信じ続ける或るカップルのことを忘れることはないだろう。


2018年12月10日

映画『プレイルーム』(2018)@シネマート新宿

女優であり現役ストリッパーの若林美保を主演に、ナリオ、中村真夕、松蔭浩之、佐々木誠、福島拓哉ら日本映画界の異端5人が、それぞれ監督を務めるオムニバス映画。

『などわ』(監督:ナリオ)
ナリオ監督ならではのハートウォーミングな作品。描かれるカップルがとても微笑ましい。優しさと優しさがカッコ良く響き合っていた。

『 L I O N 』(監督:松蔭浩之)
エロスを感じるSF。声の仕事をしていないらしいが、ナレーション・SALAの声がナチュラルハスキーで素敵だった。

『クローンハート』(監督:中村真夕)
監督の実体験が基になっているらしいがそれこそ不気味で怖い。登場人物3名が不思議オーラを放っていて結末で背筋がゾゾゾとする。不気味だ。

『熱海の路地の子』(監督:佐々木誠)
ここ数年、観光客が戻って来たという熱海が舞台。しかし、家族で楽しみ観光地ではない「路地」が主役でもある。誰がどこに向かうのかわからない路地、階段、長年の潮風による錆…。野良猫のような女に化かされそうな、なんとも魅惑的な映画。

『Floating』(監督:福島拓哉)
10年前に娘を亡くした夫婦の物語。二人の間には何かしら分かり合えているものがあるに違いない。それがただただ哀しい。静かな時の流れを感じる映像だ。


新宿に似合う映画だった。


写真は5年前に撮った熱海。

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