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2021年12月14日

平均だけで無く「管理職の日韓給与比較」



「管理職の日韓給与比較」

どの職種も大きく水を開けられ 大敗北と云う現実




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文章 人事ジャーナリスト  溝上 憲文 12-14-2


「例えば、ITサービス(営業職)の場合、韓国(セールスディレクター)は 970万〜1,746万円、日本(部長級)800万〜1200万円。業界・職種を問わず、韓国に見劣りする額に為って居る」 と云う・・・


■平均賃金 「日本424万<韓国462万」 は非正規社員含む調査

日本は給与が上がら無い状態が長く続いて居る。実質賃金は1997年をピークに長期低落傾向に在り、個別賃金指数は97年を100とした時、2020年は95に留まって居る。最も下がって居るのは中小企業(従業員10〜99人)の社員だ。大企業(1000人以上)社員の月給(所定内賃金)が97年に比べて2020年はマイナス87,00円なのに対し、中小企業の社員は2万1,300円も落ち込んでいる。  

 岸田文雄首相は12月6日の所信表明演説で賃上げした企業に優遇税制を引き上げる方針を表明。具体的には賃上げした大企業に法人税額の控除率を30%、中小企業は40%に引き上げる予定だ。しかし、日本企業の約6割が赤字で法人税を支払って居らず、控除の実効性を疑問視する声も在る。  

 20年以上も賃金が上がら無い状態の日本に、今年、追い打ちを掛ける様に飛び込んで来たのが、OECD(経済協力開発機構)が発表した各国の平均賃金の調査だった。それに依ると日本の年間の平均賃金は424万円(1ドル110円で換算) 35カ国中22位で在るが、何より注目されたのはお隣の韓国が462万円と日本を上回って居た事だ。しかも2015年を境に5年連続で追い抜かれて居た。  

 GDPで中国に抜かれたとは云え、未だに世界第3位の経済規模を誇る日本だが、平均年収ではOECD諸国の平均を下回り、2000年初頭迄は100万円以上も引き離して居た韓国に、逆に38万円もリードされて居る。  
 本当にそうなのか・・・実はOECDの平均賃金は物価水準を考慮した「購買力平価」をベースにして居る。これは同じ品質・量の商品がアメリカで1ドル・日本で150円だったら、実際の為替レートでは無く、1ドル150円のレートで換算して計算する。  

 代表的なものがその国でビッグマックが幾らで買えるかと云う〔ビッグマック指数〕だ。詰まりより生活実感に近い実質賃金と云う事に為る。因みに2021年のビッグマックの価格は韓国4ドルに対し日本は3.55ドル。価格の違いが反映されて韓国の実質賃金が高く為る傾向が在る。

 一方、名目賃金だけの平均賃金を比較すると日本と韓国はそれ程変わら無い。又、平均賃金と云っても非正規社員を含む労働者の平均で在り、正社員との格差が大きい非正規社員が4割近くを占める為、日本の平均賃金を低く抑えて居ると云う説明も為される。

■日本と韓国の正社員の給与を比べてみると・・・ 残酷な事実

 では実際に日本と韓国の正社員の給与はドレだけ違うのか。人材紹介業のロバート・ウォルターズ・ジャパンの「給与調査2021」と、ジェイエイシーリクルートメントの「ザ・サラリーアナリシス イン アジア2021」を使って調べてみた。  
 何れも各国の職種別・職位毎の転職時の年収で在る。ロバート・ウォルターズ・ジャパンの給与調査に依る日本と韓国の年収を比較すると、職種・職位別年収は韓国に比べて日本が2割程度高かった。  

 例えば韓国の経理部門の税務担当者485万〜679万円の幅で在るが、日本の税務会計担当者は700万〜1100万円だった(1000ウオンを97円に換算)  但し、日本企業の経理部門の担当者でコンナに貰って居る人は少無いだろう。この数字は日本企業の社員より1〜2割程度高い外資系企業も含まれて居る為かも知れない。
 そこで各国毎に外資系と日系企業とに分けて調査して居るジェイエイ シーリクルートメントの日本国内の日系企業と同一職種・職位と、韓国の調査(ロバート・ウォルターズ・ジャパン)を比較してみた(1000ウオンを97円に換算)

■<経理部門>

韓国  財務・一般会計担当者 437万〜534万円  会計マネージャー 679万〜776万円  ファイナンスマネージャー 679万〜873万円  財務部長 873万〜1164万円  チーフファイナンシャルオフィサー 1552万〜2134万円  
日本  非管理職級 400万〜800万円  課長級 600万〜1100万円  部長級 800万〜1500万円  役員級 1000万〜4000万円

■<人事部門>

韓国  採用担当者 388万〜582万円  HRD・トレーナー 679万〜970万円  HRマネージャー 582万〜776万円  HRディレクター 1164万〜1746万円  
日本  採用担当 400万〜800万円  教育研修・組織開発 450万〜800万円  課長級 600万〜1000万円 部 長級 700万〜1300万円

■<消費財>

韓国  セールスマネージャー 679万〜873万円  セールスディレクター 1067万〜1455万円  
日本  営業職課長級 500万〜800万円  営業職部長級 700万〜1200万円

■<製薬・ヘルスケア>

韓国  営業担当者 582万〜873万円  セールスディレクター 776万〜1358万円  
日本  医薬情報担当者 500万〜900万円  医療機器営業 500万〜800万円  部長級 800万〜1200万円

■<ITサービス>

韓国  営業職  セールスアソシエイト 485万〜776万円  セールスマネージャー 776万〜1261万円  セールスディレクター 970万〜1746万円  
日本  営業職  非管理職級 500万〜900万円  課長級 600万〜1000万円  部長級 800万〜1200万円

■日本企業の部長は韓国のディレクターに比べ年収で明らかに見劣り


 韓国と日本の類似の職種・職位の年収を比較すると、それ程大きな差が開いて居ない事が判る。非管理職の担当者レベルでは日本がヤヤ高いが、管理職クラスに為ると、業界・職種に限らず韓国の方が高い事が判る。特に部長・ディレクタークラスでは、下限年収も含めて韓国が上回って居る。
 例えばITサービスの営業職では、非管理職の年収は日本と同程度で在るが、管理職以上では下限・上限年収共に日本を上回って居る。それだけ韓国では非管理職と管理職の給与格差が大きい事を示して居るが、逆に言えば日本企業の部長は韓国のディレクターに比べて年収では見劣りすると云う事だ。  

 前出のOECDの平均賃金比較には非正規を含めた全体の比較で在るが、正社員のホワイトカラー職種の比較でも韓国が日本に肉薄し、職種・職位に依っては上回って居る事が判る。  しかもアメリカを初めとするG7と韓国は2000年以降、徐々に賃金が上昇にして居るのに対し、日本の賃金は停滞状態が続いて居る。
 このママだと正社員の給与でも韓国に水を開けられる事は間違い無いだろう。  それだけでは無い。図表1(ジェイエイシーリクルートメント調査)はアジア各国の2013年以降の中途採用時給与の上昇率を示したものだ。  

 コロナ禍で2020年は各国とも上昇率は落ち込んで居るが、2013年以降、各国とも高い水準で上昇して居る。インド・ベトナム・中国は8〜10%(2020年除く) 日本は2013年以降、1〜2%程度の上昇率で在るのに対して、韓国は4〜5%の上昇率だ。  
 既にシンガポールの給与水準は日本を上回って居る。日本の凋落や韓国にも追い抜かれつつある状況は、或る意味で日本人が見たく無い真実かも知れ無い。しかし諸外国に比べて低い日本の労働分配率(50.1%=2019年、OECD調査)を受け入れて居るのも日本人である。

 日本の給与上昇率の低迷状態がこのママ続くと、日本企業で働く事の優位性が無く為り、何れ日本人もアジアに出稼ぎに行く日が近いかも知れない。



溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ) 人事ジャーナリスト 12-14-3 1958年、鹿児島県生まれ 明治大学卒 月刊誌・週刊誌記者等を経て独立 経営・人事・雇用・賃金・年金問題を中心テーマとして活躍 著書に『人事部はここを見ている!』など



【管理人のひとこと】

 当コラムで、続いて日本と韓国との賃金の差を取り上げて居る格好だが、特別に韓国との差を誇張したいのでは無く、世界の先進国と比較しても何故か「ピン」と来なく実感も湧かず、お隣の韓国と比較する事で「生々しい実感」を得られると考えるからだ。
 私達国民は、日々の生活の苦しさを自覚せず徒に自公政権に縋って生きて来た嫌いがある。毎日のニュースが〔森友・加計・桜・・・〕の在っては為ら無いバカバカしい話に全ての精力が囚われ、肝心な日本経済への注力を怠った結果だ。

 20年来のデフレに3度も消費税を上げ賃金を減らし続ける・・・全くの能無し政治のお陰で私達国民はジリ貧の生活を続けて居る。これには誰も声を挙げずには居られまい。
 そして大阪の有権者は、政党・日本維新の会を躍進させたと小躍りして居る 「ゆ」党と揶揄されるお調子者の政党をこのママにして好いのだろうか・・・この政党の伸長は日本をこのママ最貧国へと陥れる危険が大きい・・・そんな予感がして為ら無い。維新の会の国会の質問を聞きながら不安で仕方が無い。大阪にも正常な感覚の人が少しは存在する筈だ。その人達の踏ん張りを期待したいものだ。



















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