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2021年12月04日

創世記 イサクとリベカの結婚 24-12

創世記 天地の創造
1
1 初めに、神は天地を創造された。 2 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、?~の靈が水の面を動いていた。 3 ?~は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。 4 ?~は光を見て、良しとされた。?~は光と闇を分け、 5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。6 ?~は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 7 ?~は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 8 ?~は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。 9 ?~は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。 10 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 11 神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。 12 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。?~はこれを見て、良しとされた。 13 夕べがあり、朝があった。第三の日である。 14 神は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 15 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。 16 ?~は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 17 ?~はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 18 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。?~はこれを見て、良しとされた。 19 夕べがあり、朝があった。第四の日である。 20 ?~は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」 21 ?~は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。?~はこれを見て、良しとされた。 22 ?~はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」 23 夕べがあり、朝があった。第五の日である。 24 ?~は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。 25 ?~はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。?~はこれを見て、良しとされた。 26 ?~は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」 27 ?~は御自分にかたどって人を創造された。?~にかたどって創造された。男と女に創造された。28 ?~は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」 29 ?~は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。 30 地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草をたべさせよう。」そのようになった。 31 ?~はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

2
1 天地万物は完成された。 2 第七の日に、?~は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。 3 この日に?~はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を?~は祝福し、聖別された。 4 これが天地創造の由来である。主なる?~が地と天を造られたとき、 5 地上には野の木も、野の草も生えていなかった。主なる?~が地上に雨をお送りにならなかったからである。また土を耕す人もいなかった。 6 しかし、水が地下から湧き出て、土の面をすべて潤した。 7 主なる?~は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。 8 主なる?~は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。 9 主なる?~は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。 10 エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。 11 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。 12 その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。 13 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。 14 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川の名はユーフラテスであった。 15 主なる?~は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。 16 主なる?~は人に命じて言われた。「園のすべての木から取って食べなさい。 17 ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」 18 主なる?~は言われた。「人が一人でいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」 19 主なる?~は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。 20 人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。 21 主なる?~はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。 22 そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。主なる?~が彼女を人のところへ連れて来られると、 23 人は言った。「ついに、これこそわたしの骨の骨わたしの肉の肉。これこそ、女(イシャー)と呼ぼう まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」 24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。 25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。

創世記 蛇の誘惑
3
1 主なる?~が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」 2 女は蛇に答えた。「わたしたちは園の木の果実を食べてよいのです。 3 でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない。触れてもいけない、死んではいけないから、と?~様はおっしゃいました。」 4 蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。 5 それを食べると、目が開け、?~のように善悪を知るものとなることを?~はご存じなのだ。」 6 女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。 7 二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。 8 その日、風の吹くころ、主なる?~が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる?~の顔を避けて、園の木の間に隠れると、 9 主なる?~はアダムを呼ばれた。「どこにいるのか」 10 彼は答えた。「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」 11 ?~は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」 12 アダムは答えた。「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」 13 主なる?~は女に向かって言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 14 主なる?~は、蛇に向かって言われた。「このようなことをしたお前はあらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。 15 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。」 16 ?~は女に向かって言われた。「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 17 ?~はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。 18 お前に対して 土は茨とあざみを生えいでさせる 野の草を食べようとするお前に。 19 お前は顔に汗を流してパンを得る 土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」 20 アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。 21 主なる?~は、アダムと女に皮の衣を作って着せられた。 22 主なる?~は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 23 主なる?~は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。 24 こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。

創世記 カインとアペル
4
1 さて、アダムは妻エバを知った。彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。 2 彼女はまたその弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 3 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。 4 アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、 5 カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。 6 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。 7 もしお前が正しいなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」 8 カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。 9 主はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか。」カインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」 10 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。 11 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。 12 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」 13 カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。 14 今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」 15 主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。 16 カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。 17 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。 18 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。
19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラと言った。 20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。 21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。 22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。トバル・カインの妹はナアマといった。 23 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。わたしは傷の報いに男を殺し 打ち傷の報いに若者を殺す。 24 カインのための復讐が七倍なら レメクのためには七十七倍。」 25 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。カインがアベルを殺したので、?~が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。 26 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。

創世記 アダムの系図
5
1 これはアダムの系図の書である。?~は人を創造された日、?~に似せてこれを造られ、 2 男と女に創造された。創造の日に、彼らを祝福されて、人と名付けられた。 3 アダムは百三十歳になったとき、自分に似た、自分にかたどった男の子をもうけた。アダムはその子をセトと名付けた。 4 アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 5 アダムは九百三十年生き、そして死んだ。 6 セトは百五歳になったとき、エノシュをもうけた。 7 セトはエノシュが生まれた後八百七年生きて、息子や娘をもうけた。 8 セトは九百十二年生き、そして死んだ。 9 エノシュは九十歳になったとき、ケナンをもうけた。 10 エノシュは、ケナンが生まれた後八百十五年生きて、息子や娘をもうけた。 11 エノシュは九百五年生き、そして死んだ。 12 ケナンは七十歳になったとき、マハラルエルをもうけた。 13 ケナンはマハラルエルが生まれた後八百四十年生きて、息子や娘をもうけた。 14 ケナンは九百十年生き、そして死んだ。 15 マハラルエルは六十五歳になったとき、イエレドをもうけた。 16 マハラルエルは、イエレドが生まれた後八百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 17 マハラルエルは八百九十五年生き、そして死んだ。 18 イエレドは百六十二歳になったとき、エノクをもうけた。 19 イエレドは、エノクが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 20 イエレドは九百六十二年生き、そして死んだ。 21 エノクは六十五歳になったとき、メトシェラもうけた。 22 エノクは、メトシェラが生まれた後、三百年?~と共に歩み、息子や娘をもうけた。 23 エノクは三百六十五年生きた。 24 エノクは?~と共に歩み、?~が取られたのでいなくなった。 25 メトシェラは百八十七歳になったとき、レメクをもうけた。 26 メトシェラは、レメクが生まれた後七百八十二年生きて、息子や娘をもうけた。 27 メトシェラは九百六十九年生き、そして死んだ。 28 レメクは百八十二歳になったとき、男の子をもうけた。 29 彼は、「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めてくれるだろう」と言って、その子をノア(慰め)と名付けた。 30 レメクは、ノアが生まれた後五百九十五年生きて、息子や娘をもうけた。 31 レメクは七百七十七年生き、そして死んだ。 32 ノアは五百歳になったとき、セム ハム ヤフェトをもうけた。

創世記 洪水
6
1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。 2 ?~の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。 3 主は言われた。 「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。 4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、?~の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。 5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、 6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。 7 主は言われた。 「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」 8 しかし、ノアは主の好意を得た。 9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは?~に従う無垢な人であった。ノアは?~と共に歩んだ。 10 ノアには三人の息子、セム ハム ヤフェトが生まれた。 11 この地は?~の前に堕落し、不法に満ちていた。 12 ?~は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。 13 ?~はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。 14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。 15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、 16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。 17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。 18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。 19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。 20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。 21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食料としなさい。」 22 ノアは、すべて?~が命じられたとおりに果たした。

7
1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。 2 あなたは清い動物をすべて七つがい取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい 3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。 4 七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」 5 ノアはすべて主が命じられたとおりにした。 6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。 7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。 8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、 9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは?~がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。 10 七日が過ぎて、洪水が地上起こった。 11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。 12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、 13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。 14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、 15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。 16 ?~が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。 17 洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。 18 水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。 19 水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。 20 水は勢い増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った。 21 地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。 22 乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。 23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 24 水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった。

8
1 神は、ノアと彼と共に箱舟にいたすべての獣とすべての家畜を御心に留め、地の上に風を吹かせられたので、水が減り始めた。 2 また、深淵の源と天の窓が閉じられたので、天からの雨は降りやみ、 3 水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って、 4 第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。 5 水はますます減って第十の月になり、第十の月の一日には山々の頂が現れた。 6 四十日たって、ノアは自分が造った箱舟の窓を開き、烏を放した。烏は飛び立ったが、地上の水が乾くのを待って、出たり入ったりした。 8 ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。 9 しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。 10 更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。 11 鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。 12 彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。 13 ノアが六百一歳のとき、最初の月の一日に、地上の水は乾いた。ノアは箱舟の覆いを取り外して眺めた。見よ、地の面は乾いていた。 14 第二の月の二十七日になると、地はすっかり乾いた。 15 神はノアに仰せになった。 「さあ、あなたもあなたの妻も、息子も嫁も、皆一緒に箱舟から出なさい。 17 すべて肉なるもののうちからあなたのもとに来たすべての動物、鳥も家畜も地を這うものも一緒に連れ出し、地に群がり、地上で子を産み、増えるようにしなさい。」 18 そこで、ノアは息子や妻や嫁と共に外へ出た。 19 獣、這うもの、鳥、地に群がるもの、それぞれすべて箱舟から出た。 20 ノアは主のために祭壇を築いた。そしてすべての清い家畜と清い鳥のうちから取り、焼き尽くす捧げ物として祭壇の上にささげた。 21 主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。 22 地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも 寒さも暑さも、夏も冬も 昼も夜も、やむことはない。」

創世記 祝福と契約
9
1 ?~はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちよ。 2 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。 3 動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。 4 ただし、肉は命である血を含んだまま食べてはならない。 5 また、あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。いかなる獣からも要求する。人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。 6 人の血を流す者は 人によって自分の血を流される。人は?~にかたどって造られたからだ。 7 あなたたちは産めよ、増えよ 地に群がり、地に増えよ。」 8 ?~はノアと彼の息子たちに言われた。 9 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。 10 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。 11 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものが滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」 12 更に?~は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々(よよ)とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。 13 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。 14 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、 15 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。 16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心をと留める。」 17 ?~はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間にたてた契約のしるしである。」

創世記 ノアと息子たち
18 箱舟から出たノアの息子は、セム、ハム、ヤフェトであった。ハムはカナンの父である。 19 この三人がノアの息子で、全世界の人々は彼らから出て広がったのである。 20 さて、ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。 21 あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 22 カナンの父ハムは、自分の父の裸を見て、外にいた二人の兄弟に告げた。 23 セムとヤフェトは着物を取って自分たちの肩に掛け、後ろ向きに歩いて行き、父の裸を覆った。二人は顔を背けたままで、父の裸を見なかった。 24 ノアは酔いからさめると、末の息子がしたことを知り、 25 こう言った。「カナンは呪われよ 奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」 26 また言った。「セムの神、主をたたえよ。 カナンはセムの奴隷となれ。
27 神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト) セムの天幕に住まわせ カナンはその奴隷となれ。」 28 ノアは、洪水の後三百五十年生きた。 29 ノアは九百五十歳になって、死んだ。

創世記 ノアの子孫
10
1 ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。 2 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。 3 ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。 4 ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。 5 海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。 6 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。 7 クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。 8 クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。 9 彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムドロのようだ」という言い方がある。 10 彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。 11 彼はその地方からアッシリに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、 12 レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。 13 エジプトにはリディア人、アルミナ人、レハビム人、ナフトヒム人、 14 上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
15 カナンには長男シドンとヘト、 16 また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、 17 ヒビ人、アルキ人、シニ人、 18 アルワド人、フェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。 19 カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。 20 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。 21 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。 22 セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。 23 アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。 24 アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。 25 エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。 26 ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、 27 ハドラム、ウザル、ディクラ、 28   オバル、アビマエル、シェバ、 29 オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。 30 彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。 31 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。 32 ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。

創世記 バベルの塔
11
1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。 2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。 3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。 4 彼らは、「さあ 天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。 5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、 6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」 8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。 9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

創世記 セムの系図
10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルバクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。 11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。 12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。 13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。 15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 16 エベルが三十四歳になったとき、ぺレグが生まれた。 17 エベルは、ぺレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 18 ぺレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。 19 ぺレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。 20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。 21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。 22 セルグ三十歳なったとき、ナホルが生まれた。 23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。 24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。 25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。 26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。

創世記 テラの系図
27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。 28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。 29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。 30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。 31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向った。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。 32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。

創世記 アブラムの召命と移住
12
1 主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい 2 わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し あなたに名を高める 祝福の源となるように 3 あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。 地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」 4 アブラムは 主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 5 アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方入った。 6 アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。 7 主はアブラムに現れて、言われた。「あなたの子孫のこの地を与える」アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 8 アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。 9 アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方に移った。

創世記 エジプト滞在
10 その地方に飢饉があった。 アブラムは、その地方の飢饉がひどかったので、エジプトに下り、そこに滞在することにした。 11 エジプトに入ろうしたとき、妻サライに言った。 「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。  12 エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 13 どうか、わたしの妹だ、と言ってください。 そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」 14 アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。  15 ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた 16 アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。 17 ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。 18 ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。 「あなたはわたしに何ということをしたのか。 なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 19 なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。 だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。 さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。 20 ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。

創世記 ロトとの別れ
13
1 アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。ロトも一緒であった。 2 アブラムは非常に多くの家畜や金銀を持っていた。 3 ネゲブ地方から更に、ベテルに向って旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。 4 そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。 5 アブラムと共に旅をしていたロトもまた、羊や牛の群れを飼い、たくさんの天幕を持っていた。 6 その土地は、彼らが一緒に住むには十分ではなかった。 彼らの財産が多すぎたから、一緒に住むことができなかったのである。 7 アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼うものたちとの間に争いが起きた。 そのころ、その地方にはカナン人もペリジ人も住んでいた。 8 アブラムはロトに言った。 「わたしたちは親類どうしだ。わたしとあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。 9 あなたの前には幾らでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。 あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。 あなたが右に行くなら、わたしは左に行こう。」 10 ロトが目を上げて眺めると、ヨルダン川流域の低地一帯は、 主がソドムとゴモラを滅ぼす前であったので、ツォアルに至るまで、主の園のように、エジプトの国のように、見渡すかぎりよく潤っていた。 11 ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。こうして彼らは、左右に別れた。 12 アブラムはカナン地方に住み、ロトは低地の町々に住んだが、彼はソドムまで天幕を移した。 13 ソドムの住民は邪悪で、主に対して多くの罪を犯していた。 14 主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。 15 見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。 16 あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。 17 さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」 18 アブラムは天幕を移し、ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。

創世記 王との戦い
14
1 シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、 2 ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツオワルの王と戦ったとき、 3 これら五人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。 4 彼らは十二年間ケドルラオメルに支配されていたが、十三年目に背いたのである。 5 十四年目に、ケドルラオメルとその味方の王たちが来て、アシュテロト・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミル人を、 6 セイルの山地でフリ人人を撃ち、荒れ野に近いエル・バランまで進んだ。 7 彼らは転進して、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに向かい、アマレク人の全領土とハツェツオン・タマルに住むアモリ人を撃った。 8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。 9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアル、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨクの四人の王に対して、これら五人の王が戦いを挑んだのである。 10 シディムの谷には至るところに天然アスファルトの穴があった。ソドムとゴモラの王は逃げるとき、その穴に落ちた。残りの王は山へ逃れた。 11 ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、 12 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。 

創世記 ロトの救出
13 逃げ延びた一人の男がヘブライ人アブラムのもとに来て、そのことを知らせた。アブラムは当時、アモリ人マムレ樫の木の傍らに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと同盟を結んでいた。 14 アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。 15 夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、ダマスコの北のホバまで追跡した。 16 アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。

創世記 メルキゼデグの祝福
17 アブラムがケドルラオメルとその味方の王たちを撃ち破って帰って来たとき、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷まで彼を出迎えた。 18 いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクも、パンとぶどう酒を持って来た。 19 彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神に アブラムは祝福されますように。 20 敵をあなたの手に渡された いと高き神がたたえられますように。」 アブラムはすべての物の十分の一を彼に贈った。 21 ソドムの王はアブラムに、「人はわたしにお返しください。 しかし、財産はお取りください」と言ったが、 22 アブラムはソドムの王に言った。 「わたしは天地の造り主、いと高き?~、主に手を上げて誓います。 23 あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。 『アブラムを裕福にしたのは、このわたしだ』と、あなたに言われたくありません。 24 わたしは何も要りません。 ただ、若い者たちが食べたものと、わたしと共に戦った人々、すなわち、アネルとエシュコルとマムレの分は別です。 彼らには分け前を取らせてください。 

創世記 神の約束
15
1 これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。 「恐れるな、アブラムよ。 わたしはあなたの盾である。 あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。 2 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。わたしに何をくださるというのですか。わたしには子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。 3 アブラムは言葉をついだ。「御覧のとおり、あなたはわたしに子孫を与えてくださいませんでしたから、家の僕が跡を継ぐことになっています。」 4 見よ、主の言葉があった。「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ。」 5 主は彼を外に連れ出して言われた。「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」 そして言われた。 「あなたの子孫はこのようになる。」 6 アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。 7 主は言われた。 「わたしはあなたをカルデアのウルから導き出した主である。わたしはあなたにこの土地を与え、それを継がせる。」 8 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。この土地をわたしが継ぐことを、何によって知ることができましょうか。」 9 主は言われた。 「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とをわたしのもとに持ってきなさい。」 10 アブラムはそれらのものをみな持って来て、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置いた。 ただ、鳥は切り裂かなかった。 11 はげ鷹がこれらの死体をねらって降りて来ると、アブラムは追い払った。 12 日が沈みかけたころ、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。 13 主はアブラムに言われた。 「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。 14 しかしわたしは、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。
その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。 15 あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く。 16 ここに戻ってくるのは、四代目の者たちである。それまではアモリ人の罪が極みに達しないからである。 17 日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた。 18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。 「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、 19 カイン人、ケナズ人、カドモニ人、 20 ヘト人、ペリジ人、レファイム人、 21 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

創世記 ハガルの逃亡と出産
16
1 アブラムの妻サライには、子供が生まれなかった。彼女には、ハガルというエジプト人の女奴隷がいた。 2 サライはアブラムに言った。 「主はわたしに子供を授けてくださいません。どうぞ、わたしの奴隷のところへ入ってください。わたしは彼女によって、子供を与えられるかもしれません。」 アブラムは、サライの願いを聞き入れた。 3 アブラムの妻サライは、エジプト人の女奴隷ハガルを連れて来て、夫アブラムの側女とした。アブラムがカナン地方に住んでから、十年後のことであった。 4 アブラムはハガルのところに入り、彼女は身ごもった。ところが、自分が身ごもったのを知ると、彼女は女主人を軽んじた。 5 サライはアブラムに言った。 「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれますように。 6 アブラムはサライに答えた。
「あなたの女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがいい。」サライは彼女につらく当たったので、彼女はサライのもとから逃げた。 7 主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、 8 言った。 「サライの女奴隷ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」「女主人サライのもとから逃げているところです」と答えると、 9 主の御使いは言った。 「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」 10 主の御使いは更に言った。 「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」 11 主の御使いはまた言った。 「今、あなたは身ごもっている。やがてあなたは男の子を産む。その子をイシュマエルと名付けなさい。主があなたの悩みをお聞きになられたから。 12 彼は野生のろばのような人になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので、人々は皆、こぶしを振るう。彼は兄弟すべてに敵対して暮らす。」 13 ハガルは自分に語りかけた主の御名を呼んで、 「あなたこそエル・ロイ(わたしを顧みられる?~)です」と言った。それは、彼女が、「神がわたしを顧みられた後もなお、わたしはここで見続けていたではないか」と言ったからである。 14 そこで、その井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカディシュとベレドの間にある。 15 ハガルはアブラムとの間に男の子を産んだ。アブラムは、ハガルが産んだ男の子をイシュマエルと名付けた。 16 ハガルがイシュマエルを生んだとき、アブラムは八十六歳であった。


創世記 契約と割礼
17
1 アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。 2 わたしは、あなたとの間にわたしの契約を立て、あなたをますます増やすであろう。」 3 アブラムはひれ伏した。神は更に、語りかけて言われた。 4 「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。 5 あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。 6 わたしは、あなたをますます?栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。 7 わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。 8 わたしは、あなたが滞在しているこのカナンのすべての土地を、あなたとその子孫に、永久の所有地として与える。わたしは彼らの神となる。」 9 神はまた、アブラムに言われた。「だからあなたも、わたしの契約を守りなさい、あなたも後に続く子孫も。 10 あなたたち、およびあなたの後に続く子孫と、わたしとの間で守るべき契約はこれである。すなわち、あなたたちの男子はすべて、割礼を受ける。 11 包皮の部分を切り取りなさい。これが、わたしとあなたたちとの間の契約のしるしとなる。 12 いつの時代でも、あなたたちの男子はすべて、直系の子孫はもちろんのこと、家で生まれた奴隷も、外国人から買い取った奴隷であなたの子孫でない者も皆、生れてから八日目に割礼を受けなければならない。 13 あなたのお家で生まれた奴隷も、買い取った奴隷も、必ず割礼を受けなければならない。それによって、わたしの契約はあなたの体に記されて永遠の契約となる。 14 包皮の部分を切り取らない無割礼の男がいたなら、その人は民の間から断たれる。わたしの契約を破ったからである。」 15 神はアブラムに言われた。「あなたの妻サライは、名前をサライではなく、サラと呼びなさい。 16 わたしは彼女を祝福し、彼女によってあなたに男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福し、諸国民の母とする。諸民族の王となる者たちが彼女から出る。」 17 アブラハムひれ伏した。しかし笑って、ひそかに言った。「百歳の男に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラに子供が産めるだろうか。」 18 アブラハムは神に言った。「どうか、イシュマエルが御前に生き永らえますように。」 19 神は言われた。「いや、あなたの妻サラがあなたとの間に男の子を産む。その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい。わたしは彼と契約を立て、彼の子孫のために永遠の契約とする。 20 イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。 21 しかし、わたしの契約は、来年の今ごろ、サラがあなたとの間に産むイサクと立てる。」 22 神はこう語り終えると、アブラハムを離れて昇って行かれた。 23 アブラハムは、息子のイシュマエルをはじめ、家で生まれた奴隷や買い取った奴隷など、自分の家にいる人々のうち、男子を皆集めて、すぐその日に、神が命じられたとおり包皮に割礼を施した。 24 アブラハムが包皮に割礼を受けたのは、九十九歳、 25 息子イシュマエルが包皮に割礼を受けたのは、十三歳であった。 26 アブラハムと息子のイシュマエルは、すぐその日に割礼を受けた。 27 アブラハムの家の男子は、家で生まれた奴隷も外国人から買い取った奴隷も皆、共に割礼を受けた。

創世記 イサクの誕生の予告
18
1 主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。 2 目を上げて見ると、三人の人が彼に向って立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、 3 言った。「お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。 4 水を少々持ってこさせますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。 5 何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。」その人たちは言った。「では、お言葉どおりにしましょう。」 6 アブラハムは急いで天幕に戻り、サラのところに来て言った。「早く、上等の小麦粉を三セアほどこねて、パン菓子をこしらえなさい。」 7 アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔らかくておいしそうな子牛を選び、召し使いに渡し、急いで料理をさせた。 8 アブラハムは、凝乳、乳、出来立ての子牛の料理などを選び、彼らの前に並べた。そして、彼らが木陰で食事をしている間、そばに立って給仕をした。 9 彼らはアブラハムに尋ねた。「あなたの妻のサラはどこにいますか。」「はい、天幕の中におります」とアブラハムが答えると、 10 彼らの一人が言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。」サラは、すぐ後ろの天幕の入り口で聞いていた。 11 アブラハムもサラも多くの日を重ねて老人になっており、しかもサラは月のものがとうになくっていた。 12 サラはひそかに笑った。自分は年をとり、もはや楽しみがあるはずもなし、主人も年老いているのに、と思ったのである。13 主はアブラハムに言われた。「なぜサラは笑ったのか。なぜ年をとった自分に子供が生まれるはずがないと思ったのだ。 14 主に不可能なことがあろうか。来年の今ごろ、わたしはここに戻ってくる。そのころ、サラには必ず男の子が生まれている。」 15 サラは恐ろしくなり、打ち消して言った。「わたしは笑いませんでした。」主は言われた。「いや、あなたは確かに笑った。」

創世記 ソドムのための執り成し
16 その人たちはそこを立って、ソドムを見下ろす所まで来た。アブラハムも、彼らを見送るために一緒に行った。 17 主は言われた。「わたしが行おうとしていることをアブラハムに隠す必要があろうか。 18 アブラハムは大きな強い国民になり、世界のすべての国民は彼によって祝福に入る。 19 わたしがアブラハムを選んだのは、彼が息子たちとその子孫に、主の道を守り、主に従って正義を行うよう命じて、主がアブラハムに約束したことを成就するためである。 20 主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。 21 わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」 22 その人たちは、更にソドムの方に向かったが、アブラハムはなお、主の御前にいた。 23 アブラハムは進み出て言った。「もことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 24 あの町に正しい者が五十人いるとしても、それでも滅ぼし、その五十人の正しい者のために、町をお赦しにはならないのですか。 25 正しい者を悪い者と一緒に殺し、正しい者を悪い者と同じ目に遭わせるようなことを、あなたがなさるはずはございません。全くありえないことです。全世界を裁くお方は、正義を行われるべきではありませんか。」 26 主は言われた。「もしソドムの町に正しい者が五十人いるならば、その者たちのために、町を全部赦そう。」 27 アブラハムは答えた。「塵にすぎないわたしですが、あえて、わが主に申し上げます。 28 もしかすると、五十人の正しい者に五人足りないかもしれません。それでもあなたは、五人たりないために、町のすべてを滅ぼされますか。」主は言われた。「もし、四十五人いれば滅ぼさない。」 29 アブラハムは重ねて言った。「もしかすると、四十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その四十人のためにわたしはそれをしない」 30 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。もしかすると、そこには三十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「もし三十人いるならわたしはそれはしない。」 31 アブラハムは言った。「あえて、わが主に申し上げます。もしかすると、二十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その二十人のためにわたしは滅ぼさない。」 32 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう一度だけ言わせてください。もしかすると、十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その十人のためにわたしは滅ぼさない。」 33 主はアブラハムと語り終えると、去って行かれた。アブラハムも自分の住まいに帰った。

創世記 ソドムの滅亡
19
1 二人の御使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上って迎え、地にひれ伏して、 2 言った。 「皆様方、どうぞ僕(しもべ)の家に立ち寄り、足を洗ってお泊りください。彼らは言った。「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」 3 しかし、ロトがぜひにと勧めたので、彼らはロトの所に立ちよることにし、彼の家を訪ねた。ロトは、酵母を入れないパンを焼いて食事を供し、彼らをもてなした。 4 彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちが、若者も年寄りもこぞって押しかけ、家を取り囲んで、 5 わめきたてた。 「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れてこい。なぶりものにしてやるから。」 6 ロトは、戸口の前にたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて、 7 言った。 「どうか、皆さん、乱暴なことはしないでください。 8 実は、わたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。ただ、あの方々には何もしないでください。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」 9 男たちは口々に言った。 「そこをどけ」 「こいつはよそ者のくせに、指図などして。」 「さあ、彼らより先に、お前を痛い目に遭わせてやる。」 そして、ロトに詰め寄って体を押しつけ、戸を破ろうとした。 10 二人の客はそのとき、手を伸ばして、ロトを家の中に引き入れて戸を閉め、 11 戸口の前に入る男たちに、老若を問わず、目つぶしを食わせ、戸口を分からなくした。 12 二人の客はロトに言った。 「ほかに、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子や娘などを皆連れてここから逃げなさい。 13 実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主にもとに届いたので、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」 14 ロトは嫁いだ娘たちの婿のところへ行き、「さあ早くここから逃げるのだ。主がこの町を滅ぼされるからだ」と促したが、婿たちは冗談だと思った。 15 夜が明けるころ、御使いたちはロトをせきたてて言った。「さあ早く、あなたの妻とここにいる二人の娘を連れて行きなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう。」 16 ロトはためらっていた。主は憐れんで、二人の客にロト、妻、二人の娘の手をとらせて町の外へ避難するようにされた。 17 彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。 「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。」 18 ロトは言った。 「主よ、できません。 19 あなたは僕(しもべ)に目を留め、慈しみを豊かに示し、命を救おうとしています。しかし、わたしは山まで逃げ延びることはできません。恐らく、災害に巻き込まれて、死んでしまうのでしょう。 20 御覧ください、あの町を。あそこなら近いので、逃げて行けると思います。あれは小さな町です。あそこへ逃げさせてください。あれはほんの小さな町です。どうか、そこでわたしの命を救ってください。」 21 主は言われた。 「よろしい。そのこともあなたの願いを聞き届け、あなたの言うその町は滅ぼさないことにしよう。 22 急いで逃げなさい。あなたがあの町に着くまでは、わたしは何も行わないから。」 そこで、その町はツォアル(小さい)と名付けられた。 23 太陽が地上に昇ったとき、ロトはツォアルに着いた。 24 主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、 25 これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。 26 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。 27 アブラハムは、その朝早く起きて、さきに主と対面した場所へ行き、 28 ソドムとゴモラ、および低地一帯を見下ろすと、炉の煙のように地面から煙が立ち上っていた。 29 こうして、ロトの住んでいた低地の町々は滅ぼされたが、神はアブラハムを御心に留め、ロトを破滅のただ中から救い出された。

創世記 ロトの娘たち
30 ロトはツォアルを出て、二人の娘と山の中に住んだ。ツォアルに住むのを恐れたからである。彼は洞穴に二人の娘と住んだ。 31 姉は妹に言った。 「父も年老いてきました。この辺りには、世のしきたりに従って、わたしたちのところへ来てくれる男の人はいません。 32 さあ、父にぶどう酒を飲ませ、床を共にし、父から子種を受けましょう。」 33 娘たちはその夜、父親にぶどう酒を飲ませ、姉がまず、父親のところへ入って寝た。 父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 34 あくる日、姉は妹に言った。 「わたしは夕べ父と寝ました。 今晩も父にぶどう酒を飲ませて、あなたが行って父と床を共にし、父から子種をいただきましょう。」 35 娘たちはその夜もまた、父親にぶどう酒を飲ませ、妹が父親のところへ行って寝た。父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 36 このようにして、ロトの二人の娘は父の子を身ごもり、 37 やがて、姉は男の子を産み、モアブ(父親より)と名付けた。 彼は今日のモアブ人の先祖である。 38 妹もまた男の子を産み、ベン・アミ(わたしの肉親の子)と名付けた。彼は今日のアンモン人の人々の先祖である。

創世記 ゲラル滞在
20
1 アブラハムは、そこからネゲブ地方に移り、カデシュとシュルの間に住んだ。 ゲラルに滞在していたとき、 2 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやってサラを召し入れた。 3 その夜、夢の中でアビメレクに神が現れて言われた。 「あなたは、召し入れた女のゆえに死ぬ。その女は夫のある身だ。」 4 アビメレクは、まだ彼女に近づいていなかったので、「主よ、あなたは正しい者でも殺されるのですか。 5 彼女が妹だと言ったのは彼ではありませんか。 また彼女自身も、『あの人はわたしの兄です』と言いました。 わたしは、全くやましい考えも不正な手段でもなくこの事をしたのです。」と言った。 6 神は夢の中でアビメレクに言われた。 「わたしも、あなたが全くやましい考えでなしにこの事をしたことは知っている。 だからわたしも、あなたがわたしに対して罪を犯すことのないように、彼女に触れさせなかったのだ。 7 直ちに、あの人の妻を返しなさい。 彼は預言者だから、あなたのために祈り、命を救ってくれるだろう。 しかし、もし返さなければ、あなたもあなたの家来も皆、必ず死ぬことを覚悟せねばならない。」 8 つぎの朝早く、アビレメクは家来たちを残らず呼び集め、一切の出来事を語り聞かせたので、一同は非常に恐れた。 9 アビレメクはそれから、アブラハムを呼んで言った。 「あなたは我々に何ということをしたのか。 わたしがあなたにどんな罪を犯したというので、あなたはわたしとわたしの王国に大それた罪を犯させようとしたのか。 あなたは、してはならぬことをわたしにしたのだ。」 10 アビレメクは更に、アブラハムに言った。 「どういうつもりで、こんなことをしたのか。」 11 アブラハムは答えた。 「この土地には、神を畏れることが全くないので、わたしは妻のゆえに殺されると思ったのです。 12 事実、彼女は、わたしの妹でもあるのです。 わたしの父の娘ですが、母の娘ではないのです。 それで、わたしの妻となったのです。 13 かって、神がわたしを父の家から離して、さすらいの旅に出されたとき、わたしは妻に、『わたしに尽くすと思って、どこへ行っても、わたしのことを、この人は兄ですと言ってくれないか』 と頼んだのです。 14 アビメレクは羊、牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して、 15 言った。 「この辺りはすべてわたしの領土です。 好きな所にお住まいください。」 16 また、サラに言った。 「わたしは、銀一千シュケルをあなたの兄上に贈りました。 それは、あなたとの間のすべての出来事の疑惑を晴らす証拠です。 これであなたの名誉は取り戻されるでしょう。」 17 アブラハムが神に祈ると、神はアビメレクとその妻、および侍女たちをいやされたので、再び子供を産むことができるようになった。 18 主がアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの宮廷のすべての女たちの胎を堅く閉ざしておられたからである。

創世記 イサクの誕生 21
1 主は、約束されたとおりサラを顧み、さきに語られたとおりサラのために行われたので、 2 彼女は身ごもり、年老いたアブラハムとの間に男の子を産んだ。 それは、神が約束されていた時期であった。 3 アブラハムは、サラが産んだ自分の子をイサクと名付け、 4 神が命じられたとおり、八日目に、息子イサクに割礼を施した。 5 息子イサクが生まれたとき、アブラハムは百歳であった。 6 サラは言った。 「神はわたしに笑いをお与えになった。 聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう。」 7 サラはまた言った。 「誰がアブラハムに言いえたでしょう サラは子に乳を含ませるだろうと。 しかしわたしは子を産みました 年老いた夫のために。」 8 やがて、子供は育って乳離れした。 アブラハムはイサクの乳離れの日に盛大な祝宴を開いた。 

創世記 ハガルとイシュマエル
9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、 10 アブラハムに訴えた。 「あの女とあの子を追い出してください。 あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」 11 このことはアブラハムを非常に苦しめた。 その子も自分の子であったからである。 12 神はアブラハムに言われた。 「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。 すべてサラが言うことに聞き従いなさい。 あなたの子孫はイサクによって伝えられる。 13 しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。 彼もあなたの子であるからだ。」 14 アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。 ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。 15 革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、 16 「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。 彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。 17 神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。 「ハガルよ、どうしたのか。 恐れることはない。 神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。 18 立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。 わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」 19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。 彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。 20 神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。 21 彼がバランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。

創世記 アビメレクとの契約
22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。 「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。 23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。 わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」 24 アブラハムは答えた。 「よろしい。誓いましょう。」 25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。 26 アビメレクは言った。 「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。 あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」 27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。 28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の子羊を別にしたので、 29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。 「この七匹の雌の子羊を別にしたのは、何のためですか。」 30 アブラハムは答えた。 「わたしの手からこの七匹の雌の子羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」 31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。 二人がそこで誓いを交わしたからである。 32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。 33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。 34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。

創世記 アブラハム、イサクをささげる
22

1 これらのことの後で、神はアブラハムを試された。 神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、 2 神は命じられた。 「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。 わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 3 次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向って行った。 4 三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、 5 アブラハムは若者に言った。 「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。 わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」 6 アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。 二人は一緒に歩いて行った。 7 イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。 彼が、「ここにいる。 わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。 「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする子羊はどこにいるのですか。」 8 アブラハムは答えた。 「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の子羊はきっと神が備えてくださる。」 二人は一緒に歩いて行った。 9 神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。 10 そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。 11 そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。 彼が、「はい」と答えると、 12 御使いは言った。 「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」 13 アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角を取られていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。 14 アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも、「主の山に、備えあり(イエラエ)と言っている。 15 主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。 16 御使いは言った。 「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、 17 あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。 18 地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。 19 アブラハムはベエル・シェバに住んだ。 

創世記 ナホルの子孫
20 これらのことの後で、アブラハムに知らせが届いた。「ミルカもまた、あなたの兄弟ナホルとの間に子供を産みました。 21 長男はウツ、その弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 22 それからケセド、ハゾ、ピルダシュ、イドラフ、ベトエルです。」 23 ベトエルはリベカの父となった。 ミルカは、アブラハムの兄弟ナホルとの間にこれら八人の子供を産んだ。 24 ナホルの側女で、レウマという女性もまた、テバ、ガハム、タハシュ、マアカを産んだ。 

創世記 サラの死と埋葬
23

1 サラの生涯は百二十七年であった。これがサラの生きた年数である。 2 サラは、カナン地方のキルヤト・アルバ、すなわちネブロンで死んだ。アブラハムは、サラのために胸を打ち、嘆き悲しんだ。 3 アブラハムは、遺体の傍らから立ち上がり、ヘトの人人に頼んだ。 4 「わたしは、あなたがたのところに一時滞在する寄留者ですが、あなたがたが所有する墓地を譲ってくださいませんか。亡くなった妻を葬ってやりたいのです。」 5 ヘトの人々はアブラハムに答えた。「どうか、 6 御主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」 7 アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、 8 頼んだ。 「もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、 9 あの方の畑の端にあるマクペラノ洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。」 10 エフロンはそのとき、ヘトの人々の間に座っていた。 ヘトの人エフロンは、町の門広場に集まって来たすべてのヘトの人々が聞いているところで、アブラハムに答えた。 11 「どうか、御主人、お聞きください。あの畑は差し上げます。あそこにある洞穴も差し上げます。わたしの一族が立ち会っているところで、あなたに差し上げますから、早速、亡くなられた方を葬ってください。」 12 アブラハムは国の民の前で挨拶をし、 13 国の民の聞いているところで、エフロンに頼んだ。 「わたしの願いを聞き入れてくださるなら、どうか、畑の代金を払わせてください。どうぞ、受け取ってください。そうすれば、亡くなった妻をあそこに葬ってやれます。」 14 エフロンはアブラハムに答えた。「どうか、 15 御主人、お聞きください。あの土地は銀四百シェケルのものです。それがあなたとわたしの間で、どれほどのことでしょう。早速、亡くなられた方を葬ってください。」 16 アブラハムはこのエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。 17 こうして、マレムの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、 18 町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。 19 その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマレムの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。 20 その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。

イサクとリベカの結婚 24
1 アブラハムは多くの日を重ね老人になり、主は何事においてもアブラハムに祝福をお与えになっていた。 2 アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。 「手をわたしの腿の間に入れ、 3 天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。 あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、 4 わたしの一族のいる故郷に行って、嫁を息子イサクのために連れて来るように。」 5 僕は尋ねた。 「もしかすると、その娘がわたしに従ってこの土地へ来たくないと言うかもしれません。 その場合には、御子息をあなたの故郷にお連れしてよいでしょうか。」 6 アブラハムは答えた。 「決して、息子をあちらへ行かせてはならない。 7 天の神である主は、わたしを父の家、生まれ故郷から連れ出し、『あなたの子孫にこの土地を与える』と言って、わたしに誓い、約束してくださった。 その方がお前の行く手に御使いを遣わして、そこから息子に嫁を連れて来ることができるようにしてくださる。 8 もし女がお前に従ってこちらへ来たくないと言うならば、お前は、わたしに対するこの誓いを解かれる。 ただわたしの息子をあちらへ行かせることだけはしてはならない。」 9 そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。 10 僕は主人のらくだの中から十頭を選び、主人から預かった高価な贈り物を多く携え、アラム・ナハライムのナホルの町に向って出発した。 11 女たちが水くみに来る夕方、彼は、らくだを町外れの井戸の傍らに休ませて、 12 祈った。 「主人アブラハムの神、主よ。 どうか、今日、わたしを顧みて、主人に慈しみを示してください。 




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2021年12月03日

創世記 イサクとリベカの結婚 24-11

創世記 天地の創造
1
1 初めに、神は天地を創造された。 2 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、?~の靈が水の面を動いていた。 3 ?~は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。 4 ?~は光を見て、良しとされた。?~は光と闇を分け、 5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。6 ?~は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 7 ?~は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 8 ?~は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。 9 ?~は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。 10 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 11 神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。 12 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。?~はこれを見て、良しとされた。 13 夕べがあり、朝があった。第三の日である。 14 神は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 15 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。 16 ?~は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 17 ?~はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 18 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。?~はこれを見て、良しとされた。 19 夕べがあり、朝があった。第四の日である。 20 ?~は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」 21 ?~は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。?~はこれを見て、良しとされた。 22 ?~はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」 23 夕べがあり、朝があった。第五の日である。 24 ?~は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。 25 ?~はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。?~はこれを見て、良しとされた。 26 ?~は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」 27 ?~は御自分にかたどって人を創造された。?~にかたどって創造された。男と女に創造された。28 ?~は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」 29 ?~は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。 30 地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草をたべさせよう。」そのようになった。 31 ?~はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

2
1 天地万物は完成された。 2 第七の日に、?~は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。 3 この日に?~はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を?~は祝福し、聖別された。 4 これが天地創造の由来である。主なる?~が地と天を造られたとき、 5 地上には野の木も、野の草も生えていなかった。主なる?~が地上に雨をお送りにならなかったからである。また土を耕す人もいなかった。 6 しかし、水が地下から湧き出て、土の面をすべて潤した。 7 主なる?~は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。 8 主なる?~は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。 9 主なる?~は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。 10 エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。 11 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。 12 その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。 13 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。 14 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川の名はユーフラテスであった。 15 主なる?~は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。 16 主なる?~は人に命じて言われた。「園のすべての木から取って食べなさい。 17 ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」 18 主なる?~は言われた。「人が一人でいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」 19 主なる?~は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。 20 人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。 21 主なる?~はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。 22 そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。主なる?~が彼女を人のところへ連れて来られると、 23 人は言った。「ついに、これこそわたしの骨の骨わたしの肉の肉。これこそ、女(イシャー)と呼ぼう まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」 24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。 25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。

創世記 蛇の誘惑
3
1 主なる?~が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」 2 女は蛇に答えた。「わたしたちは園の木の果実を食べてよいのです。 3 でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない。触れてもいけない、死んではいけないから、と?~様はおっしゃいました。」 4 蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。 5 それを食べると、目が開け、?~のように善悪を知るものとなることを?~はご存じなのだ。」 6 女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。 7 二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。 8 その日、風の吹くころ、主なる?~が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる?~の顔を避けて、園の木の間に隠れると、 9 主なる?~はアダムを呼ばれた。「どこにいるのか」 10 彼は答えた。「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」 11 ?~は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」 12 アダムは答えた。「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」 13 主なる?~は女に向かって言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 14 主なる?~は、蛇に向かって言われた。「このようなことをしたお前はあらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。 15 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。」 16 ?~は女に向かって言われた。「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 17 ?~はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。 18 お前に対して 土は茨とあざみを生えいでさせる 野の草を食べようとするお前に。 19 お前は顔に汗を流してパンを得る 土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」 20 アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。 21 主なる?~は、アダムと女に皮の衣を作って着せられた。 22 主なる?~は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 23 主なる?~は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。 24 こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。

創世記 カインとアペル
4
1 さて、アダムは妻エバを知った。彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。 2 彼女はまたその弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 3 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。 4 アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、 5 カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。 6 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。 7 もしお前が正しいなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」 8 カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。 9 主はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか。」カインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」 10 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。 11 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。 12 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」 13 カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。 14 今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」 15 主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。 16 カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。 17 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。 18 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。
19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラと言った。 20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。 21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。 22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。トバル・カインの妹はナアマといった。 23 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。わたしは傷の報いに男を殺し 打ち傷の報いに若者を殺す。 24 カインのための復讐が七倍なら レメクのためには七十七倍。」 25 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。カインがアベルを殺したので、?~が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。 26 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。

創世記 アダムの系図
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1 これはアダムの系図の書である。?~は人を創造された日、?~に似せてこれを造られ、 2 男と女に創造された。創造の日に、彼らを祝福されて、人と名付けられた。 3 アダムは百三十歳になったとき、自分に似た、自分にかたどった男の子をもうけた。アダムはその子をセトと名付けた。 4 アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 5 アダムは九百三十年生き、そして死んだ。 6 セトは百五歳になったとき、エノシュをもうけた。 7 セトはエノシュが生まれた後八百七年生きて、息子や娘をもうけた。 8 セトは九百十二年生き、そして死んだ。 9 エノシュは九十歳になったとき、ケナンをもうけた。 10 エノシュは、ケナンが生まれた後八百十五年生きて、息子や娘をもうけた。 11 エノシュは九百五年生き、そして死んだ。 12 ケナンは七十歳になったとき、マハラルエルをもうけた。 13 ケナンはマハラルエルが生まれた後八百四十年生きて、息子や娘をもうけた。 14 ケナンは九百十年生き、そして死んだ。 15 マハラルエルは六十五歳になったとき、イエレドをもうけた。 16 マハラルエルは、イエレドが生まれた後八百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 17 マハラルエルは八百九十五年生き、そして死んだ。 18 イエレドは百六十二歳になったとき、エノクをもうけた。 19 イエレドは、エノクが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 20 イエレドは九百六十二年生き、そして死んだ。 21 エノクは六十五歳になったとき、メトシェラもうけた。 22 エノクは、メトシェラが生まれた後、三百年?~と共に歩み、息子や娘をもうけた。 23 エノクは三百六十五年生きた。 24 エノクは?~と共に歩み、?~が取られたのでいなくなった。 25 メトシェラは百八十七歳になったとき、レメクをもうけた。 26 メトシェラは、レメクが生まれた後七百八十二年生きて、息子や娘をもうけた。 27 メトシェラは九百六十九年生き、そして死んだ。 28 レメクは百八十二歳になったとき、男の子をもうけた。 29 彼は、「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めてくれるだろう」と言って、その子をノア(慰め)と名付けた。 30 レメクは、ノアが生まれた後五百九十五年生きて、息子や娘をもうけた。 31 レメクは七百七十七年生き、そして死んだ。 32 ノアは五百歳になったとき、セム ハム ヤフェトをもうけた。

創世記 洪水
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1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。 2 ?~の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。 3 主は言われた。 「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。 4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、?~の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。 5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、 6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。 7 主は言われた。 「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」 8 しかし、ノアは主の好意を得た。 9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは?~に従う無垢な人であった。ノアは?~と共に歩んだ。 10 ノアには三人の息子、セム ハム ヤフェトが生まれた。 11 この地は?~の前に堕落し、不法に満ちていた。 12 ?~は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。 13 ?~はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。 14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。 15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、 16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。 17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。 18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。 19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。 20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。 21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食料としなさい。」 22 ノアは、すべて?~が命じられたとおりに果たした。

7
1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。 2 あなたは清い動物をすべて七つがい取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい 3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。 4 七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」 5 ノアはすべて主が命じられたとおりにした。 6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。 7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。 8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、 9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは?~がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。 10 七日が過ぎて、洪水が地上起こった。 11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。 12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、 13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。 14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、 15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。 16 ?~が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。 17 洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。 18 水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。 19 水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。 20 水は勢い増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った。 21 地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。 22 乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。 23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 24 水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった。

8
1 神は、ノアと彼と共に箱舟にいたすべての獣とすべての家畜を御心に留め、地の上に風を吹かせられたので、水が減り始めた。 2 また、深淵の源と天の窓が閉じられたので、天からの雨は降りやみ、 3 水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って、 4 第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。 5 水はますます減って第十の月になり、第十の月の一日には山々の頂が現れた。 6 四十日たって、ノアは自分が造った箱舟の窓を開き、烏を放した。烏は飛び立ったが、地上の水が乾くのを待って、出たり入ったりした。 8 ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。 9 しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。 10 更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。 11 鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。 12 彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。 13 ノアが六百一歳のとき、最初の月の一日に、地上の水は乾いた。ノアは箱舟の覆いを取り外して眺めた。見よ、地の面は乾いていた。 14 第二の月の二十七日になると、地はすっかり乾いた。 15 神はノアに仰せになった。 「さあ、あなたもあなたの妻も、息子も嫁も、皆一緒に箱舟から出なさい。 17 すべて肉なるもののうちからあなたのもとに来たすべての動物、鳥も家畜も地を這うものも一緒に連れ出し、地に群がり、地上で子を産み、増えるようにしなさい。」 18 そこで、ノアは息子や妻や嫁と共に外へ出た。 19 獣、這うもの、鳥、地に群がるもの、それぞれすべて箱舟から出た。 20 ノアは主のために祭壇を築いた。そしてすべての清い家畜と清い鳥のうちから取り、焼き尽くす捧げ物として祭壇の上にささげた。 21 主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。 22 地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも 寒さも暑さも、夏も冬も 昼も夜も、やむことはない。」

創世記 祝福と契約
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1 ?~はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちよ。 2 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。 3 動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。 4 ただし、肉は命である血を含んだまま食べてはならない。 5 また、あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。いかなる獣からも要求する。人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。 6 人の血を流す者は 人によって自分の血を流される。人は?~にかたどって造られたからだ。 7 あなたたちは産めよ、増えよ 地に群がり、地に増えよ。」 8 ?~はノアと彼の息子たちに言われた。 9 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。 10 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。 11 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものが滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」 12 更に?~は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々(よよ)とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。 13 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。 14 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、 15 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。 16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心をと留める。」 17 ?~はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間にたてた契約のしるしである。」

創世記 ノアと息子たち
18 箱舟から出たノアの息子は、セム、ハム、ヤフェトであった。ハムはカナンの父である。 19 この三人がノアの息子で、全世界の人々は彼らから出て広がったのである。 20 さて、ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。 21 あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 22 カナンの父ハムは、自分の父の裸を見て、外にいた二人の兄弟に告げた。 23 セムとヤフェトは着物を取って自分たちの肩に掛け、後ろ向きに歩いて行き、父の裸を覆った。二人は顔を背けたままで、父の裸を見なかった。 24 ノアは酔いからさめると、末の息子がしたことを知り、 25 こう言った。「カナンは呪われよ 奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」 26 また言った。「セムの神、主をたたえよ。 カナンはセムの奴隷となれ。
27 神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト) セムの天幕に住まわせ カナンはその奴隷となれ。」 28 ノアは、洪水の後三百五十年生きた。 29 ノアは九百五十歳になって、死んだ。

創世記 ノアの子孫
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1 ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。 2 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。 3 ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。 4 ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。 5 海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。 6 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。 7 クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。 8 クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。 9 彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムドロのようだ」という言い方がある。 10 彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。 11 彼はその地方からアッシリに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、 12 レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。 13 エジプトにはリディア人、アルミナ人、レハビム人、ナフトヒム人、 14 上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
15 カナンには長男シドンとヘト、 16 また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、 17 ヒビ人、アルキ人、シニ人、 18 アルワド人、フェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。 19 カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。 20 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。 21 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。 22 セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。 23 アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。 24 アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。 25 エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。 26 ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、 27 ハドラム、ウザル、ディクラ、 28   オバル、アビマエル、シェバ、 29 オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。 30 彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。 31 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。 32 ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。

創世記 バベルの塔
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1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。 2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。 3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。 4 彼らは、「さあ 天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。 5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、 6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」 8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。 9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

創世記 セムの系図
10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルバクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。 11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。 12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。 13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。 15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 16 エベルが三十四歳になったとき、ぺレグが生まれた。 17 エベルは、ぺレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 18 ぺレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。 19 ぺレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。 20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。 21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。 22 セルグ三十歳なったとき、ナホルが生まれた。 23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。 24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。 25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。 26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。

創世記 テラの系図
27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。 28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。 29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。 30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。 31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向った。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。 32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。

創世記 アブラムの召命と移住
12
1 主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい 2 わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し あなたに名を高める 祝福の源となるように 3 あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。 地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」 4 アブラムは 主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 5 アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方入った。 6 アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。 7 主はアブラムに現れて、言われた。「あなたの子孫のこの地を与える」アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 8 アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。 9 アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方に移った。

創世記 エジプト滞在
10 その地方に飢饉があった。 アブラムは、その地方の飢饉がひどかったので、エジプトに下り、そこに滞在することにした。 11 エジプトに入ろうしたとき、妻サライに言った。 「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。  12 エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 13 どうか、わたしの妹だ、と言ってください。 そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」 14 アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。  15 ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた 16 アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。 17 ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。 18 ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。 「あなたはわたしに何ということをしたのか。 なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 19 なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。 だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。 さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。 20 ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。

創世記 ロトとの別れ
13
1 アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。ロトも一緒であった。 2 アブラムは非常に多くの家畜や金銀を持っていた。 3 ネゲブ地方から更に、ベテルに向って旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。 4 そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。 5 アブラムと共に旅をしていたロトもまた、羊や牛の群れを飼い、たくさんの天幕を持っていた。 6 その土地は、彼らが一緒に住むには十分ではなかった。 彼らの財産が多すぎたから、一緒に住むことができなかったのである。 7 アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼うものたちとの間に争いが起きた。 そのころ、その地方にはカナン人もペリジ人も住んでいた。 8 アブラムはロトに言った。 「わたしたちは親類どうしだ。わたしとあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。 9 あなたの前には幾らでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。 あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。 あなたが右に行くなら、わたしは左に行こう。」 10 ロトが目を上げて眺めると、ヨルダン川流域の低地一帯は、 主がソドムとゴモラを滅ぼす前であったので、ツォアルに至るまで、主の園のように、エジプトの国のように、見渡すかぎりよく潤っていた。 11 ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。こうして彼らは、左右に別れた。 12 アブラムはカナン地方に住み、ロトは低地の町々に住んだが、彼はソドムまで天幕を移した。 13 ソドムの住民は邪悪で、主に対して多くの罪を犯していた。 14 主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。 15 見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。 16 あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。 17 さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」 18 アブラムは天幕を移し、ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。

創世記 王との戦い
14
1 シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、 2 ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツオワルの王と戦ったとき、 3 これら五人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。 4 彼らは十二年間ケドルラオメルに支配されていたが、十三年目に背いたのである。 5 十四年目に、ケドルラオメルとその味方の王たちが来て、アシュテロト・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミル人を、 6 セイルの山地でフリ人人を撃ち、荒れ野に近いエル・バランまで進んだ。 7 彼らは転進して、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに向かい、アマレク人の全領土とハツェツオン・タマルに住むアモリ人を撃った。 8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。 9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアル、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨクの四人の王に対して、これら五人の王が戦いを挑んだのである。 10 シディムの谷には至るところに天然アスファルトの穴があった。ソドムとゴモラの王は逃げるとき、その穴に落ちた。残りの王は山へ逃れた。 11 ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、 12 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。 

創世記 ロトの救出
13 逃げ延びた一人の男がヘブライ人アブラムのもとに来て、そのことを知らせた。アブラムは当時、アモリ人マムレ樫の木の傍らに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと同盟を結んでいた。 14 アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。 15 夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、ダマスコの北のホバまで追跡した。 16 アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。

創世記 メルキゼデグの祝福
17 アブラムがケドルラオメルとその味方の王たちを撃ち破って帰って来たとき、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷まで彼を出迎えた。 18 いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクも、パンとぶどう酒を持って来た。 19 彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神に アブラムは祝福されますように。 20 敵をあなたの手に渡された いと高き神がたたえられますように。」 アブラムはすべての物の十分の一を彼に贈った。 21 ソドムの王はアブラムに、「人はわたしにお返しください。 しかし、財産はお取りください」と言ったが、 22 アブラムはソドムの王に言った。 「わたしは天地の造り主、いと高き?~、主に手を上げて誓います。 23 あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。 『アブラムを裕福にしたのは、このわたしだ』と、あなたに言われたくありません。 24 わたしは何も要りません。 ただ、若い者たちが食べたものと、わたしと共に戦った人々、すなわち、アネルとエシュコルとマムレの分は別です。 彼らには分け前を取らせてください。 

創世記 神の約束
15
1 これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。 「恐れるな、アブラムよ。 わたしはあなたの盾である。 あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。 2 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。わたしに何をくださるというのですか。わたしには子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。 3 アブラムは言葉をついだ。「御覧のとおり、あなたはわたしに子孫を与えてくださいませんでしたから、家の僕が跡を継ぐことになっています。」 4 見よ、主の言葉があった。「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ。」 5 主は彼を外に連れ出して言われた。「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」 そして言われた。 「あなたの子孫はこのようになる。」 6 アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。 7 主は言われた。 「わたしはあなたをカルデアのウルから導き出した主である。わたしはあなたにこの土地を与え、それを継がせる。」 8 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。この土地をわたしが継ぐことを、何によって知ることができましょうか。」 9 主は言われた。 「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とをわたしのもとに持ってきなさい。」 10 アブラムはそれらのものをみな持って来て、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置いた。 ただ、鳥は切り裂かなかった。 11 はげ鷹がこれらの死体をねらって降りて来ると、アブラムは追い払った。 12 日が沈みかけたころ、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。 13 主はアブラムに言われた。 「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。 14 しかしわたしは、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。
その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。 15 あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く。 16 ここに戻ってくるのは、四代目の者たちである。それまではアモリ人の罪が極みに達しないからである。 17 日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた。 18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。 「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、 19 カイン人、ケナズ人、カドモニ人、 20 ヘト人、ペリジ人、レファイム人、 21 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

創世記 ハガルの逃亡と出産
16
1 アブラムの妻サライには、子供が生まれなかった。彼女には、ハガルというエジプト人の女奴隷がいた。 2 サライはアブラムに言った。 「主はわたしに子供を授けてくださいません。どうぞ、わたしの奴隷のところへ入ってください。わたしは彼女によって、子供を与えられるかもしれません。」 アブラムは、サライの願いを聞き入れた。 3 アブラムの妻サライは、エジプト人の女奴隷ハガルを連れて来て、夫アブラムの側女とした。アブラムがカナン地方に住んでから、十年後のことであった。 4 アブラムはハガルのところに入り、彼女は身ごもった。ところが、自分が身ごもったのを知ると、彼女は女主人を軽んじた。 5 サライはアブラムに言った。 「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれますように。 6 アブラムはサライに答えた。
「あなたの女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがいい。」サライは彼女につらく当たったので、彼女はサライのもとから逃げた。 7 主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、 8 言った。 「サライの女奴隷ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」「女主人サライのもとから逃げているところです」と答えると、 9 主の御使いは言った。 「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」 10 主の御使いは更に言った。 「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」 11 主の御使いはまた言った。 「今、あなたは身ごもっている。やがてあなたは男の子を産む。その子をイシュマエルと名付けなさい。主があなたの悩みをお聞きになられたから。 12 彼は野生のろばのような人になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので、人々は皆、こぶしを振るう。彼は兄弟すべてに敵対して暮らす。」 13 ハガルは自分に語りかけた主の御名を呼んで、 「あなたこそエル・ロイ(わたしを顧みられる?~)です」と言った。それは、彼女が、「神がわたしを顧みられた後もなお、わたしはここで見続けていたではないか」と言ったからである。 14 そこで、その井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカディシュとベレドの間にある。 15 ハガルはアブラムとの間に男の子を産んだ。アブラムは、ハガルが産んだ男の子をイシュマエルと名付けた。 16 ハガルがイシュマエルを生んだとき、アブラムは八十六歳であった。


創世記 契約と割礼
17
1 アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。 2 わたしは、あなたとの間にわたしの契約を立て、あなたをますます増やすであろう。」 3 アブラムはひれ伏した。神は更に、語りかけて言われた。 4 「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。 5 あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。 6 わたしは、あなたをますます?栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。 7 わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。 8 わたしは、あなたが滞在しているこのカナンのすべての土地を、あなたとその子孫に、永久の所有地として与える。わたしは彼らの神となる。」 9 神はまた、アブラムに言われた。「だからあなたも、わたしの契約を守りなさい、あなたも後に続く子孫も。 10 あなたたち、およびあなたの後に続く子孫と、わたしとの間で守るべき契約はこれである。すなわち、あなたたちの男子はすべて、割礼を受ける。 11 包皮の部分を切り取りなさい。これが、わたしとあなたたちとの間の契約のしるしとなる。 12 いつの時代でも、あなたたちの男子はすべて、直系の子孫はもちろんのこと、家で生まれた奴隷も、外国人から買い取った奴隷であなたの子孫でない者も皆、生れてから八日目に割礼を受けなければならない。 13 あなたのお家で生まれた奴隷も、買い取った奴隷も、必ず割礼を受けなければならない。それによって、わたしの契約はあなたの体に記されて永遠の契約となる。 14 包皮の部分を切り取らない無割礼の男がいたなら、その人は民の間から断たれる。わたしの契約を破ったからである。」 15 神はアブラムに言われた。「あなたの妻サライは、名前をサライではなく、サラと呼びなさい。 16 わたしは彼女を祝福し、彼女によってあなたに男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福し、諸国民の母とする。諸民族の王となる者たちが彼女から出る。」 17 アブラハムひれ伏した。しかし笑って、ひそかに言った。「百歳の男に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラに子供が産めるだろうか。」 18 アブラハムは神に言った。「どうか、イシュマエルが御前に生き永らえますように。」 19 神は言われた。「いや、あなたの妻サラがあなたとの間に男の子を産む。その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい。わたしは彼と契約を立て、彼の子孫のために永遠の契約とする。 20 イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。 21 しかし、わたしの契約は、来年の今ごろ、サラがあなたとの間に産むイサクと立てる。」 22 神はこう語り終えると、アブラハムを離れて昇って行かれた。 23 アブラハムは、息子のイシュマエルをはじめ、家で生まれた奴隷や買い取った奴隷など、自分の家にいる人々のうち、男子を皆集めて、すぐその日に、神が命じられたとおり包皮に割礼を施した。 24 アブラハムが包皮に割礼を受けたのは、九十九歳、 25 息子イシュマエルが包皮に割礼を受けたのは、十三歳であった。 26 アブラハムと息子のイシュマエルは、すぐその日に割礼を受けた。 27 アブラハムの家の男子は、家で生まれた奴隷も外国人から買い取った奴隷も皆、共に割礼を受けた。

創世記 イサクの誕生の予告
18
1 主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。 2 目を上げて見ると、三人の人が彼に向って立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、 3 言った。「お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。 4 水を少々持ってこさせますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。 5 何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。」その人たちは言った。「では、お言葉どおりにしましょう。」 6 アブラハムは急いで天幕に戻り、サラのところに来て言った。「早く、上等の小麦粉を三セアほどこねて、パン菓子をこしらえなさい。」 7 アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔らかくておいしそうな子牛を選び、召し使いに渡し、急いで料理をさせた。 8 アブラハムは、凝乳、乳、出来立ての子牛の料理などを選び、彼らの前に並べた。そして、彼らが木陰で食事をしている間、そばに立って給仕をした。 9 彼らはアブラハムに尋ねた。「あなたの妻のサラはどこにいますか。」「はい、天幕の中におります」とアブラハムが答えると、 10 彼らの一人が言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。」サラは、すぐ後ろの天幕の入り口で聞いていた。 11 アブラハムもサラも多くの日を重ねて老人になっており、しかもサラは月のものがとうになくっていた。 12 サラはひそかに笑った。自分は年をとり、もはや楽しみがあるはずもなし、主人も年老いているのに、と思ったのである。13 主はアブラハムに言われた。「なぜサラは笑ったのか。なぜ年をとった自分に子供が生まれるはずがないと思ったのだ。 14 主に不可能なことがあろうか。来年の今ごろ、わたしはここに戻ってくる。そのころ、サラには必ず男の子が生まれている。」 15 サラは恐ろしくなり、打ち消して言った。「わたしは笑いませんでした。」主は言われた。「いや、あなたは確かに笑った。」

創世記 ソドムのための執り成し
16 その人たちはそこを立って、ソドムを見下ろす所まで来た。アブラハムも、彼らを見送るために一緒に行った。 17 主は言われた。「わたしが行おうとしていることをアブラハムに隠す必要があろうか。 18 アブラハムは大きな強い国民になり、世界のすべての国民は彼によって祝福に入る。 19 わたしがアブラハムを選んだのは、彼が息子たちとその子孫に、主の道を守り、主に従って正義を行うよう命じて、主がアブラハムに約束したことを成就するためである。 20 主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。 21 わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」 22 その人たちは、更にソドムの方に向かったが、アブラハムはなお、主の御前にいた。 23 アブラハムは進み出て言った。「もことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 24 あの町に正しい者が五十人いるとしても、それでも滅ぼし、その五十人の正しい者のために、町をお赦しにはならないのですか。 25 正しい者を悪い者と一緒に殺し、正しい者を悪い者と同じ目に遭わせるようなことを、あなたがなさるはずはございません。全くありえないことです。全世界を裁くお方は、正義を行われるべきではありませんか。」 26 主は言われた。「もしソドムの町に正しい者が五十人いるならば、その者たちのために、町を全部赦そう。」 27 アブラハムは答えた。「塵にすぎないわたしですが、あえて、わが主に申し上げます。 28 もしかすると、五十人の正しい者に五人足りないかもしれません。それでもあなたは、五人たりないために、町のすべてを滅ぼされますか。」主は言われた。「もし、四十五人いれば滅ぼさない。」 29 アブラハムは重ねて言った。「もしかすると、四十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その四十人のためにわたしはそれをしない」 30 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。もしかすると、そこには三十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「もし三十人いるならわたしはそれはしない。」 31 アブラハムは言った。「あえて、わが主に申し上げます。もしかすると、二十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その二十人のためにわたしは滅ぼさない。」 32 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう一度だけ言わせてください。もしかすると、十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その十人のためにわたしは滅ぼさない。」 33 主はアブラハムと語り終えると、去って行かれた。アブラハムも自分の住まいに帰った。

創世記 ソドムの滅亡
19
1 二人の御使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上って迎え、地にひれ伏して、 2 言った。 「皆様方、どうぞ僕(しもべ)の家に立ち寄り、足を洗ってお泊りください。彼らは言った。「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」 3 しかし、ロトがぜひにと勧めたので、彼らはロトの所に立ちよることにし、彼の家を訪ねた。ロトは、酵母を入れないパンを焼いて食事を供し、彼らをもてなした。 4 彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちが、若者も年寄りもこぞって押しかけ、家を取り囲んで、 5 わめきたてた。 「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れてこい。なぶりものにしてやるから。」 6 ロトは、戸口の前にたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて、 7 言った。 「どうか、皆さん、乱暴なことはしないでください。 8 実は、わたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。ただ、あの方々には何もしないでください。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」 9 男たちは口々に言った。 「そこをどけ」 「こいつはよそ者のくせに、指図などして。」 「さあ、彼らより先に、お前を痛い目に遭わせてやる。」 そして、ロトに詰め寄って体を押しつけ、戸を破ろうとした。 10 二人の客はそのとき、手を伸ばして、ロトを家の中に引き入れて戸を閉め、 11 戸口の前に入る男たちに、老若を問わず、目つぶしを食わせ、戸口を分からなくした。 12 二人の客はロトに言った。 「ほかに、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子や娘などを皆連れてここから逃げなさい。 13 実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主にもとに届いたので、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」 14 ロトは嫁いだ娘たちの婿のところへ行き、「さあ早くここから逃げるのだ。主がこの町を滅ぼされるからだ」と促したが、婿たちは冗談だと思った。 15 夜が明けるころ、御使いたちはロトをせきたてて言った。「さあ早く、あなたの妻とここにいる二人の娘を連れて行きなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう。」 16 ロトはためらっていた。主は憐れんで、二人の客にロト、妻、二人の娘の手をとらせて町の外へ避難するようにされた。 17 彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。 「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。」 18 ロトは言った。 「主よ、できません。 19 あなたは僕(しもべ)に目を留め、慈しみを豊かに示し、命を救おうとしています。しかし、わたしは山まで逃げ延びることはできません。恐らく、災害に巻き込まれて、死んでしまうのでしょう。 20 御覧ください、あの町を。あそこなら近いので、逃げて行けると思います。あれは小さな町です。あそこへ逃げさせてください。あれはほんの小さな町です。どうか、そこでわたしの命を救ってください。」 21 主は言われた。 「よろしい。そのこともあなたの願いを聞き届け、あなたの言うその町は滅ぼさないことにしよう。 22 急いで逃げなさい。あなたがあの町に着くまでは、わたしは何も行わないから。」 そこで、その町はツォアル(小さい)と名付けられた。 23 太陽が地上に昇ったとき、ロトはツォアルに着いた。 24 主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、 25 これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。 26 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。 27 アブラハムは、その朝早く起きて、さきに主と対面した場所へ行き、 28 ソドムとゴモラ、および低地一帯を見下ろすと、炉の煙のように地面から煙が立ち上っていた。 29 こうして、ロトの住んでいた低地の町々は滅ぼされたが、神はアブラハムを御心に留め、ロトを破滅のただ中から救い出された。

創世記 ロトの娘たち
30 ロトはツォアルを出て、二人の娘と山の中に住んだ。ツォアルに住むのを恐れたからである。彼は洞穴に二人の娘と住んだ。 31 姉は妹に言った。 「父も年老いてきました。この辺りには、世のしきたりに従って、わたしたちのところへ来てくれる男の人はいません。 32 さあ、父にぶどう酒を飲ませ、床を共にし、父から子種を受けましょう。」 33 娘たちはその夜、父親にぶどう酒を飲ませ、姉がまず、父親のところへ入って寝た。 父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 34 あくる日、姉は妹に言った。 「わたしは夕べ父と寝ました。 今晩も父にぶどう酒を飲ませて、あなたが行って父と床を共にし、父から子種をいただきましょう。」 35 娘たちはその夜もまた、父親にぶどう酒を飲ませ、妹が父親のところへ行って寝た。父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 36 このようにして、ロトの二人の娘は父の子を身ごもり、 37 やがて、姉は男の子を産み、モアブ(父親より)と名付けた。 彼は今日のモアブ人の先祖である。 38 妹もまた男の子を産み、ベン・アミ(わたしの肉親の子)と名付けた。彼は今日のアンモン人の人々の先祖である。

創世記 ゲラル滞在
20
1 アブラハムは、そこからネゲブ地方に移り、カデシュとシュルの間に住んだ。 ゲラルに滞在していたとき、 2 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやってサラを召し入れた。 3 その夜、夢の中でアビメレクに神が現れて言われた。 「あなたは、召し入れた女のゆえに死ぬ。その女は夫のある身だ。」 4 アビメレクは、まだ彼女に近づいていなかったので、「主よ、あなたは正しい者でも殺されるのですか。 5 彼女が妹だと言ったのは彼ではありませんか。 また彼女自身も、『あの人はわたしの兄です』と言いました。 わたしは、全くやましい考えも不正な手段でもなくこの事をしたのです。」と言った。 6 神は夢の中でアビメレクに言われた。 「わたしも、あなたが全くやましい考えでなしにこの事をしたことは知っている。 だからわたしも、あなたがわたしに対して罪を犯すことのないように、彼女に触れさせなかったのだ。 7 直ちに、あの人の妻を返しなさい。 彼は預言者だから、あなたのために祈り、命を救ってくれるだろう。 しかし、もし返さなければ、あなたもあなたの家来も皆、必ず死ぬことを覚悟せねばならない。」 8 つぎの朝早く、アビレメクは家来たちを残らず呼び集め、一切の出来事を語り聞かせたので、一同は非常に恐れた。 9 アビレメクはそれから、アブラハムを呼んで言った。 「あなたは我々に何ということをしたのか。 わたしがあなたにどんな罪を犯したというので、あなたはわたしとわたしの王国に大それた罪を犯させようとしたのか。 あなたは、してはならぬことをわたしにしたのだ。」 10 アビレメクは更に、アブラハムに言った。 「どういうつもりで、こんなことをしたのか。」 11 アブラハムは答えた。 「この土地には、神を畏れることが全くないので、わたしは妻のゆえに殺されると思ったのです。 12 事実、彼女は、わたしの妹でもあるのです。 わたしの父の娘ですが、母の娘ではないのです。 それで、わたしの妻となったのです。 13 かって、神がわたしを父の家から離して、さすらいの旅に出されたとき、わたしは妻に、『わたしに尽くすと思って、どこへ行っても、わたしのことを、この人は兄ですと言ってくれないか』 と頼んだのです。 14 アビメレクは羊、牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して、 15 言った。 「この辺りはすべてわたしの領土です。 好きな所にお住まいください。」 16 また、サラに言った。 「わたしは、銀一千シュケルをあなたの兄上に贈りました。 それは、あなたとの間のすべての出来事の疑惑を晴らす証拠です。 これであなたの名誉は取り戻されるでしょう。」 17 アブラハムが神に祈ると、神はアビメレクとその妻、および侍女たちをいやされたので、再び子供を産むことができるようになった。 18 主がアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの宮廷のすべての女たちの胎を堅く閉ざしておられたからである。

創世記 イサクの誕生 21
1 主は、約束されたとおりサラを顧み、さきに語られたとおりサラのために行われたので、 2 彼女は身ごもり、年老いたアブラハムとの間に男の子を産んだ。 それは、神が約束されていた時期であった。 3 アブラハムは、サラが産んだ自分の子をイサクと名付け、 4 神が命じられたとおり、八日目に、息子イサクに割礼を施した。 5 息子イサクが生まれたとき、アブラハムは百歳であった。 6 サラは言った。 「神はわたしに笑いをお与えになった。 聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう。」 7 サラはまた言った。 「誰がアブラハムに言いえたでしょう サラは子に乳を含ませるだろうと。 しかしわたしは子を産みました 年老いた夫のために。」 8 やがて、子供は育って乳離れした。 アブラハムはイサクの乳離れの日に盛大な祝宴を開いた。 

創世記 ハガルとイシュマエル
9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、 10 アブラハムに訴えた。 「あの女とあの子を追い出してください。 あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」 11 このことはアブラハムを非常に苦しめた。 その子も自分の子であったからである。 12 神はアブラハムに言われた。 「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。 すべてサラが言うことに聞き従いなさい。 あなたの子孫はイサクによって伝えられる。 13 しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。 彼もあなたの子であるからだ。」 14 アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。 ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。 15 革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、 16 「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。 彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。 17 神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。 「ハガルよ、どうしたのか。 恐れることはない。 神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。 18 立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。 わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」 19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。 彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。 20 神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。 21 彼がバランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。

創世記 アビメレクとの契約
22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。 「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。 23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。 わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」 24 アブラハムは答えた。 「よろしい。誓いましょう。」 25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。 26 アビメレクは言った。 「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。 あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」 27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。 28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の子羊を別にしたので、 29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。 「この七匹の雌の子羊を別にしたのは、何のためですか。」 30 アブラハムは答えた。 「わたしの手からこの七匹の雌の子羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」 31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。 二人がそこで誓いを交わしたからである。 32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。 33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。 34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。

創世記 アブラハム、イサクをささげる
22

1 これらのことの後で、神はアブラハムを試された。 神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、 2 神は命じられた。 「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。 わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 3 次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向って行った。 4 三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、 5 アブラハムは若者に言った。 「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。 わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」 6 アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。 二人は一緒に歩いて行った。 7 イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。 彼が、「ここにいる。 わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。 「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする子羊はどこにいるのですか。」 8 アブラハムは答えた。 「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の子羊はきっと神が備えてくださる。」 二人は一緒に歩いて行った。 9 神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。 10 そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。 11 そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。 彼が、「はい」と答えると、 12 御使いは言った。 「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」 13 アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角を取られていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。 14 アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも、「主の山に、備えあり(イエラエ)と言っている。 15 主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。 16 御使いは言った。 「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、 17 あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。 18 地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。 19 アブラハムはベエル・シェバに住んだ。 

創世記 ナホルの子孫
20 これらのことの後で、アブラハムに知らせが届いた。「ミルカもまた、あなたの兄弟ナホルとの間に子供を産みました。 21 長男はウツ、その弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 22 それからケセド、ハゾ、ピルダシュ、イドラフ、ベトエルです。」 23 ベトエルはリベカの父となった。 ミルカは、アブラハムの兄弟ナホルとの間にこれら八人の子供を産んだ。 24 ナホルの側女で、レウマという女性もまた、テバ、ガハム、タハシュ、マアカを産んだ。 

創世記 サラの死と埋葬
23

1 サラの生涯は百二十七年であった。これがサラの生きた年数である。 2 サラは、カナン地方のキルヤト・アルバ、すなわちネブロンで死んだ。アブラハムは、サラのために胸を打ち、嘆き悲しんだ。 3 アブラハムは、遺体の傍らから立ち上がり、ヘトの人人に頼んだ。 4 「わたしは、あなたがたのところに一時滞在する寄留者ですが、あなたがたが所有する墓地を譲ってくださいませんか。亡くなった妻を葬ってやりたいのです。」 5 ヘトの人々はアブラハムに答えた。「どうか、 6 御主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」 7 アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、 8 頼んだ。 「もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、 9 あの方の畑の端にあるマクペラノ洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。」 10 エフロンはそのとき、ヘトの人々の間に座っていた。 ヘトの人エフロンは、町の門広場に集まって来たすべてのヘトの人々が聞いているところで、アブラハムに答えた。 11 「どうか、御主人、お聞きください。あの畑は差し上げます。あそこにある洞穴も差し上げます。わたしの一族が立ち会っているところで、あなたに差し上げますから、早速、亡くなられた方を葬ってください。」 12 アブラハムは国の民の前で挨拶をし、 13 国の民の聞いているところで、エフロンに頼んだ。 「わたしの願いを聞き入れてくださるなら、どうか、畑の代金を払わせてください。どうぞ、受け取ってください。そうすれば、亡くなった妻をあそこに葬ってやれます。」 14 エフロンはアブラハムに答えた。「どうか、 15 御主人、お聞きください。あの土地は銀四百シェケルのものです。それがあなたとわたしの間で、どれほどのことでしょう。早速、亡くなられた方を葬ってください。」 16 アブラハムはこのエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。 17 こうして、マレムの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、 18 町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。 19 その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマレムの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。 20 その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。

イサクとリベカの結婚 24
1 アブラハムは多くの日を重ね老人になり、主は何事においてもアブラハムに祝福をお与えになっていた。 2 アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。 「手をわたしの腿の間に入れ、 3 天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。 あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、 4 わたしの一族のいる故郷に行って、嫁を息子イサクのために連れて来るように。」 5 僕は尋ねた。 「もしかすると、その娘がわたしに従ってこの土地へ来たくないと言うかもしれません。 その場合には、御子息をあなたの故郷にお連れしてよいでしょうか。」 6 アブラハムは答えた。 「決して、息子をあちらへ行かせてはならない。 7 天の神である主は、わたしを父の家、生まれ故郷から連れ出し、『あなたの子孫にこの土地を与える』と言って、わたしに誓い、約束してくださった。 その方がお前の行く手に御使いを遣わして、そこから息子に嫁を連れて来ることができるようにしてくださる。 8 もし女がお前に従ってこちらへ来たくないと言うならば、お前は、わたしに対するこの誓いを解かれる。 ただわたしの息子をあちらへ行かせることだけはしてはならない。」 9 そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。 10 僕は主人のらくだの中から十頭を選び、主人から預かった高価な贈り物を多く携え、アラム・ナハライムのナホルの町に向って出発した。 11 女たちが水くみに来る夕方、彼は、らくだを町外れの井戸の傍らに休ませて、 




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2021年12月02日

創世記 イサクとリベカの結婚 24-10

創世記 天地の創造
1
1 初めに、神は天地を創造された。 2 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、?~の靈が水の面を動いていた。 3 ?~は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。 4 ?~は光を見て、良しとされた。?~は光と闇を分け、 5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。6 ?~は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 7 ?~は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 8 ?~は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。 9 ?~は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。 10 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 11 神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。 12 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。?~はこれを見て、良しとされた。 13 夕べがあり、朝があった。第三の日である。 14 神は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 15 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。 16 ?~は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 17 ?~はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 18 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。?~はこれを見て、良しとされた。 19 夕べがあり、朝があった。第四の日である。 20 ?~は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」 21 ?~は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。?~はこれを見て、良しとされた。 22 ?~はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」 23 夕べがあり、朝があった。第五の日である。 24 ?~は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。 25 ?~はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。?~はこれを見て、良しとされた。 26 ?~は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」 27 ?~は御自分にかたどって人を創造された。?~にかたどって創造された。男と女に創造された。28 ?~は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」 29 ?~は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。 30 地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草をたべさせよう。」そのようになった。 31 ?~はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

2
1 天地万物は完成された。 2 第七の日に、?~は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。 3 この日に?~はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を?~は祝福し、聖別された。 4 これが天地創造の由来である。主なる?~が地と天を造られたとき、 5 地上には野の木も、野の草も生えていなかった。主なる?~が地上に雨をお送りにならなかったからである。また土を耕す人もいなかった。 6 しかし、水が地下から湧き出て、土の面をすべて潤した。 7 主なる?~は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。 8 主なる?~は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。 9 主なる?~は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。 10 エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。 11 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。 12 その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。 13 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。 14 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川の名はユーフラテスであった。 15 主なる?~は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。 16 主なる?~は人に命じて言われた。「園のすべての木から取って食べなさい。 17 ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」 18 主なる?~は言われた。「人が一人でいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」 19 主なる?~は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。 20 人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。 21 主なる?~はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。 22 そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。主なる?~が彼女を人のところへ連れて来られると、 23 人は言った。「ついに、これこそわたしの骨の骨わたしの肉の肉。これこそ、女(イシャー)と呼ぼう まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」 24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。 25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。

創世記 蛇の誘惑
3
1 主なる?~が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」 2 女は蛇に答えた。「わたしたちは園の木の果実を食べてよいのです。 3 でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない。触れてもいけない、死んではいけないから、と?~様はおっしゃいました。」 4 蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。 5 それを食べると、目が開け、?~のように善悪を知るものとなることを?~はご存じなのだ。」 6 女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。 7 二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。 8 その日、風の吹くころ、主なる?~が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる?~の顔を避けて、園の木の間に隠れると、 9 主なる?~はアダムを呼ばれた。「どこにいるのか」 10 彼は答えた。「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」 11 ?~は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」 12 アダムは答えた。「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」 13 主なる?~は女に向かって言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 14 主なる?~は、蛇に向かって言われた。「このようなことをしたお前はあらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。 15 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。」 16 ?~は女に向かって言われた。「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 17 ?~はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。 18 お前に対して 土は茨とあざみを生えいでさせる 野の草を食べようとするお前に。 19 お前は顔に汗を流してパンを得る 土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」 20 アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。 21 主なる?~は、アダムと女に皮の衣を作って着せられた。 22 主なる?~は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 23 主なる?~は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。 24 こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。

創世記 カインとアペル
4
1 さて、アダムは妻エバを知った。彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。 2 彼女はまたその弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 3 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。 4 アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、 5 カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。 6 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。 7 もしお前が正しいなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」 8 カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。 9 主はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか。」カインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」 10 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。 11 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。 12 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」 13 カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。 14 今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」 15 主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。 16 カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。 17 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。 18 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。
19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラと言った。 20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。 21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。 22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。トバル・カインの妹はナアマといった。 23 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。わたしは傷の報いに男を殺し 打ち傷の報いに若者を殺す。 24 カインのための復讐が七倍なら レメクのためには七十七倍。」 25 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。カインがアベルを殺したので、?~が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。 26 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。

創世記 アダムの系図
5
1 これはアダムの系図の書である。?~は人を創造された日、?~に似せてこれを造られ、 2 男と女に創造された。創造の日に、彼らを祝福されて、人と名付けられた。 3 アダムは百三十歳になったとき、自分に似た、自分にかたどった男の子をもうけた。アダムはその子をセトと名付けた。 4 アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 5 アダムは九百三十年生き、そして死んだ。 6 セトは百五歳になったとき、エノシュをもうけた。 7 セトはエノシュが生まれた後八百七年生きて、息子や娘をもうけた。 8 セトは九百十二年生き、そして死んだ。 9 エノシュは九十歳になったとき、ケナンをもうけた。 10 エノシュは、ケナンが生まれた後八百十五年生きて、息子や娘をもうけた。 11 エノシュは九百五年生き、そして死んだ。 12 ケナンは七十歳になったとき、マハラルエルをもうけた。 13 ケナンはマハラルエルが生まれた後八百四十年生きて、息子や娘をもうけた。 14 ケナンは九百十年生き、そして死んだ。 15 マハラルエルは六十五歳になったとき、イエレドをもうけた。 16 マハラルエルは、イエレドが生まれた後八百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 17 マハラルエルは八百九十五年生き、そして死んだ。 18 イエレドは百六十二歳になったとき、エノクをもうけた。 19 イエレドは、エノクが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 20 イエレドは九百六十二年生き、そして死んだ。 21 エノクは六十五歳になったとき、メトシェラもうけた。 22 エノクは、メトシェラが生まれた後、三百年?~と共に歩み、息子や娘をもうけた。 23 エノクは三百六十五年生きた。 24 エノクは?~と共に歩み、?~が取られたのでいなくなった。 25 メトシェラは百八十七歳になったとき、レメクをもうけた。 26 メトシェラは、レメクが生まれた後七百八十二年生きて、息子や娘をもうけた。 27 メトシェラは九百六十九年生き、そして死んだ。 28 レメクは百八十二歳になったとき、男の子をもうけた。 29 彼は、「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めてくれるだろう」と言って、その子をノア(慰め)と名付けた。 30 レメクは、ノアが生まれた後五百九十五年生きて、息子や娘をもうけた。 31 レメクは七百七十七年生き、そして死んだ。 32 ノアは五百歳になったとき、セム ハム ヤフェトをもうけた。

創世記 洪水
6
1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。 2 ?~の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。 3 主は言われた。 「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。 4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、?~の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。 5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、 6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。 7 主は言われた。 「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」 8 しかし、ノアは主の好意を得た。 9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは?~に従う無垢な人であった。ノアは?~と共に歩んだ。 10 ノアには三人の息子、セム ハム ヤフェトが生まれた。 11 この地は?~の前に堕落し、不法に満ちていた。 12 ?~は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。 13 ?~はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。 14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。 15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、 16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。 17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。 18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。 19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。 20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。 21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食料としなさい。」 22 ノアは、すべて?~が命じられたとおりに果たした。

7
1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。 2 あなたは清い動物をすべて七つがい取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい 3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。 4 七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」 5 ノアはすべて主が命じられたとおりにした。 6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。 7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。 8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、 9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは?~がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。 10 七日が過ぎて、洪水が地上起こった。 11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。 12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、 13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。 14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、 15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。 16 ?~が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。 17 洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。 18 水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。 19 水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。 20 水は勢い増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った。 21 地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。 22 乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。 23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 24 水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった。

8
1 神は、ノアと彼と共に箱舟にいたすべての獣とすべての家畜を御心に留め、地の上に風を吹かせられたので、水が減り始めた。 2 また、深淵の源と天の窓が閉じられたので、天からの雨は降りやみ、 3 水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って、 4 第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。 5 水はますます減って第十の月になり、第十の月の一日には山々の頂が現れた。 6 四十日たって、ノアは自分が造った箱舟の窓を開き、烏を放した。烏は飛び立ったが、地上の水が乾くのを待って、出たり入ったりした。 8 ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。 9 しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。 10 更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。 11 鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。 12 彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。 13 ノアが六百一歳のとき、最初の月の一日に、地上の水は乾いた。ノアは箱舟の覆いを取り外して眺めた。見よ、地の面は乾いていた。 14 第二の月の二十七日になると、地はすっかり乾いた。 15 神はノアに仰せになった。 「さあ、あなたもあなたの妻も、息子も嫁も、皆一緒に箱舟から出なさい。 17 すべて肉なるもののうちからあなたのもとに来たすべての動物、鳥も家畜も地を這うものも一緒に連れ出し、地に群がり、地上で子を産み、増えるようにしなさい。」 18 そこで、ノアは息子や妻や嫁と共に外へ出た。 19 獣、這うもの、鳥、地に群がるもの、それぞれすべて箱舟から出た。 20 ノアは主のために祭壇を築いた。そしてすべての清い家畜と清い鳥のうちから取り、焼き尽くす捧げ物として祭壇の上にささげた。 21 主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。 22 地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも 寒さも暑さも、夏も冬も 昼も夜も、やむことはない。」

創世記 祝福と契約
9
1 ?~はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちよ。 2 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。 3 動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。 4 ただし、肉は命である血を含んだまま食べてはならない。 5 また、あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。いかなる獣からも要求する。人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。 6 人の血を流す者は 人によって自分の血を流される。人は?~にかたどって造られたからだ。 7 あなたたちは産めよ、増えよ 地に群がり、地に増えよ。」 8 ?~はノアと彼の息子たちに言われた。 9 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。 10 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。 11 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものが滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」 12 更に?~は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々(よよ)とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。 13 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。 14 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、 15 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。 16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心をと留める。」 17 ?~はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間にたてた契約のしるしである。」

創世記 ノアと息子たち
18 箱舟から出たノアの息子は、セム、ハム、ヤフェトであった。ハムはカナンの父である。 19 この三人がノアの息子で、全世界の人々は彼らから出て広がったのである。 20 さて、ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。 21 あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 22 カナンの父ハムは、自分の父の裸を見て、外にいた二人の兄弟に告げた。 23 セムとヤフェトは着物を取って自分たちの肩に掛け、後ろ向きに歩いて行き、父の裸を覆った。二人は顔を背けたままで、父の裸を見なかった。 24 ノアは酔いからさめると、末の息子がしたことを知り、 25 こう言った。「カナンは呪われよ 奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」 26 また言った。「セムの神、主をたたえよ。 カナンはセムの奴隷となれ。
27 神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト) セムの天幕に住まわせ カナンはその奴隷となれ。」 28 ノアは、洪水の後三百五十年生きた。 29 ノアは九百五十歳になって、死んだ。

創世記 ノアの子孫
10
1 ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。 2 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。 3 ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。 4 ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。 5 海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。 6 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。 7 クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。 8 クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。 9 彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムドロのようだ」という言い方がある。 10 彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。 11 彼はその地方からアッシリに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、 12 レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。 13 エジプトにはリディア人、アルミナ人、レハビム人、ナフトヒム人、 14 上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
15 カナンには長男シドンとヘト、 16 また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、 17 ヒビ人、アルキ人、シニ人、 18 アルワド人、フェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。 19 カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。 20 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。 21 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。 22 セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。 23 アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。 24 アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。 25 エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。 26 ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、 27 ハドラム、ウザル、ディクラ、 28   オバル、アビマエル、シェバ、 29 オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。 30 彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。 31 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。 32 ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。

創世記 バベルの塔
11
1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。 2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。 3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。 4 彼らは、「さあ 天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。 5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、 6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」 8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。 9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

創世記 セムの系図
10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルバクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。 11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。 12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。 13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。 15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 16 エベルが三十四歳になったとき、ぺレグが生まれた。 17 エベルは、ぺレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 18 ぺレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。 19 ぺレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。 20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。 21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。 22 セルグ三十歳なったとき、ナホルが生まれた。 23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。 24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。 25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。 26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。

創世記 テラの系図
27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。 28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。 29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。 30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。 31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向った。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。 32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。

創世記 アブラムの召命と移住
12
1 主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい 2 わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し あなたに名を高める 祝福の源となるように 3 あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。 地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」 4 アブラムは 主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 5 アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方入った。 6 アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。 7 主はアブラムに現れて、言われた。「あなたの子孫のこの地を与える」アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 8 アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。 9 アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方に移った。

創世記 エジプト滞在
10 その地方に飢饉があった。 アブラムは、その地方の飢饉がひどかったので、エジプトに下り、そこに滞在することにした。 11 エジプトに入ろうしたとき、妻サライに言った。 「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。  12 エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 13 どうか、わたしの妹だ、と言ってください。 そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」 14 アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。  15 ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた 16 アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。 17 ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。 18 ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。 「あなたはわたしに何ということをしたのか。 なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 19 なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。 だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。 さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。 20 ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。

創世記 ロトとの別れ
13
1 アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。ロトも一緒であった。 2 アブラムは非常に多くの家畜や金銀を持っていた。 3 ネゲブ地方から更に、ベテルに向って旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。 4 そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。 5 アブラムと共に旅をしていたロトもまた、羊や牛の群れを飼い、たくさんの天幕を持っていた。 6 その土地は、彼らが一緒に住むには十分ではなかった。 彼らの財産が多すぎたから、一緒に住むことができなかったのである。 7 アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼うものたちとの間に争いが起きた。 そのころ、その地方にはカナン人もペリジ人も住んでいた。 8 アブラムはロトに言った。 「わたしたちは親類どうしだ。わたしとあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。 9 あなたの前には幾らでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。 あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。 あなたが右に行くなら、わたしは左に行こう。」 10 ロトが目を上げて眺めると、ヨルダン川流域の低地一帯は、 主がソドムとゴモラを滅ぼす前であったので、ツォアルに至るまで、主の園のように、エジプトの国のように、見渡すかぎりよく潤っていた。 11 ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。こうして彼らは、左右に別れた。 12 アブラムはカナン地方に住み、ロトは低地の町々に住んだが、彼はソドムまで天幕を移した。 13 ソドムの住民は邪悪で、主に対して多くの罪を犯していた。 14 主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。 15 見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。 16 あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。 17 さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」 18 アブラムは天幕を移し、ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。

創世記 王との戦い
14
1 シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、 2 ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツオワルの王と戦ったとき、 3 これら五人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。 4 彼らは十二年間ケドルラオメルに支配されていたが、十三年目に背いたのである。 5 十四年目に、ケドルラオメルとその味方の王たちが来て、アシュテロト・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミル人を、 6 セイルの山地でフリ人人を撃ち、荒れ野に近いエル・バランまで進んだ。 7 彼らは転進して、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに向かい、アマレク人の全領土とハツェツオン・タマルに住むアモリ人を撃った。 8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。 9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアル、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨクの四人の王に対して、これら五人の王が戦いを挑んだのである。 10 シディムの谷には至るところに天然アスファルトの穴があった。ソドムとゴモラの王は逃げるとき、その穴に落ちた。残りの王は山へ逃れた。 11 ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、 12 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。 

創世記 ロトの救出
13 逃げ延びた一人の男がヘブライ人アブラムのもとに来て、そのことを知らせた。アブラムは当時、アモリ人マムレ樫の木の傍らに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと同盟を結んでいた。 14 アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。 15 夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、ダマスコの北のホバまで追跡した。 16 アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。

創世記 メルキゼデグの祝福
17 アブラムがケドルラオメルとその味方の王たちを撃ち破って帰って来たとき、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷まで彼を出迎えた。 18 いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクも、パンとぶどう酒を持って来た。 19 彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神に アブラムは祝福されますように。 20 敵をあなたの手に渡された いと高き神がたたえられますように。」 アブラムはすべての物の十分の一を彼に贈った。 21 ソドムの王はアブラムに、「人はわたしにお返しください。 しかし、財産はお取りください」と言ったが、 22 アブラムはソドムの王に言った。 「わたしは天地の造り主、いと高き?~、主に手を上げて誓います。 23 あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。 『アブラムを裕福にしたのは、このわたしだ』と、あなたに言われたくありません。 24 わたしは何も要りません。 ただ、若い者たちが食べたものと、わたしと共に戦った人々、すなわち、アネルとエシュコルとマムレの分は別です。 彼らには分け前を取らせてください。 

創世記 神の約束
15
1 これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。 「恐れるな、アブラムよ。 わたしはあなたの盾である。 あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。 2 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。わたしに何をくださるというのですか。わたしには子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。 3 アブラムは言葉をついだ。「御覧のとおり、あなたはわたしに子孫を与えてくださいませんでしたから、家の僕が跡を継ぐことになっています。」 4 見よ、主の言葉があった。「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ。」 5 主は彼を外に連れ出して言われた。「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」 そして言われた。 「あなたの子孫はこのようになる。」 6 アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。 7 主は言われた。 「わたしはあなたをカルデアのウルから導き出した主である。わたしはあなたにこの土地を与え、それを継がせる。」 8 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。この土地をわたしが継ぐことを、何によって知ることができましょうか。」 9 主は言われた。 「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とをわたしのもとに持ってきなさい。」 10 アブラムはそれらのものをみな持って来て、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置いた。 ただ、鳥は切り裂かなかった。 11 はげ鷹がこれらの死体をねらって降りて来ると、アブラムは追い払った。 12 日が沈みかけたころ、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。 13 主はアブラムに言われた。 「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。 14 しかしわたしは、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。
その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。 15 あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く。 16 ここに戻ってくるのは、四代目の者たちである。それまではアモリ人の罪が極みに達しないからである。 17 日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた。 18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。 「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、 19 カイン人、ケナズ人、カドモニ人、 20 ヘト人、ペリジ人、レファイム人、 21 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

創世記 ハガルの逃亡と出産
16
1 アブラムの妻サライには、子供が生まれなかった。彼女には、ハガルというエジプト人の女奴隷がいた。 2 サライはアブラムに言った。 「主はわたしに子供を授けてくださいません。どうぞ、わたしの奴隷のところへ入ってください。わたしは彼女によって、子供を与えられるかもしれません。」 アブラムは、サライの願いを聞き入れた。 3 アブラムの妻サライは、エジプト人の女奴隷ハガルを連れて来て、夫アブラムの側女とした。アブラムがカナン地方に住んでから、十年後のことであった。 4 アブラムはハガルのところに入り、彼女は身ごもった。ところが、自分が身ごもったのを知ると、彼女は女主人を軽んじた。 5 サライはアブラムに言った。 「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれますように。 6 アブラムはサライに答えた。
「あなたの女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがいい。」サライは彼女につらく当たったので、彼女はサライのもとから逃げた。 7 主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、 8 言った。 「サライの女奴隷ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」「女主人サライのもとから逃げているところです」と答えると、 9 主の御使いは言った。 「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」 10 主の御使いは更に言った。 「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」 11 主の御使いはまた言った。 「今、あなたは身ごもっている。やがてあなたは男の子を産む。その子をイシュマエルと名付けなさい。主があなたの悩みをお聞きになられたから。 12 彼は野生のろばのような人になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので、人々は皆、こぶしを振るう。彼は兄弟すべてに敵対して暮らす。」 13 ハガルは自分に語りかけた主の御名を呼んで、 「あなたこそエル・ロイ(わたしを顧みられる?~)です」と言った。それは、彼女が、「神がわたしを顧みられた後もなお、わたしはここで見続けていたではないか」と言ったからである。 14 そこで、その井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカディシュとベレドの間にある。 15 ハガルはアブラムとの間に男の子を産んだ。アブラムは、ハガルが産んだ男の子をイシュマエルと名付けた。 16 ハガルがイシュマエルを生んだとき、アブラムは八十六歳であった。


創世記 契約と割礼
17
1 アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。 2 わたしは、あなたとの間にわたしの契約を立て、あなたをますます増やすであろう。」 3 アブラムはひれ伏した。神は更に、語りかけて言われた。 4 「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。 5 あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。 6 わたしは、あなたをますます?栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。 7 わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。 8 わたしは、あなたが滞在しているこのカナンのすべての土地を、あなたとその子孫に、永久の所有地として与える。わたしは彼らの神となる。」 9 神はまた、アブラムに言われた。「だからあなたも、わたしの契約を守りなさい、あなたも後に続く子孫も。 10 あなたたち、およびあなたの後に続く子孫と、わたしとの間で守るべき契約はこれである。すなわち、あなたたちの男子はすべて、割礼を受ける。 11 包皮の部分を切り取りなさい。これが、わたしとあなたたちとの間の契約のしるしとなる。 12 いつの時代でも、あなたたちの男子はすべて、直系の子孫はもちろんのこと、家で生まれた奴隷も、外国人から買い取った奴隷であなたの子孫でない者も皆、生れてから八日目に割礼を受けなければならない。 13 あなたのお家で生まれた奴隷も、買い取った奴隷も、必ず割礼を受けなければならない。それによって、わたしの契約はあなたの体に記されて永遠の契約となる。 14 包皮の部分を切り取らない無割礼の男がいたなら、その人は民の間から断たれる。わたしの契約を破ったからである。」 15 神はアブラムに言われた。「あなたの妻サライは、名前をサライではなく、サラと呼びなさい。 16 わたしは彼女を祝福し、彼女によってあなたに男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福し、諸国民の母とする。諸民族の王となる者たちが彼女から出る。」 17 アブラハムひれ伏した。しかし笑って、ひそかに言った。「百歳の男に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラに子供が産めるだろうか。」 18 アブラハムは神に言った。「どうか、イシュマエルが御前に生き永らえますように。」 19 神は言われた。「いや、あなたの妻サラがあなたとの間に男の子を産む。その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい。わたしは彼と契約を立て、彼の子孫のために永遠の契約とする。 20 イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。 21 しかし、わたしの契約は、来年の今ごろ、サラがあなたとの間に産むイサクと立てる。」 22 神はこう語り終えると、アブラハムを離れて昇って行かれた。 23 アブラハムは、息子のイシュマエルをはじめ、家で生まれた奴隷や買い取った奴隷など、自分の家にいる人々のうち、男子を皆集めて、すぐその日に、神が命じられたとおり包皮に割礼を施した。 24 アブラハムが包皮に割礼を受けたのは、九十九歳、 25 息子イシュマエルが包皮に割礼を受けたのは、十三歳であった。 26 アブラハムと息子のイシュマエルは、すぐその日に割礼を受けた。 27 アブラハムの家の男子は、家で生まれた奴隷も外国人から買い取った奴隷も皆、共に割礼を受けた。

創世記 イサクの誕生の予告
18
1 主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。 2 目を上げて見ると、三人の人が彼に向って立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、 3 言った。「お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。 4 水を少々持ってこさせますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。 5 何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。」その人たちは言った。「では、お言葉どおりにしましょう。」 6 アブラハムは急いで天幕に戻り、サラのところに来て言った。「早く、上等の小麦粉を三セアほどこねて、パン菓子をこしらえなさい。」 7 アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔らかくておいしそうな子牛を選び、召し使いに渡し、急いで料理をさせた。 8 アブラハムは、凝乳、乳、出来立ての子牛の料理などを選び、彼らの前に並べた。そして、彼らが木陰で食事をしている間、そばに立って給仕をした。 9 彼らはアブラハムに尋ねた。「あなたの妻のサラはどこにいますか。」「はい、天幕の中におります」とアブラハムが答えると、 10 彼らの一人が言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。」サラは、すぐ後ろの天幕の入り口で聞いていた。 11 アブラハムもサラも多くの日を重ねて老人になっており、しかもサラは月のものがとうになくっていた。 12 サラはひそかに笑った。自分は年をとり、もはや楽しみがあるはずもなし、主人も年老いているのに、と思ったのである。13 主はアブラハムに言われた。「なぜサラは笑ったのか。なぜ年をとった自分に子供が生まれるはずがないと思ったのだ。 14 主に不可能なことがあろうか。来年の今ごろ、わたしはここに戻ってくる。そのころ、サラには必ず男の子が生まれている。」 15 サラは恐ろしくなり、打ち消して言った。「わたしは笑いませんでした。」主は言われた。「いや、あなたは確かに笑った。」

創世記 ソドムのための執り成し
16 その人たちはそこを立って、ソドムを見下ろす所まで来た。アブラハムも、彼らを見送るために一緒に行った。 17 主は言われた。「わたしが行おうとしていることをアブラハムに隠す必要があろうか。 18 アブラハムは大きな強い国民になり、世界のすべての国民は彼によって祝福に入る。 19 わたしがアブラハムを選んだのは、彼が息子たちとその子孫に、主の道を守り、主に従って正義を行うよう命じて、主がアブラハムに約束したことを成就するためである。 20 主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。 21 わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」 22 その人たちは、更にソドムの方に向かったが、アブラハムはなお、主の御前にいた。 23 アブラハムは進み出て言った。「もことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 24 あの町に正しい者が五十人いるとしても、それでも滅ぼし、その五十人の正しい者のために、町をお赦しにはならないのですか。 25 正しい者を悪い者と一緒に殺し、正しい者を悪い者と同じ目に遭わせるようなことを、あなたがなさるはずはございません。全くありえないことです。全世界を裁くお方は、正義を行われるべきではありませんか。」 26 主は言われた。「もしソドムの町に正しい者が五十人いるならば、その者たちのために、町を全部赦そう。」 27 アブラハムは答えた。「塵にすぎないわたしですが、あえて、わが主に申し上げます。 28 もしかすると、五十人の正しい者に五人足りないかもしれません。それでもあなたは、五人たりないために、町のすべてを滅ぼされますか。」主は言われた。「もし、四十五人いれば滅ぼさない。」 29 アブラハムは重ねて言った。「もしかすると、四十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その四十人のためにわたしはそれをしない」 30 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。もしかすると、そこには三十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「もし三十人いるならわたしはそれはしない。」 31 アブラハムは言った。「あえて、わが主に申し上げます。もしかすると、二十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その二十人のためにわたしは滅ぼさない。」 32 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう一度だけ言わせてください。もしかすると、十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その十人のためにわたしは滅ぼさない。」 33 主はアブラハムと語り終えると、去って行かれた。アブラハムも自分の住まいに帰った。

創世記 ソドムの滅亡
19
1 二人の御使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上って迎え、地にひれ伏して、 2 言った。 「皆様方、どうぞ僕(しもべ)の家に立ち寄り、足を洗ってお泊りください。彼らは言った。「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」 3 しかし、ロトがぜひにと勧めたので、彼らはロトの所に立ちよることにし、彼の家を訪ねた。ロトは、酵母を入れないパンを焼いて食事を供し、彼らをもてなした。 4 彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちが、若者も年寄りもこぞって押しかけ、家を取り囲んで、 5 わめきたてた。 「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れてこい。なぶりものにしてやるから。」 6 ロトは、戸口の前にたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて、 7 言った。 「どうか、皆さん、乱暴なことはしないでください。 8 実は、わたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。ただ、あの方々には何もしないでください。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」 9 男たちは口々に言った。 「そこをどけ」 「こいつはよそ者のくせに、指図などして。」 「さあ、彼らより先に、お前を痛い目に遭わせてやる。」 そして、ロトに詰め寄って体を押しつけ、戸を破ろうとした。 10 二人の客はそのとき、手を伸ばして、ロトを家の中に引き入れて戸を閉め、 11 戸口の前に入る男たちに、老若を問わず、目つぶしを食わせ、戸口を分からなくした。 12 二人の客はロトに言った。 「ほかに、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子や娘などを皆連れてここから逃げなさい。 13 実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主にもとに届いたので、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」 14 ロトは嫁いだ娘たちの婿のところへ行き、「さあ早くここから逃げるのだ。主がこの町を滅ぼされるからだ」と促したが、婿たちは冗談だと思った。 15 夜が明けるころ、御使いたちはロトをせきたてて言った。「さあ早く、あなたの妻とここにいる二人の娘を連れて行きなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう。」 16 ロトはためらっていた。主は憐れんで、二人の客にロト、妻、二人の娘の手をとらせて町の外へ避難するようにされた。 17 彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。 「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。」 18 ロトは言った。 「主よ、できません。 19 あなたは僕(しもべ)に目を留め、慈しみを豊かに示し、命を救おうとしています。しかし、わたしは山まで逃げ延びることはできません。恐らく、災害に巻き込まれて、死んでしまうのでしょう。 20 御覧ください、あの町を。あそこなら近いので、逃げて行けると思います。あれは小さな町です。あそこへ逃げさせてください。あれはほんの小さな町です。どうか、そこでわたしの命を救ってください。」 21 主は言われた。 「よろしい。そのこともあなたの願いを聞き届け、あなたの言うその町は滅ぼさないことにしよう。 22 急いで逃げなさい。あなたがあの町に着くまでは、わたしは何も行わないから。」 そこで、その町はツォアル(小さい)と名付けられた。 23 太陽が地上に昇ったとき、ロトはツォアルに着いた。 24 主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、 25 これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。 26 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。 27 アブラハムは、その朝早く起きて、さきに主と対面した場所へ行き、 28 ソドムとゴモラ、および低地一帯を見下ろすと、炉の煙のように地面から煙が立ち上っていた。 29 こうして、ロトの住んでいた低地の町々は滅ぼされたが、神はアブラハムを御心に留め、ロトを破滅のただ中から救い出された。

創世記 ロトの娘たち
30 ロトはツォアルを出て、二人の娘と山の中に住んだ。ツォアルに住むのを恐れたからである。彼は洞穴に二人の娘と住んだ。 31 姉は妹に言った。 「父も年老いてきました。この辺りには、世のしきたりに従って、わたしたちのところへ来てくれる男の人はいません。 32 さあ、父にぶどう酒を飲ませ、床を共にし、父から子種を受けましょう。」 33 娘たちはその夜、父親にぶどう酒を飲ませ、姉がまず、父親のところへ入って寝た。 父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 34 あくる日、姉は妹に言った。 「わたしは夕べ父と寝ました。 今晩も父にぶどう酒を飲ませて、あなたが行って父と床を共にし、父から子種をいただきましょう。」 35 娘たちはその夜もまた、父親にぶどう酒を飲ませ、妹が父親のところへ行って寝た。父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 36 このようにして、ロトの二人の娘は父の子を身ごもり、 37 やがて、姉は男の子を産み、モアブ(父親より)と名付けた。 彼は今日のモアブ人の先祖である。 38 妹もまた男の子を産み、ベン・アミ(わたしの肉親の子)と名付けた。彼は今日のアンモン人の人々の先祖である。

創世記 ゲラル滞在
20
1 アブラハムは、そこからネゲブ地方に移り、カデシュとシュルの間に住んだ。 ゲラルに滞在していたとき、 2 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやってサラを召し入れた。 3 その夜、夢の中でアビメレクに神が現れて言われた。 「あなたは、召し入れた女のゆえに死ぬ。その女は夫のある身だ。」 4 アビメレクは、まだ彼女に近づいていなかったので、「主よ、あなたは正しい者でも殺されるのですか。 5 彼女が妹だと言ったのは彼ではありませんか。 また彼女自身も、『あの人はわたしの兄です』と言いました。 わたしは、全くやましい考えも不正な手段でもなくこの事をしたのです。」と言った。 6 神は夢の中でアビメレクに言われた。 「わたしも、あなたが全くやましい考えでなしにこの事をしたことは知っている。 だからわたしも、あなたがわたしに対して罪を犯すことのないように、彼女に触れさせなかったのだ。 7 直ちに、あの人の妻を返しなさい。 彼は預言者だから、あなたのために祈り、命を救ってくれるだろう。 しかし、もし返さなければ、あなたもあなたの家来も皆、必ず死ぬことを覚悟せねばならない。」 8 つぎの朝早く、アビレメクは家来たちを残らず呼び集め、一切の出来事を語り聞かせたので、一同は非常に恐れた。 9 アビレメクはそれから、アブラハムを呼んで言った。 「あなたは我々に何ということをしたのか。 わたしがあなたにどんな罪を犯したというので、あなたはわたしとわたしの王国に大それた罪を犯させようとしたのか。 あなたは、してはならぬことをわたしにしたのだ。」 10 アビレメクは更に、アブラハムに言った。 「どういうつもりで、こんなことをしたのか。」 11 アブラハムは答えた。 「この土地には、神を畏れることが全くないので、わたしは妻のゆえに殺されると思ったのです。 12 事実、彼女は、わたしの妹でもあるのです。 わたしの父の娘ですが、母の娘ではないのです。 それで、わたしの妻となったのです。 13 かって、神がわたしを父の家から離して、さすらいの旅に出されたとき、わたしは妻に、『わたしに尽くすと思って、どこへ行っても、わたしのことを、この人は兄ですと言ってくれないか』 と頼んだのです。 14 アビメレクは羊、牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して、 15 言った。 「この辺りはすべてわたしの領土です。 好きな所にお住まいください。」 16 また、サラに言った。 「わたしは、銀一千シュケルをあなたの兄上に贈りました。 それは、あなたとの間のすべての出来事の疑惑を晴らす証拠です。 これであなたの名誉は取り戻されるでしょう。」 17 アブラハムが神に祈ると、神はアビメレクとその妻、および侍女たちをいやされたので、再び子供を産むことができるようになった。 18 主がアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの宮廷のすべての女たちの胎を堅く閉ざしておられたからである。

創世記 イサクの誕生 21
1 主は、約束されたとおりサラを顧み、さきに語られたとおりサラのために行われたので、 2 彼女は身ごもり、年老いたアブラハムとの間に男の子を産んだ。 それは、神が約束されていた時期であった。 3 アブラハムは、サラが産んだ自分の子をイサクと名付け、 4 神が命じられたとおり、八日目に、息子イサクに割礼を施した。 5 息子イサクが生まれたとき、アブラハムは百歳であった。 6 サラは言った。 「神はわたしに笑いをお与えになった。 聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう。」 7 サラはまた言った。 「誰がアブラハムに言いえたでしょう サラは子に乳を含ませるだろうと。 しかしわたしは子を産みました 年老いた夫のために。」 8 やがて、子供は育って乳離れした。 アブラハムはイサクの乳離れの日に盛大な祝宴を開いた。 

創世記 ハガルとイシュマエル
9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、 10 アブラハムに訴えた。 「あの女とあの子を追い出してください。 あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」 11 このことはアブラハムを非常に苦しめた。 その子も自分の子であったからである。 12 神はアブラハムに言われた。 「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。 すべてサラが言うことに聞き従いなさい。 あなたの子孫はイサクによって伝えられる。 13 しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。 彼もあなたの子であるからだ。」 14 アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。 ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。 15 革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、 16 「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。 彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。 17 神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。 「ハガルよ、どうしたのか。 恐れることはない。 神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。 18 立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。 わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」 19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。 彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。 20 神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。 21 彼がバランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。

創世記 アビメレクとの契約
22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。 「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。 23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。 わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」 24 アブラハムは答えた。 「よろしい。誓いましょう。」 25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。 26 アビメレクは言った。 「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。 あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」 27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。 28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の子羊を別にしたので、 29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。 「この七匹の雌の子羊を別にしたのは、何のためですか。」 30 アブラハムは答えた。 「わたしの手からこの七匹の雌の子羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」 31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。 二人がそこで誓いを交わしたからである。 32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。 33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。 34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。

創世記 アブラハム、イサクをささげる
22

1 これらのことの後で、神はアブラハムを試された。 神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、 2 神は命じられた。 「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。 わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 3 次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向って行った。 4 三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、 5 アブラハムは若者に言った。 「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。 わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」 6 アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。 二人は一緒に歩いて行った。 7 イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。 彼が、「ここにいる。 わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。 「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする子羊はどこにいるのですか。」 8 アブラハムは答えた。 「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の子羊はきっと神が備えてくださる。」 二人は一緒に歩いて行った。 9 神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。 10 そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。 11 そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。 彼が、「はい」と答えると、 12 御使いは言った。 「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」 13 アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角を取られていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。 14 アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも、「主の山に、備えあり(イエラエ)と言っている。 15 主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。 16 御使いは言った。 「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、 17 あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。 18 地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。 19 アブラハムはベエル・シェバに住んだ。 

創世記 ナホルの子孫
20 これらのことの後で、アブラハムに知らせが届いた。「ミルカもまた、あなたの兄弟ナホルとの間に子供を産みました。 21 長男はウツ、その弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 22 それからケセド、ハゾ、ピルダシュ、イドラフ、ベトエルです。」 23 ベトエルはリベカの父となった。 ミルカは、アブラハムの兄弟ナホルとの間にこれら八人の子供を産んだ。 24 ナホルの側女で、レウマという女性もまた、テバ、ガハム、タハシュ、マアカを産んだ。 

創世記 サラの死と埋葬
23

1 サラの生涯は百二十七年であった。これがサラの生きた年数である。 2 サラは、カナン地方のキルヤト・アルバ、すなわちネブロンで死んだ。アブラハムは、サラのために胸を打ち、嘆き悲しんだ。 3 アブラハムは、遺体の傍らから立ち上がり、ヘトの人人に頼んだ。 4 「わたしは、あなたがたのところに一時滞在する寄留者ですが、あなたがたが所有する墓地を譲ってくださいませんか。亡くなった妻を葬ってやりたいのです。」 5 ヘトの人々はアブラハムに答えた。「どうか、 6 御主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」 7 アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、 8 頼んだ。 「もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、 9 あの方の畑の端にあるマクペラノ洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。」 10 エフロンはそのとき、ヘトの人々の間に座っていた。 ヘトの人エフロンは、町の門広場に集まって来たすべてのヘトの人々が聞いているところで、アブラハムに答えた。 11 「どうか、御主人、お聞きください。あの畑は差し上げます。あそこにある洞穴も差し上げます。わたしの一族が立ち会っているところで、あなたに差し上げますから、早速、亡くなられた方を葬ってください。」 12 アブラハムは国の民の前で挨拶をし、 13 国の民の聞いているところで、エフロンに頼んだ。 「わたしの願いを聞き入れてくださるなら、どうか、畑の代金を払わせてください。どうぞ、受け取ってください。そうすれば、亡くなった妻をあそこに葬ってやれます。」 14 エフロンはアブラハムに答えた。「どうか、 15 御主人、お聞きください。あの土地は銀四百シェケルのものです。それがあなたとわたしの間で、どれほどのことでしょう。早速、亡くなられた方を葬ってください。」 16 アブラハムはこのエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。 17 こうして、マレムの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、 18 町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。 19 その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマレムの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。 20 その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。

イサクとリベカの結婚 24
1 アブラハムは多くの日を重ね老人になり、主は何事においてもアブラハムに祝福をお与えになっていた。 2 アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。 「手をわたしの腿の間に入れ、 3 天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。 あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、 4 わたしの一族のいる故郷に行って、嫁を息子イサクのために連れて来るように。」 5 僕は尋ねた。 「もしかすると、その娘がわたしに従ってこの土地へ来たくないと言うかもしれません。 その場合には、御子息をあなたの故郷にお連れしてよいでしょうか。」 6 アブラハムは答えた。 「決して、息子をあちらへ行かせてはならない。 7 天の神である主は、わたしを父の家、生まれ故郷から連れ出し、『あなたの子孫にこの土地を与える』と言って、わたしに誓い、約束してくださった。 その方がお前の行く手に御使いを遣わして、そこから息子に嫁を連れて来ることができるようにしてくださる。 8 もし女がお前に従ってこちらへ来たくないと言うならば、お前は、わたしに対するこの誓いを解かれる。 ただわたしの息子をあちらへ行かせることだけはしてはならない。」 9 そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。 10 僕は主人のらくだの中から十頭を選び、主人から預かった高価な贈り物を多く携え、アラム・ナハライムのナホルの町に向って出発した。 




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2021年12月01日

創世記 イサクとリベカの結婚 24-9

創世記 天地の創造
1
1 初めに、神は天地を創造された。 2 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、?~の靈が水の面を動いていた。 3 ?~は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。 4 ?~は光を見て、良しとされた。?~は光と闇を分け、 5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。6 ?~は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」 7 ?~は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 8 ?~は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。 9 ?~は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。 10 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 11 神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。 12 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。?~はこれを見て、良しとされた。 13 夕べがあり、朝があった。第三の日である。 14 神は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 15 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。 16 ?~は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 17 ?~はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 18 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。?~はこれを見て、良しとされた。 19 夕べがあり、朝があった。第四の日である。 20 ?~は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」 21 ?~は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。?~はこれを見て、良しとされた。 22 ?~はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」 23 夕べがあり、朝があった。第五の日である。 24 ?~は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。 25 ?~はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。?~はこれを見て、良しとされた。 26 ?~は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」 27 ?~は御自分にかたどって人を創造された。?~にかたどって創造された。男と女に創造された。28 ?~は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」 29 ?~は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。 30 地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草をたべさせよう。」そのようになった。 31 ?~はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

2
1 天地万物は完成された。 2 第七の日に、?~は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。 3 この日に?~はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を?~は祝福し、聖別された。 4 これが天地創造の由来である。主なる?~が地と天を造られたとき、 5 地上には野の木も、野の草も生えていなかった。主なる?~が地上に雨をお送りにならなかったからである。また土を耕す人もいなかった。 6 しかし、水が地下から湧き出て、土の面をすべて潤した。 7 主なる?~は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。 8 主なる?~は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。 9 主なる?~は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。 10 エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。 11 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。 12 その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。 13 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。 14 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川の名はユーフラテスであった。 15 主なる?~は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。 16 主なる?~は人に命じて言われた。「園のすべての木から取って食べなさい。 17 ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」 18 主なる?~は言われた。「人が一人でいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」 19 主なる?~は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人のところへ持って来て、人がそれぞれどう呼ぶか見ておられた。人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった。 20 人はあらゆる家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名を付けたが、自分に合う助ける者は見つけることができなかった。 21 主なる?~はそこで、人を深い眠りに落とされた。人が眠り込むと、あばら骨の一部を抜き取り、その跡を肉でふさがれた。 22 そして、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。主なる?~が彼女を人のところへ連れて来られると、 23 人は言った。「ついに、これこそわたしの骨の骨わたしの肉の肉。これこそ、女(イシャー)と呼ぼう まさに、男(イシュ)から取られたものだから。」 24 こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。 25 人と妻は二人とも裸であったが、恥ずかしがりはしなかった。

創世記 蛇の誘惑
3
1 主なる?~が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」 2 女は蛇に答えた。「わたしたちは園の木の果実を食べてよいのです。 3 でも、園の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない。触れてもいけない、死んではいけないから、と?~様はおっしゃいました。」 4 蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。 5 それを食べると、目が開け、?~のように善悪を知るものとなることを?~はご存じなのだ。」 6 女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。 7 二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。 8 その日、風の吹くころ、主なる?~が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる?~の顔を避けて、園の木の間に隠れると、 9 主なる?~はアダムを呼ばれた。「どこにいるのか」 10 彼は答えた。「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」 11 ?~は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」 12 アダムは答えた。「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」 13 主なる?~は女に向かって言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 14 主なる?~は、蛇に向かって言われた。「このようなことをしたお前はあらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で呪われるものとなった。お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。 15 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。」 16 ?~は女に向かって言われた。「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 17 ?~はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い 取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。 18 お前に対して 土は茨とあざみを生えいでさせる 野の草を食べようとするお前に。 19 お前は顔に汗を流してパンを得る 土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」 20 アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。 21 主なる?~は、アダムと女に皮の衣を作って着せられた。 22 主なる?~は言われた。「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 23 主なる?~は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。 24 こうしてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東にケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。

創世記 カインとアペル
4
1 さて、アダムは妻エバを知った。彼女は身ごもってカインを産み、「わたしは主によって男子を得た」と言った。 2 彼女はまたその弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 3 時を経て、カインは土の実りを主のもとに献げ物として持って来た。 4 アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、 5 カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。 6 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。 7 もしお前が正しいなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」 8 カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。 9 主はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか。」カインは答えた。「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」 10 主は言われた。「何ということをしたのか。お前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。 11 今、お前は呪われる者となった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。 12 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」 13 カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。 14 今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。」 15 主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。 16 カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。 17 カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。 18 エノクにはイラドが生まれた。イラドはメフヤエルの父となり、メフヤエルはメトシャエルの父となり、メトシャエルはレメクの父となった。
19 レメクは二人の妻をめとった。一人はアダ、もう一人はツィラと言った。 20 アダはヤバルを産んだ。ヤバルは、家畜を飼い天幕に住む者の先祖となった。 21 その弟はユバルといい、竪琴や笛を奏でる者すべての先祖となった。 22 ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅や鉄でさまざまの道具を作る者となった。トバル・カインの妹はナアマといった。 23 さて、レメクは妻に言った。「アダとツィラよ、わが声を聞け。レメクの妻たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。わたしは傷の報いに男を殺し 打ち傷の報いに若者を殺す。 24 カインのための復讐が七倍なら レメクのためには七十七倍。」 25 再び、アダムは妻を知った。彼女は男の子を産み、セトと名付けた。カインがアベルを殺したので、?~が彼に代わる子を授け(シャト)られたからである。 26 セトにも男の子が生まれた。彼はその子をエノシュと名付けた。主の御名を呼び始めたのは、この時代のことである。

創世記 アダムの系図
5
1 これはアダムの系図の書である。?~は人を創造された日、?~に似せてこれを造られ、 2 男と女に創造された。創造の日に、彼らを祝福されて、人と名付けられた。 3 アダムは百三十歳になったとき、自分に似た、自分にかたどった男の子をもうけた。アダムはその子をセトと名付けた。 4 アダムは、セトが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 5 アダムは九百三十年生き、そして死んだ。 6 セトは百五歳になったとき、エノシュをもうけた。 7 セトはエノシュが生まれた後八百七年生きて、息子や娘をもうけた。 8 セトは九百十二年生き、そして死んだ。 9 エノシュは九十歳になったとき、ケナンをもうけた。 10 エノシュは、ケナンが生まれた後八百十五年生きて、息子や娘をもうけた。 11 エノシュは九百五年生き、そして死んだ。 12 ケナンは七十歳になったとき、マハラルエルをもうけた。 13 ケナンはマハラルエルが生まれた後八百四十年生きて、息子や娘をもうけた。 14 ケナンは九百十年生き、そして死んだ。 15 マハラルエルは六十五歳になったとき、イエレドをもうけた。 16 マハラルエルは、イエレドが生まれた後八百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 17 マハラルエルは八百九十五年生き、そして死んだ。 18 イエレドは百六十二歳になったとき、エノクをもうけた。 19 イエレドは、エノクが生まれた後八百年生きて、息子や娘をもうけた。 20 イエレドは九百六十二年生き、そして死んだ。 21 エノクは六十五歳になったとき、メトシェラもうけた。 22 エノクは、メトシェラが生まれた後、三百年?~と共に歩み、息子や娘をもうけた。 23 エノクは三百六十五年生きた。 24 エノクは?~と共に歩み、?~が取られたのでいなくなった。 25 メトシェラは百八十七歳になったとき、レメクをもうけた。 26 メトシェラは、レメクが生まれた後七百八十二年生きて、息子や娘をもうけた。 27 メトシェラは九百六十九年生き、そして死んだ。 28 レメクは百八十二歳になったとき、男の子をもうけた。 29 彼は、「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めてくれるだろう」と言って、その子をノア(慰め)と名付けた。 30 レメクは、ノアが生まれた後五百九十五年生きて、息子や娘をもうけた。 31 レメクは七百七十七年生き、そして死んだ。 32 ノアは五百歳になったとき、セム ハム ヤフェトをもうけた。

創世記 洪水
6
1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。 2 ?~の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。 3 主は言われた。 「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。 4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、?~の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。 5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、 6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。 7 主は言われた。 「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」 8 しかし、ノアは主の好意を得た。 9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは?~に従う無垢な人であった。ノアは?~と共に歩んだ。 10 ノアには三人の息子、セム ハム ヤフェトが生まれた。 11 この地は?~の前に堕落し、不法に満ちていた。 12 ?~は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。 13 ?~はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。 14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。 15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、 16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。 17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。 18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。 19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。 20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。 21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食料としなさい。」 22 ノアは、すべて?~が命じられたとおりに果たした。

7
1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。 2 あなたは清い動物をすべて七つがい取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい 3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。 4 七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」 5 ノアはすべて主が命じられたとおりにした。 6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。 7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。 8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、 9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは?~がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。 10 七日が過ぎて、洪水が地上起こった。 11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。 12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、 13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。 14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、 15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。 16 ?~が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。 17 洪水は四十日間地上を覆った。水は次第に増して箱舟を押し上げ、箱舟は大地を離れて浮かんだ。 18 水は勢力を増し、地の上に大いにみなぎり、箱舟は水の面を漂った。 19 水はますます勢いを加えて地上にみなぎり、およそ天の下にある高い山はすべて覆われた。 20 水は勢い増して更にその上十五アンマに達し、山々を覆った。 21 地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。 22 乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ。 23 地の面にいた生き物はすべて、人をはじめ、家畜、這うもの、空の鳥に至るまでぬぐい去られた。彼らは大地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 24 水は百五十日の間、地上で勢いを失わなかった。

8
1 神は、ノアと彼と共に箱舟にいたすべての獣とすべての家畜を御心に留め、地の上に風を吹かせられたので、水が減り始めた。 2 また、深淵の源と天の窓が閉じられたので、天からの雨は降りやみ、 3 水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って、 4 第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。 5 水はますます減って第十の月になり、第十の月の一日には山々の頂が現れた。 6 四十日たって、ノアは自分が造った箱舟の窓を開き、烏を放した。烏は飛び立ったが、地上の水が乾くのを待って、出たり入ったりした。 8 ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。 9 しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。 10 更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。 11 鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。 12 彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。 13 ノアが六百一歳のとき、最初の月の一日に、地上の水は乾いた。ノアは箱舟の覆いを取り外して眺めた。見よ、地の面は乾いていた。 14 第二の月の二十七日になると、地はすっかり乾いた。 15 神はノアに仰せになった。 「さあ、あなたもあなたの妻も、息子も嫁も、皆一緒に箱舟から出なさい。 17 すべて肉なるもののうちからあなたのもとに来たすべての動物、鳥も家畜も地を這うものも一緒に連れ出し、地に群がり、地上で子を産み、増えるようにしなさい。」 18 そこで、ノアは息子や妻や嫁と共に外へ出た。 19 獣、這うもの、鳥、地に群がるもの、それぞれすべて箱舟から出た。 20 ノアは主のために祭壇を築いた。そしてすべての清い家畜と清い鳥のうちから取り、焼き尽くす捧げ物として祭壇の上にささげた。 21 主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。 22 地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも 寒さも暑さも、夏も冬も 昼も夜も、やむことはない。」

創世記 祝福と契約
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1 ?~はノアと彼の息子たちを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちよ。 2 地のすべての獣と空のすべての鳥は、地を這うすべてのものと海のすべての魚と共に、あなたたちの前に恐れおののき、あなたたちの手にゆだねられる。 3 動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。わたしはこれらすべてのものを、青草と同じようにあなたたちに与える。 4 ただし、肉は命である血を含んだまま食べてはならない。 5 また、あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。いかなる獣からも要求する。人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。 6 人の血を流す者は 人によって自分の血を流される。人は?~にかたどって造られたからだ。 7 あなたたちは産めよ、増えよ 地に群がり、地に増えよ。」 8 ?~はノアと彼の息子たちに言われた。 9 「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。 10 あなたたちと共にいるすべての生き物、またあなたたちと共にいる鳥や家畜や地のすべての獣など、箱舟から出たすべてのもののみならず、地のすべての獣と契約を立てる。 11 わたしがあなたたちと契約を立てたならば、二度と洪水によって肉なるものが滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。」 12 更に?~は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々(よよ)とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。 13 すなわち、わたしは雲の中にわたしの虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。 14 わたしが地の上に雲を湧き起こらせ、雲の中に虹が現れると、 15 わたしは、わたしとあなたたちならびにすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた契約に心を留める。水が洪水となって、肉なるものをすべて滅ぼすことは決してない。 16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心をと留める。」 17 ?~はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間にたてた契約のしるしである。」

創世記 ノアと息子たち
18 箱舟から出たノアの息子は、セム、ハム、ヤフェトであった。ハムはカナンの父である。 19 この三人がノアの息子で、全世界の人々は彼らから出て広がったのである。 20 さて、ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。 21 あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 22 カナンの父ハムは、自分の父の裸を見て、外にいた二人の兄弟に告げた。 23 セムとヤフェトは着物を取って自分たちの肩に掛け、後ろ向きに歩いて行き、父の裸を覆った。二人は顔を背けたままで、父の裸を見なかった。 24 ノアは酔いからさめると、末の息子がしたことを知り、 25 こう言った。「カナンは呪われよ 奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」 26 また言った。「セムの神、主をたたえよ。 カナンはセムの奴隷となれ。
27 神がヤフェトの土地を広げ(ヤフェト) セムの天幕に住まわせ カナンはその奴隷となれ。」 28 ノアは、洪水の後三百五十年生きた。 29 ノアは九百五十歳になって、死んだ。

創世記 ノアの子孫
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1 ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。 2 ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。 3 ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。 4 ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。 5 海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。 6 ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。 7 クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。 8 クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。 9 彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムドロのようだ」という言い方がある。 10 彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。 11 彼はその地方からアッシリに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、 12 レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。 13 エジプトにはリディア人、アルミナ人、レハビム人、ナフトヒム人、 14 上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
15 カナンには長男シドンとヘト、 16 また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、 17 ヒビ人、アルキ人、シニ人、 18 アルワド人、フェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。 19 カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。 20 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。 21 セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。 22 セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。 23 アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。 24 アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。 25 エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。 26 ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、 27 ハドラム、ウザル、ディクラ、 28   オバル、アビマエル、シェバ、 29 オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。 30 彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。 31 これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。 32 ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。

創世記 バベルの塔
11
1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。 2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。 3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。 4 彼らは、「さあ 天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。 5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、 6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」 8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。 9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

創世記 セムの系図
10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルバクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。 11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。 12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。 13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。 15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。 16 エベルが三十四歳になったとき、ぺレグが生まれた。 17 エベルは、ぺレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。 18 ぺレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。 19 ぺレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。 20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。 21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。 22 セルグ三十歳なったとき、ナホルが生まれた。 23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。 24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。 25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。 26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。

創世記 テラの系図
27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。 28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。 29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。 30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。 31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向った。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。 32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。

創世記 アブラムの召命と移住
12
1 主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい 2 わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し あなたに名を高める 祝福の源となるように 3 あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。 地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」 4 アブラムは 主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 5 アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方入った。 6 アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。 7 主はアブラムに現れて、言われた。「あなたの子孫のこの地を与える」アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 8 アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。 9 アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方に移った。

創世記 エジプト滞在
10 その地方に飢饉があった。 アブラムは、その地方の飢饉がひどかったので、エジプトに下り、そこに滞在することにした。 11 エジプトに入ろうしたとき、妻サライに言った。 「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。  12 エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 13 どうか、わたしの妹だ、と言ってください。 そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」 14 アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。  15 ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた 16 アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。 17 ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。 18 ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。 「あなたはわたしに何ということをしたのか。 なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 19 なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。 だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。 さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。 20 ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。

創世記 ロトとの別れ
13
1 アブラムは、妻と共に、すべての持ち物を携え、エジプトを出て再びネゲブ地方へ上った。ロトも一緒であった。 2 アブラムは非常に多くの家畜や金銀を持っていた。 3 ネゲブ地方から更に、ベテルに向って旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。 4 そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。 5 アブラムと共に旅をしていたロトもまた、羊や牛の群れを飼い、たくさんの天幕を持っていた。 6 その土地は、彼らが一緒に住むには十分ではなかった。 彼らの財産が多すぎたから、一緒に住むことができなかったのである。 7 アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼うものたちとの間に争いが起きた。 そのころ、その地方にはカナン人もペリジ人も住んでいた。 8 アブラムはロトに言った。 「わたしたちは親類どうしだ。わたしとあなたの間ではもちろん、お互いの羊飼いの間でも争うのはやめよう。 9 あなたの前には幾らでも土地があるのだから、ここで別れようではないか。 あなたが左に行くなら、わたしは右に行こう。 あなたが右に行くなら、わたしは左に行こう。」 10 ロトが目を上げて眺めると、ヨルダン川流域の低地一帯は、 主がソドムとゴモラを滅ぼす前であったので、ツォアルに至るまで、主の園のように、エジプトの国のように、見渡すかぎりよく潤っていた。 11 ロトはヨルダン川流域の低地一帯を選んで、東へ移って行った。こうして彼らは、左右に別れた。 12 アブラムはカナン地方に住み、ロトは低地の町々に住んだが、彼はソドムまで天幕を移した。 13 ソドムの住民は邪悪で、主に対して多くの罪を犯していた。 14 主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。 15 見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。 16 あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数えきれないように、あなたの子孫も数えきれないであろう。 17 さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。」 18 アブラムは天幕を移し、ヘブロンにあるマムレの樫の木のところに来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。

創世記 王との戦い
14
1 シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、 2 ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツオワルの王と戦ったとき、 3 これら五人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。 4 彼らは十二年間ケドルラオメルに支配されていたが、十三年目に背いたのである。 5 十四年目に、ケドルラオメルとその味方の王たちが来て、アシュテロト・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミル人を、 6 セイルの山地でフリ人人を撃ち、荒れ野に近いエル・バランまで進んだ。 7 彼らは転進して、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに向かい、アマレク人の全領土とハツェツオン・タマルに住むアモリ人を撃った。 8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。 9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアル、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨクの四人の王に対して、これら五人の王が戦いを挑んだのである。 10 シディムの谷には至るところに天然アスファルトの穴があった。ソドムとゴモラの王は逃げるとき、その穴に落ちた。残りの王は山へ逃れた。 11 ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、 12 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。 

創世記 ロトの救出
13 逃げ延びた一人の男がヘブライ人アブラムのもとに来て、そのことを知らせた。アブラムは当時、アモリ人マムレ樫の木の傍らに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと同盟を結んでいた。 14 アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。 15 夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、ダマスコの北のホバまで追跡した。 16 アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。

創世記 メルキゼデグの祝福
17 アブラムがケドルラオメルとその味方の王たちを撃ち破って帰って来たとき、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷まで彼を出迎えた。 18 いと高き神の祭司であったサレムの王メルキゼデクも、パンとぶどう酒を持って来た。 19 彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神に アブラムは祝福されますように。 20 敵をあなたの手に渡された いと高き神がたたえられますように。」 アブラムはすべての物の十分の一を彼に贈った。 21 ソドムの王はアブラムに、「人はわたしにお返しください。 しかし、財産はお取りください」と言ったが、 22 アブラムはソドムの王に言った。 「わたしは天地の造り主、いと高き?~、主に手を上げて誓います。 23 あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。 『アブラムを裕福にしたのは、このわたしだ』と、あなたに言われたくありません。 24 わたしは何も要りません。 ただ、若い者たちが食べたものと、わたしと共に戦った人々、すなわち、アネルとエシュコルとマムレの分は別です。 彼らには分け前を取らせてください。 

創世記 神の約束
15
1 これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。 「恐れるな、アブラムよ。 わたしはあなたの盾である。 あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。 2 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。わたしに何をくださるというのですか。わたしには子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。 3 アブラムは言葉をついだ。「御覧のとおり、あなたはわたしに子孫を与えてくださいませんでしたから、家の僕が跡を継ぐことになっています。」 4 見よ、主の言葉があった。「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ。」 5 主は彼を外に連れ出して言われた。「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」 そして言われた。 「あなたの子孫はこのようになる。」 6 アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。 7 主は言われた。 「わたしはあなたをカルデアのウルから導き出した主である。わたしはあなたにこの土地を与え、それを継がせる。」 8 アブラムは尋ねた。 「わが神、主よ。この土地をわたしが継ぐことを、何によって知ることができましょうか。」 9 主は言われた。 「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とをわたしのもとに持ってきなさい。」 10 アブラムはそれらのものをみな持って来て、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置いた。 ただ、鳥は切り裂かなかった。 11 はげ鷹がこれらの死体をねらって降りて来ると、アブラムは追い払った。 12 日が沈みかけたころ、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。 13 主はアブラムに言われた。 「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。 14 しかしわたしは、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。
その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。 15 あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く。 16 ここに戻ってくるのは、四代目の者たちである。それまではアモリ人の罪が極みに達しないからである。 17 日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた。 18 その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。 「あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、 19 カイン人、ケナズ人、カドモニ人、 20 ヘト人、ペリジ人、レファイム人、 21 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

創世記 ハガルの逃亡と出産
16
1 アブラムの妻サライには、子供が生まれなかった。彼女には、ハガルというエジプト人の女奴隷がいた。 2 サライはアブラムに言った。 「主はわたしに子供を授けてくださいません。どうぞ、わたしの奴隷のところへ入ってください。わたしは彼女によって、子供を与えられるかもしれません。」 アブラムは、サライの願いを聞き入れた。 3 アブラムの妻サライは、エジプト人の女奴隷ハガルを連れて来て、夫アブラムの側女とした。アブラムがカナン地方に住んでから、十年後のことであった。 4 アブラムはハガルのところに入り、彼女は身ごもった。ところが、自分が身ごもったのを知ると、彼女は女主人を軽んじた。 5 サライはアブラムに言った。 「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれますように。 6 アブラムはサライに答えた。
「あなたの女奴隷はあなたのものだ。好きなようにするがいい。」サライは彼女につらく当たったので、彼女はサライのもとから逃げた。 7 主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シュル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、 8 言った。 「サライの女奴隷ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」「女主人サライのもとから逃げているところです」と答えると、 9 主の御使いは言った。 「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」 10 主の御使いは更に言った。 「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」 11 主の御使いはまた言った。 「今、あなたは身ごもっている。やがてあなたは男の子を産む。その子をイシュマエルと名付けなさい。主があなたの悩みをお聞きになられたから。 12 彼は野生のろばのような人になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので、人々は皆、こぶしを振るう。彼は兄弟すべてに敵対して暮らす。」 13 ハガルは自分に語りかけた主の御名を呼んで、 「あなたこそエル・ロイ(わたしを顧みられる?~)です」と言った。それは、彼女が、「神がわたしを顧みられた後もなお、わたしはここで見続けていたではないか」と言ったからである。 14 そこで、その井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカディシュとベレドの間にある。 15 ハガルはアブラムとの間に男の子を産んだ。アブラムは、ハガルが産んだ男の子をイシュマエルと名付けた。 16 ハガルがイシュマエルを生んだとき、アブラムは八十六歳であった。


創世記 契約と割礼
17
1 アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。 2 わたしは、あなたとの間にわたしの契約を立て、あなたをますます増やすであろう。」 3 アブラムはひれ伏した。神は更に、語りかけて言われた。 4 「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。 5 あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。 6 わたしは、あなたをますます?栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。 7 わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。 8 わたしは、あなたが滞在しているこのカナンのすべての土地を、あなたとその子孫に、永久の所有地として与える。わたしは彼らの神となる。」 9 神はまた、アブラムに言われた。「だからあなたも、わたしの契約を守りなさい、あなたも後に続く子孫も。 10 あなたたち、およびあなたの後に続く子孫と、わたしとの間で守るべき契約はこれである。すなわち、あなたたちの男子はすべて、割礼を受ける。 11 包皮の部分を切り取りなさい。これが、わたしとあなたたちとの間の契約のしるしとなる。 12 いつの時代でも、あなたたちの男子はすべて、直系の子孫はもちろんのこと、家で生まれた奴隷も、外国人から買い取った奴隷であなたの子孫でない者も皆、生れてから八日目に割礼を受けなければならない。 13 あなたのお家で生まれた奴隷も、買い取った奴隷も、必ず割礼を受けなければならない。それによって、わたしの契約はあなたの体に記されて永遠の契約となる。 14 包皮の部分を切り取らない無割礼の男がいたなら、その人は民の間から断たれる。わたしの契約を破ったからである。」 15 神はアブラムに言われた。「あなたの妻サライは、名前をサライではなく、サラと呼びなさい。 16 わたしは彼女を祝福し、彼女によってあなたに男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福し、諸国民の母とする。諸民族の王となる者たちが彼女から出る。」 17 アブラハムひれ伏した。しかし笑って、ひそかに言った。「百歳の男に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラに子供が産めるだろうか。」 18 アブラハムは神に言った。「どうか、イシュマエルが御前に生き永らえますように。」 19 神は言われた。「いや、あなたの妻サラがあなたとの間に男の子を産む。その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい。わたしは彼と契約を立て、彼の子孫のために永遠の契約とする。 20 イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。 21 しかし、わたしの契約は、来年の今ごろ、サラがあなたとの間に産むイサクと立てる。」 22 神はこう語り終えると、アブラハムを離れて昇って行かれた。 23 アブラハムは、息子のイシュマエルをはじめ、家で生まれた奴隷や買い取った奴隷など、自分の家にいる人々のうち、男子を皆集めて、すぐその日に、神が命じられたとおり包皮に割礼を施した。 24 アブラハムが包皮に割礼を受けたのは、九十九歳、 25 息子イシュマエルが包皮に割礼を受けたのは、十三歳であった。 26 アブラハムと息子のイシュマエルは、すぐその日に割礼を受けた。 27 アブラハムの家の男子は、家で生まれた奴隷も外国人から買い取った奴隷も皆、共に割礼を受けた。

創世記 イサクの誕生の予告
18
1 主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。 2 目を上げて見ると、三人の人が彼に向って立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、 3 言った。「お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。 4 水を少々持ってこさせますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。 5 何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。」その人たちは言った。「では、お言葉どおりにしましょう。」 6 アブラハムは急いで天幕に戻り、サラのところに来て言った。「早く、上等の小麦粉を三セアほどこねて、パン菓子をこしらえなさい。」 7 アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔らかくておいしそうな子牛を選び、召し使いに渡し、急いで料理をさせた。 8 アブラハムは、凝乳、乳、出来立ての子牛の料理などを選び、彼らの前に並べた。そして、彼らが木陰で食事をしている間、そばに立って給仕をした。 9 彼らはアブラハムに尋ねた。「あなたの妻のサラはどこにいますか。」「はい、天幕の中におります」とアブラハムが答えると、 10 彼らの一人が言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。」サラは、すぐ後ろの天幕の入り口で聞いていた。 11 アブラハムもサラも多くの日を重ねて老人になっており、しかもサラは月のものがとうになくっていた。 12 サラはひそかに笑った。自分は年をとり、もはや楽しみがあるはずもなし、主人も年老いているのに、と思ったのである。13 主はアブラハムに言われた。「なぜサラは笑ったのか。なぜ年をとった自分に子供が生まれるはずがないと思ったのだ。 14 主に不可能なことがあろうか。来年の今ごろ、わたしはここに戻ってくる。そのころ、サラには必ず男の子が生まれている。」 15 サラは恐ろしくなり、打ち消して言った。「わたしは笑いませんでした。」主は言われた。「いや、あなたは確かに笑った。」

創世記 ソドムのための執り成し
16 その人たちはそこを立って、ソドムを見下ろす所まで来た。アブラハムも、彼らを見送るために一緒に行った。 17 主は言われた。「わたしが行おうとしていることをアブラハムに隠す必要があろうか。 18 アブラハムは大きな強い国民になり、世界のすべての国民は彼によって祝福に入る。 19 わたしがアブラハムを選んだのは、彼が息子たちとその子孫に、主の道を守り、主に従って正義を行うよう命じて、主がアブラハムに約束したことを成就するためである。 20 主は言われた。「ソドムとゴモラの罪は非常に重い、と訴える叫びが実に大きい。 21 わたしは降って行き、彼らの行跡が、果たして、わたしに届いた叫びのとおりかどうか見て確かめよう。」 22 その人たちは、更にソドムの方に向かったが、アブラハムはなお、主の御前にいた。 23 アブラハムは進み出て言った。「もことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 24 あの町に正しい者が五十人いるとしても、それでも滅ぼし、その五十人の正しい者のために、町をお赦しにはならないのですか。 25 正しい者を悪い者と一緒に殺し、正しい者を悪い者と同じ目に遭わせるようなことを、あなたがなさるはずはございません。全くありえないことです。全世界を裁くお方は、正義を行われるべきではありませんか。」 26 主は言われた。「もしソドムの町に正しい者が五十人いるならば、その者たちのために、町を全部赦そう。」 27 アブラハムは答えた。「塵にすぎないわたしですが、あえて、わが主に申し上げます。 28 もしかすると、五十人の正しい者に五人足りないかもしれません。それでもあなたは、五人たりないために、町のすべてを滅ぼされますか。」主は言われた。「もし、四十五人いれば滅ぼさない。」 29 アブラハムは重ねて言った。「もしかすると、四十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その四十人のためにわたしはそれをしない」 30 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう少し言わせてください。もしかすると、そこには三十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「もし三十人いるならわたしはそれはしない。」 31 アブラハムは言った。「あえて、わが主に申し上げます。もしかすると、二十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その二十人のためにわたしは滅ぼさない。」 32 アブラハムは言った。「主よ、どうかお怒りにならずに、もう一度だけ言わせてください。もしかすると、十人しかいないかもしれません。」主は言われた。「その十人のためにわたしは滅ぼさない。」 33 主はアブラハムと語り終えると、去って行かれた。アブラハムも自分の住まいに帰った。

創世記 ソドムの滅亡
19
1 二人の御使いが夕方ソドムに着いたとき、ロトはソドムの門の所に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上って迎え、地にひれ伏して、 2 言った。 「皆様方、どうぞ僕(しもべ)の家に立ち寄り、足を洗ってお泊りください。彼らは言った。「いや、結構です。わたしたちはこの広場で夜を過ごします。」 3 しかし、ロトがぜひにと勧めたので、彼らはロトの所に立ちよることにし、彼の家を訪ねた。ロトは、酵母を入れないパンを焼いて食事を供し、彼らをもてなした。 4 彼らがまだ床に就かないうちに、ソドムの町の男たちが、若者も年寄りもこぞって押しかけ、家を取り囲んで、 5 わめきたてた。 「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れてこい。なぶりものにしてやるから。」 6 ロトは、戸口の前にたむろしている男たちのところへ出て行き、後ろの戸を閉めて、 7 言った。 「どうか、皆さん、乱暴なことはしないでください。 8 実は、わたしにはまだ嫁がせていない娘が二人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。ただ、あの方々には何もしないでください。この家の屋根の下に身を寄せていただいたのですから。」 9 男たちは口々に言った。 「そこをどけ」 「こいつはよそ者のくせに、指図などして。」 「さあ、彼らより先に、お前を痛い目に遭わせてやる。」 そして、ロトに詰め寄って体を押しつけ、戸を破ろうとした。 10 二人の客はそのとき、手を伸ばして、ロトを家の中に引き入れて戸を閉め、 11 戸口の前に入る男たちに、老若を問わず、目つぶしを食わせ、戸口を分からなくした。 12 二人の客はロトに言った。 「ほかに、あなたの身内の人がこの町にいますか。あなたの婿や息子や娘などを皆連れてここから逃げなさい。 13 実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。大きな叫びが主にもとに届いたので、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」 14 ロトは嫁いだ娘たちの婿のところへ行き、「さあ早くここから逃げるのだ。主がこの町を滅ぼされるからだ」と促したが、婿たちは冗談だと思った。 15 夜が明けるころ、御使いたちはロトをせきたてて言った。「さあ早く、あなたの妻とここにいる二人の娘を連れて行きなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう。」 16 ロトはためらっていた。主は憐れんで、二人の客にロト、妻、二人の娘の手をとらせて町の外へ避難するようにされた。 17 彼らがロトたちを町外れへ連れ出したとき、主は言われた。 「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる。」 18 ロトは言った。 「主よ、できません。 19 あなたは僕(しもべ)に目を留め、慈しみを豊かに示し、命を救おうとしています。しかし、わたしは山まで逃げ延びることはできません。恐らく、災害に巻き込まれて、死んでしまうのでしょう。 20 御覧ください、あの町を。あそこなら近いので、逃げて行けると思います。あれは小さな町です。あそこへ逃げさせてください。あれはほんの小さな町です。どうか、そこでわたしの命を救ってください。」 21 主は言われた。 「よろしい。そのこともあなたの願いを聞き届け、あなたの言うその町は滅ぼさないことにしよう。 22 急いで逃げなさい。あなたがあの町に着くまでは、わたしは何も行わないから。」 そこで、その町はツォアル(小さい)と名付けられた。 23 太陽が地上に昇ったとき、ロトはツォアルに着いた。 24 主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、 25 これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした。 26 ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった。 27 アブラハムは、その朝早く起きて、さきに主と対面した場所へ行き、 28 ソドムとゴモラ、および低地一帯を見下ろすと、炉の煙のように地面から煙が立ち上っていた。 29 こうして、ロトの住んでいた低地の町々は滅ぼされたが、神はアブラハムを御心に留め、ロトを破滅のただ中から救い出された。

創世記 ロトの娘たち
30 ロトはツォアルを出て、二人の娘と山の中に住んだ。ツォアルに住むのを恐れたからである。彼は洞穴に二人の娘と住んだ。 31 姉は妹に言った。 「父も年老いてきました。この辺りには、世のしきたりに従って、わたしたちのところへ来てくれる男の人はいません。 32 さあ、父にぶどう酒を飲ませ、床を共にし、父から子種を受けましょう。」 33 娘たちはその夜、父親にぶどう酒を飲ませ、姉がまず、父親のところへ入って寝た。 父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 34 あくる日、姉は妹に言った。 「わたしは夕べ父と寝ました。 今晩も父にぶどう酒を飲ませて、あなたが行って父と床を共にし、父から子種をいただきましょう。」 35 娘たちはその夜もまた、父親にぶどう酒を飲ませ、妹が父親のところへ行って寝た。父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気がつかなかった。 36 このようにして、ロトの二人の娘は父の子を身ごもり、 37 やがて、姉は男の子を産み、モアブ(父親より)と名付けた。 彼は今日のモアブ人の先祖である。 38 妹もまた男の子を産み、ベン・アミ(わたしの肉親の子)と名付けた。彼は今日のアンモン人の人々の先祖である。

創世記 ゲラル滞在
20
1 アブラハムは、そこからネゲブ地方に移り、カデシュとシュルの間に住んだ。 ゲラルに滞在していたとき、 2 アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやってサラを召し入れた。 3 その夜、夢の中でアビメレクに神が現れて言われた。 「あなたは、召し入れた女のゆえに死ぬ。その女は夫のある身だ。」 4 アビメレクは、まだ彼女に近づいていなかったので、「主よ、あなたは正しい者でも殺されるのですか。 5 彼女が妹だと言ったのは彼ではありませんか。 また彼女自身も、『あの人はわたしの兄です』と言いました。 わたしは、全くやましい考えも不正な手段でもなくこの事をしたのです。」と言った。 6 神は夢の中でアビメレクに言われた。 「わたしも、あなたが全くやましい考えでなしにこの事をしたことは知っている。 だからわたしも、あなたがわたしに対して罪を犯すことのないように、彼女に触れさせなかったのだ。 7 直ちに、あの人の妻を返しなさい。 彼は預言者だから、あなたのために祈り、命を救ってくれるだろう。 しかし、もし返さなければ、あなたもあなたの家来も皆、必ず死ぬことを覚悟せねばならない。」 8 つぎの朝早く、アビレメクは家来たちを残らず呼び集め、一切の出来事を語り聞かせたので、一同は非常に恐れた。 9 アビレメクはそれから、アブラハムを呼んで言った。 「あなたは我々に何ということをしたのか。 わたしがあなたにどんな罪を犯したというので、あなたはわたしとわたしの王国に大それた罪を犯させようとしたのか。 あなたは、してはならぬことをわたしにしたのだ。」 10 アビレメクは更に、アブラハムに言った。 「どういうつもりで、こんなことをしたのか。」 11 アブラハムは答えた。 「この土地には、神を畏れることが全くないので、わたしは妻のゆえに殺されると思ったのです。 12 事実、彼女は、わたしの妹でもあるのです。 わたしの父の娘ですが、母の娘ではないのです。 それで、わたしの妻となったのです。 13 かって、神がわたしを父の家から離して、さすらいの旅に出されたとき、わたしは妻に、『わたしに尽くすと思って、どこへ行っても、わたしのことを、この人は兄ですと言ってくれないか』 と頼んだのです。 14 アビメレクは羊、牛、男女の奴隷などを取ってアブラハムに与え、また、妻サラを返して、 15 言った。 「この辺りはすべてわたしの領土です。 好きな所にお住まいください。」 16 また、サラに言った。 「わたしは、銀一千シュケルをあなたの兄上に贈りました。 それは、あなたとの間のすべての出来事の疑惑を晴らす証拠です。 これであなたの名誉は取り戻されるでしょう。」 17 アブラハムが神に祈ると、神はアビメレクとその妻、および侍女たちをいやされたので、再び子供を産むことができるようになった。 18 主がアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの宮廷のすべての女たちの胎を堅く閉ざしておられたからである。

創世記 イサクの誕生 21
1 主は、約束されたとおりサラを顧み、さきに語られたとおりサラのために行われたので、 2 彼女は身ごもり、年老いたアブラハムとの間に男の子を産んだ。 それは、神が約束されていた時期であった。 3 アブラハムは、サラが産んだ自分の子をイサクと名付け、 4 神が命じられたとおり、八日目に、息子イサクに割礼を施した。 5 息子イサクが生まれたとき、アブラハムは百歳であった。 6 サラは言った。 「神はわたしに笑いをお与えになった。 聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう。」 7 サラはまた言った。 「誰がアブラハムに言いえたでしょう サラは子に乳を含ませるだろうと。 しかしわたしは子を産みました 年老いた夫のために。」 8 やがて、子供は育って乳離れした。 アブラハムはイサクの乳離れの日に盛大な祝宴を開いた。 

創世記 ハガルとイシュマエル
9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、 10 アブラハムに訴えた。 「あの女とあの子を追い出してください。 あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」 11 このことはアブラハムを非常に苦しめた。 その子も自分の子であったからである。 12 神はアブラハムに言われた。 「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。 すべてサラが言うことに聞き従いなさい。 あなたの子孫はイサクによって伝えられる。 13 しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。 彼もあなたの子であるからだ。」 14 アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。 ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。 15 革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、 16 「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。 彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。 17 神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。 「ハガルよ、どうしたのか。 恐れることはない。 神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。 18 立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。 わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」 19 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。 彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。 20 神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。 21 彼がバランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。

創世記 アビメレクとの契約
22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。 「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。 23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。 わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」 24 アブラハムは答えた。 「よろしい。誓いましょう。」 25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。 26 アビメレクは言った。 「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。 あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」 27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。 28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の子羊を別にしたので、 29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。 「この七匹の雌の子羊を別にしたのは、何のためですか。」 30 アブラハムは答えた。 「わたしの手からこの七匹の雌の子羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」 31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。 二人がそこで誓いを交わしたからである。 32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。 33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。 34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。

創世記 アブラハム、イサクをささげる
22

1 これらのことの後で、神はアブラハムを試された。 神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、「はい」と答えると、 2 神は命じられた。 「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。 わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」 3 次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられた所に向って行った。 4 三日目になって、アブラハムが目を凝らすと、遠くにその場所が見えたので、 5 アブラハムは若者に言った。 「お前たちは、ろばと一緒にここで待っていなさい。 わたしと息子はあそこへ行って、礼拝をして、また戻ってくる。」 6 アブラハムは、焼き尽くす献げ物に用いる薪を取って、息子イサクに背負わせ、自分は火と刃物を手に持った。 二人は一緒に歩いて行った。 7 イサクは父アブラハムに、「わたしのお父さん」と呼びかけた。 彼が、「ここにいる。 わたしの子よ」と答えると、イサクは言った。 「火と薪はここにありますが、焼き尽くす献げ物にする子羊はどこにいるのですか。」 8 アブラハムは答えた。 「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の子羊はきっと神が備えてくださる。」 二人は一緒に歩いて行った。 9 神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。 10 そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。 11 そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。 彼が、「はい」と答えると、 12 御使いは言った。 「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」 13 アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの木の茂みに一匹の雄羊が角を取られていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。 14 アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで、人々は今日でも、「主の山に、備えあり(イエラエ)と言っている。 15 主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。 16 御使いは言った。 「わたしは自らにかけて誓う、と主は言われる。あなたがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、 17 あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は敵の城門を勝ち取る。 18 地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。 19 アブラハムはベエル・シェバに住んだ。 

創世記 ナホルの子孫
20 これらのことの後で、アブラハムに知らせが届いた。「ミルカもまた、あなたの兄弟ナホルとの間に子供を産みました。 21 長男はウツ、その弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 22 それからケセド、ハゾ、ピルダシュ、イドラフ、ベトエルです。」 23 ベトエルはリベカの父となった。 ミルカは、アブラハムの兄弟ナホルとの間にこれら八人の子供を産んだ。 24 ナホルの側女で、レウマという女性もまた、テバ、ガハム、タハシュ、マアカを産んだ。 

創世記 サラの死と埋葬
23

1 サラの生涯は百二十七年であった。これがサラの生きた年数である。 2 サラは、カナン地方のキルヤト・アルバ、すなわちネブロンで死んだ。アブラハムは、サラのために胸を打ち、嘆き悲しんだ。 3 アブラハムは、遺体の傍らから立ち上がり、ヘトの人人に頼んだ。 4 「わたしは、あなたがたのところに一時滞在する寄留者ですが、あなたがたが所有する墓地を譲ってくださいませんか。亡くなった妻を葬ってやりたいのです。」 5 ヘトの人々はアブラハムに答えた。「どうか、 6 御主人、お聞きください。あなたは、わたしどもの中で神に選ばれた方です。どうぞ、わたしどもの最も良い墓地を選んで、亡くなられた方を葬ってください。わたしどもの中には墓地の提供を拒んで、亡くなられた方を葬らせない者など、一人もいません。」 7 アブラハムは改めて国の民であるヘトの人々に挨拶をし、 8 頼んだ。 「もし、亡くなった妻を葬ることをお許しいただけるなら、ぜひ、わたしの願いを聞いてください。ツォハルの子、エフロンにお願いして、 9 あの方の畑の端にあるマクペラノ洞穴を譲っていただきたいのです。十分な銀をお支払いしますから、皆様方の間に墓地を所有させてください。」 10 エフロンはそのとき、ヘトの人々の間に座っていた。 ヘトの人エフロンは、町の門広場に集まって来たすべてのヘトの人々が聞いているところで、アブラハムに答えた。 11 「どうか、御主人、お聞きください。あの畑は差し上げます。あそこにある洞穴も差し上げます。わたしの一族が立ち会っているところで、あなたに差し上げますから、早速、亡くなられた方を葬ってください。」 12 アブラハムは国の民の前で挨拶をし、 13 国の民の聞いているところで、エフロンに頼んだ。 「わたしの願いを聞き入れてくださるなら、どうか、畑の代金を払わせてください。どうぞ、受け取ってください。そうすれば、亡くなった妻をあそこに葬ってやれます。」 14 エフロンはアブラハムに答えた。「どうか、 15 御主人、お聞きください。あの土地は銀四百シェケルのものです。それがあなたとわたしの間で、どれほどのことでしょう。早速、亡くなられた方を葬ってください。」 16 アブラハムはこのエフロンの言葉を聞き入れ、エフロンがヘトの人々が聞いているところで言った値段、銀四百シェケルを商人の通用銀の重さで量り、エフロンに渡した。 17 こうして、マレムの前のマクペラにあるエフロンの畑は、土地とそこの洞穴と、その周囲の境界内に生えている木を含め、 18 町の門の広場に来ていたすべてのヘトの人々の立ち会いのもとに、アブラハムの所有となった。 19 その後アブラハムは、カナン地方のヘブロンにあるマレムの前のマクペラの畑の洞穴に妻のサラを葬った。 20 その畑とそこの洞穴は、こうして、ヘトの人々からアブラハムが買い取り、墓地として所有することになった。

イサクとリベカの結婚 24
1 アブラハムは多くの日を重ね老人になり、主は何事においてもアブラハムに祝福をお与えになっていた。 2 アブラハムは家の全財産を任せている年寄りの僕に言った。 「手をわたしの腿の間に入れ、 3 天の神、地の神である主にかけて誓いなさい。 あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今住んでいるカナンの娘から取るのではなく、 4 わたしの一族のいる故郷に行って、嫁を息子イサクのために連れて来るように。」 5 僕は尋ねた。 「もしかすると、その娘がわたしに従ってこの土地へ来たくないと言うかもしれません。 その場合には、御子息をあなたの故郷にお連れしてよいでしょうか。」 6 アブラハムは答えた。 「決して、息子をあちらへ行かせてはならない。 7 天の神である主は、わたしを父の家、生まれ故郷から連れ出し、『あなたの子孫にこの土地を与える』と言って、わたしに誓い、約束してくださった。 その方がお前の行く手に御使いを遣わして、そこから息子に嫁を連れて来ることができるようにしてくださる。 8 もし女がお前に従ってこちらへ来たくないと言うならば、お前は、わたしに対するこの誓いを解かれる。 ただわたしの息子をあちらへ行かせることだけはしてはならない。」 9 そこで、僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓った。 




タグ: 創世記
posted by 202013 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧約聖書
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