エジプトでのイスラエル人 1-1〜
1 ヤコブと共に一家を挙げてエジプトへ下ったイスラエルの子らの名前は次のとおりである。 2 ルベン、シメオン、レビ、ユダ、 3 イサカル、ゼブルン、ベニヤミン、 4 ダン、ナフタリ、ガド、アシェル。 5 ヤコブの腰から出た子、孫の数は全部で七十人であった。 ヨセフは既にエジプトにいた。
6 ヨセフもその兄弟たちも、その世代の人々も皆、死んだが、 7 イスラエルの人々は子を産み、おびただしく数を増し、ますます強くなって国中に溢れた。 8 そのころ、ヨセフのことを知らない新しい王が出てエジプトを支配し、 9 国民に警告した。
「イスラエル人という民は、今や、我々にとってあまりに数多く、強力になりすぎた。 10 抜かりなく取り扱い、これ以上の増加を食い止めよう。 一度戦争が起これば、敵側に付いて我々と戦い、この国を取るかもしれない。」
11エジプト人はそこで、イスラエルの人々の上に強制労働の監督を置き、重労働を課して虐待した。 イスラエルの人々はファラオの物資貯蔵の町、ピトムとラメセスを建設した。 12 しかし、虐待されればされるほど彼らは増え広がったので、エジプト人はますますイスラエルの人々を嫌悪し、 13 イスラエルの人々を酷使し、14 粘土こね、れんが焼き、あらゆる農作業などの重労働によって彼らの生活を脅かした。 彼らが従事した労働はいずれも過酷を極めた。
男児殺害の命令
15 エジプト王は二人のヘブライ人の助産婦に命じた。 一人はシフラといい、もう一人はプアといった。 16 「お前たちがヘブライ人の女の出産を助けるときには、子供の性別を確かめ、男の子ならば殺し、女の子ならば生かしておけ。」 17 助産婦はいずれも神を畏れていたので、エジプト王が命じたとおりにはせず、男の子も生かしておいた。 18 エジプト王は彼女たちを呼びつけて問いただした。 「どうしてこのようなことをしたのだ。 お前たちは男の子を生かしているではないか。」 19 助産婦はファラオに答えた。 「ヘブライ人の女はエジプト人の女性とは違います。 彼女たちは丈夫で、助産婦が行く前に産んでしまうのです。」 20 神はこの助産婦たちに恵みを与えられた。 民は数を増し、甚だ強くなった。 21 助産婦たちは神を畏れていたので、神は彼女たちにも子宝を恵まれた。
モーセの生い立ち
22 ファラオは全国民に命じた。 「生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。 女の子は皆、生かしておけ。」
2
1 レビの家の出のある男が同じレビ人の娘をめとった。 2 彼女は身ごもり、男の子を産んだが、その子がかわいかったのを見て、三か月の間隠しておいた。 3 しかし、もはや隠しきれなくなったので、パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。
4 その子の姉が遠くに立って、どうなることかと様子を見ていると、 5 そこへ、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りて来た。 その間侍女たちは川岸を行き来していた。 王女は、葦の茂みの間に籠をみつけたので、仕え女をやって取って来させた。 6 開けてみると赤ん坊がおり、しかも男の子で、泣いていた。 王女はふびんに思い、「これは、きっと、ヘブライ人の子です」と言った。 7 そのとき、その子の姉がファラオの王女に申し出た。 「この子に乳を飲ませるヘブライ人の乳母を呼んで参りましょうか。」
8 「そうしておくれ」と、王女が頼んだので、娘は早速その子の母を連れて来た。 9 王女が、「この子を連れて行って、わたしに代わって乳を飲ませておやり。 手当てはわたしが出しますから」と言ったので、母親はその子を引き取って乳を飲ませ、 10その子が大きくなると、王女のもとへ連れていった。 その子はこうして、王女の子となった。 王女は彼をモーセと名付けて言った。 「水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。」
エジプトからの逃亡
11 モーセが成人したころのこと、彼は同胞のところへ出て行き、彼らが重労働に服しているのを見た。 そして一人のエジプト人が、同胞であるヘブライ人の一人を打っているのを見た。 12 モーセは辺りを見回し、だれもいないのを確かめると、そのエジプト人を打ち殺して死体を砂に埋めた。 13 翌日、また出て行くと、今度はヘブライ人どうしが二人でけんかをしていた。 モーセが、「どうして自分の仲間を殴るのか」と悪い方をたしなめると、 14 「誰がお前を我々の監督や裁判官にしたのか。 お前はあのエジプト人を殺したように、このわたしを殺すつもりか」と言い返したので、モーセは恐れ、さてはあの事が知れたのかと思った。 15 ファラオはこの事を聞き、モーセを殺そうと尋ね求めたが、モーセはファラオの手を逃れてミディアン地方にたどりつき、とある井戸の傍らに腰を下ろした。 16 さて、ミディアンの祭司に七人の娘がいた。 彼女たちがそこへ来て水をくみ、水ぶねを満たし、父の羊の群れに飲ませようとしたところへ、 17 羊飼いの男たちが来て、娘たちを追い払った。 モーセは立ち上がって娘たちを救い、羊の群れに水を飲ませてやった。 18 娘たちが父レウエルのところに帰ると、父は、「どうして今日はこんなに早く帰れたのか」と尋ねた。 19 彼女たちは言った。
「一人のエジプト人が羊飼いの男たちからわたしたちを助け出し、わたしたちのために水をくんで、羊に飲ませてくださいました。」
20 父は娘たちに言った。 「どこにおられるのだ、その方は。 どうして、お前たちはその方をほうっておくのだ。 呼びに行って、食事を差し上げなさい。」
21 モーセがこの人のもとにとどまる決意をしたので、彼は自分の娘ツィポラをモーセと結婚させた。 22 彼女は男の子を産み、モーセは彼をゲルショムと名付けた。 彼が、「わたしは異国にいる寄留者(ゲール)だ」と言ったからである。
23 それから長い年月がたち、エジプト王は死んだ。 その間イスラエルの人々は労働のゆえにうめき、叫んだ。 労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。 24 神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。 25 神はイスラエルの人々を顧み、御心に留められた。
モーセの召命 3
1 モーセは、しゅうとでありミディアンの祭司であるエトロの羊の群れ飼っていたが、あるとき、その群れを荒れ野の奥へ追って行き、神の山ホレブに来た。 2 そのとき、柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れた。 彼が見ると、見よ、柴は火に燃えているのに、柴は燃え尽きない。 3 モーセは言った。 「道をそれて、この不思議な光景を見届けよう。 どうしてあの柴は燃え尽きないのだろう。」
4 主は、モーセが道をそれて見に来るのを御覧になった。 神は柴の間から声をかけられ、「モーセよ、モーセよ」と言われた。 彼が、「はい」と答えると、 5 神が言われた。 「ここに近づいてはならない。 足から履物を脱ぎなさい。 あなたの立っている場所は聖なる土地だから。」 6 神は続けて言われた。 「わたしはあなたの父の神である。 アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」 モーセは、神を見ることを恐れて顔を覆った。
7 主は言われた。 「わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。 8 それゆえ、わたしは降って行き、エジプト人の手から彼らを救い出し、この国から、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の住む所へ彼らを導き上る。
9 見よ、イスラエルの人々の叫び声が、今、わたしのもとに届いた。 また、エジプト人が彼らを圧迫する有様を見た。 10 今、行きなさい。 わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。 わが民イスラエルの人々をエジプトから連れ出すのだ。」
11モーセは神に言った。 「わたしは何者でしょう。 どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか。」 12 神は言われた。 「わたしは必ずあなたと共にいる。 このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである。 あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える。」
13 モーセは神に尋ねた。
「わたしは、今、イスラエルの人々のところへ参ります。 彼らに、『あなたたちの先祖の神が、わたしをここに遣わされたのです』と言えば、彼らは、『その名は一体何か』と言うにちがいありません。 彼らに何と答えるべきでしょうか。」
14 神はモーセに、「わたしはある。 わたしはあるという者だ」と言われ、また、「イスラエルの人々にこう言うがよい。 『わたしはある』という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと。」 15 神は、更に続けてモーセに命じられた。
「イスラエルの人々にこう言うがよい。 あなたたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主がわたしをあなたたちのもとに遣わされた。
これこそ、とこしえにわたしの名
これこそ、世々にわたしの呼び名
16 さあ、行って、イスラエルの長老を集め、言うがよい。 『あなたたちの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である主がわたしに現れて、こう言われた。 わたしはあなたたちを顧み、あなたたちがエジプトで受けてきた仕打ちをつぶさに見た。 17 あなたたちを苦しみのエジプトから、カナン人、ヘト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の住む乳と蜜の流れる土地へ導き上ろうと決心した』と。 18 彼らはあなたの言葉に従うであろう。 あなたはイスラエルの長老たちを伴い、エジプト王のもとに行って彼に言いなさい。 『ヘブライ人の神、主がわたしたちに出現されました。 どうか、今、三日の道のりを荒れ野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。』 19 しかしわたしは、強い手を用いなければ、エジプト王が行かせないことを知っている。 20 わたしは自ら手を下しあらゆる驚くべき業をエジプトの中で行い、これを打つ。 その後初めて、王はあなたたちを去らせるであろう。
21 そのとき、わたしは、この民にエジプト人の好意を得させるようにしよう。 出国に際して、あなたたちは何も持たずに出ることはない。 22 女は皆、隣近所や同居の女たちに金銀の装身具や外套を求め、それを自分の息子、娘の身に着けさせ、エジプト人からの分捕り物としなさい。
使命に伴うしるし 4
1 モーセは逆らって、「それでは彼らは、『主がお前などに現れるはずがない』と言って、信用せず、わたしの言うことを聞かないでしょう」と言うと、 2 主は彼に、「あなたが手に持っているものは何か」と言われた。 彼が、「杖です」と答えると、 3 主は、「それを地面に投げよ」と言われた。 彼が杖を地面に投げると、それが蛇になったのでモーセは飛びのいた。
4 主はモーセに、「手を伸ばして、尾をつかめ」と言われた。 モーセが手を伸ばしてつかむと、それは手の中で杖に戻った。 5 「こうすれば、彼らは先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主があなたに現れたことを信じる。」 6 主は更に、「あなたの手をふところに入れなさい」と言われた。 モーセは手をふところに入れ、それから出してみると、驚いたことには、手は重い皮膚病にかかり、雪のように白くなっていた。 7 主が、「手をふところに戻すがよい」と言われたので、ふところに戻し、それから出してみると、元の肌になっていた。 8 「たとえ、彼らがあなたを信用せず、最初のしるしが告げることは信じる。 9 しかし、この二つのしるしのどちらも信ぜず、またあなたの言うことも聞かないならば、ナイル川の水をくんできて乾いた地面にまくがよい。 川からくんできた水は地面で血に変わるであろう。」
10 それでもなお、モーセは主に言った。 「ああ、主よ。 わたしはもともと弁が立つ方ではありません。 あなたが僕にお言葉をかけてくださった今でもやはりそうです。 全くわたしは口が重く、舌の重い者なのです。」 11 主は彼に言われた。 「一体、誰が人間に口を与えたのか。 一体、誰が口を利けないようにし、耳を聞こえないようにし、目を見えるようにし、また見えなくするのか。 主なるわたしではないか。 12 さあ、行くがよい。 このわたしがあなたの口と共にあって、あなたが語るべきことを教えよう。 13 モーセは、なおも言った。 「ああ主よ。 どうぞ、だれかほかの人を見つけてお遣わしください。」
14 主はついに、モーセに向かって怒りを発して言われた。
「あなたにはレビ人アロンという兄弟がいるではないか。 わたしは彼が雄弁なことを知っている。 その彼が今、あなたに会おうとして、こちらに向かっている。 あなたに会ったら、心から喜ぶであろう。 15 彼によく話し、語るべき言葉を彼の口に託すがよい。 わたしはあなたの口と共にあり、また彼の口と共にあって、あなたたちのなすべきことを教えよう。 16 彼はあなたに代わって民に語る。 彼はあなたの口となり、あなたは彼に対して神の代わりとなる。 17 あなたはこの杖を手に取って、しるしを行うがよい。
モーセ、エジプトに戻る
18 モーセがしゅうとのエトロのもとに帰って、「エジプトにいる親族のもとへ帰らせてください。 まだ元気でいるかどうか見届けたいのです」と言うと、エトロは言った。 「無事で行きなさい。」
19 主は、ミディアンでモーセに言われた。
「さあ、エジプトに帰るがよい、あなたの命をねらっていた者は皆、死んでしまった。」 20 モーセは、妻子をろばに乗せ、手には神の杖を携えて、エジプトの国を指して帰って行った。 21 主はモーセに言われた。
「エジプトに帰ったら、わたしがあなたの手に授けたすべての奇跡を、心してファラオの前で行うがよい。 しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、王は民を去らせないであろう。 22 あなたはファラオに言うがよい。 主はこう言われた。 『イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。 23 わたしの子を去らせてわたしに仕えさせようと命じたのに、お前はそれを断った。 それゆえ、わたしはお前の子、お前の長子を殺すであろう』と。」
24 途中、ある所に泊まったとき、主はモーセと出会い、彼を殺そうとされた。 25 ツィポラは、とっさに石刀を手にして息子の包皮を切り取り、それをモーセの両足に付け、「わたしにとって、あなたの血の花婿です」と叫んだので、 26 主は彼を放された。 彼女は、そのとき、割礼のゆえに「血の花婿」と言ったのである。 27 主はアロンに向かって、「さあ、荒れ野へ行って、モーセに会いなさい」と命じられたので、彼は出かけて行き、神の山でモーセと会い、口づけした。 28 モーセは自分を遣わされた主の言葉と、命じられたしるしをすべてアロンに告げた。 29 モーセはアロンを伴って出かけ、イスラエルの人々の長老を全員集めた。 30 アロンは主がモーセに語られた言葉をことごとく語り、民の面前でしるしを行ったので、 31 民は信じた。 また、主が親しくイスラエルの人々を顧み、彼らの苦しみを御覧になったということを聞き、ひれ伏して礼拝した。
ファラオの交渉 5
1 その後、モーセとアロンはファラオのもとに出かけて行き、言った。 「イスラエルの神、主がこう言われました。 『わたしの民を去らせて、荒れ野でわたしのために祭りを行わせなさい』と。 2 ファラオは、「主とは一体何者なのか。 どうして、その言うことをわたしが聞いて、イスラエルを去らせねばならないのか。 わたしは主など知らないし、イスラエルを去らせはしない」と答えた。 3 二人は言った。 「ヘブライ人の神がわたしたちに出現されました。 どうか、三日の道のりを荒れ野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。 そうしないと、神はきっと疫病か剣でわたしたちを滅ぼされるでしょう。」
4 エジプト王は彼らに命じた。 「モーセとアロン、お前たちはなぜ彼らを仕事から引き離そうとするのだ。 お前たちも自分の労働に戻るがよい。」 5 ファラオは更に、言った。 「この国にいる者の数が増えているのに、お前たちは彼らに労働をやめさせようとするのか。」 6 ファラオはその日、民を追い使う者と下役の者に命じた。 7 「これからは、今までのように、彼らにれんがを作るためのわらを与えるな。 わらは自分たちで集めさせよ。 8 しかも、今まで彼らが作ってきた同じれんがの数量を課し、減らしてはならない。 彼らは怠け者なのだ。 だから、自分たちの神に犠牲をささげに行かせてくれなどと叫ぶのだ。 9 この者たちは、仕事をきつくすれば、偽りの言葉に心を寄せることはなくなるだろう。」
10 民を追い使う者と下役の者は出て行き、民に向かって、「ファラオはこう言われる。 『今後、お前たちにわらは一切与えない。 11 お前たちはどこにでも行って、自分でわらを見つけて取って来い。 ただし、仕事の量は少しも減らさない』と言ったので、 12 民はエジプト中に散ってわらの切り株まで集めた。 13 追い使う者たちは、「わらがあったときと同じように、その日の割り当てをその日のうちに仕上げろ」と言って、せきたてた。 14 ファラオに任命された追い使う者たちは、監督として置いたイスラエルの人々の下役の者らに、「どうして、今までと同じ決められた量のれんがをその日のうちに仕上げることができないのか」と言って、彼らを打ったので、 15 イスラエルの人々の下役の者らはファラオのもとへ行って、訴えた。 「どうしてあなたは僕たちにこのようにされるのですか。 16 僕らにはわらが与えられません。 それでも、れんがを作れと言われて、僕らは打たれているのです。 間違っているのはあなたの民の方です。」 17 彼は言った。 「この怠け者めが。 お前たちは怠け者なのだ。 だから、主に犠牲をささげに行かせてくださいなどと言うのだ。 18 すぐに行って働け。 わらは与えない。 しかし、割り当てられた量のれんがは必ず仕上げよ。」 19 イスラエルの人人の下役の者たちは、「れんがの一日の割り当ては減らすな」と命じられて、自分たちが苦境に立たされたことを悟った。
20 彼らがファラオのもとから退出して来ると、待ち受けていたモーセとアロンに会った。 21 彼らは、二人に抗議した。 「どうか、主があなたたちに現れてお裁きになるように。 あなたたちのお陰で、我々はファラオとその家来たちに嫌われてしまった。 我々を殺す剣を彼らの手に渡したのと同じです。」 22 モーセは主のもとに帰って、訴えた。
「わが主よ。 あなたはなぜ、この民に災いをくだされるのですか。 わたしを遣わされたのは、一体なぜですか。 23 わたしがあなたの御名によって語るため、ファラオのもとに行ってから、彼はますますこの民を苦しめています。 それなのに、あなたは御自分の民を全く救い出そうとされません。」
6
1 主はモーセに言われた。
「今や、あなたは、わたしがファラオにすることを見るであろう。 わたしの強い手によって、ファラオはついに彼らを去らせる。 わたしの強い手によって、ついに彼らを国から追い出すようになる。」
モーセの使命
2 神はモーセに仰せになった。 「わたしは主である。 3 わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに全能の神として現れたが、主というわたしの名を知らせなかった。 4 わたしはまた、彼らと契約を立て、彼らが寄留していた寄留地であるカナンの土地を与えると約束した。 5 わたしはまた、エジプト人の奴隷となっているイスラエルの人々のうめき声を聞き、わたしの契約を思い起こした。 6 それゆえ、イスラエルの人々に言いなさい。 わたしは主である。 わたしはエジプトの重労働の下からあなたたちを導き出し、奴隷の身分から救い出す。 腕を伸ばし、大いなる審判によってあなたたちを贖う。 7 そして、わたしはあなたたちをわたしの民とし、わたしはあなたたちの神となる。 あなたたちはこうして、わたしがあなたたちの神、主であり、あなたたちをエジプトの重労働の下から導き出すことを知る。 8 わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると手を上げて誓った土地にあなたたちを導き入れ、その地をあなたたちの所有として与える。 わたしは主である。」 9 モーセは、そのとおりイスラエルの人々に語ったが、彼らは厳しい重労働のため意欲を失って、モーセの言う事を聞こうとはしなかった。 10 主はモーセに仰せになった。 11 「エジプトの王ファラオのもとに行って、イスラエルの人々を国から去らせるように説得しなさい。」 12 モーセは主に訴えた。 「御覧のとおり、イスラエルの人々でさえわたしに聞こうとしないのに、どうしてファラオが唇に割礼のないわたしの言うことを聞くでしょうか。」 13 主はモーセとアロンに語って、イスラエルの人々とエジプトの王ファラオにかかわる命令を与えられた。 それは、イスラエルの人々をエジプトの国から導き出せというものであった。
モーセとアロンの系図
14 彼らの家系の長は次のとおりである。
イスラエルの長男ルベンの子らは、ハノク、パル、ヘツロン、カルミで、これらがルベンの氏族である。
15 シメオンの子らは、エムエル、ヤミン、オハド、ヤキン、ツォハルおよびカナンの女から生まれたシャウルで、これらがシメオンの氏族である。 16 レビの子らの名は家系に従うと次のとおりである。 ゲルション、ケハト、メラリ。 レビの生涯は百三十七年であった。 17 ゲルションの子らは、氏族に従うと、リブニとシムイである。 18 ケハトの子らは、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルである。 ケハトの生涯は百三十三年であった。 19 メラリの子らは、マフリとムシで、これらが家系に従ったレビの氏族である。 20 アムラムは叔母ヨケベドを妻に迎えた。 彼女の産んだ子がアランとモーセである。 アムラムの生涯は百三十七年であった。 21 イツハルの子らは、コラ、ネフェグ、ジクリである。 22 ウジエルの子らは、ミシャエル、エルツァファン、シトリである。 23 アロンは、アミナダブの娘でナフションの姉妹であるエリシャバを妻に迎えた。 彼女の産んだ子がナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルである。 24 コラの子らは、アシル、エルカナ、アビアサフで、これらがコラ人の氏族である。 25 アロンの子エルアザルは、プティエルの娘の一人を妻に迎えた。 彼女の産んだ子がピネハスである。 以上が氏族ごとのレビ人家長である。
26 主が、「イスラエルの人々を部隊ごとにエジプトの国から導き出せ」と命じられたのは、このアロンとモーセである。 27 そして、イスラエルの人々をエジプトから導き出すよう、エジプトの王ファラオの説得に当たったのも、このモーセとアロンである。
アロンの役割
28 主がエジプトの国でモーセに語られたとき、 29 主はモーセに仰せになった。 「わたしは主である。 わたしがあなたに語ることをすべて、エジプトの王ファラオに語りなさい。 30 しかし、モーセは主に言った。 「御覧のとおり、わたしは唇に割礼のない者です。 どうしてファラオがわたしの言うことを聞き入れましょうか。」
7
1 主はモーセに言われた。
「見よ、わたしは、あなたをファラオに対しては神の代わりとし、あなたの兄アロンはあなたの預言者となる。 2 わたしが命ずるすべてのことをあなたが語れば、あなたの兄アロンが、イスラエルの人々を国から去らせるよう、ファラオに語るであろう。 3 しかし、わたしはファラオの心をかたくなにするので、わたしがエジプトの国でしるしや奇跡を繰り返したとしても、 4 ファラオはあなたたちの言うことを聞かない。 わたしはエジプトに手を下し、大いなる審判によって、わたしの部隊、わたしの民イスラエルの人々をエジプトの国から導き出す。 5 わたしがエジプトに対して手を伸ばし、イスラエルの人々をその中から導き出すとき、エジプト人は、わたしが主であることを知るようになる。
6 モーセとアロンは、主が命じられたとおりに行った。 7 ファラオに語ったとき、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。
アロンの杖
8 主はモーセとアロンに言われた。 9 もし、ファラオがあなたたちに向かって、『奇跡を行ってみよ』と求めるならば、あなたはアロンに、『杖を取って、ファラオの前に投げよ』と言うと、杖は蛇になる。」 10 モーセとアロンはファラオのもとに行き、主の命じられたとおりに行った。 アロンが自分の杖をファラオとその家臣たちの前に投げると、杖は蛇になった。 11 そこでファラオも賢者や呪術師を召し出した。 エジプトの魔術師もまた、秘術を用いて同じことを行った。 12 それぞれ自分の杖を投げると、蛇になったが、アロンの杖は彼らの杖をのみ込んだ。 13 しかし、ファラオの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞かなかった。 主が仰せになったとおりである。
血の災い
14 主はモーセに言われた。 「ファラオの心は頑迷で、民を去らせない。 15 明朝、ファラオのところへ行きなさい。 彼は水辺に下りて来る。 あなたは蛇になったあの杖を手に持ち、ナイル川の岸辺に立って、彼を待ち受け、 16 彼に言いなさい。 ヘブライ人の神、主がわたしをあなたのもとに遣わして、『わたしの民を去らせ、荒れ野でわたしに仕えさせよ』と命じられたのに、あなたは今に至るまで聞き入れない。 17 主はこう言われた。 『このことによって、あなたは、わたしが主であることを知る』と。 見よ、わたしの手にある杖でナイル川の水を打つと、水は血に変わる。 18 川の魚は死に、川は悪臭を放つ。 エジプト人はナイル川の水を飲むのを嫌がるようになる。」
19 主は更にモーセに言われた。 「アロンに言いなさい。 『杖を取り、エジプトの水という水の上、河川、水路、池、水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい』 と。 エジプトの国中、木や石までも血に浸るであろう。」
20 モーセとアロンは、主の命じられたとおりにした。 彼は杖を振り上げて、ファラオとその家臣の前でナイル川の水を打った。 川の水はことごとく血に変わり、 21 川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。 こうして、エジプト国中が血に浸った。 22 ところが、エジプトの魔術師も秘術を用いて同じことを行ったのでファラオの心はかたくなになり、二人の言うことを聞かなかった。 主が仰せになったとおりである。 23 ファラオは王宮に引き返し、このことをも心に留めなかった。 24 エジプト人は皆、飲み水を求めて、ナイル川の周りを掘った。 ナイル川の水が飲めなくなったからである。
蛙の災い
25 主がナイル川を打たれたから七日たつと、 26 主はモーセに言われた。 「ファラオのもとに行って、彼に言いなさい。 主はこう言われた。 『わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ。 27 もしあなたが去らせることを拒むならば、わたしはあなたの領土全体に蛙の災いを引き起こす。 28 ナイル川に蛙が群がり、あなたの王宮を襲い、寝室に侵入し、寝台に上り、更に家臣や民の家にまで侵入し、かまど、こね鉢ににも入り込む。 29 蛙はあなたも民もすべての家臣をも襲うであろう』と。」
8
1 主は更にモーセに言われた。 「アロンにこう言いなさい。 杖を取って、河川、水路、池の上に手を伸ばし、蛙をエジプトの国に這い上がらせよ。」 2 アロンがエジプトの水の上に手を差し伸べると、蛙が這い上がってきてエジプトの国を覆った。 3 ところが、魔術師も秘術を用いて同じことをし、蛙をエジプトの国に這い上がらせた。 4 ファラオはモーセとアロンを呼んで、「主に祈願して、蛙がわたしとわたしの民のもとから退くようにしてもらいたい。 そうすれば、民を民を去らせ、主に犠牲をささげよう」と言うと、 5 モーセはファラオに答えた。
「あなたのお望みの時を言ってください。 いつでもあなたとあなたの家臣と民のために祈願して、蛙をあなたとあなたの家から絶ち、ナイル川以外には残らぬようにしましょう。」 6 ファラオが、「明日」と言うと、モーセは答えた。 「あなたの言われるとおりにしましょう。 あなたは、我々の神、主のような神がほかにいないことを知るようになります。 7 蛙はあなたとあなたの王宮、家臣や民の間から退いて、ナイル川以外には残らなくなるでしょう。」 8 モーセとアロンがファラオのもとから出て来ると、モーセはファラオを悩ました蛙のことで主に訴えた。 9 主はモーセの願いどおりにされ、蛙は家からも庭からも畑からも死に絶えた。 10 人々はその死骸を幾山にも積み上げたので、国中に悪臭が満ちた。 11 ファラオは一息つく暇ができたのを見ると、心を頑迷にして、また二人の言うことを聞き入れなくなった。 主が仰せになったとおりである。
ぶよの災い
12 主はモーセに言われた。 「アロンに言いなさい。 『杖を差し伸べて土の塵を打ち、ぶよにさせてエジプト全土に及ぼせ』と。」
13 彼らは言われたとおりにし、アロンが杖を持った手を差し伸べ土の塵を打つと、土の塵はすべてぶよとなり、エジプト全土に広がって人と家畜を襲った。
14 魔術師も秘術を用いて同じようにぶよを出そうとしたが、できなかった。 ぶよが人と家畜を襲ったので、 15 魔術師はファラオに、「これは神の指の働きでございます」と言ったが、ファラオの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞かなかった。 主が仰せになったとおりである。
あぶの災い
16 主はモーセに言われた。 「明朝早く起きて、水辺に下りて来るファラオを出迎えて、彼に言いなさい。 主はこう言われた。 『わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ。 17 もしあなたが私の民を去らせないならば、見よ、わたしはあなたとあなたの家臣とあなたの民とあなたの家のあぶを送る。 エジプトの人家にも人が働いている畑地にもあぶが満ちるであろう。 18 しかし、その日、わたしはわたしの民の住むゴシェン地方を区別し、そこにあぶを入り込ませない。 あなたはこうして、主なるわたしがこの地のただ中にいることを知るようになる。 19 わたしは、わたしの民をあなたの民から区別して贖う。 明日、このしるしが起こる』と。」 20 主がそのとおり行われたので、あぶの大群がファラオの王宮や家臣の家に入り、エジプトの全土に及んだ。 国はあぶのゆえに荒れ果てた。 21 ファラオがモーセとアロンを呼び寄せて、「行って、あなたたちの神にこの国の中で犠牲をささげるがよい」と言うと、 22 モーセは答えた。 「そうすることはできません。 我々の神、主にささげる犠牲は、エジプト人のいとうものです。 もし、彼らの前でエジプト人のいとうものをささげれば、我々は石で打ち殺すのではありませんか。 23 我々の神、主に犠牲をささげるには、神が命じられたように、三日の道のりを荒れ野に入らねばなりません。」 24 ファラオが、「よし、わたしはあなたたちを去らせる。 荒れ野であなたたちの神、主に犠牲をささげるがよい。 ただし、あまり遠くへ行ってはならない。 わたしのためにも祈願してくれ」と言うと、 25 モーセは答えた。 「では、あなたのもとから退出しましたら、早速主に祈願しましょう。 明日になれば、あぶはファラオとその家臣と民の間から飛び去るでしょう。 ただ、二度と、主に犠牲をささげるために民を去らせないなどと言って、我々を欺かないでください。」
26 モーセはファラオのもとから退出すると、主に祈願した。 27 主はモーセの願いどおりにされ、あぶはファラオと家臣と民の間からすべて飛び去り、一匹も残らなかった。 28 しかし、ファラオは今度もまた心を頑迷にして民を去らせなかった。
疫病の災い 9
1 主はモーセに言われた。 「ファラオのもとに行って彼に告げなさい。 ヘブライ人の神、主はこう言われた。 『わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ』と。 2 もしあなたが去らせるのを拒み、なおも彼らをとどめておくならば、 3 見よ、主の手が甚だ恐ろしい疫病を野にいるあなたの家畜、馬、ろば、らくだ、牛、羊に臨ませる。 4 しかし主は、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを区別される。 イスラエルの人々の家畜は一頭たりとも死ぬことはない。 5 主はまた時を定め、明日、この地でこの事を行われる。 6 翌日、主はこの事を行われたので、エジプト人の家畜はすべて死んだが、イスラエルの人々の家畜は一頭も死ななかった。 7 ファラオが人を遣わして見させたところ、イスラエルの家畜は一頭といえども死んではいなかった。 それでも、ファラオの心は頑迷になり民を去らせなかった。
はれ物の災い
8 主はモーセとアロンに言われた。 「かまどのすすを両手いっぱい取って、モーセはそれをファラオの前で天に向かってまき散らすがよい。 9 それはエジプト全土を覆う細かい塵となって、エジプト全土の人と家畜に降りかかり、膿の出るはれ物となるであろう。」 10 二人はかまどのすすを取ってファラオの前に立ち、モーセがそれを天に向かってまき散らした。 すると、膿の出るはれ物が人と家畜に生じた。 11 魔術師もこのはれ物のためにモーセの前に立つことができなかった。 はれ物は魔術師のみならず、エジプト人すべてに生じた。 12 しかし、主がファラオの心をかたくなにされたので、彼は二人の言うことを聞かなかった。
主がモーセに仰せになったとおりである。
雹の災い
13 主はモーセに言われた。 「明朝早く起き、ファラオの前に立って、彼に言いなさい。 ヘブライ人の神、主はこう言われた。 『わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ。 14 今度こそ、わたしはあなた自身とあなたの家臣とあなたの民に、あらゆる災害をくだす。 わたしのような神は、地上のどこにもいないことを、あなたに分からせるためである。 15 実際、今までにわたしは手を伸ばし、あなたとあなたの民を疫病で打ち、地上から絶やすこともできたのだ。 16 しかしわたしは、あなたにわたしの力を示してわたしの名を全地に語り告げさせるため、あなたを生かしておいた。 17 あなたはいまだに、わたしの民に対して高ぶり、彼らを去らせようとしない。 18 見よ、明日の今ごろ、エジプト始まって以来、今日までかってなかったほどの甚だ激しい雹を降らせる。 19 それゆえ、今、人を遣わして、あなたの家畜で野にいるものは皆、非難させるがよい。 野に出ていて家に連れ戻されない家畜は、人と共にすべて、雹に打たれて死ぬであろう』と。」 20 ファラオの家臣の内、主の言葉を畏れた者は、自分の僕と家畜を家に避難させたが、 21 主の言葉を心に留めなかった者は、僕と家畜を野に残しておいた。
22 主はモーセに言われた。 「あなたの手を天に向かって差し伸べ、エジプト全土に、人にも家畜にも、野のあらゆる草の上にも雹を降らせるがよい。」
23 モーセが天に向かって杖を差し伸べると、主は雷と雹を下され、稲妻が大地に向かって走った。 主はエジプトの地に雹を降らせられた。 24 雹が降り、その間を絶え間なく稲妻が走った。 それは甚だ激しく、このような雹が全土に降ったことは、エジプトの国始って以来かってなかったほどであった。 25 雹は、エジプト全土で野にいるすべてのもの、人も家畜も残らず打った。 雹はまた、野のあらゆる草を打ち、野のすべての木を打ち砕いた。 26 ただし、イスラエルの人々の住むゴシェンの地域には雹は降らなかった。 27 ファラオは人を遣わし、モーセとアロンを呼び寄せて言った。
「今度ばかりはわたしが間違っていた。 正しいのは主であり、悪いのはわたしとわたしの民である。 28 主に祈願してくれ。 恐ろしい雷と雹はもうたくさんだ。 あなたたちを去らせよう。 これ以上ここにとどまることはない。」 29 モーセは言った。 「町を出たら、早速両手を広げて主に祈りましょう。 雷はやみ、雹はもう降らないでしょう。 あなたはこうして、大地が主のものであることを知るでしょう。 30 しかし、あなたもあなたの家臣も、まだ主なる神を畏れるに至っていないことを、わたしは知っています。」
31 亜麻と大麦は壊滅した。 大麦はちょうど穂の出る時期で、亜麻はつぼみの開く時期であったからである。 32 小麦と裸麦は壊滅を免れた。 穂の出る時期が遅いからである。
33 モーセは、ファラオのもとから退出し町を出ると、両手を広げて主に祈った。 すると、雷も雹もやみ、大地に注ぐ雨もやんだ。 34 ファラオは、雨も雹も雷もやんだのを見て、またもや過ちを重ね、彼も彼の家臣もこころを頑迷にした。 35 ファラオの心はかたくなになり、イスラエルの人々を去らせなかった。 主がモーセを通して仰せになったとおりである。
いなごの災い 10
1 主はモーセに言われた。 「ファラオのもとに行きなさい。 彼とその家臣の心を頑迷にしたのは、わたし自身である。 それは、彼らのただ中でわたしがこれらのしるしを行うためであり、 2 わたしがエジプト人をどのようにあしらったか、どのようなしるしを行ったかをあなたが子孫に語り伝え、わたしが主であることをあなたたちが知るためである。」 3 モーセとアロンはファラオのところに行き、彼に言った。
「ヘブライ人の神、主はこう言われた。 『いつまで、あなたはわたしの前に身を低くするのを拒むのか。 わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせなさい。 4 もし、あなたがわたしの民を去らせることを拒み続けるならば、明日、わたしはあなたの領土にいなごを送り込む。 5 いなごは地表を覆い尽くし、地面を見ることもできなくなる。 そして、雹の害を免れた残りのものを食い荒らし、野に生えているすべての木を食い尽くす。 6 また、あなたの王宮、家臣のすべての家、エジプト中の家にいなごが満ちる。 それは、あなたの先祖も、先祖の先祖も、この土地に住み着いたときから今日まで見たことがないものである』と。」 彼が身を翻してファラオのもとから退出すると、 7 ファラオの家臣が王に進言した。 「いつまで、この男はわたしたちを陥れる罠となるのでしょうか。 即刻あの者たちを去らせ、彼らの神、主に仕えさせてはいかがでしょう。 エジプトが滅びかかっているのが、まだお分かりになりませんか。」 8 モーセとアロンがファラオのもとに呼び戻されると、ファラオは二人に言った。 「行って、あなたたちの神、主に仕えるがよい。 誰と誰が行くのか。」 9 「若い者も年寄りも一緒に参ります。 息子も娘も羊も牛も参ります。 主の祭りは我々全員のものです」とモーセが答えると、 10 ファラオは二人に言った。 「よろしい。 わたしがお前たちを家族ともども去らせるときは、主がお前たちと共におられるように。 お前たちの前には災いが待っているのを知るがよい。 11 いや、行くならば、男たちだけで行って、主に仕えるがよい。 それがお前たちの求めていたことだ。」 ファラオは自分の前から彼らを追い出した。
12 主はモーセに言われた。 「手をエジプトの地に差し伸べ、いなごを呼び寄せなさい。 いなごはエジプトの国を襲い、地のあらゆる草、雹の害を免れたすべてのものを食い尽くすであろう。」 13 モーセがエジプトの地に杖を差し伸べると、主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。 朝になると、東風がいなごの大群を運んで来た。 14 いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。 このようにおびただしいいなごの大群は前にも後にもなかった。 15 いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。 いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何ひとつ残らなかった。 16 ファラオは急いでモーセとアロンを呼んで頼んだ。 「あなたたちの神、主に対し、またあなたたちに対しても、わたしは過ちを犯した。 17 どうか、もう一度だけ過ちを赦して、あなたたちの神、主に祈願してもらいたい。 こんな死に方だけはしないで済むように。」 18 モーセがファラオのもとを退出して、主に祈願すると、 19 主は風向きを変え、甚だ強い西風とし、いなごを吹き飛ばして、葦の海に追いやられたので、エジプトの領土全体にいなごは一匹も残らなかった。 20 しかし、主がファラオの心をかたくなにされたので、ファラオはイスラエルの人々を去らせなかった。
暗闇の災い
21 主はモーセに言われた。 「手を天に向かって差し伸べ、エジプトの地に闇を臨ませ、人がそれを手に感じるほどにしなさい。 22 モーセが手を天に向かって差し伸べると、三日間エジプト全体に暗闇が臨んだ。 23 人々は、三日間、互いに見ることも、自分のいる場所から立ち上がることもできなかったが、イスラエルの人々が住んでいる所にはどこでも光があった。 24 ファラオがモーセを呼び寄せて、「行って、主に主に仕えるがよい。 ただし、羊と牛は残しておけ。 妻子は連れて行ってもよい」と言うと、 25 モーセは答えた。 「いいえ、あなた御自身からも、いけにえと焼き尽くす捧げ物をいただいて、我々の神、主にささげたいと思っています。 26 我々の家畜も連れて行き、ひづめ一つ残さないでしょう。 我々の神、主に仕えるためにその中から選ばねばなりません。 そこに着くまでは、我々自身どれをもって主に仕えるべきか、分からないのですから。」 27 しかし、主がまたファラオの心をかたくなにされたので、ファラオは彼らを去らせようとはしなかった。 28 ファラオが、「引き下がれ。 二度と私の前に姿を見せないように気をつけよ。 今度会ったら、生かしてはおかない」と言うと、 29 モーセは答えた。 「よくぞ仰せになりました。 二度とお会いしようとは思いません。」
最期の災い 11
1 主はモーセに言われた。 「わたしは、なおもう一つの災いをファラオとエジプトにくだす。 その後、王はあなたたちをここから去らせる。 いや、そのときには、あなたたちを一人残らずここから追い出す。 2 あなたは、民に告げ、男も女もそれぞれ隣人から金銀の装飾品を求めさせるがよい。 3 主はこの民にエジプト人の好意を得させるようにされた。 モーセその人もエジプトの国で、ファラオの家臣や民に大いに尊敬を受けていた。
4 モーセは言った。 「主はこう言われた。 『真夜中ごろ、わたしはエジプトの中を進む。 5 そのとき、エジプトの国中の初子は皆、死ぬ。 王座に座しているファラオの初子から、石臼をひく女奴隷の初子まで。 また家畜の初子もすべて死ぬ。 6 大いなる叫びがエジプト全土に起こる。 そのような叫びはかってなかったし、再び起こることもない。』 7 しかし、イスラエルの人人に対しては、犬ですら、人に向かっても家畜に向かっても、うなり声を立てません。 あなたたちはこれによって、主がエジプトとイスラエルを区別しておられることを知るでしょう。 8 あなたの家臣はすべてわたしのもとに下って来て、『あなたもあなたに従っている民も皆、出て行ってください』とひれ伏し頼むのでしょう。 その後で、わたしは出て行きます。」 そして、モーセは憤然としてファラオのもとから退出した。
9 主はモーセに言われた。 「ファラオは、あなたたちの言うことを聞かない。 そのため、わたしはエジプトの国に大きな奇跡を行うようになる。」 10 モーセとアロンはファラオの前でこれらの奇跡をすべて行ったが、主がファラオの心をかたくなにされたため、ファラオはイスラエルの人々を国から去らせなかった。
主の過越 12
1 エジプトの国で、主はモーセとアロンに言われた。 2 「この月をあなたたちの正月とし、年の初めの月としなさい。 3 イスラエルの共同体全体に次のように告げなさい。 『今月の十日、人はそれぞれ父の家ごとに、すなわち家族ごと子羊を一匹用意しなければならない。 4 もし、家族が少人数で子羊一匹を食べきれない場合には、隣の家族と共に、人数に見合うものを用意し、めいめいの食べる量に見合う子羊を選ばねばならない。 5 その子羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。 用意するのは羊でも山羊でもよい。 6 それは、この月の十四日まで取り分けておき、イスラエルの共同体の会衆が皆で夕暮れにそれを屠り、 7 その血を取って、子羊を食べる家に入り口の二本の柱と鴨居に塗る。 8 そしてその夜、肉を火で焼いて食べる。 また、酵母を入れないパンを苦菜を添えて食べる。 9 肉は生で食べたり、煮て食べてはならない。 必ず、頭も四肢も内臓も切り離さずに火で焼かねばならない。 10 それを翌朝まで残しておいてはならない。 翌朝まで残った場合には、焼却する。 11 それを食べるときは、腰帯を締め、靴を履き、杖を手にし、急いで食べる。 これが主の過越である。 12 その夜、わたしはエジプトの国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプトの国のすべての初子を撃つ。 また、エジプトのすべての神々に裁きを行う。 わたしは主である。 13 あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。 血を見たならば、わたしはあなたたちを過ぎ越す。
わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。 14 この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。 あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。 15 七日の間、あなたたちは酵母を入れないパンを食べる。 まず、祭りの最初の日に家から酵母を取り除く。 この日から第七日までの間に酵母入りのパンを食べた者は、すべてイスラエルから断たれる。 16 最初の日に聖なる集会を開き、第七日にも聖なる集会を開かねばならない。 この両日にはいかなる仕事もしてはならない。 ただし、それぞれの食事の用意を除く。 これだけは行ってもよい。 17 あなたたちは除酵祭を守らねばならない。 なぜなら、まさにこの日に、わたしはあなたたちの部隊をエジプトの国から導き出したからである。 それゆえ、この日を代々にわたって守るべき不変の定めとして守らねばならない。 18 正月の十四日の夕方からその月の二十一日の夕方まで、酵母を入れないパンを食べる。 19 七日の間、家の中に酵母があってはならない。 酵母の入ったものを食べる者は、寄留者であれその土地に生まれた者であれ、すべて、イスラエルの共同体から断たれる。 20 酵母の入ったものは一切食べてはならない。 あなたたちの住む所ではどこでも、酵母を入れないパンを食べねばならない。』」
21 モーセは、イスラエルの長老をすべて呼び寄せ、彼らに命じた。
「さあ、家族ごとに羊を取り、過越の犠牲を屠りなさい。 22 そして、一束のヒソプを取り、鉢の中の血に浸し、鴨居と入り口の二本の柱に鉢の中の血を塗りなさい。 翌朝までだれも家の入り口から出てはならない。 23 主がエジプト人を撃つために巡るとき、鴨居と二本の柱に塗られた血を御覧になって、その入り口を過ぎ越される。 滅ぼす者が家に入って、あなたたちを撃つことがないためである。
24 あなたたちはこのことを、あなたと子孫のための定めとして、永遠に守らねばならない。 25 また、主が約束されたとおりあなたたちに与えられる土地に入ったとき、この儀式を守らねばならない。 26 また、あなたたちの子供が、『この儀式にはどういう意味があるのですか』と尋ねるときは、 27 こう答えなさい。 『これが主の過越の犠牲である。 主がエジプト人を撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越し、我々の家を救われたのである』と。」
民はひれ伏して礼拝した。 28 それから、イスラエルの人々は帰って行き、主がモーセとアロンに命じられたとおりに行った。
初子の死
29 真夜中になって、主はエジプトの国ですべての初子を撃たれた。 王座に座しているファラオの初子から牢屋につながれている捕虜の初子まで、また家畜の初子もことごとく撃たれたので、 30 ファラオと家臣、またすべてのエジプト人は夜中に起き上がった。 死人が出なかった家は一軒もなかったので、大いなる叫びがエジプト中に起こった。 31 ファラオは、モーセとアロンを夜のうちに呼び出して言った。
「さあ、わたしの民の中から出て行くがよい、あなたたちもイスラエルの人々も。 あなたたちが願っていたように、行って、主に仕えるがよい。 32 羊の群れも牛の群れも、あなたたちが願っていたように、連れて行くがよい。 そして、わたしをも祝福してもらいたい。」 33 エジプト人は、民をせきたてて、急いで国から去らせようとした。 そうしないと自分たちは皆、死んでしまうと思ったのである。 34 民は、まだ酵母の入っていないパンの練り粉をこね鉢ごと外套に包み、肩に担いだ。 35 イスラエルの人々は、モーセの言葉どおりに行い、エジプト人から金銀の装飾品や衣類を求めた。 36 主は、この民にエジプト人の好意を得させるようにされたので、エジプト人は彼らの求めに応じた。 彼らはこうして、エジプト人の物を分捕り物とした。
エジプトの国を去る
37 イスラエルの人々はラメセスからスコトに向けて出発した。 一行は、妻子を別にして、壮年男子だけでおよそ六十万人であった。 38 そのほか、種々雑多な人人もこれに加わった。 羊、牛など、家畜もおびただしい数であった。 39 彼らはエジプトから持ち出した練り粉で、酵母を入れないパン菓子を焼いた。 練り粉には酵母が入っていなかった。 彼らがエジプトから追放されたとき、ぐずぐずしていることはできなかったし、道中の食糧を用意するいとまもなかったからである。
40 イスラエルの人々が、エジプトに住んでいた期間は四百三十年であった。 41 四百三十年を経たちょうどその日に、主の部隊は全軍、エジプトの国を出発した。 42 その夜、主は、彼らをエジプトの国から導き出すために寝ずの番をされた。 それゆえ、イスラエルの人々は代々にわたって、この夜、主のために寝ずの番をするのである。
過越祭の規定
43 主はモーセとアロンに言われた。 「過越祭の掟は次のとおりである。 外国人はだれも過越の犠牲を食べることはできない。 44 ただし、金で買った男奴隷の場合、割礼を施すならば、彼は食べることができる。 45 滞在している者や雇い人は食べることができない。 46 一匹の羊は一軒の家で食べ、肉の一部でも家から持ち出してはならない。 また、その骨を折ってはならない。 47 イスラエルの共同体全体がこれを祝わなければならない。 48 もし、寄留者があなたのところに寄留し、主の過越祭を祝おうとするときは、男子は皆、割礼を受けた後にそれを祝うことが許される。 彼はそうすれば、その土地に生まれた者と同様になる。 しかし、無割礼の者は、だれもこれを食べることができない。 49 この規定は、その土地に生まれた者にも、あなたたちの間に寄留している寄留者にも、同じように適用される。 50 イスラエルの人々はすべて、主がモーセとアロンに命じたとおりに行った。
51 まさのこの日に、主はイスラエルの人々を部隊ごとにエジプトの国から導き出された。
初子の奉献 13
1 主はモーセに仰せになった。 2 「すべての初子を聖別してわたしにささげよ。 イスラエルの人々の間で初めに胎を開くものはすべて、人であれ家畜であれ、わたしのものである。」
除酵祭
3モーセは民に言った。 「あなたたちは、奴隷の家、エジプトから出たこの日を記念しなさい。 主が力強い御手をもって、あなたたちをそこから導き出されたからである。 酵母入りのパンを食べてはならない。 4 あなたたちはアビブの月のこの日に出発する。
5 主が、あなたに与えると先祖に誓われた乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ヒビ人、エブス人の土地にあなたを導き入れられるとき、あなたはこの月にこの儀式を行わねばならない。 6 七日の間、酵母を入れないパンを食べねばならない。 七日目には主のための祭りをする。 7 酵母を入れないパンを七日の間食べる。 あなたのもとに酵母入りのパンがあってはならないし、あなたの領土のどこにも酵母があってはならない。
8 あなたはこの日、自分の子供に告げなければならない。 『これは、わたしがエジプトから出たとき、主がわたしのために行われたことのゆえである』と。 9 あなたは、この言葉を自分の腕と額に付いて記憶のしるしとし、主の教えを口ずさまねばならない。 主が力強い御手をもって、あなたをエジプトから導き出されたからである。 10 あなたはこの掟を毎年定められたときに守らねばならない。
初子について
11 主があなたと先祖に誓われたとおり、カナン人の土地にあなたを導き入れ、 それをあなたに与えられるとき、 12 初めに胎を開くものはすべて、主にささげなければならない。 あなたの家畜の初子にうち、雄はすべて主のものである。 13 ただし、ろばの初子の場合はすべて、子羊をもって贖わねばならない。 もし、贖わない場合は、その首を折らねばならい。 あなたの初子のうち、男の子の場合はすべて、贖わねばならない。 14 将来、あなたの子供が、『これにはどういう意味があるのですか』と尋ねるときは、こう答えなさい。 『主は、力強い御手をもって我々を奴隷の家、エジプトから導き出された。 15 ファラオがかたくなで、我々を去らせなかったため、主はエジプの国中の初子を、人の初子から家畜の初子まで、ことごとく撃たれた。 それゆえわたしは、初めに胎を開く雄をすべて主に犠牲としてささげ、また、自分の息子のうち初子は、必ず贖うのである。』 16 あなたはこの言葉を腕に付けてしるしとし、額に付けて覚えとしなさい。 主が力強い御手をもって、我々をエジプトから導き出されたからである。』
火の柱、雲の柱
17 さて、ファラオが民をさらせたとき、神は彼らをペリシテ街道には導かれなかった。 それは近道であったが、民が戦わねばならぬことを知って後悔し、エジプトに帰ろうとするかもしれない、と思われたからである。 18 神は民を、葦の海に通じる荒れ野の道に迂回させられた。 イスラエルの人々は、隊伍を整えてエジプトの国から上った。 19 モーセはヨセフの骨を携えていた。 ヨセフが「神は必ずあなたたちを顧みられる。 そのとき、わたしの骨をここから一緒に携えて上るように」と言って、イスラエルの子らに固く誓わせたからである。 20 一行はスコトから旅立って、荒れ野の端のエタムに宿営した。 21 主は彼らに先立って進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照らされたので、彼らは昼も夜も行進することができた。 22 昼は雲の柱が、夜は火の柱が、民の先頭を離れることはなかった。
葦の海の奇跡 14
1 主はモーセに仰せになった。 2 「イスラエルの人々に、引き返してミグドルと海との間のピ・ハヒトロの手前で宿営するように命じなさい。 バアル・ツェホンの前に、それに面して、海辺に宿営するのだ。 3 するとファラオは、イスラエルの人々が慌ててあの地方で道に迷い、荒れ野が彼らの行く手をふさいだと思うであろう。 4 わたしはファラオの心をかたくなにし、彼らの後を追わせる。 しかし、わたしはファラオとその全軍を破って栄光を現すので、エジプト人は、わたしが主であることを知るようになる。」 彼らは言われたとおりにした。
5 民が逃亡したとの報告を受けると、エジプト王ファラオとその家臣は、民に対する考えを一変して言った。 「ああ、我々は何んということをしたのだろう。 イスラエル人を労役から解放して去らせてしまったとは。」 6 ファラオは戦車に馬をつなぎ、自ら軍勢を率い、 7 えり抜きの戦車六百をはじめ、エジプトの戦車すべてを動員し、それぞれに仕官を乗り込ませた。 8 主がエジプト王ファラオの心をかたくなにされたので、王はイスラエルの人々の後を追った。 イスラエルの人々は、意気揚々と出て行ったが、 9 エジプト軍は彼らの後を追い、ファラオの馬と戦車、騎兵と歩兵は、ピ・ハヒロトの傍らで、バアル・ツェホンの前の海辺に宿営している彼らに追いついた。 10 ファラオは既に間近に迫り、イスラエルの人々が目を上げて見ると、エジプト軍は既に背後に襲いかかろうとしていた。 イスラエルの人々は非常に恐れて主に向かって叫び、 11 また、モーセに言った。 「我々を連れ出したのは、エジプトに墓がないからですか。 荒れ野で死なせるためですか。 一体、何をするためにエジプトから導き出したのですか。 12 我々はエジプトで、『ほうっておいてください。 自分たちはエジプト人に仕えます。 荒れ野で死ぬよりエジプト人に仕える方がましです。』と言ったではありませんか。」 13 モーセは民に答えた。 「恐れてはならない。 落ち着いて、今日、あなたたちのために行われる主の救いを見なさい。 あなたたちは今日、エジプト人を見ているが、もう二度と、永久に彼らを見ることはない。 14 主があなたたちのために戦われる。 あなたたちは静かにしていなさい。」
15 主はモーセに言われた。 「なぜ、わたしに向かって叫ぶのか。 イスラエルの人々に命じて出発させなさい。 16 杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べて、海を二つに分けなさい。 そうすれば、イスラエルの民は海の中の乾いた所を通ることができる。 17 しかし、わたしはエジプト人の心をかたくなにするから、彼らはお前たちの後を追ってくる。 そのとき、わたしはファラオとその全軍、戦車と騎兵を破って栄光を現す。 18 わたしがファラオとその戦車、騎兵を破って栄光を現すとき、エジプト人は、わたしが主であることを知るようになる。
19 イスラエルの部隊に先立って進んでいた神の御使いは、移動して彼らの後を行き、彼らの前にあった雲の柱も移動して後ろに立ち、 20 エジプトの陣とイスラエルの陣との間に入った。 真っ黒な雲が立ちこめ、光が闇夜を貫いた。 両軍は、一晩中、互いに近づくことはなかった。 21 モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海は乾いた地に変わり、水は分かれた。 22 イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んで行き、水は彼らの右と左に壁のようになった。 23 エジプト軍は彼らを追い、ファラオの馬、戦車、騎兵がことごとく彼らに従って海の中に入って来た。 24 朝の見張りのころ、主は火と雲の柱からエジプト軍を見下ろし、エジプト軍をかき乱された。 25 戦車の車輪をはずし、進みにくくされた。 エジプト人は言った。 「イスラエルの前から退却しよう。 主が彼らのためにエジプトと戦っておられる。
26 主はモーセに言われた。 「海に向かって手を差し伸べなさい。 水がエジプト軍の上に、戦車、騎兵の上に流れ返るであろう。 27 モーセが手を海に向かって差し伸べると、夜が明ける前に海は元の場所へ流れ返った。 エジプト軍は水の流れに逆らって逃げたが、主は彼らを海の中に投げ込まれた。 28 水は元に戻り、戦車と騎兵、彼らの後を追って海に入ったファラオの全軍を覆い、一人も残らなかった。 29 イスラエルの人人は海の中の乾いた所を進んだが、そのとき、水は彼らの右と左に壁となった。 30 主はこうして、その日、イスラエルをエジプト人の手から救われた。 イスラエルはエジプト人が海辺で死んでいるのを見た。 31 イスラエルは、主がエジプト人に行われた大いなる御業を見た。 民は主を畏れ、主とモーセを信じた。
海の歌 15
1 モーセとイスラエルの民は主を賛美してこの歌をうたった。
主に向かってわたしは歌おう。
主は大いなる威光を現し
馬と乗り手を海に投げ込まれた。
2 主はわたしの力、わたしの歌
主はわたしの救いとなってくださった。
この方こそわたしの神。 わたしは彼をたたえる。
わたしの父の神、わたしは彼をあがめる。
3 主こそいくさびと、その名は主。
4 主はファラオの戦車と軍勢を海に投げ込み
えり抜きの戦士は葦の海に沈んだ。
5 深淵が彼らを覆い
彼らは深い底に石のように沈んだ。
6 主よ、あなたの右の手は力によって輝く。
主よ、あなたの右の手は敵を打ち砕く。
7 あなたは大いなる威光をもって敵を滅ぼし
怒りを放って、彼らをわらのように焼き尽くす。
8 憤りの風によって、水はせき止められ
流れはあたかも壁のように立ち上がり
大水は海の中で固まった。
9 敵は言った。 「彼らの後を追い
捕らえられて分捕り品を分けよう。
剣を抜いて、ほしいままに奪い取ろう。」
10 あなたが息を吹きかけると
海は彼らを覆い
彼らは恐るべき水の中に鉛のように沈んだ。
11 主よ、神々の中に
あなたのような方が誰かあるでしょうか。
誰か、あなたのように聖において導き
ほむべき御業によって畏れられ
くすしき御業を行う方があるでしょうか。
12 あなたが右の手を伸べられると
大地は彼らを呑み込んだ。
13 あなたは慈しみをもって贖われた民を導き
御力をもって聖なる住まいに伴われた。
14 諸国の民はこれを聞いて震え
苦しみがペリシテの住民をとらえた。
15 そのときエドムの首長はおののき
モアブの力ある者たちはわななきにとらえられ
カナンの住民はすべて気を失った。
16 恐怖とおののきが彼らを襲い
御腕の力の前に石のように黙した
主よ、あなたの民が通り過ぎ
あなたの買い取られた民が通り過ぎるまで。
17 あなたは彼らを導き
嗣業の山に植えられる。
主よ、それはあなたの住まいとして
自ら造られた所
主よ、御手によって建てられた聖所です。
18 主は代々限りなく統べ治められる。
19 ファラオの馬が、戦車、騎兵もろとも海に入ったとき、主は海の水を彼らの上に返された。 しかし、イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んだ。
20 アロンの姉である女預言者ミリアムが小太鼓を手に取ると、他の女たちも小太鼓を手に持ち、踊りながら彼女の後に続いた。 21 ミリアムは彼らの音頭を取って歌った。
主に向かって歌え。
主は大いなる威光を現し
馬と乗り手を海に投げ込まれた。
マラの苦い水
22 モーセはイスラエルを、葦の海から旅立たせた。
彼らはシュルの荒れ野に向かって、荒れ野を三日の間進んだが、水を得なかった。 23 マラに着いたが、そこの水は苦くて飲むことが出来なかった。 こういうわけで、そこの名はマラ(苦い)と呼ばれた。 24 民はモーセに向かって、「何を飲んだらよいか」と不平を言った。 25 モーセが主に向かって叫ぶと、主は彼に一本の木を示された。 その木を水に投げ込むと、水は甘くなった。
その所で主は彼に掟と法とを与えられ、またその所で彼を試みて、 26 言われた。
「もしあなたが、あなたの神、主の声に必ず聞き従い、彼の目にかなう正しいことを行い、彼の命令に耳を傾け、すべての掟を守るならば、わたしがエジプト人に下した病をあなたには下さない。 わたしはあなたをいやす主である。」
27 彼らがエリムに着くと、そこには十二の泉があり、七十本のなつめやしが茂っていた。 その泉のほとりに彼らは宿営した。
マナ 16
1 イスラエルの人々の共同体全体はエリムを出発し、エリムとシナイとの間にあるシンの荒れ野に向かった。 それはエジプトの国を出た年の第二の月の十五日であった。 2 荒れ野に入ると、イスラエルの人々の共同体全体はモーセとアロンに向かって不平を述べ立てた。 3 イスラエルの人々は彼らに言った。
「我々はエジプトの国で、主の手にかかって、死んだ方がましだった。 あのときは肉のたくさん入った鍋の前に座り、パンを腹いっぱい食べられたのに。 あなたたちは我々をこの荒れ野に連れ出し、この全会衆を飢え死にさせようとしている。」
4 主はモーセに言われた。
「見よ、わたしはあなたたちのために、天からパンを降らせる。 民は出て行って、毎日必要な分だけ集める。 わたしは、彼らがわたしの指示どおりにするかどうかを試す。 5 ただし、六日目に家に持ち帰ったものを整えれば、毎日集める分の二倍になっている。
6 モーセとアロンはすべてのイスラエルの人々に向かって言った。
「夕暮れに、あなたたちは、主があなたたちをエジプトの国から導き出されたことを知り、 7 朝に、主の栄光を見る。 あなたたちが主に向かって不平を述べるのを主が聞かれたからだ。 我々が何者なので、我々に向かって不平を述べるのか。」
8 モーセは更に言った。
「主は夕暮れに、あなたたちに肉を与えて食べさせ、朝にパンを与えて満腹にさせられる。 主は、あなたたちが主に向かって述べた不平を、聞かれたからだ。 一体、我々は何者なのか。 あなたたちは我々に向かってではなく、実は、主に向かって不平を述べているのだ。」
9 モーセがアロンに、「あなたはイスラエルの人々の共同体全体に向かって、主があなたたちの不平を聞かれたから、主の前に集まれと命じなさい」と言うと、 10 アロンはイスラエルの人々の共同体全体にそのことを命じた。 彼らが荒れ野の方を見ると、見よ、主の栄光が雲の中に現れた。 11 主はモーセに仰せになった。
12 「わたしは、イスラエルの人々の不平を聞いた。 彼らに伝えるがよい。 『あなたたちは夕暮れには肉を食べ、朝にはパンを食べて満腹する。 あなたたちはこうして、わたしがあなたたちの神、主であることを知るようになる』と。」
13 夕方になると、うずらが飛んで来て、宿営を覆い、朝には宿営の周りに露が降りた。 14 この降りた露が蒸発すると、見よ、荒れ野の地表を覆って薄くて壊れやすいものが大地の霜のように薄く残っていた。
15 イスラエルの人々はそれを見て、これは一体何だろうと、口々に言った。 彼らはそれが何であるか知らなかったからである。 モーセは彼らに言った。
「これこそ、主があなたたちに食物として与えられたパンである。 16 主が命じられたことは次のことである。 『あなたたちはそれぞれ必要な分、つまり一人当たり一オメルを集めよ。 それぞれ自分の天幕にいる家族の数に応じて取るがよい。』」
17 イスラエルの人々はそのとおりにした。 ある者は多く集め、ある者は少なく集めた。 18 しかし、オメル升で量ってみると、多く集めた者も余ることなく、少なく集めた者も足りないことなく、それぞれが必要な分を集めた。 19 モーセは彼らに、「だれもそれを、翌朝まで残しておいてはならない」言ったが、 20 彼らはモーセに聞き従わず、何人かはその一部を翌朝まで残しておいた。 虫が付いて臭くなったので、モーセは彼らに向かって怒った。 21 そこで、彼らは朝ごとにそれぞれ必要な分を集めた。 日が高くなると、それは溶けてしまった。 22 六日目になると、彼らは二倍の量、一人当たり二オメルのパンを集めた。 共同体の代表者は皆でモーセのもとに来て、そのことを報告した。
23 モーセは彼らに言った。
「これは、主が仰せられたことである。 明日は休息の日、主の聖なる安息日である。 焼くものは焼き、煮るものは煮て、余った分は明日の朝まで蓄えておきなさい。」
24 彼らはモーセの命じたとおり、朝まで残しておいたが、臭くならず、虫も付かなかった。 25 モーセは言った。
「今日はそれを食べなさい。 今日は主の安息日である。 今日は何も野に見つからないであろう。 26 あなたたちは六日間集めた。 七日目は安息日だから野には何もないであろう。」
27 七日目になって、民のうちの何人かが集めに出て行ったが、何も見つからなかった。 28 主はモーセに言われた。
「あなたたちは、いつまでわたしの戒めと教えを拒み続けて、守らないのか。 29 よくわきまえなさい、主があなたたちに安息日を与えたことを。 そのために、六日目には、主はあなたたちに二日分のパンを与えている。 七日目にはそれぞれ自分の所にとどまり、その場所から出てはならない。」
30民はこうして、七日目に休んだ。 31 イスラエルの家では、それをマナと名付けた。 それは、コエンドロの種に似て白く、蜜の入ったウェファースのような味がした。 32 モーセは言った。
「主が命じられたことは次のことである。 『その中から正味一オメルを量り、代々にわたって蓄えよ。 わたしがあなたたちをエジプトの国から導き出したとき、荒れ野で食べさせたパンを彼らが見ることができるためである。』」
33 モーセがアロンに、「壺を用意し、その中に正味一オメルのマナを入れ、それを主の御前に置き、代々にわたって蓄えておきなさい」と言うと、 34 アロンは、主がモーセに命じられたとおり、それを掟の箱の前に置いて蓄えた。 35 イスラエルの人々は、人の住んでいる土地に着くまで四十年にわたってこのマナ食べた。 すなわち、カナン地方の境に到着するまで彼らはこのマナを食べた。 36 一オメルは十分の一エファである。
岩からほとばしる水 17
1 主の命令により、イスラエルの人々の共同体全体は、シンの荒れ野を出発し、旅程に従って進み、レフィディムに宿営したが、そこには民の飲み水がなかった。 2 民がモーセと争い、「我々に飲み水を与えよ」と言うと、モーセは言った。
「なぜ、わたしと争うのか。 なぜ、主を試すのか。」
3 しかし、民は喉が渇いてしかたがないので、モーセに向かって不平を述べた。
「なぜ、我々をエジプトから導き上ったのか。 わたしも子供たちも、家畜までも渇きで殺すためなのか。」 4 モーセは主に、「わたしはこの民をどうすればよいのですか。 彼らは今にも、わたしを石で打ち殺そうとしています」と叫ぶと、 5 主はモーセに言われた。 「イスラエルの長老数名を伴い、民の前を進め。 また、ナイル川を打った杖を持って行くがよい。 6 見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つ。 あなたはその岩を打て。 そこから水が出て、民は飲むことができる。」
モーセは、イスラエルの長老たちの目の前でそのとおりにした。 7 彼は、その場所をマサ(試し)とメリバ(争い)と名付けた。 イスラエルの人々が、「果たして、主は我々の間におられるのかどうか」と言って、モーセと争い、主を試したからである。
アマレクとの戦い
8 アマレクがレフィディムに来てイスラエルと戦ったとき、 9 モーセはヨシュアに言った。
「男子を選び出し、アマレクとの戦いに出陣させるがよい。 明日、わたしは神の杖を手に持って、丘の頂に立つ。」
10 ヨシュアは、モーセの命じたとおりに実行し、アマレクと戦った。 モーセとアロン、そしてフルは丘の頂に登った。 11 モーセが手を上げている間、イスラエルは優勢になり、手を下ろすと、アマレクが優勢になった。 12 モーセの手が重くなったので、アロンとフルは石を持って来てモーセの下に置いた。 モーセはその上に座り、アロンとフルはモーセの両側に立って、彼の手を支えた。 その手は、日の沈むまで、しっかりと上げられていた。 13 ヨシュアは、アマレクとその民を剣にかけて打ち破った。 14 主はモーセに言われた。 「このことを文書に書き記して記念とし、また、ヨシュアに読み聞かせよ。 『わたしは、アマレクの記憶を天の下から完全にぬぐい去る』と。」
15 モーセは祭壇を築いて、それを「主はわが旗」と名付けて、16 言った。
「彼らは主の御座に背いて手を上げた。
主は代々アマレクと戦われる。」
エトモのモーセ訪問 18
1 モーセのしゅうとで、ミディアンの祭司であるエトロは、神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと、すなわち、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。 2 モーセのしゅうとエトロは、モーセが先に帰していた妻のツィボラと、 3 二人の息子を連れて来た。 一人は、モーセが、「わたしは異国にいる寄留者だ」と言って、ゲルショムと名付け、 4 もう一人は、「わたしの父の神はわたしの助け、ファラオの剣からわたしを救われた」と言って、エリエゼルと名付けた。 5 モーセのしゅうとエトロは、モーセの息子たちと妻を連れて荒れ野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。 6 彼はモーセに、「あなたのしゅうとであるわたし、エトロがあなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えると、 7 モーセは出て来てしゅうとを迎え、身をかがめて口づけした。 彼らは互いに安否を尋ねあってから、天幕の中に入った。 8 モーセはしゅうとに、主がイスラエルのためファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、すなわち、彼らは途中であらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたことを語り聞かせると、 9 エトロは、主がイスラエルをエジプト人の手から救い出し、彼らに恵みを与えられたことを喜んで、 10 言った。
「主をたたえよ
主はあなたたちをエジプト人の手から
ファラオの手から救い出された。
主はエジプト人のもとから民を救い出された。
11今、わたしは知った
彼らがイスラエルに向かって
高慢にふるまったときにも
主はすべての神々にまさって偉大であったことを。」
12 モーセのしゅうとエトロは焼き尽くす捧げ物といけにえを神にささげた。 アロンとイスラエルの長老たちも皆来て、モーセのしゅうとと共に神の御前で食事をした。
13 翌日になって、モーセは座に着いて民を裁いたが、民は朝から晩までモーセの裁きを待って並んでいた。 14 モーセのしゅうとは、彼が民のために行っているすべてのことを見て、「あなたが民のためにしているこのやり方はどうしたことか。 なぜ、あなた一人だけが座に着いて、民は朝から晩まであなたの裁きを待って並んでいるのか」と尋ねた。 15 モーセはしゅうとに、「民は、神に問うためにわたしのところに来るのです。 16 彼らの間に何か事件が起こると、わたしのところに来ますので、わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」と答えた。 17 モーセのしゅうとは言った。 「あなたのやり方は良くない。 18 あなた自身も、あなたを尋ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。 このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。 19 わたしの言うことを聞きなさい。 助言をしよう。 神があなたと共におられるように。 あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、 20 彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教えなさい。 21 あなたは、民全員の中から、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立てなさい。 22 平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。 小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くし、あなたと共に彼らに分担させなさい。 23 もし、あなたがこのやり方を実行し、神があなたに命令を与えてくださるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分の所へ帰ることができよう。 24 モーセはしゅうとの言うことを聞き入れ、その勧めのとおりにし、 25 全イスラエルの中から有能な人々を選び、彼らを民の長、すなわち、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長とした。 26 こうして、平素は彼らが民を裁いた。 難しい事件はモーセのもとに持って来たが、小さい事件はすべて、彼ら自身が裁いた。
27 しゅうとはモーセに送られて、自分の国に帰って行った。
シナイ山に着く 19
1 イスラエルの人々は、エジプトの国を出て三日目のその日に、シナイの荒れ野に到着した。 2 彼らはレフィディムを出発して、シナイの荒れ野に着き、荒れ野に天幕を張った。 イスラエルは、そこで、山に向かって宿営した。
3 モーセが神のもと登って行くと、山から主は彼に語りかけて言われた。
「ヤコブの家にこのように語り
イスラエルの人々に告げなさい。
4 あなたたちは見た
わたしがエジプト人にしたこと
また、あなたたちを鷲の翼に乗せて
わたしのもとに連れて来たことを。
5 今、もしわたしの声に聞き従い
わたしの契約を守るならば
あなたたちはすべて民の間にあって
わたしの宝となる。
世界はすべてわたしのものである。
6 あなたたちは、わたしにとって
祭司の王国、聖なる国民となる。
これが、イスラエルの人々に語るべき言葉である。」
7 モーセは戻って、民の長老たちを呼び集め、主が命じられた言葉をすべて彼らの前で語った。 8 民は皆、一斉に答えて、「わたしたちは、主が語られたことをすべて、行います」と言った。
モーセが民の言葉を主に取り次ぐと、 9 主はモーセに言われた。 「見よ、わたしは濃い雲の中にあってあなたに臨む。 わたしがあなたと語るのを民が聞いて、いつまでもあなたを信じるようになるためである。」
モーセは民の言葉を主に告げた。
10 主はモーセに言われた。 「民のところに行き、今日と明日、彼らを聖別し、衣服を洗わせ、 11 三日目のために準備させなさい。 三日目に、民全員の見ている前で、主はシナイ山に降られるからである。 12 民のために周囲に境を設けて、命じなさい。 『山に登らぬよう、また、その境界に触れぬよう注意せよ。 山に触れる者は必ず死刑に処せられる。 13 その人に手を触れずに、石で打ち殺すか、矢で射殺さねばならない。 獣であれ、人であれ、生かしておいてはならない。 角笛が長く吹き鳴らされるとき、ある人々は山に登ることができる。』」
14 モーセは山から民のところに下って行き、民を聖別し、衣服を洗わせ、 15 民に命じて、「三日目のために準備をしなさい。 女に近づいてはならない」と言った。 16 三日目の朝になると、雷鳴と稲妻と厚い雲が山に臨み、角笛の音が鋭く鳴り響いたので、宿営にいた民は皆、震えた。 17 しかし、モーセが民を神に会わせるために宿営から連れ出したので、彼らは山のふもとに立った。 18 シナイ山は全山煙に包まれた。 主が火の中を山の上に降られたからである。 煙は炉の煙のように立ち上り、山全体が激しく震えた。 19 角笛の音がますます鋭く鳴り響いたとき、モーセが語りかけると、神は雷鳴をもって答えられた。
20 主はシナイ山の頂に降り、モーセを山の頂に呼び寄せられたので、モーセは登って行った。 21 主はモーセに言われた。 「あなたは下って行き、民が主を見ようとして越境し、多くの者が命を失うことのないように警告しなさい。 22 また主に近づく祭司たちも身を清め、主が彼らを撃たれることがないようにしなさい。」 23 モーセは主に言った。 「民がシナイ山に登ることはできません。 山に境を設けて、それを聖別せよとあなたがわたしたちに警告されたからです。」 24 主は彼に言われた。 「さあ、下って行き、あなたはアロンと共に登って来なさい。 ただし、祭司たちと民とは越境して主のもとに登って来てはならない。 主が彼らを撃つことがないためである。 25 モーセは民のもとに下って行き、彼らに告げた。
十戒 20
1 神はこれらすべての言葉を告げられた。
2 「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。
3 あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
4 あなたはいかなる像も造ってはならない。 上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。 5 あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。 わたしは主、あなたの神。 わたしは熱情の神である。 わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、 6 わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。 7 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。 みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。
8 安息日を心に留め、これを聖別せよ。 9 六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、 10 七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。 あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。 11 六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
12 あなたの父母を敬え。 そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。
13 殺してはならない。
14 姦淫してはならない。
15 盗んではならない。
16 隣人に関して偽証してはならない。
17 隣人の家を欲してはならない。 隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
18 民全員は、雷鳴がとどろき、稲妻が光り、角笛の音が鳴り響いて、山が煙に包まれる有様を見た。 民は見て恐れ、遠くから離れて立ち、 19 モーセに言った。 「あなたがわたしたちに語ってください。 わたしたちは聞きます。 神がわたしたちにお語りにならないようにしてください。 そうでないと、わたしたちは死んでしまいます。」 20 モーセは民に答えた。 「恐れることはない。 神が来られたのは、あなたたちを試すためであり、また、あなたたちの前に神を畏れる畏れをおいて、罪を犯させないようにするためである。 21 民は遠く離れて立ち、モーセだけが神のおられる密雲に近づいて行った。
契約の書
(1) 祭壇について
22 主はモーセに言われた。
イスラエルの人々にこう言いなさい。
あなたたちは、わたしが天からあなたたちと語るのを見た。 23 あなたたちはわたしについて、何も造ってはならない。 銀の神々も金の神々も造ってはならない。
24 あなたは、わたしのために土の祭壇を造り、焼き尽くす捧げ物、和解の捧げ物、羊、牛をその上にささげなさい。 わたしの名を唱えられるすべての場所において、わたしはあなたに臨み、あなたを祝福する。 25 しかし、もしわたしのために石の祭壇を造るなら、切り石で築いてはならない。 のみを当てると、石が汚されるからである。 26 あなたは、階段を用いて祭壇に登ってはならない。 あなたの隠し所があらわにならないためである。
(2)奴隷について 21
1 以下は、あなたが彼らに示すべき法である。 2 あなたがヘブライ人である奴隷を買うならば、彼は六年間奴隷として働かねばならないが、七年目には無償で自由の身になることができる。 3 もし、彼が独身で来た場合は、独身で去らねばならない。 もし、彼が妻帯者であった場合は、その妻も共に去ることができる。 4 もし、主人が彼に妻を与えて、その妻が彼との間に息子あるいは娘を産んだ場合は、その妻と子供は主人に属し、彼は独身で去らねばならない。
5 もし、その奴隷が、「わたしは主人と妻子とを愛しており、自由の身になる意思はありません」と明言する場合は、 6 主人は彼を神のもとに連れて行く。 入り口もしくは入り口の柱のところに連れて行き、彼の耳を錐で刺し通すならば、彼を生涯、奴隷とすることができる。
7 人が自分の娘を女奴隷として売るならば、彼女は、男奴隷が去るときと同じように去ることはできない。 8 もし、主人が彼女を一度自分のものと定めながら、気に入らなくなった場合は、彼女が買い戻されることを許さねばならない。 彼は彼女を裏切ったのだから、外国人に売る権利はない。 9 もし、彼女を自分の息子のものと定めた場合は、自分の娘と同じように扱わなければならない。 10 もし、彼が別の女をめとった場合も、彼女から食事、衣服、夫婦の交わりを減らしてはならない。 11 もし、彼がこの三つの事柄を実行しない場合は、彼女は金を支払わずに無償で去ることができる。
(3) 死に値する罪
12 人を打って死なせた者は必ず死刑に処せられる。 13 ただし、故意ではなく、偶然、彼の手に神が渡された場合は、わたしがあなたのために一つの場所を定める。 彼はそこに逃れることができる。 14 しかし、人が故意に隣人を殺そうとして暴力を振るうならば、あなたは彼をわたしの祭壇のもとからでも連れ出して、処刑することができる。
15 自分の父あるいは母を打つ者は、必ず死刑に処せられる。
16 人を誘拐する者は、彼を売った場合も、自分の手もとに置いていた場合も、必ず死刑に処せられる。
17 自分の父あるいは母を呪う者は、必ず死刑に処せられる。
(4) 身体の障害
18 人々が争って、一人が他の一人を石、もしくはこぶしで打った場合は、彼が死なないで、床に伏しても、 19 もし、回復して、杖を頼りに外を歩き回ることができるようになるならば、彼を打った者は罰を免れる。 ただし、仕事を休んだ分を補償し、完全に治療させねばならない。
20人が自分の男奴隷あるいは女奴隷を棒で打ち、その場で死なせた場合は、必ず罰せられる。 21 ただし、一両日でも生きていた場合は、罰せられない。 それは自分の財産だからである。
22 人々がけんかをして、妊娠している女を打ち、流産させた場合は、もしその他の損傷がなくても、その女の主人が要求する賠償を支払わねばならない。 仲裁者の裁定に従ってそれを支払わねばならない。 23 もし、その他の損傷があるならば、命には命、 24 目には目、歯には歯、手には手、足には足、 25 やけどにはやけど、生傷には生傷、打ち傷には打ち傷をもって償わなければならない。
26 人が自分の男奴隷あるいは女奴隷の目を打って、目がつぶれた場合、その目の償いとして、その者を自由にして去らせねばならない。 27 もし、自分の男奴隷あるいは女奴隷の歯を折った場合、その歯の償いとして、その者を自由に去らせねばならない。
28 牛が男あるいは女を突いて死なせた場合、その牛は必ず石で打ち殺されねばならない。 また、その肉は食べてはならない。 しかし、その牛の所有者には罪はない。 29 ただし、もし、その牛に以前から突く癖があり、所有者に警告がなされていたのに、彼がその警告を守らず、男あるいは女を死なせた場合は、牛は石で打ち殺され、所有者もまた死刑に処せられる。 30 もし、賠償金が要求された場合には、自分の命の代償として、要求されたとおりに支払わねばならない。 31 男の子あるいは女の子を突いた場合も、この規定に準じて処理されねばならない。 32 もし、牛が男奴隷あるいは女奴隷を突いた場合は、銀三十シェケルをその主人に支払い、その牛は石で打ち殺されねばならない。
(5) 財産の損傷
33 人が水溜めをあけたままにしておくか、水溜めを掘って、それに蓋をしないでおいたため、そこに牛あるいはろばが落ちた場合、 34 その水溜めの所有者はそれを償い、牛あるいはろばの所有者に銀を支払う。 ただし、死んだ家畜は彼のものとなる。
35 ある人の牛が隣人の牛を突いて死なせた場合、生きている方の牛を売って、その代金を折半し、死んだ方の牛も折半する。 36 しかし、牛に以前から突く癖のあることが分かっていながら、所有者が注意を怠った場合は、必ず、その牛の代償として牛で償わねばならない。 ただし、死んだ牛は彼のものとなる。
(6) 盗みと財産の保管
37 人が牛あるいは羊を盗んで、これを屠るか、売るかしたならば、牛一頭の代償として牛五頭、羊一匹の代償として羊四匹で償わねばならない。
22 2b 彼は必ず償わなければならない。 もし、彼が何も持っていない場合は、その盗みの代償として身売りせねばならない。 3 もし、牛であれ、ろばであれ、羊であれ、盗まれたものが生きたままで彼の手もとに見つかった場合は、二倍にして償わねばならない。
1 もし、盗人が壁に穴をあけて入るところを見つけられ、打たれて死んだ場合、殺した人に血を流した罪はない。 2a しかし、太陽が昇っているならば、殺した人に血を流した責任がある。
4 人が畑あるいはぶどう畑で家畜に草を食べさせるとき、自分の家畜を放って、他人の畑で草を食べさせたならば、自分の畑とぶどう畑の最上の産物をもって償わねばならない。
5 火が出て、茨に燃え移り、麦束、立ち穂、あるいは畑のものを焼いた場合、火を出した者が必ず償わねばならない。
6 人が銀あるいは物品の保管を隣人に託し、それが隣人の家から盗まれた場合、もし、その盗人が見つかれば、盗人は二倍にして償わねばならない。 7 もし、盗人が見つからない場合は、その家の主人が神の御もとに進み出て、自分は決して隣人の持ち物に手をかけなかったことを誓わねばならない。 8 牛、ろば、羊、あるいは衣服、その他すべての紛失物について言い争いが生じ、一方が、「それは自分の物です」と言うとき、両者の言い分は神の御もとに出され、神が有罪とした者が、隣人に二倍の償いをせねばならない。
9 人が隣人にろば、牛、羊、その他の家畜を預けたならば、それが死ぬか、傷つくか、奪われるかして、しかもそれを見た者がいない場合、 10 自分は決して隣人の持ち物に手をかけなかった、と両者の間で主に誓いがなされねばならない。 そして、所有者はこれを受け入れ、預かった人は償う必要はない。 11 ただし、彼のところから確かに盗まれた場合は、所有者に償わねばならない。 12 もし、野獣にかみ殺された場合は、証拠を持って行く。 かみ殺されたものに対しては、償う必要はない。
13 人が隣人から家畜を借りて、それが傷つくか、死んだならば、所有者が一緒にいなかったときには必ず償わねばならない。 14 もし、所有者が一緒にいたならば、償う必要はない。 ただし、それが賃借りしたものであれば、借り賃は支払わねばならない。
(7) 処女の誘惑
15 人がまだ婚約していない処女を誘惑し、彼女と寝たならば、必ず結納金を払って、自分の妻としなければならない。 16 もし、彼女の父親が彼に与えることを強く拒む場合は、彼は処女のための結納金に相当するものを銀で支払わねばならない。
(8) 死に値する罪
17 女呪術師を生かしておいてはならない。
18 すべて獣と寝る者は必ず死刑に処せられる。
19 主ひとりのほか、神々に犠牲をささげる者は絶ち滅ぼされる。
(9) 人道的律法
20 寄留者を虐待したり、圧迫したりしてはならない。 あなたたちはエジプトの国で寄留者であったからである。
21 寡婦や孤児はすべて苦しめてはならない。 22 もし、あなたが彼を苦しめ、彼がわたしに向かって叫ぶ場合は、わたしは必ずその叫びを聞く。 23 そして、わたしの怒りは燃え上がり、あなたたちを剣で殺す。 あなたたちの妻は寡婦となり、子供らは、孤児となる。 24 もし、あなたがわたしの民、あなたと共にいる貧しい者に金を貸す場合は、彼に対して高利貸しのようになってはならない。 彼から利子を取ってはならない。 25 もし、隣人の上着を質にとる場合には、日没までに返さねばならない。 26 なぜなら、それは彼の唯一の衣服、肌を覆う着物だからである。 彼は何にくるまって寝ることができるだろうか。 もし、彼がわたしに向かって叫ぶならば、わたしは聞く。 わたしは憐れみ深いからである。
(10) 祭儀的律法
27 神をののしってはならない。 あなたの民の中の代表者を呪ってはならない。
28 あなたの豊かな収穫とぶどう酒の奉献を遅らせてはならない。 あなたの初子をわたしにささげねばならない。 29 あなたの牛と羊についても同じようにせよ。 七日の間、その母と共に置き、八日目にわたしにささげなければならない。
30 あなたたちは、わたしに属する聖なる者とならねばならない。 野外でかみ殺された肉を食べてはならない。 それは犬に投げ与えるべきでる。
(11) 法廷において 23
1 あなたは根拠のないうわさを流してはならない。 悪人に加担して、不法を引き起こす証人となってはならない。
2 あなたは多数者に追随して、悪を行ってはならない。 法廷の争いにおいて多数者に追随して証言し、判決を曲げてはならない。 3 また、弱い人を訴訟において曲げてかばってはならない。
(12) 敵対する者とのかかわり
4 あなたの敵の牛あるいはろばが迷っているのに出会ったならば、必ず彼のもとに連れ戻さなければならない。 5 もし、あなたを憎む者のろばが荷物の下に倒れ伏しているのを見た場合、それを見捨てておいてはならない。 必ず彼と共に助け起こさねばならない。
(13) 訴訟において
6 あなたは訴訟において乏しい人の判決を曲げてはならない。 7 偽りの発言を避けねばならない。 罪なき人、正しい人を殺してはならない。 わたしは悪人を、正しいとすることはない。 8 あなたは賄賂を取ってはならない。 賄賂は、目のあいている者の目を見えなくし、正しい人の言い分をゆがめるからである。 9 あなたは寄留者を虐げてはならない。 あなたたちは寄留者の気持ちを知っている。 あなたたちは、エジプトの国で寄留者であったからである。
(14) 安息年
10 あなたは六年の間、自分の土地に種を蒔き、産物を取り入れなさい。 11 しかし、七年目には、それを休ませて、休閑地しなければならない。 あなたの民の乏しい者が食べ、残りを野の獣に食べさせるがよい。 ぶどう畑、オリーブ畑の場合も同じようにしなければならない。
(15)安息日
12 あなたは六日の間、あなたの仕事を行い、七日目には、仕事をやめねばならない。 それは、あなたの牛やろばが休み、女奴隷の子や寄留者が元気を回復するためである。
13 わたしが命じたことをすべて、あなたたちは守らねばならない。 他の神々の名を唱えてはならない。 それを口にしてはならない。
(16) 祭りについて
14 あなたは年に三度、わたしのために祭りを行わねばならない。 15 あなたは除酵祭を守らねばならない。 七日の間、わたしが命じたように、あなたはアビブの月の定められた時に酵母を入れないパンを食べねばならない。 あなたはその時エジプトを出たからである。 何も持たずにわたしの前に出てはならない。 16 あなたは、畑に蒔いて得た産物の初物を刈り入れる刈り入れの祭りの祭りを行い、年の終わりには、畑の産物を取り入れる時に、取入れの祭りを行わねばならない。 17 年に三度、男子はすべて、主なる神の御前に出ねばならない。 18 あなたはわたしにささげるいけにえの血を、酵母を入れたパンと共にささげてはならない。 また、祭りの捧げ物の脂肪を朝まで残しておいてはならない。 19 あなたは、土地の最上の初物をあなたの神、主の宮に携えて来なければならない。
あなたは子山羊をその母の乳で煮てはならない。
違反に対する警告
20 見よ、わたしはあなたの前に使いを遣わして、あなたを道で守らせ、わたしの備えた場所に導かせる。 21 あなたは彼に心を留め、その声に聞き従い、彼に逆らってはならない。 彼はあなたたちの背きを赦さないであろう。 彼はわたしの名を帯びているからである。 22 しかし、もしあなたが彼の声に聞き従い、わたしの語ることをすべて行うならば、わたしはあなたの敵に敵対し、仇に仇を報いる。
23 わたしの使いがあなたの前を行き、あなたをアモリ人、ヘト人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人のところに導くとき、わたしは彼らを絶やす。 24 あなたは彼らの神々にひれ伏し仕えてはならない。 そのならわしを行ってはならない。 あなたは彼らを滅ぼし、その石柱を打ち砕かねばならない。 25 あなたたちは、あなたたちの神、主に仕えねばならない。 主はあなたのパンと水を祝福するであろう。 わたしはあなたの中から病を取り除く。 26 あなたの国には流産する女も不妊の女もいなくなる。 わたしはあなたの天寿を全うさせる。
27 わたしは、あなたの前にわたしの畏れを送り、あなたが入って行く土地の民をすべて混乱に陥れ、あなたの敵をすべて敗退させる。 28 わたしはまた、あなたの前に恐怖を送り、あなたの前からヒビ人、カナン人、ヘト人を追い出す。 29 しかし、一年間は彼らをあなたの前から追い出さない。 さもないと、国土は荒れ果て、野獣の数が増し、あなたに向かって来る。 30 わたしは彼らをあなたの前から徐々に追い出すので、あなたは子を産み、国土を受け継ぐに至る。 31 わたしは葦の海からペリシテ人の海まで、また荒れ野から大河までをあなたの領地と定める。 わたしはその土地の住民をあなたたちの手に渡すから、あなたは彼らを自分の前から追い出す。 32 あなたは彼らおよび彼らの神々と契約を結んではならない。 33 彼らはあなたの国に住むことはできない。 彼らがあなたに、わたしに対する罪を犯させないためである。 さもないと、あなたは彼らの神々を拝み、それは、あなたにとって罠となるからである。
契約の締結 24
1 主はモーセに言われた。
「あなたは、アロン、ナダブ、アビフ、およびイスラエルの七十人の長老と一緒に主のもとに登りなさい。 あなたたちは遠く離れて、ひれ伏さねばならない。 2 しかし、モーセだけは主に近づくことができる。 その他の者は近づいてはならない。 民は彼と共に登ることはできない。」
3 モーセは戻って、主のすべての言葉とすべての法を民に読み聞かせると、民は皆、声を一つにして答え、「わたしたちは、主が語られた言葉をすべて行います」と言った。 4 モーセは主の言葉をすべて書き記し、朝早く起きて、山のふもとに祭壇を築き、十二の石の柱イスラエルの十二部族のために建てた。 5 彼はイスラエルの人々の若者を遣わし、焼き尽くす捧げものをささげさせ、更に和解の捧げ物として主に雄牛をささげさせた。 6 モーセは血の半分を取って鉢に入れて、残りの半分を祭壇に振りかけると、 7 契約の書を取り、民に読んで聞かせた。 彼らが、「わたしたちは主が語られたことをすべて行い、守ります」と言うと、 8 モーセは血を取り、民に振りかけて言った。 「見よ、これは主がこれらの言葉に基づいてあなたたちと結ばれた契約の血である。」
9 モーセはアロン、ナダブ、アビフおよびイスラエルの七十人の長老と一緒に登って行った。 10 彼らがイスラエルの神を見ると、その御足の下にはサファイアの敷石のような物があり、それはまさに大空のように澄んでいた。 11 神はイスラエルの民の代表者たちに向かって手を伸ばされなかったので、彼らは神を見て、食べ、また飲んだ。
12 主が、「わたしのもとに登りなさい。 山に来て、そこにいなさい。 わたしは、彼らを教えるために、教えと戒めを記した石の板をあなたに授ける」とモーセに言われると、 13 モーセは従者ヨシュアと共に立ち上がった。 モーセは、神の山へ登って行くとき、 14 長老たちに言った。 「わたしたちがあなたたちのもとに帰って来るまで、ここにとどまっていなさい。 見よ、アロンとフルとがあなたたちと共にいる。 何か訴えのある者は、彼らのところに行きなさい。」
15 モーセが山に登って行くと、雲は山を覆った。 16 主の栄光がシナイ山の上にとどまり、雲は六日の間、山を覆っていた。 七日目には、主は雲の中からモーセに呼びかけられた。 17 主の栄光はイスラエルの人々の目には、山の頂で燃える火のように見えた。 18 モーセは雲の中に入って行き、山に登った。 モーセは四十日四十夜山にいた。
幕屋建設の指示 25
1 主はモーセに仰せになった。
2 イスラエルの人々に命じて、わたしのもとに献納物を持って来させなさい。 あなたたちは、彼らがおのおの進んで心からささげるわたしへの献納物を受け取りなさい。 3 彼らから受け取るべき献納物は以下のとおりである。 金、銀、青銅、 4 青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛、 5 赤く染めた雄羊の毛皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 6 ともし火のための油、聖別の油と香草の香とに用いる種々の香料、 7 エフォドや胸当てにはめ込むラピス・ラズリやその他の宝石類である。
8 わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。 わたしは彼らの中に住むであろう。 9 わたしが示す作り方に正しく従って、幕屋とそのすべての祭具を作りなさい。
箱
10 アカシヤ材で箱をつくりなさい。 寸法は縦二・五アンマ、横一・五アンマ。 11 純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作る。 12 四つの金環を鋳造し、それを箱の四隅の脚に、すなわち箱の両側に二つずつ付ける。 13-14 箱を担ぐために、アカシヤ材で棒を作り、それを金で覆い、箱の両側に付けた環に通す。 15 棒はその環に通したまま抜かずに置く。 16 この箱に、わたしが与える掟の板を納めなさい。 17 次に、贖いの座を純金で作りなさい。 寸法は縦二・五アンマ、横一・五アンマとする。 18 打ち出し作りで一対のケルビムを作り、贖いの座の両端、 19 すなわち、一つを一方の端に、もう一つを他の端に付けなさい。 一対のケルビムを贖いの座の一部としてその両端に作る。 20 一対のケルビムは顔を贖いの座に向けて向かい合い、翼を広げてそれを覆う。 21 この贖いの座を箱の上に置いて蓋とし、その前にわたしが与える掟の板を納める。 22 わたしは掟の箱の上の一対のケルビムの間、すなわち贖いの座の上からあなたに臨み、わたしがイスラエルの人々に命じることをことごとくあなたに語る。
机
23 アカシア材で机を作りなさい。 寸法は縦二アンマ、横一・五アンマ。 24 純金で覆い、金の飾り?を作る。 25 一トファの幅の枠で四本の脚を補強し、枠にも金の飾り縁を作る。 26 四つの金環を作り、それぞれの脚の外側に付けるが、 27 枠の高さに付け、机を担ぐ棒を通す環とする。 28 アカシア材で棒を作って金で覆い、机を担ぐ棒とする。 29 皿、柄杓、小瓶、水差しを作り、ぶどう酒の捧げ物をささげるのに用いる。 これらは、純金で作る。 30 この机に供えのパンを、絶えずわたしの前に供えなさい。
燭台
31 純金で燭台を作りなさい。 燭台は打つ出し作りとし、台座と支柱、蕚と節と花弁は一体でなければならない。 32 六本の支柱が左右に出るように作り、一方に三本、他方に三本付ける。 33 一本の支柱には三つのアーモンドの花の形をした蕚と節と花弁を付け、もう一本の支柱にも三つのアーモンドの花の形をした蕚と節と花弁を付ける。 燭台から分かれて出ている六本の支柱を同じように作る。 34 燭台の支柱には四つのアーモンドの花と形をした蕚と節と花弁を付ける。 35 節は、支柱が対になって出ている所に一つ、その次に支柱が対になって出ている所に一つ、またその次に支柱が対になって出ている所に一つと、燭台の支柱から出ている六本の支柱の付け根の所に作る。 36 これらの節と支柱は主柱と一体でなければならず、燭台全体は一枚の純金の打ち出し作りとする。
37 次に、七個のともし灯皿を作り、それを上に載せて光が前方に届くようにする。 38 また、芯切り鋏と火皿を純金で作る。 39 燭台とこれらすべての祭具とを重さ一キカルの純金で作る。
40 あなたはこの山で示された作り方に従い、注意して作りなさい。
幕屋を覆う幕 26
1 次に、幕屋を覆う十枚の幕を織りなさい。 亜麻のより糸、青、紫、緋色の糸を使って意匠家の描いたケルビムの模様を織り上げなさい。 2 一枚の幕は長さ二十八アンマ、幅四アンマ、すべての幕を同じ寸法にする。 3 五枚の幕をつづり合わせ、他の五枚も同じようにする。 4 青い糸の輪を作り、一方のつづり合わせたものの端に当たる幕の縁と、もう一方のつづり合わせたものの最後の幕の縁とにそれを並べる。 5 一方の幕について五十の輪、他方のつづり合わせたものの幕にも五十の輪を作り、互に合うように並べて付ける。 6 そこに、五十の金の留め金を作り、両方の幕をそれらで留め合せる。 こうして幕屋を一つに仕上げる。
7 次に、山羊の毛を使って十一枚の幕を作り、幕屋を覆う天幕としなさい。 8 一枚の幕は長さ三十アンマ、幅四アンマで、十一枚の幕をすべて同じ寸法にする。 9 そのうちの五枚をつづり合わせたものと、残りの六枚をつづり合わせたものを作る。 六枚目の幕は天幕の前面で二重にする。 10 五十の輪を作り、一方のつづり合わせたものの端に当たる幕の縁に付け、もう一方のつづり合わせたものの端に当たる幕の縁に五十の輪を付ける。 11 そこに、五十の青銅の留め金を作り、それぞれの輪にはめ、天幕を留め合せて一つに仕上げる。 12 天幕の幕の長さの余る分、すなわち、余分の半幕分は幕屋の後ろに垂らす。 13 また、天幕の幕の長さは一方に一アンマ、他方に一アンマ余るが、それは南北両側面を覆うために垂らす。
14 最後に、赤く染めた雄羊の毛皮で天幕の覆いを作り、更にその上をじゅごんの皮の覆いでおおう。
幕屋の壁板と横木
15 幕屋の壁板をアカシア材で作って立てなさい。 16 一枚の壁板は縦十アンマ、横一・五アンマ、 17 それぞれの壁板に二つの柄を作って隣の壁板とつなぎ合わせる。 幕屋の壁板全部に同じものを作る。 18 幕屋の壁板は南側に二十枚並べ、 19 二十枚の壁板の下にはめるために銀の台座四十個を作る。 すなわち、一枚の板の下に作る二つのほぞに合うように二個の台座を、それぞれの壁板の下に置く。 20 幕屋の他の側面、すなわち北側にも二十枚の壁板を並べ、 21 四十個の銀の台座を作り、壁板一枚につき二個の割りで、それぞれの壁板の下に置く。
22 次に、幕屋の後ろ、すなわち西側には六枚の壁板を並べ、 23 更に二枚の板を作って両方の隅とする。 24 壁板は、下部では二つずつ分かれているが、上部は箍で一つに連ねられている。 両方の隅は同じように作る。 25 従って、西側の壁板は八枚となり、銀の台座は、壁板一枚につき二個、次の一枚にも二個と、計十六個となる。
26 次に、アカシヤ材で横木を作りなさい。 幕屋の一方の側の壁板に五本、 27 もう一方の側の壁板に五本、また西側、つまり後ろ側の壁板に五本用いる。 28 壁板の中央の高さに位置する横木は、壁板の端から端まで渡す。 29 金箔で壁板を覆い、金環に横木を通す。 その横木も金箔で覆う。
30 こうして、山で示された方式に従って幕屋を造りなさい。
至聖所の垂れ幕
31 次に、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使って、意匠家の描いたケルビムの模様の垂れ幕を作り、 32 金箔で覆ったアカシア材の四本の柱の鉤に掛けなさい。 鉤は金、四本の柱の台座は銀で作る。 33 その垂れ幕は留め金の下に掛け、その垂れ幕の奥に掟の箱を置く、この垂れ幕はあなたたちに対して聖所と至聖所とを分けるものとなる。 34 至聖所の掟の箱の上に贖いの座を置く、 35 垂れ幕の手前には机を置き、向かい合わせに燭台を置く、燭台は幕屋の南側に、机は北側に置く。
天幕の入り口の幕
36 次に、天幕の入り口に掛ける幕を作る。 青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使ってつづれ織を作りなさい。 37 また、幕を掛けるためにアカシア材で五本の柱を作り、それを金箔で覆い、鉤は金で作る。 また柱のためには五個の青銅の台座を鋳造する。
祭壇 27
1 アカシア材で祭壇を造りなさい。 縦五アンマ、横五アンマの正方形、高さは三アンマとする。 2 祭壇の四隅にそれぞれ角を作り、祭壇から生えているように作り、全体を青銅で覆う。 3 灰を取る壺、十能、鉢、肉刺し、火皿などの祭具はすべて青銅で作る。 4 祭壇の下部には青銅の網目作りの格子を付ける。 その網の四隅に青銅の環四個を取り付ける。 5 網目格子は祭壇の半ばの高さにある、張り出した棚の下の部分に付ける。 6 祭壇を担ぐためにアカシア材の棒を作り、それを青銅で覆う。 7 この棒を環に差し込み、祭壇を運ぶとき、その両側に棒があるように整えておく。 8 祭壇は板で造り、中を空洞にする。 山であなたに示されたとおりに造りなさい。
幕屋を囲む庭
9 次に、幕屋を囲む庭を造りなさい。 庭の南側に面して、その側のために亜麻のより糸で織った長さ百アンマの幔幕を張る。 10 そのために、二十本の柱と二十個の台座を青銅で作り、柱の鉤と桁は銀で作る。 11 同じようにして、北側に長さ百アンマの幔幕を張り、二十本の柱と二十個の台座を青銅で、柱の鉤と桁は銀で作る。 12 庭の西側には幅五十アンマの幔幕を張り、十本の柱と十個の台座を作る。 13 庭の東側の幅も五十アンマとし、 14 十五アンマの幔幕を三本の柱と三個の台座によって右に、 15 同じく、十五アンマの幔幕を三本の柱と三個の台座によって左に張る。 16 庭の入り口には、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸で織ったつづれ織りの二十アンマの幕を張り、四本の柱と四個の台座を作る。
17 庭を囲むすべての柱は銀の桁でつなぎ合わせる。 柱の鉤は銀、台座は青銅で作る。 18 この庭の奥行きは百アンマ、間口は五十アンマである。 幔幕は高さ五アンマで、亜麻のより糸で織る。 台座は青銅で作る。 19 また、幕屋で祭儀に用いる祭具、幕屋や庭の杭などすべては青銅で作る。
幕屋を囲む庭
9 次に、幕屋を囲む庭を造りなさい。 庭の南側に面して、その側のために亜麻のより糸で織った長さ百アンマの幔幕を張る。 10 そのために、二十本の柱と二十個の台座を青銅で作り、柱の鉤と桁は銀で作る。 11 同じようにして、北側に長さ百アンマの幔幕を張り、二十本の柱と二十個の台座を青銅で、柱の鉤と桁は銀で作る。 12 庭の西側には幅五十アンマの幔幕を張り、十本の柱と十個の台座を作る。 13 庭の東側の幅も五十アンマとし、 14 十五アンマの幔幕を三本の柱と三個の台座によって右に、 15 同じく、十五アンマの幔幕を三本の柱と三個の台座によって左に張る。 16 庭の入り口には、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸で織ったつづれ織りの二十アンマの幕を張り、四本の柱と四個の台座を作る。
17 庭を囲むすべての柱は銀の桁でつなぎ合わせる。 柱の鉤は銀、台座は青銅で作る。 18 この庭の奥行きは百アンマ、間口は五十アンマである。 幔幕は高さ五アンマで、亜麻のより糸で織る。 台座は青銅で作る。 19 また、幕屋で祭儀に用いる祭具、幕屋や庭の杭などすべては青銅で作る。
常夜灯
20 あなたはイスラエルの人々に命じて、オリーブを砕いて取った純粋の油をともし火に用いるために持って来させ、常夜灯をともさせなさい。 21 常夜灯は臨在の幕屋にある掟の箱を隔てる垂れ幕の手前に置き、アロンとその子らが、主の御前に、夕暮れから夜明けまで守る。 これはイスラエルの人々にとって、代々にわたって守るべき不変の定めである。
祭服 28
1 次に、祭司としてわたしに仕えさせるために、イスラエルの人々の中から、兄弟アロンとその子ら、すなわち、ナダブ、アビフ、エルアザルとイタマルを、アロンと共にあなたの近くに置きなさい。 2 あなたの兄弟アロンに威厳と美しさを添える聖なる祭服を作らねばならない。 3 あなたは、わたしが知恵の霊を与えたすべての知恵のある者たちに説明して、わたしの祭司として聖別されたアロンのために祭服を作らせなさい。 4 彼らが作るべき衣類は、胸当て、エフォド、上着、格子縞の長い服、ターバン、飾り帯である。 あなたの兄弟であるアロンとその子らが祭司としてわたしに仕えるときの聖なる祭服を作るために、 5 彼らは金、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻布を受け取る。
エフォド
6 彼らは金、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使って、意匠家の描いた模様のエフォドを織り、 7 その両端に二本の肩ひもを付ける。 8 付け帯はエフォドと同じように、金、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使って作る。
9 また、二個のラピス・ラズリを取り、その上にイスラエルの子らの名を彫りつける。 10 六つの名を第一の石に、残る六つの名を第二の石に、生まれた順に彫りつける。 11 印章に石の細工人が彫るように、イスラエルの子らの名をその二個の石に彫りつけ、その石を金で縁取りする。 12 その二個の石をエフォドの両肩ひもに付け、イスラエルの子らのための記念の石とする。 アロンは彼らの名を記念として両肩に付け、主の御前に立つ。
13 金の縁取りをし、 14 二本の純金の鎖を組みひものように作って、金で縁取りをしたものに付ける。
胸当て
15 次に、金、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使ってエフォドと同じように、意匠家の描いた模様の、裁きの胸当てを織りなさい。 16 それは、縦横それぞれ一ゼレトの真四角なものとし、二重にする。 17 それに宝石を四列に並べて付ける。
第一列 ルビー トパーズ エメラルド
18 第二列 ざくろ石 サファイア ジャスパー
19 第三列 オパール めのう 紫水晶
20 第四列 藍玉 ラピス・ラズリ 碧玉
これらの並べたものを金で縁取りする。 21 これらの宝石はイスラエルの子らの名を表して十二個あり、それぞれの宝石には十二部族に従ってそれぞれの名が印章に彫るように彫りつけられている。
22 次に、組みひも状にねじった純金の鎖を作り、胸当てに付ける。 23 更に、金環二個を作っておのおのを胸当ての上の端に付ける。 24 そして、二本の金の鎖を胸当ての端の二個の金環にそれぞれ通して、 25 二本の鎖の両端を金の縁取り細工に結び付け、エフォドの肩ひもの外側に取り付ける。 26 また別の二個の金環を作って、おのおのを胸当ての下の端、つまりエフォドと接するあたりの裏側に取り付ける。 27 更に、別の二個の金環を作り、それを二本のエフォドの肩ひもの下、すなわちエフォドの付け帯のすぐ上、そのつなぎ目のあたりの外側に取り付ける。 28 胸当ては、その環とエフォドの環を青いねじりひもで結び、それがエフォドの付け帯の上に来るようにし、胸当てがエフォドからはずれないようにする。 29 このようにして、アロンは聖所に入るとき、裁きの胸当てにあるイスラエルの子らの名を胸に帯び、常に主の御前に記念とするのである。
30 裁きの胸当てにはウリムとトンミムを入れる。 それらは、アロンが主の御前に出るときに、その胸に帯びる。 アロンはこうして、イスラエルの人々の裁きを、主の御前に常に胸に帯びるのである。
上着
31 また、エフォドと共に着る上着を青一色の布で作りなさい。 32 その上着の真ん中に頭を通す穴をあけ、そのへりは革の鎧の襟のように縁取りをして破れないようにする。 33 上着の裾の回りには、青、紫、および緋色の毛糸で作ったざくろの飾りを付け、その間に金の鈴を付ける。 34 金の鈴の次にざくろの飾り、金の鈴の次にざくろの飾りと、上着の裾の回りに付ける。 35 アロンが聖所で務めをするとき、この上着を着ける。 それは彼が中に入って、主の御前に出るときにも、立ち去るときにも、鈴の音が聞こえるようにして、死を招くことがないためである。
額当て
36 また、純金の花模様の額当てを作り、その上に印章に彫るように、「主の聖なる者」と彫りなさい。 37 次に、この額当ての両端に青いねじりひもを付け、ターバンに当てて結び、ターバンの正面にくるようにする。 38 これがアロンの額にあれば、アロンは、イスラエルの人々がささげる捧げ物、つまり、聖なる捧げ物に関して生じた罪を負うことになる。 また、彼がそれを常に額に帯びていれば、彼らは主の御前に受入れられる。
アロンとその子らの衣服
39 また、亜麻の長い服を格子縞に織り、亜麻のターバンを作り、またつづれ織りをした飾り帯を作りなさい。
40 また、アロンの子らのためにも長い服を作り、飾り帯を作り、威厳と美しさを添えるターバンを作りなさい。 41 これらの衣服を兄弟アロンとその子らに着せ、彼らに油を注いで祭司の職に就かせ、彼らを聖別してわたしに仕えさせなさい。 42 また、彼らに亜麻布のズボンを作り、腰から腿までの肌を覆い隠すようにしなさい。 43 アロンとその子らがそれを身に着けていれば、臨在の幕屋に入ったとき、あるいは聖所で務めをするために祭壇に近づいたとき、罪を負って死を招くことがない。 これは彼とその子らにとって不変の定めである。
祭司聖別の儀式 29
1 わたしに仕える祭司として、彼らを聖別するためにすべき儀式は、次のとおりである。
若い雄牛一頭と傷のない雄の子羊二匹を取る。 2 次に、酵母を入れないパン、酵母を使わずに、オリーブ油を混ぜて焼いた小麦粉の輪形のパン、オリーブ油を塗った、酵母を入れない薄焼きパンを、みな上等の小麦粉で作る。 3 それをみな一つの籠に入れ、一頭の雄牛、二匹の雄羊と共にささげる。 4 次に、アロンとその子らを臨在の幕屋の入り口に進ませ、彼らを水で清める。 5 次いで、式服一そろいを取り、アロンに長い服、エフォドと共に着る上着、エフォド、胸当てを着せ、エフォドの付け帯で締める。 6 それから、彼の頭にターバンを巻き、その上に聖別のしるしの額当てを付ける。 7 次いで、聖別の油を取り、彼の頭に注ぎかけて、聖別する。 8 次に、アロンの子らを前に進ませ、彼らに長い服を着せ、 9 飾り帯を締め、ターバンを巻く。 彼らの祭司職はこうして、不変の定めにより、彼らのものとなる。
次に、アロンとその子らの任職式を行う。 10 まず、雄牛を臨在の幕屋の前に引いて来る。 アロンとその子らは手を雄牛の頭に置く。 11 あなたはそれを主の御前、臨在の幕屋の入り口で屠る。 12 次いで雄牛の血を器に取り、その一部を指で祭壇の四隅の角に塗り、血は全部祭壇の基に流す。 13 次に、内臓を覆っているすべての脂肪と肝臓の尾状葉と二つの腎臓とそれに付着する脂肪を取って、祭壇で燃やして煙にする。 14 雄牛の肉と皮と胃の中身は宿営の外で焼き捨てる。 これが贖罪の捧げ物である。
15 また、雄羊一匹を取り、アロンとその子らが手を羊の頭に置く。 16 あなたはそれを屠り、血を取って祭壇の四つの側面に注ぎかける。 17 また、その雄羊を各部に分割し、内臓と四肢を水で洗い、分割した各部と頭と共に、 18 その雄羊全部を祭壇で燃やして煙にする。 これは主にささげる焼き尽くす捧げ物であり、主に燃やしてささげる宥めの香りである。
19 次いで、もう一匹の雄羊を取り、アロンとその子らが手を羊の頭に置く。 20 あなたはそれを屠り、血を取ってその一部をアロンとその子らの右の耳たぶと右手の親指と右足の親指に付け、血を祭壇の四つの側面に注ぎかける。 21 また、祭壇の上の血の一部を取り、更に聖別の油の一部を取って、アロンとその衣服、更にアロンの子らとその衣服に振りまく。 そうすれば、彼自身も衣服も、また彼の子ら自身も衣服も、聖なるものとなる。 22 次に、雄羊から脂肪と油尾と内臓を覆う脂肪、肝臓の尾状葉と二つの腎臓とそれに付着する脂肪と右後ろ肢を切り取る。 これは任職の雄羊だからである。 23 また、一塊のパン、オリーブ油を混ぜて焼いた輪形のパン一個、薄焼きパン一個を、主の御前に供えた酵母を入れないパンの籠から取る。 24 あなたはこれらをすべてアロンとその子らの手に載せ、奉納物として主の御前にささげさせる。 25 次いで、彼らの手からそれらを受け取って、祭壇の上の焼き尽くす捧げ物の傍らに置いて煙にし、主を宥める香りとする。 これが燃やして主にささげる捧げ物である。 26 次に、あなたはアロンの任職の雄羊の胸の肉を取り、奉納物として主の御前にささげる。 それはあなたが受けるべき分である。 27 あなたは、アロンとその子らの任職のための雄羊の捧げ物のうちから、奉納物の胸の肉と礼物の右後ろ肢とを聖別しなさい。 28 それは、不変の定めにより、イスラエルの人々からささげられた物のうちアロンとその子らの分となるべきものである。 なぜなら、それは礼物だからである。 それはイスラエルの人々が主に対する献納物として、和解の捧げ物のうちからささげる物である。
29 アロンの祭服は、彼の後を継ぐ子らが聖別の油を注がれ、祭司職に任命されたならば、彼らのものとなる。 30 アロンの子らのうち、彼の後を継いで祭司となり、臨在の幕屋に入って聖所で仕える者が、その祭服を七日の間、着用する。
31 あなたは任職の雄羊を取り、その肉を聖なる場所で煮て料理する。 32 アロンとその子らは、その肉と籠に入れてあるパンを臨在の幕屋の入り口で食べる。 33 彼らは、自分たちの任職と聖別の儀式に際して、罪の贖いとして用いられた捧げ物を食べる。 それは聖なるものであるから、一般の人は食べてはならない。 34 もし、この任職の捧げ物の肉やパンが翌朝まで残ったならば、焼き捨てる。 それは聖なるものであるから、だれも食べてはならない。
35 あなたはわたしが命じたとおり、アロンとその子らのために七日の間任職式を行いなさい。 36 罪の贖いのために毎日、贖罪の捧げ物の雄牛をささげ、祭壇のために罪の贖いの儀式を行って、それを清め、またそれに油を注いで聖別しなさい。 37 七日の間、祭壇のために罪の贖いの儀式を行って、聖別すれば、祭壇は神聖なものとなる。
日ごとの捧げ物
38 祭壇にささげるべき物は次のとおりである。 毎日絶やすことなく一歳の雄羊二匹を、 39 朝に一匹、夕暮れに他の一匹をささげる。 40 そして、朝ささげる雄羊には四分の一ヒンのオリーブを砕いて取った油を混ぜた十分の一エファの小麦粉と、四分の一ヒンのぶどう酒の捧げ物を加える。 41 また、朝と同じく夕暮れにも、雄羊に穀物の捧げ物とぶどう酒の捧げ物を加え、燃やして主にささげる宥めの香りとする。 42 これは代々にわたって、臨在の幕屋の入り口で主の御前にささぐべき日ごとの焼き尽くす捧げ物である。 わたしはその場所で、あなたたちと会い、あなたに語りかける。 43 わたしはその所でイスラエルの人々に会う。 そこは、わたしの栄光によって聖別される。 44 わたしは臨在の幕屋と祭壇を聖別し、またアロンとその子らをわたしに仕える祭司として聖別する。 45 また、わたしはイスラエルの人々のただ中に宿り、彼らの神となる。 46 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを、すなわち彼らのただ中に宿るために、わたしが彼らをエジプトの国から導き出したものであることを知る。 わたしは彼らの神、主である。
香をたく祭壇 30
1 アカシア材で香をたく祭壇を造りなさい。 2 寸法は縦一アンマ、横一アンマの正方形に、高さ二アンマとする。 そして、四隅に角を祭壇から生えるように作る。 3 祭壇の上の面と四つの側面と角を純金で覆い、側面に金の飾り縁を作る。 4 二個の金環を作り、それを金の飾り縁の下の両側に相対するように取り付け、担ぐための棒を差し入れる環とする。 5 この棒もアカシア材で作り、金で覆う。 6 それを掟の箱を隔てる垂れ幕の手前に置く。 この掟の箱の上の贖いの座の前でわたしはあなたと会う。 7 アロンはその祭壇で香草の香をたく。 すなわち、毎朝ともし火を整えるとき、 8 また夕暮れに、ともし火をともすときに、香をたき、代々にわたって主の御前に香りの捧げ物を絶やさぬようにする。 9 あなたたちはその上で規定に反した香や焼き尽くす捧げ物、穀物の捧げ物、ぶどう酒の捧げ物などをささげてはならない。 10 アロンは年に一度、この香をたく祭壇の四隅の角に贖罪の捧げ物の血を塗って、罪の贖いの儀式を行う。 代々にわたって、年に一度、その所で罪の贖いの儀式を行う。 この祭壇は主にとって神聖なものである。
命の代償
11 主はモーセに仰せになった。
12 あなたがイスラエルの人々の人口を調査して、彼らを登録させるとき、登録に際して、各自は命に代償を主に支払わねばならない。 登録することによって彼らに災いがふりかからぬためである。 13 登録が済んだ者はすべて、聖所のシェケルで銀半シェケルを主への献納物として支払う。 一シェケルは二十ゲラに当たる。
14 登録を済ませた二十歳以上の男子は、主への献納物としてこれを支払う。 15 あなたたちの命を贖うために主への献納物として支払う銀は半シェケルである。 豊かな者がそれ以上支払うことも、貧しい者がそれ以下支払うことも禁じる。 16 あなたがイスラエルの人々から集めた命の代償金は臨在の幕屋のために用いる。 それは、イスラエルの人々が主の御前で覚えられるために、あなたたちの命を贖うためである。
手足を清める
17 主はモーセに仰せになった。
18 洗い清めるために、青銅の洗盤とその台を作り、臨在の幕屋と祭壇の間に置き、水を入れなさい。 19 アロンとその子らは、その水で手足を洗い清める。 20 すなわち、臨在の幕屋は入る際に、水で洗い清める。 死を招くことのないためである。 また、主に燃やしてささげる捧げ物を煙にする奉仕のために祭壇に近づくときにも、 21 手足を洗い清める。 死を招くこのないためである。 これは彼らにとっても、子孫にとっても、代々にわたって守るべき不変の定めである。
聖別の油
22 主はモーセに仰せになった。
23 上質の香料を取りなさい。 すなわち、ミルラの樹脂五百シェケル、シナモンをその半量の二百五十シェケル、 24 桂皮を聖所のシェケルで五百シェケル、オリーブ油一ヒンである。 25 あなたはこれらを材料にして聖なる聖別の油を作る。 すなわち、香料師の混ぜ合わせ方に従って聖なる聖別の油を作る。 26 それを以下のものに注ぐ。 すなわち、臨在の幕屋、掟の箱、 27 机とそのすべての祭具、燭台とその祭具、香をたく祭壇、 28 焼き尽くす捧げ物の祭壇とそのすべての祭具、洗盤とその台。 29 あなたがこれらを聖別すると、神聖なるものとなる。 それに触れたものは、みな聖なるものとなる。 30 アロンとその子らにこの油を注いで、彼らを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなさい。
31 イスラエルの人々に告げてこう言いなさい。
聖なる聖別の油は、代々にわたってわたしのために使うべきものである。 32 一般の人の体に注いだり、同じ割合のものを作ってはならない。 それは聖なるものであるからである。 聖なるものとして扱いなさない。 33 類似したものを混ぜ合わせて、一般の人に塗る者は、その民から断たれる。
香料
34 主はモーセに言われた。
以下の香料、すなわち、ナタフ香、シェヘレト香、ヘルベナ香、これらの香料と純粋な乳香をそれぞれ同量取り、 35 香を作りなさい。 すなわち、香料師の混ぜ合わせ方に従ってよく混ぜ合わせた、純粋な、聖なる香を作る。 36 その一部を細かく砕いて粉末にし、粉末の一部を、臨在の幕屋の中の掟の箱の前に置く。 わたしはそこであなたに会う。 これはあなたたちにとって神聖なものである。 37 同じ割合で作った香を私用に使ってはならない。 あなたは、それを主に対して聖なるものとしなければならない。
38 また、類似したものを作って、香りを楽しもうとする者は、すべてその民から断たれる。
技術者の任命 31
1 主はモーセにおう仰せになった。
2 見よ、わたしはユダ族のフルの孫、ウリの子ベツァルエルを名指しで呼び、 3 彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識をもたせ、 4 金、銀、青銅による細工に意匠をこらし、 5 宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての工芸をさせる。 6 わたしはダン族のアヒサマクの子オホリアブを、彼の助手にする。 わたしは、心に知恵あるすべての者の心に知恵を授け、わたしがあなたに命じたものをすべて作らせる。 7 すなわち、臨在の幕屋、掟の箱、その箱の上の贖いの座、幕屋のすべての祭具、 8 机とその祭具、純金の燭台とそのすべての祭具、香をたく祭壇、 9 焼き尽くす捧げ物の祭壇とそのすべての祭具、洗盤とその台、 10 祭司アロンのために織った衣服と祭服、アロンの子らが祭司として仕えるときの衣服、 11 性別の油、聖所でたく香ばしい香である。 彼らはわたしが命じたとおりに作らねばならない。
安息日を厳守せよ
12 主はモーセに言われた。
13 あなたは、イスラエルの人々に告げてこう言いなさい。
あなたたちは、わたしの安息日を守らねばならない。 それは、代々にわたってわたしとあなたたちとの間のしるしであり、わたしがあなたたちを聖別する主であることを知るためのものである。 14 安息日を守りなさい。 それは、あなたたちにとって聖なる日である。 それを汚す者は必ず死刑に処せられる。 だれでもこの日に仕事をする者は、民の中から断たれる。 15 六日の間は仕事をすることができるが、七日目は、主の聖なる、最も厳かな安息日である。 だれでも安息日に仕事をする者は必ず死刑に処せられる。 16 イスラエルの人人は安息日を守り、それを代々にわたって永遠の契約としなさい。 17 これは、永遠にわたしとイスラエルの人々との間のしるしである。 主は六日の間に天地を創造し、七日目に御業をやめて憩われたからである。
18 主はシナイ山でモーセと語り終えられたとき、二枚の掟の板、すなわち、神の指で記された石の板をモーセにお授けになった。
金の子牛 32
1 モーセが山からなかなか下りて来ないのを見て、民がアロンのもとに集まって来て、「さあ、我々に先立って進む神々を造ってください。 エジプトの国から我々を導き上った人、あのモーセがどうなってしまったのか分からないからです」と言うと、 2 アロンは彼らに言った。 「あなたたちの妻、息子、娘らが着けている金の耳輪をはずし、わたしのところに持って来なさい。」 3 民は全員、着けていた金の耳輪をはずし、アロンのところに持って来た。 4 彼はそれを受け取ると、のみで型を作り、若い雄牛の鋳造を造った。 すると彼らは、「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」と言った。 5 アロンはこれを見て、その前に祭壇を築き、「明日、主の祭りを行なう」と宣言した。 6 彼らは次の朝早く起き、焼き尽くす捧げ物をささげ、和解の捧げ物を供えた。 民は座って飲み食いし、立って戯れた。 7 主はモーセに仰せになった。 「直ちに下山せよ。 あなたがエジプトの国から導き上った民は堕落し、 8 早くもわたしが命じた道からそれて、若い雄牛の鋳造を造り、それにひれ伏し、いけにえをささげて、『イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上った神々だ』と叫んでいる。」 9 主は更に、モーセに言われた。 「わたしはこの民を見てきたが、実にかたくなな民である。 10 今は、わたしを引き止めるな。 わたしの怒りは彼らに対して燃え上がっている。 わたしは彼らを滅ぼし尽くし、あなたを大いなる民とする。」 11 モーセは主なる神をなだめて言った。 「主よ、どうして御自分の民に向かって怒りを燃やされるのですか。 あなたが大いなる御力と強い御手をもってエジプトの国から導き出された民ではありませんか。 12 どうしてエジプト人に、『あの神は、悪意をもって彼らを山で殺し、地上から滅ぼし尽くすために導き出した』と言わせてよいでしょうか。 どうか、燃える怒りをやめ、御自分の民にくだす災いを思い直してください。 13 どうか、あなたの僕であるアブラハム、イサク、イスラエルを思い起こしてください。 あなたは彼らに自ら誓って、『わたしはあなたたちの子孫を天の星のように増やし、わたしが与えると約束したこの土地をことごとくあなたたちの子孫に授け、永久にそれを継がせる』と言われたではありませんか。」 14 主は御自身の民にくだす、と告げられた災いを思い直された。
15 モーセが身を翻して山を下るとき、二枚の掟の板が彼の手にあり、板には文字が書かれていた。 その両面に、表にも裏にも文字が書かれていった。 16 その板は神御自身が作られ、筆跡も神御自身のものであり、板に彫り刻まれていた。
17ヨシュアが民のどよめく声を聞いて、モーセに、「宿営で戦いの声がします」と言うと、 18 モーセは言った。
「これは勝利の叫び声でも敗戦の叫び声でもない。
わたしが聞くのは歌をうたう声だ。」
19 宿営に近づくと、彼は若い雄牛の像と踊りを見た。 モーセは激しく怒って、手に持っていた板を投げつけ、山のふもとで砕いた。 20 そして、彼らが造った若い雄牛の像を取って火で焼き、それを粉々に砕いて水の上にまき散らし、イスラエルの人々に飲ませた。 21 モーセはアロンに、「この民があなたに一体何をしたというので、あなたはこの民にこんな大きな罪を犯させたのか」と言うと、 22 アロンは言った。 「わたしの主よ、どうか怒らないでください。 この民が悪いことはあなたもご存じです。 23 彼らはわたしに、『我々に先立って進む神々を造ってください。 我々をエジプトの国から導き上った人、あのモーセがどうなってしまったのか分からないからです』と言いましたので、 24 わたしが彼らに、『だれでも金を持っている者は、それをはずしなさい』と言うと、彼らはわたしに差し出しました。 わたしがそれを火に投げ入れると、この若い雄牛ができたのです。」
25 モーセはこの民が勝手なふるまいをしたこと、アロンが彼らに勝手なふるまいをさせて、敵対する者の嘲りの種となったことを見ると、 26 宿営の入り口に立ち、「だれでも主につく者は、わたしのもとに集まれ」と言った。 レビの子らが全員彼のもとに集まると、 27 彼らに、「イスラエルの神、主がこう言われる。 『おのおの、剣を帯び、宿営を入り口から入り口まで行き巡って、おのおの自分の兄弟、友、隣人を殺せ』」と命じた。 28 レビの子らは、モーセの命じたとおりに行った。 その日、民のうちで倒れた者はおよそ三千人であった。 29 モーセは言った。 「おのおの自分の子や兄弟に逆らったから、今日、あなたたちは主の祭司職に任命された。 あなたたちは今日、祝福を受ける。」
30 翌日になって、モーセは民に言った。 「お前たちは大きな罪を犯した。 今、わたしは主のもとに上って行く。 あるいは、お前たちの罪のために贖いができるかもしれない。 31 モーセは主のもとに戻って言った。 「ああ、この民は大きな罪を犯し、金の神を造りました。 32 今、もしもあなたが彼らの罪をお赦しくださるのであれば…。 もし、それがかなわなければ、どうかこのわたしをあなたが書き記された書の中から消し去ってください。」 33 主はモーセに言われた。 「わたしに罪を犯した者はだれでも、わたしの書から消し去る。 34 しかし今、わたしがあなたに告げた所にこの民を導いて行きなさい。 見よ、わたしの使いがあなたに先立って行く。 しかし、私の裁きの日に、わたしは彼らをその罪ゆえに罰する。」 35 主は民がアロンに若い雄牛を造らせたので、民を打たれたのである。
民の嘆き 33
1 主はモーセに仰せになった。 「さあ、あなたも、あなたがエジプトの国から導き上った民も、ここをたって、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、『あなたの子孫にそれを与える』と言った土地に上りなさい。 2 わたしは、使いをあなたに先立って遣わし、カナン人、アモリ人、ヘト人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い出す。 3 あなたは乳と蜜の流れる土地に上りなさい。 しかし、わたしはあなたの間にあって上ることはしない。 途中であなたを滅ぼしてしまうことがないためである。 あなたはかたくなな民である。
4 民はこの悪い知らせを聞いて嘆き悲しみ、一人も飾りを身に着けなかった。 5 主がモーセに、「イスラエルの人々に告げなさい。 『あなたたちはかたくなな民である。 わたしがひとときでも、あなたの間にあって上るならば、あなたを滅ぼしてしまうかもしれない。 直ちに、身に着けている飾りを取り去りさない。 そうすれば、わたしはあなたをどのようにするか考えよう』」と言われたので、 6 イスラエルの人々は、ホレブ山をたって後、飾りをはずした。
臨在の幕屋
7 モーセは一つの天満を取って、宿営の外の、宿営から遠く離れた所に張り、それを臨在の幕屋と名付けた。 主に伺いを立てる者はだれでも、宿営の外にある臨在の幕屋に行くのであった。 8 モーセが幕屋に出て行くときには、民は全員起立し、自分の天幕の入り口に立って、モーセが幕屋に入ってしまうまで見送った。 9 モーセが幕屋に入ると、雲の柱が降りて来て幕屋の入り口に立ち、主はモーセに語られた。 10 雲の柱が幕屋の入り口に立つのを見ると、民は全員起立し、おのおの自分の天幕の入り口で礼拝した。 11 主は人がその友と語るように、顔と顔を合わせてモーセに語られた。 モーセは宿営に戻ったが、彼の従者である若者、ヌンの子ヨシュアは幕屋から離れなかった。
民と共に行かれる主
12 モーセは主に言った。 「あなたはわたしに、『この民を率いて上れ』と言われました。 しかし、わたしと共に遣わされる者をお示しになりません。 あなたは、また、『わたしはあなたを名指しで選んだ。 わたしはあなたに好意を示す』と言われました。 13 お願いです。 もしあなたがわたしに御好意を示してくださるのでしたら、どうか今、あなたの道をお示しください。 そうすれば、わたしはどのようにして、あなたがわたしに御好意を示してくださるか知りうるでしょうか。 どうか、この国民があなたの民であることも目にお留めください。 14 主が、「わたしが自ら同行し、あなたに安息を与えよう」と言われると、 15 モーセは主に言った。 「もし、あなた御自身が行ってくださらないのなら、わたしたちをここから上らせないでください。 16 一体何によって、わたしとあなたの民に御好意を示してくださることが分かるでしょうか。 あなたがわたしたちと共に行ってくださることによってではありませんか。 そうすればわたしとあなたの民は、地上のすべての民と異なる特別なものとなるでしょう。」
17 主はモーセに言われた。 「わたしは、あなたのこの願いもかなえよう。 わたしはあなたに好意を示し、あなたを名指しで選んだからである。」
主の栄光
18 モーセが、「どうか、あなたの栄光をお示しください」と言うと、 19 主は言われた。 「わたしはあなたの前にすべてのわたしの善い賜物を通らせ、あなたの前に主という名を宣言する。 わたしは恵もうとする者を恵み、憐れもうとする者を憐れむ。」 20 また言われた。 「あなたはわたしの顔を見ることはできない。 人はわたしを見て、なお生きていることはできないからである。」 21 更に、主は言われた。 「見よ、一つの場所がわたしの傍らにある。 あなたはその岩のそばに立ちなさい。 22 わが栄光が通り過ぎるとき、わたしはあなたをその岩の裂け目に入れ、わたしが通り過ぎるまで、わたしの手であなたを覆う。 23 わたしが手を離すとき、あなたはわたしの後ろを見るが、わたしの顔は見えない。」
戒めの再授与 34
1 主はモーセに言われた。 「前と同じ石の板を二枚切りなさい。 わたしは、あなたが砕いた、前の板に書かれていた言葉を、その板に記そう。 2 明日の朝までにそれを用意し、朝、シナイ山に登り、山の頂でわたしの前に立ちなさい。 3 だれもあなたと一緒に登ってならない。 山のどこにも人の姿があってはならず、山のふもとで羊や牛の放牧もしてはならない。」
4 モーセは前と同じ石の板を二枚切り、朝早く起きて、主が命じたとおりシナイ山に登った。 手には二枚の石に板を携えていた。 5 主は雲のうちにあって降り、モーセと共にそこに立ち、主の御名を宣言された。 6 主は彼の前を通り過ぎて宣言された。 「主、主、憐れみ深く恵みに富む神、忍耐強く、慈しみとまことに満ち、 7 幾千代にも及ぶ慈しみを守り、罪と背きと過ちを赦す。 しかし罰すべき者を罰せずにはおかず、父祖の罪を、子、孫に三代、四代までも問う者。」 8 モーセは急いで地にひざまずき、ひれ伏して、 9 言った。 「主よ、もし御好意を示してくださいますならば、主よ、わたしたちの中にあって進んでください。 確かにかたくなな民ですが、わたしたちの罪と過ちを赦し、わたしたちをあなたの嗣業として受け入れてください。」
10 主は言われた。 「見よ、わたしは契約を結ぶ。 わたしはあなたの民すべての前で驚くべき業を行う。 それは全地のいかなる民にもいまだかってなされたことのない業である。 あなたと共にいるこの民は皆、主の業を見るだろう。 わたしがあなたと共にあって行うことは恐るべきものである。 11 わたしが、今日命じることを守りなさい。 見よ、わたしはあなたの前から、 アモリ人、カナン人、ヘト人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い出す。 12 よく注意して、あなたがこれから入って行く土地の住民と契約を結ばないようにしなさい。 それがあなたの間で罠とならないためである。 13 あなたたちは、彼らの祭壇を引き倒し、石柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒しなさい。 14あなたはほかの神を拝んではならない。 主はその名を熱情といい、熱情の神である。 15 その土地の住民と契約を結ばないようにしなさい。 彼らがその神々を求めて姦淫を行い、その神々にいけにえをささげるとき、あなたを招き、あなたはそのいけにえを食べるようになる。 16 あなたが彼らの娘を自分の息子にめとると、彼女たちがその神々と姦淫を行い、あなたの息子たちを誘ってその神々姦淫を行わせるようになる。
17 あなたは鋳造の神々を造ってはならない。
18 あなたは除酵祭を守りなさい。 七日の間、アビブの月の定めの日に、わたしが命じた酵母を入れないパンを食べなさい。 アビブの月に、あなたはエジプトを出たからです。 19 初めに胎を開くものはすべて、わたしのものである。 あなたの家畜である牛や羊の初子が雄であるならば、すべて別にしなければならない。 20 ただし、ろばの初子の場合は、子羊をもって贖わねばならない。 もし、贖わない場合は、その首を折りなさい。 あなたの初子のうち、男の子はすべて贖わねばならない。
何も持たず、わたしの前に出てはならない。
21 あなたは六日の間働き、七日目には仕事をやめねばならない。 耕作の時にも、収穫の時にも、仕事をやめねばならない。
22 あなたは、小麦の収穫の初穂の時に、七週祭を祝いなさい。
年の終わりに、取り入れの祭りを祝いなさい。
23 年に三度、男子はすべて、主なるイスラエルの神、主の御前に出ねばならない。 24 わたしはあなたの前から国々の民を追い出し、あなたの国境を広くするが、あなたが年に三度、あなたの神、主の御前に出るために上るとき、だれもあなたの土地を侵すことはないであろう。
25 あなたは、わたしにささげるいけにえの血を、酵母を入れたパンと共にささげてはならない。 過越祭のいけにえは翌朝まで残しておいてはならない。
26 あなたは、土地の最上の初物をあなたの神、主の宮に携えて来なければならない。
あなたは子山羊をその母の乳で煮てはならない。」
27 主はモーセに言われた。 「これらの言葉を書き記しなさい。 わたしは、これらの言葉に基づいてあなたと、またイスラエルと契約を結ぶ。
28 モーセは主と共に四十日四十夜、そこにとどまった。 彼はパンも食べず、水も飲まなかった。 そして、十の戒めからなる契約の言葉を板に書き記した。
モーセの顔の光
29 モーセがシナイ山を下ったとき、その手には二枚の掟の板があった。 モーセは、山から下ったとき、自分が神と語っている間に、自分の顔の肌が光を放っているのを知らなかった。 30 アロンとイスラエルの人々がすべてモーセを見ると、なんと、彼の顔の肌は光を放っていた。 彼らは恐れて近づけなかったが、 31 モーセが呼びかけると、アロンと共同体の代表者は全員彼のもとに戻って来たので、モーセは彼らに語った。 32 その後、イスラエルの人々が皆、近づいて来たので、彼はシナイ山で主が彼に語られたことをことごとく彼らに命じた。 33 モーセはそれを語り終わったとき、自分の顔に覆いを掛けた。
34 モーセは、主の御前に行って主と語るときはいつでも、出て来るまで覆いをはずしていた。 彼は出て来ると、命じられたことをイスラエルの人々に語った。 35 イスラエルの人々がモーセの顔を見ると、モーセの顔の肌は光を放っていた。 モーセは、再び御前に行って主と語るまで顔に覆いを掛けた。
安息日の厳守 35
1 モーセはイスラエルの人々の共同体全体を集めて言った。
「これが主が行うよう命じられた言葉である。 2 六日の間は仕事をすることができるが、第七日はあなたたちにとって聖なる日であり、主の最も厳かな安息日である。 その日に仕事をする者はすべて死刑に処せられる。 3 安息日には、あなたたちの住まいのどこででも火をたいてはならない。」
幕屋建設の準備
4 モーセはイスラエルの人々の共同体全体に告げた。
「これは主が命じられた言葉である。 5 「あなたたちの持ち物のうちから、主のもとに献納物を持って来なさい。 すべて進んで心からささげようとする者は、それを主への献納物として携えなさい。 すなわち、金、銀、青銅、 6 青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛、 7 赤く染めた雄羊の毛皮、じゅごんの皮、アカシア材、 8 ともし火のための油、聖別の油と香草の香とに用いる種々の香料、 9 エフォドや胸当てにはめ込む縞めのうの石やその他の宝石類である。
10 また、あなたたちのうちの、心に知恵のある者をすべて集めて、主が命じられた物をことごとく作らせなさい。 11 すなわち、幕屋、天幕、覆い、留め金、壁板、横木、柱、台座、 12 掟の箱とそれを担ぐ棒、贖いの座、至聖所の垂れ幕、 13 机とそれを担ぐ棒、そのすべての祭具、供えのパン、 14 燭台とその祭具、ともし火皿、灯油、 15 香をたく祭壇とそれを担ぐ棒、聖別の油、香草の香、幕屋の入り口に掛ける幕、 16 焼き尽くす捧げ物の祭壇とそれに付く青銅の格子、それを担ぐ棒、およびそのすべての祭具、洗盤と台、 17 庭の幔幕とその柱と台座、庭の入り口の幕 18 幔幕の杭と庭の杭、およびその綱、 19 聖所で仕えるための衣服、祭司アロンのための祭服、その子らが祭司として仕えるための衣服がそれである。
20 イスラエルの人々の共同体全体はモーセの前を去った。 21 心動かされ、進んで心からする者は皆、臨在の幕屋の仕事とすべての作業、および祭服などに用いるため、主への献納物を携えていた。 22 進んで心からする者は皆、男も女も次々と襟留め、耳輪、指輪、首飾り、およびすべての金の飾りを携えて来て、みな金の献納物として主にささげた。 23 青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛、赤く染めた雄羊の毛皮、およびじゅごんの皮を持っている者も皆、それを携えて来た。 24 銀や青銅を献納物としようとする者は皆、それを主への献納物として携えて来た。 また、アカシヤ材を持っている者は皆、奉仕の仕事のためにそれを携えて来た。 25 心に知恵を持つ女は皆、自分の手で紡ぎ、紡いだ青、紫、緋色の毛糸および亜麻糸を携えて来た。 26 心動かされ、知恵に満ちた女たちは皆、山羊の毛を紡いだ。 27 指導者たちはエフォドや胸当てにはめ込むラピス・ラズリやその他の宝石類、 28 香料、灯油、聖別の油、および香草の香を携えて来た。 29 モーセを通じて主が行うようお命じになったすべての仕事のために、進んで心からするイスラエルの人々は、男も女も皆、随意の捧げ物を主に携えて来た。
30 モーセはイスラエルの人々に言った。
「見よ、主は、ユダ族のフルの孫、ウリの子ベツァルエルを名指しで呼び、 31 彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識を持たせ、 32 金、銀、青銅による細工に意匠をこらし、 33 宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての細かい工芸に従事させ、 34 更に、人を教える力をお与えになった。 主は、彼とダン族のアヒサマクの子オホリアブに、 35 知恵の心を満たして、すべての工芸に従事させ、彫刻師、意匠を考案する者、更に、青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸を使ってつづれ織や縁取りをする者など、あらゆる種類の工芸に従事する者とし、意匠を考案する者とされた。
36
1 ベツァルエルとオホリアブ、および知恵と英知を主から授けられ、聖所の建設のすべての仕事を行うに必要な知識を与えられた。 心に知恵のある者は、すべて主が命じられたとおり、作業に当たらねばならない。」
2 モーセは、ベツァルエルとオホリアブ、および主から心に知恵を授けられた、心に知恵のあるすべての者、すなわち、心動かされたすべての者をこの仕事に従事させるために呼び集めた。 3 彼らは、イスラエルの人々が聖所建設の仕事を行うために携えて来たすべての献納物を、モーセから受け取ったが、人々はなおも、毎朝、随意の捧げ物を彼のもとに携えて来たので、 4 聖所のあらゆる仕事に携わる知恵のある者は皆、それぞれの仕事場を離れて来て、 5 モーセに言った。 「この民は、主がお命じになった仕事のために、必要以上の物を携えて来ます。」
6 モーセが宿営に、「男も女も、聖所の献納物のためにこれ以上務める必要はない」との命令を伝えさせたので、民は携えて行くのをやめた。 7 既にささげられた物は、作業全体を仕上げるのに十分で有り余るほどあった。
(3) 出エジプト記 エジプトでのイスラエル 1-1 〜幕屋建設の準備 36-7