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2017年05月13日

どさくさに紛れて

本棚に返しに来た
そいつは全ての玄関にいそうだが
全ての建物に本棚があるとも限らない
もしそいつを疑うようであれば自分を疑うことと同義になるのでやめておく

本棚から本を一冊抜き去り
明日の一片の想いに馳せたり
途方のない大地へ出掛けたりしている
そんな中一人だけ本を返しに来ているやつがいる
いつの間にか顔馴染みになっていて気づかなかったが
一文字一文字 一声一声しっかり刻まれていた
僕の家の本棚に返しに来たんだね
それなのに僕は笑いこけてしまっていて
初見のあなたを見過ごしてしまった





王宮の間でハープを弾いてる人がいる
明らかにこれは作り話だけど窓辺から入り込む涼しい風と同じなので
このままにしておく
懐かしい色の風が吹く
窓を閉めて話を作っているこの部屋までは届かない
このままがいい
完全に密閉されてる部屋
王宮の間でハープを弾いてる
さりげなさすぎて言葉が出なかった
けどこのままがいいんだろう 涼しい風が吹くから
そっとしておこう
たぶん俺んちだけど





金を町中にばらまくやつがいる
昔は金を破り捨てていたが今では想いを馳せながら捨てている
大事なことを再び思い出し
金をちりぢりに破り
それを上空から降らす男がいる
昔よりもさらに行いは酷くなったが
金は一向に貯まらない
この降りしきる雨を
今一度全身全霊で受け止めてみようと思う





毎日給料日の人がいる
しかも通帳記入を全くしないので
たまに一時間ごとに給料が振り込まれていると錯覚する
稀に貯金計画を立てようとするが
急に給料日を前にすると
雲のように浮かれ上がって
いつもある空で爆散する





毎日祝日の国がある
国民は毎日歌を歌い桜吹雪が台風とはまた違った熾烈さで襲いかかってくる
実際はもっと違って
桜の木の本数や桜の散った花びらの枚数
それらを統計して向かうべき方向に向かおう 
ちょうど人間のおへそ辺りにある
オーストラリアのすぐ近く
淡いピンクの海がある
春の日を参考に少しずつ夏に近づく
こちらから春に近づく
どうかそんなことはできないだろうか



いつも緑がある
質問内容を考えているように
水と緑は永縁だから大丈夫
いつも水を飲んでいる
そこから広がる緑の大地はずっしりと進行する
そこから生まれる多原色はあなたに問い訪ねる
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