中肉中背の男が、ビルから出て、細身の男と反対の方に歩いていく。
リアヴューから見切れると、窓から通りを覗く。
男が、少し離れたコンビニに入っていく。
ほどなく、男が買い物袋をさげて、コンビニから出てくる。
そのままビルに戻る方向に歩く。
倒したシートに、背中を押し付けて待つ。
男がリアヴューに入ってくる。
リアビューの中で、袋をさげたまま、ビルに入っていく。
最低でも二人、細身の男が加わると三人。
できれば、細身の男がいない隙を狙いたい。
シートを起こして、エンジンをかけると、二度ふかして駐車場をでる。
夕方のラッシュ前、まだ緩やかな車列に滑り込む。
車を彼女のマンションに向ける。
駐車場の来客スペースにとめると、真っ直ぐ彼女の部屋に向かう。
合鍵を使って部屋に入る。
自分の部屋に入ると、クローゼットを開ける。
スーツケースを取り出し、ベッドの上に載せる。
スーツケースを開けて、徐にひっくり返す。
中身がベッドにぶちまかれる。
いくつかの下着、未開封のパンティストッキング、詰め物のバスタオルが、ベッドに散乱する。
散らばる着替えには目もくれず、空のスーツケースを引き寄せる。
スーツケースの底の端、マジックテープを?がす。
簡単な作りの二重底。
隠すためというより、区別しておきたいものを入れるスペース。
二重底を外して、ファスナーを開ける。
ペンより少し大きい、棒状のものを取り出すと、ファスナーを閉める。
散乱した下着類を抱えるようにして、スーツケースに抛り込む。
こんもり山となった中身を、押さえ込むようにスーツケースを閉める。
スーツケースをクローゼットに戻す。
ベッドの上には棒状の物体。
指し棒でも持つように、左手に握る。
立ったまま、左手を素早く振る。
棒状のそれが倍以上の長さに伸びる。
特殊なブラックジャック、仕掛けもある。
左手で、軽く空を切り、感触を確認する。
右の掌に先端をあてて、元の長さに縮める。
上着の腰を捲くると、左手で、細いベルトに水平よりやや斜めに差し込む。
上着を戻すと、そのまま玄関に向かう。
ピンヒールに足を滑らせ、バックルをとめて身体を起こす。
身体の芯から力を感じる。
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