社長が言っていいことと悪いことがある!
二代目の社長率いる機械設備設計会社は当時、従業員50人ほど。1990年代後半はバブル経済崩壊後の低成長時代に突入した折、大手企業も経費削減から、あらゆる業務におけるコストカットを実施して、外注費の大幅削減が行われ、その煽りをモロに受けることになりました。
会社を引き継いでからの数年間は右肩下がり一辺倒の業績で、賞与の減額、給与手当の一部廃止などで業績の低迷を乗り切ろうとする経営方針に、社員の不満もくすぶりはじめました。
社長は番頭的役割の常務を通じて指示を社内伝達、常務の裁量で社員をまとめさせつつ、動かしていました。
常務は職人肌の技術者で、(あまり多くを語らないタイプ)社内の意識改革を図るためには常務経由の指示は社長の危機感が伝わりにくく、その一方で社員からの待遇悪化に対する二代目への不満も漏れ聞こえるようにもなり、社長のストレスは頂点に達しました。
社長は社員に面と向かって檄を飛ばすのではなく社員の危機感を煽るのに、全社員への一斉メールで厳しい言葉を書き連ねた
(その書き方が悪かった。数名の具体的な社員の名前を挙げ)
「Aくんのような、ダラダラと期限を無視したような業務の進め方はダメだ」
「Bくんは何度も同じようなケアレスミスが多く余計なコストがかかっており、これが改まらないなら辞めてもらうことになる」
とかなり過激な個人攻撃をしました。
この一斉メールに社内は騒然とし、焦った常務がなぜこんなことをしたのか、と社長を問いただすと、社長は辞めてもかまわないと思った社員の名前を挙げて最後通告して、他の社員に君たちもそうなりたくなければ危機感をもって働けとわからせたまで
先代の恵まれた時代の君たちはぬるま湯に浸かった蛙だ、このまま徐々に周りの温度が上がってみな茹で蛙になってしまうから、冷水を浴びせた
私のやり方に反対するのなら、君も会社を去ってくれ
社長の考えていることは正しくても、やり方は明らかに間違っていた。
常務は当面の仕事を終え、3か月後に40年務めた会社を去り、名指し指摘をされた社員数名はもれなく半年以内に転職。
当然社内の雰囲気はますます悪くなり、他の社員も次々退職。50人ほどいた社員は、1年足らずの間に半分ほどになり、仕事も激減。
社長が直接社員や特定部門を公に非難するということは、大きなリスクを伴う、組織の総責任者である社長が個人を非難するということは、ある意味天に唾することでもあり、よほどの理由や覚悟がなければしてはいけない。
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