嵐、CD売上66万枚突破で圧倒的首位の背景
スリップノット6年ぶりの新作が一位となり、洋楽ラウド・ロックファンが「快挙だ!」と騒いだあと、各方面から「1.8万枚で一位になれちゃうチャートってどうよ?」とツッコミが入ったのは先週のこと。あれから一週間が経って、一位は嵐。安定が戻ってきました。
その嵐。サラリと「安定」と書いてみたが、11年連続でアルバムが一位というのは確かに快挙だし(EXILEの記録に並ぶそうだ)、発売初週で66,0204枚というセールスは、このご時世、ほとんど驚異と言ってもいい。だって66万枚のあと、2位の『名探偵コナン テーマ曲集』は11,860枚だよ? 1万人と66万人を同じ世界の出来事として語ってよいものか、これだけの数字の差を前にして「1位」と「2位」にどれくらいの意味があるのかと、しばらく真面目に考えこんでしまった。
66万人に支えられ、いまや日本のマジョリティ代表となっている嵐だが、アルバム『THE DIGITALIAN』はただの横綱相撲では決してない。むしろ果敢に攻めまくった会心の一枚で、アイドルに疎い私にさえ脂が乗りきっているグループの充実が伝わってくる。今年15周年なのだから、おめでたムードの記念盤を出すこともできたはずだが、今回は「デジタル×嵐」という新たなコンセプトを掲げたダンス・ミュージック・アルバム。流行りのEDMを意識したもの、近未来風、ディスコ風、ビタースイートなポップス、ラップ調などなど曲調は多彩。ただし全曲が止まらないスピードに乗っているというか、何をやっても上手くいく(いや、上手くいかせる)と全員が確信しているような強さがあって、うん、これは一位になるべき作品。トップアーティストが見せるべき冒険心とタフネスの詰まった作品だと思う。
そして2位のコナン以下、U2、ストレイテナー、ピロウズ、スリップノット、グドモ……とロック系が続いていく。洋楽なら『ロッキング・オン』や今はなき『クロスビート』、邦楽なら『JAPAN』や『音楽と人』が表紙にしてもおかしくない中堅ばかりだ。音楽専門誌のインタビューを読めば「守りに入るのは嫌だ」「自分たちらしさを更新していくことが、いかに大変でやり甲斐のあることか」などの発言がよくあるが、それはロック・バンドだからできる発言ではない。嵐も新作について絶対に同じことを感じていたであろう。
雑誌の表紙を飾って素敵なことを語っていても、セールスは1万枚を下回る。それがロックの世界の現実なのかと、自分の住む世界の小ささを通関させられた今週のチャート。そっかぁ、66万枚かぁ……(遠い目)。
出典元:
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141030-00010003-realsound-ent
タグ: 嵐
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