2007年、兵庫県豊岡市で野生のコウノトリが46年ぶりに巣立ちました。これは日本の自然保護活動における大きな成果です。コウノトリはかつて日本全国で見られましたが、乱獲や生息地の減少、農薬の使用により1971年に絶滅しました。しかし、豊岡市ではコウノトリを再び日本の空に戻すための努力が続けられました。
1965年からコウノトリの保護増殖が始まり、1985年にはロシアから幼鳥が贈られ、繁殖が進められました。2005年には初の試験放鳥が行われ、2007年には豊岡市内で野外での繁殖に成功し、ヒナが巣立ちました。これは国内で43年ぶりのヒナの孵化、46年ぶりの巣立ちでした。
その後もコウノトリの数は増加し、2017年には野外個体数が100羽を超えました。現在では豊岡市だけでなく、日本全国でコウノトリが見られるようになっています。
コウノトリは主に湿地や水田に生息し、カエルや魚、昆虫などを食べます。全身は白い羽で覆われ、風切羽は黒く、クチバシは黒味がかった褐色です。脚は赤く、目の周囲には赤い模様があります。コウノトリは主に樹上に巣を作り、1回の産卵で3〜4個の卵を産みます。成鳥は鳴き声を出さず、クチバシをカタカタ鳴らす「クラッタリング」を行います。
兵庫県立コウノトリの郷公園や日本コウノトリの会など、多くの機関や施設がコウノトリの保護活動に取り組んでおり、コウノトリは日本全国で見られるようになりました。