【3-4-1. 反応一致性分析とは】
「反応一致性分析」は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べ、ポジションが安全に取れそうな傾向がないかを分析します。
本分析では、過去発表結果のローソク足の方向に特徴的な偏りがないかを調べる「ローソク足検証」と、先に形成されるローソク足と後で形成されるローソク足との方向の一致傾向を調べる「反応一致性検証」と、を行っています。
【3-4-2. ローソク足検証】
ローソク足検証は、ローソク足の方向に特徴的な偏りがないかを調べるために行っています。
例えば下表をご覧ください。
「P判定数」「N判定数」とは調査期間中の陽線数と陰線数のことです。「判定数」とはその合計です。
同じ調査期間で判定数が異なるローソク足があるのは、始値と終値が同じ値のローソク足(同値足)をカウントしていないからです。
同値足では、始値でポジションを取得し終値で解消した場合、損得が発生しません。それにも関わらず、もし同値足をカウントすると、同値足が多い場合に陽線率や陰線率が低めに計算されてしまいます。損得が発生しない場合を想定して、陽線となるか陰線となるかを決めかねるのは不合理です。
よって、同値足はカウントしないことにしています。
「陽線率」「陰線率」は(P/N判定数÷判定数)の100分率です。
上記の通り、判定数に同値が含まれていないので、この100分率は調査期間中の全ローソク足の陽線率や陰線率ではありません。調査期間中の陽線となったローソク足と陰線となったローソク足の合計数に占める陽線数か陰線数の比率を表しています。
さて、もしローソク足検証で、過去の発表時に陰線側にばかり反応していることが予めわかっていたならば、わざわざその期間に買ポジションを取る必要はありません。例えば、下図をご覧ください。
この始値基準ローソク足は2015年1月から2016年12月までの24回の米雇用統計の直前1分足です。
図から、少なくともこの期間の米雇用統計発表前1分足は、陰線側に振れることが陽線側に振れることよりも極端に多いことがわかります。
この特徴が予めわかっているなら、少なくとも直前1分足の始値頃に買ポジションを取る無駄はなくせます。むしろ、指標発表直前1分足の始値がつく頃に売ポジションを取得して指標発表前に解消すれば、指標発表前から大きく反応する米雇用統計のようなときには、20pips程度を利確できることさえある訳です。20pipsというのはなかなか魅力がありますよね。
【3-4-3. 反応一致性検証】
反応一致性検証は、先に形成されるローソク足と後で形成されるローソク足との方向の一致傾向を調べています。
例えば下表をご覧ください。
本ブログで分析に用いる4つの期間のローソク足同士の一致数と一致率を求めています。
例えば、三行目三列目セルでは、直後1分足と直後11分足の方向が一致した回数を示しています。そして、同じ三行目の六列目にその一致率を求めています。
この場合、直後1分足と直後11分足の方向一致数が18回で、それは100分率では82%、ということです。
この100分率の母数は調査数ではありません。比較するローソク足同士について、調査数から同値足を引いた数を比べて、その数の小さい方を母数としています。
具体例の方がわかりやすいでしょう。
ここで比較している直後1分足の判定数は22でした。一方、直後11分足の判定数は23でした。両者のうち小さい方の22を一致率算出の母数としています。
さて、もし反応一致性検証で、先に形成されるローソク足と後で形成されるローソク足との方向の一致傾向が高ければ、ポジションを取る上で有益な情報です。ここに挙げた例では、直後1分足と直後11分足の方向一致率が82%でした。
そもそもポジションを取るためには「方向」と「程度」というふたつの情報が必要です。「方向」の情報があれば、あとは「程度」を調べれば良い訳です。
各指標の事前分析では、「既出情報」で次のような表も示しています。
この例では、もし直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いならば、直後1分足終値がつく頃にポジションを取得し、直後11分足の跳幅を狙えば、両者の差である39pips−19pips=20pipsが狙える、ということがわかる訳です。
もちろん、これらの分析で得られる結論は、過去の頻度や平均値から求めたものです。その結論が次の指標発表時にも成立するとは限りません。その点において残念ながら実際の取引でポジションを持つ・持たないという判断は、読者各位にお任せし、当会は取引結果への一切の責任を負うことができません。予めご了承を願います。
以上
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