2017年3月4日更新
【4-4-1. 英国指標全体の過去傾向と取引方針】
ほとんどの英国指標は17:30(現地冬時間は18:30)に発表されます。多少残業のある会社でも、最近は現地冬時間なので、仕事を急げば取引できそうですね。
先日、ブリグジット関連法案で、交渉権限を首相に委ねる法案が可決されました。そのため、BOEが現在の金融政策を見直したり、EU主要国幹部が英国の関連法案成立を邪魔するとも思えません。間の悪いことに、FRB幹部からは利上げ発言が続いており、最近の英国指標は市場予想を下回ったときの陰線の大きさが目立ちます。
GBPとの取引量が多いEURだけは、ギリシャ債務問題や主要国選挙で夏まで弱い状況が続くでしょう。つまり、当面のGBPはEURと引き分け、USDに対して弱くなる可能性が高いと見込んでいます。但し、EU側がブリグジット交渉で厳しい条件を突きつけることは既定です(EUのその他の国への見せしめと、EU主要国で選挙が続くため)。
全体としては、GBPJPYが135円付近まで下がり、それを下抜けるまで何週間を要するかがポイントと捉えています。
チャートは、先週始めに90日移動平均線を下抜けしています。そして今週、陽線側に大きく動かない限り、21日移動平均線が90日移動平均線とデッドクロスしてしまいそうです。
こうしたGBPJPYの動きは、GBPUSDの動きと同じです。GBPUSDは、先週始めに90日移動平均線を下抜けし、パラボリックも下降転換、一目均衡表は雲を下抜け遅行線が基準線・転換線を下抜けました。チャート上で現在より安値側のポイントは135円付近までないように見受けられます。
IMM投機筋ポジションは、先々週まではGBP売り持ちが増えていました。先週もGBPUSDは下落側に動いたので、売り持ちが増えても自然です。つまり、投機筋のトレンドは1週遅れで↓継続と判明しています。
株価・金利の動きは、3月6日以降のGBPの動きの予想に結び付きません。3/1以降は主要国株価がほぼ全て高値側に留まっている割に、各国10年債金利が下がっていません。株価と金利が逆に動かないと、どちらが通貨を引っ張るかが予想できません。
3月6日週は、10日に貿易収支と鉱工業生産が予定されています。がしかし、その日の関心事は米雇用統計のはずです。
ファンダメンタルの短期的側面から、3月6日週はGBP市場環境の悪さとチャートテクニカルの悪さを否定できる要素が何もありません。
【4-4-2. 主要指標】
以下、主な英国経済指標について下記一覧します。
指標名をクリックすると、その指標が示す内容・反応を、調査・分析・検証したリンク先に跳びます。
A. 政策決定指標
A1. 金融政策
2017年1月17日にBOE総裁は「今後数年間の英成長は鈍化する見込み」で「個人消費の進展が政策にとっての鍵になる」と発言しています。また、2017年2月2日に四半期インフレ報告で「インフレ見通しが2017年は2.7%、2018年は2.6%」と示されました。
(1) BOE政策金利 (2017年2月2日発表結果記載済)
(2) MPC議事録(上記と同時発表)
(3) 四半期インフレ報告(上記と同時発表)
A3. 景気指標
A31. 産業
(1) 製造業PMI (2017年3月1日発表結果検証済)
(2) サービス業PMI (2017年3月3日発表結果検証済)
A4. 物価指標
主要国でCPI・RPI・PPIが一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
(1) 消費者物価指数・小売物価指数・生産者物価指数 (2017年2月14日発表結果分析済)
A5. 雇用指標
(1) 失業保険申請件数・失業率 (2017年2月15日発表予定、事前分析済)
B. 経済情勢指標
B1. 経済成長
(1) 四半期GDP速報値
(2) 四半期GDP改定値 (2017年2月22日発表結果検証済)
(3) 四半期GDP確定値
B3. 実態指標
B31. 消費
(1) 小売売上高指数 (2017年2月17日発表結果検証済)
B32. 製造
(1) 鉱工業生産 (2017年3月10日発表結果検証済済)
以上