本指標の要点は下表に整理しておきました。
市場は明らかに前月結果からの改善を予想しています。また、過去平均の反応は30pipsに達しており、大きな反応をする指標だと言えるでしょう。直後1分足跳幅が過去最大のときは69pips(2015年7月分データ、同年8月18日発表)となっています。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 指標の定性分析結論は次の通りです。
すなわち、本指標発表時にこそ物価が為替に影響を与えるものの、全期間的には為替が物価(前月比)に影響を与えています。今回発表される2月分データのCPI前月比・RPI前月比は対前月大幅改善となっています。ところが、2016年10月以降のEURGBPやGBPUSDは、2016年10月よりも全体的にGBP高の側になっています。
よって、今回は市場予想ほど全般的に物価上昇していないのではないでしょうか。陰線での初期反応、が結論です。 - 次の反応を予想しています。
まず、直前10-1分足は過去に陽線率76%となっています。これは、市場予想が全般的に改善となっていることと一致しています。
次に、直前1分足は陰線率82%となっています。比較的大きく反応する指標では、このように直前1分足が陰線になることが多いものです。
これらは実際のチャートがよほど極端に動いていない限り、ポジションを取ってみます。 - 今回は指標発表後にはポジションを持ちません。
まず、直後1分足は事前差異(今回はプラス)との方向一致率が76%、という定量分析結果となっています。一方、上述の定性分析では今回は陰線という可能性が高いと結論付けています。ふたつの分析結果が矛盾しており、指標発表を跨ぐことになる直後1分足での取引を諦めます。
次に、直後1分足と直後11分足の方向一致率が67%あります。素直に考えれば、追いかけてポジションを持っても良さそうですが、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは44%しかありません。ならば、初期反応を待って、初期反応の方向に対し逆張りするのは「逆張り」だから駄目です。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「?T.調査」「?U.分析」を事前投稿し、「?V.結果」「?W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「?V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
?T.調査
【1. 指標概要】
物価は、生産者→小売→消費者の順に波及すると考えられます。他の主要国ではこれら物価指数が別々に発表されますが、英国は一度に発表しています。
CPIは、消費者の製品・サービス購入価格を指数化した指標で、どの国でも最重視されています。英国は年2%のインフレ目標が設定されています。CPIコアは、CPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国ではタバコ・アルコールの価格変動が大きいのでしょうか。不思議です。
RPIに含まれてCPIに含まれない対象に住宅費があります。RPIではCPIよりも数値が高くなります。RPIコアは、RPIから価格変動の激しいエネルギー・食品・タバコ・アルコールを除いた数値を指しています。英国では年金給付額が法律によってRPI規準で決定されています。
PPIはあまり大きな反応を生じないように見受けられます。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。上からCPI・RPI・PPIです。
英国の物価は2015年後半から上昇しています。これは、実態指標の改善に伴う雇用逼迫・賃金上昇という望ましい物価上昇ではありません。EURGBPの上昇・GBPUSDの下降(いずれもGBP安)が原因と考えると、時期的に符合します。お使いのFX会社の月足チャートで見てください。
このように解釈すると、英国物価指標発表時には物価が為替に影響を与えるものの、全期間的には為替が物価(前月比)に影響を与えると捉えた方が良さそうです。そして、今回発表される2月分データのCPI前月比・RPI前月比は対前月大幅改善となっています。ところが、2016年10月以降のEURGBPやGBPUSDは、2016年10月よりも全体的にGBP高の側になっています。
つまり今回、市場予想ほどには物価上昇していないのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は陽線率76%となっています。
次に、直前1分足は陰線率82%となっています。
そして、直後1分足は事前差異(今回はプラス)との方向一致率が76%となっています。事後差異との方向一致率も83%あるので、指標が良ければ素直に陽線、悪ければ陰線で反応していたことがわかります。
最後に、直後11分足は直前1分足との方向一致率が67%(3回に2回)あるものの、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは44%しかありません。よって、初期反応を見てから追いかけてポジションを持つべきではありません。
?U. 分析
以下は、分析シートのみ添付しておきます。分析結果については、上記ローソク足検証の項で記載しています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年3月21日18:30発表
以下は2017年3月22日21:30頃に追記しています。
?V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
負けました。
コアがCPI・RPI・PPIとも去年より2%以上上昇です。
BOEはCPIが2%を超えても容認する旨を公表しています。確か、過去には何と5%まで利上げしなかったことさえあります。BOEは簡単に政策変更しないのです。
がしかし、「どうするんだ」という声は、きっとこれから大きくなるのでしょう。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
指標については、以下のように事前分析していました。
- 指標の定性分析結論は次の通りです。
すなわち、本指標発表時にこそ物価が為替に影響を与えるものの、全期間的には為替が物価(前月比)に影響を与えています。今回発表される2月分データのCPI前月比・RPI前月比は対前月大幅改善となっています。ところが、2016年10月以降のEURGBPやGBPUSDは、2016年10月よりも全体的にGBP高の側になっています。
よって、今回は市場予想ほど全般的に物価上昇していないのではないでしょうか。陰線での初期反応、が結論です。
結果は全般に市場予想を上回りました。
為替との時間差か、為替以外の予兆について、研究を続けます。駄文・駄分析を申し訳ありません。
次に、シナリオについてです。事前に用意していたシナリオは次の通りです。
- 次の反応を予想しています。
まず、直前10-1分足は過去に陽線率76%となっています。これは、市場予想が全般的に改善となっていることと一致しています。
次に、直前1分足は陰線率82%となっています。比較的大きく反応する指標では、このように直前1分足が陰線になることが多いものです。
これらは実際のチャートがよほど極端に動いていない限り、ポジションを取ってみます。 - 今回は指標発表後にはポジションを持ちません。
まず、直後1分足は事前差異(今回はプラス)との方向一致率が76%、という定量分析結果となっています。一方、上述の定性分析では今回は陰線という可能性が高いと結論付けています。ふたつの分析結果が矛盾しており、指標発表を跨ぐことになる直後1分足での取引を諦めます。
次に、直後1分足と直後11分足の方向一致率が67%あります。素直に考えれば、追いかけてポジションを持っても良さそうですが、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは44%しかありません。ならば、初期反応を待って、初期反応の方向に対し逆張りするのは「逆張り」だから駄目です。
次に定量分析が外れるまで、定性分析と定量分析の結論が異なる場合には、定量分析結論を優先しましょう。
【9. シナリオ検証】
以上
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上