そんな訳で税務署で長く並んでくたくたなので、今日は別の話です。今夜は米国CPIの発表がありますが、それもどうでもいいです。
ただ、こうして確定申告する時期になるといつも思うのは、もっとも高いスプレッドは税金だという気がします。もちろん負ければなかったことになるスプレッドですが、それではきっと嬉しくありません。
納税が最も高いスプレッドではないかという話は置いておいて、ちょっと別なことを確かめて起きましょう。
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USDJPY=100のときスプレッド0.3銭で1枚買うと、101.003円で売れば1万円の収益です。こうした取引で年間20万円以上を稼ぐと、前述のように20%の税金を納めないといけません。勝率100%なら、たった20回の取引で、確定申告のとき4万円の納付命令を受け取ります。20勝0敗は、実質勝率90%に目減りしたことと同じです。買ったときも負けたときも1万円で利確ないしは損切した場合、18勝2敗が実質16万円になるからです。
逆算してみましょう。
まず、上の例と同じくΔUSDJPY=1(USDJPYが1円の変動)だけを勝負することにします。
もし勝率が90%しか(!)ないのに、年間20万円の収益(税引後16万円)を得ようとすれば、
90%=x/(x+y)
20万円=xーy
但し、xは1万円の利確回数、yは1万円の損切回数、且つ、x>20
です。
この連立方程式の解は、x=22.5、y=2.5、です。数字を丸めて22勝2敗で勝率90%です。
この勝率が90%でなく、75%・60%へと下がるとどうなるでしょうか。
勝率 x(利確) y(損切)
90 22 2
75 30 10
60 60 40
となります。
見てください。
勝率60%だと、ΔUSDJPY=1(一方向に100pips動く)の機会を年間100回捉えて、そのとき60勝しなければいけません。そんなことをしたら初心者は負けます。
USDJPYが一方向に100pips動くことは、毎日起きていません。2018年はもっと小さいようですが、過去3年間ぐらいの平均で言えば、5日に1回程度(週に0〜2回ぐらい)でしょうか。ならば、USDJPY1枚の取引で、勝率60%ならば、1年で20万円は稼げない、というのが自然な解釈です。
それにきっとチャートを見ていないときに限って、余計なことを言う奴や余計なものを撃つ奴が現れます。そんなとき=短時間でUSDJPYが1円-2円動くときには、逆指値で損切注文を入れておいても、逆指値注文なんてすり抜けてしまうことだって多いのです。毎回1枚の取引で年間20万円を稼ごうとすれば、初心者や余裕資金が取引口座に少ない人は、こんなやり方では負けてしまいます。
目標が間違っているのです。取引口座に100万円預けていなくて、利確・損切が100pipsというのは、分が悪い勝負をしているのです。
次に、条件をもっと緩和してみましょう。毎回の利確・損切を1円でなく、0.1円と心変わりすれば良いのです。このとき、毎回1枚の取引で、勝率毎の年間20万円確保を狙うとどうなるでしょう。
先に予備計算しているので、この表は簡単に作れます。
勝率 x(利確) y(損切)
90 220 20
75 300 100
60 600 400
さて、ここで問題は取引時間です。
勝率60%の実力しかない人が、USDJPYが一方向に1円動くと思ったときに、100pips(1円分)利確か損切するのに要する時間と、同じ勝率でも、USDJPYが一方向に0.1円動くと思ったときに、10pips(0.1円分)利確か損切するのに要する時間とは、どちらが長いでしょう。
圧倒的に、一方向に10pips動きそうなときに、1000回取引する方がポジション保有時間が短くなるはずです。だって、一方向に1円動くことは数日に1回しか起きなくても(あるいは数日かけて1回しか起きなくても)、一方向に0.1円動くことは1日に何回も起きています。
こうして考えてみれば、毎回1枚の取引というのを縛りにしたとき、年間20万を稼ぐためにどの程度のUSDJPYの動きを狙うことが適切かが見えてきますよね。
だいたいUSDJPYは10pips弱、EURJPYは10pips強、GBPJPYとAUDJPYは15pipsというのが、感覚的な数字です。
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我慢強くなったり運を鍛えることをセンスを磨くと称して、まだ相場取引の基本に疎い人をいつまでも下手なままに置いておこうという助言ほど、目にして不愉快なものはありません。
そんなくっだらないことより、ざっくり直近数日の1日あたりの値動きの1/10ぐらいを狙って方向を当てる研究しないと、上手に取引できるようになりませんよ、と言った方がよっぽどタメになるはずです。だいたい、運や勘の確率的再現性は、いずれ50%に収束してしまうのです。
手持ち資金を踏まえると、毎回0.1枚しか取引できなくても良いのです(5〜10万円ぐらいの場合)。きちんと勝てるようになる努力を続けましょう。ひとつずつ上達のステップをクリアしていきましょう。
そうすれば、いずれ毎年納税して実質勝率を10%も下げるぐらいの納税スプレッドがあっても、そんなことを考えるぐらいなら、上達しない期間が長引くことの方がよっぽど高い実質スプレッドを払っていることに気づくはずです。
以上
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