この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
広告
posted by fanblog
2017年12月31日
2017年の経済指標発表前後取引の成績
2017年成績を纏めておきます。
損益pipsは+3063pips(月平均255pips)でした。
年初資金は、本ブログでの取引通貨ペアで最も高いGBPJPYの1枚分の投資資金の10倍(¥579,680)でした。年末残高は¥889,999なので、年間損益比は1.54です。
正直言って、2017年はちょっと出来過ぎでした。
以前に書いたように、このブログの取引方法では例年20%強のプラス収益で安定していました。たぶん今年は、ブログを始めたことで、分析結果を図示したり記したことが良かったのでしょう。来年もこのぐらいの成績をあげることが出来たら、ブログの宣伝文句も「年間30%ぐらいの投資収益が目指せます」と改訂することにしましょう。
なお、年間取引時間は32時間28分(月平均2時間42秒)でした。
月平均で3時間以下に取引時間を抑えるという本ブログのルールは守れました。ポジション長持ちを避けることで逸した利益もあったでしょうが、アテが外れたのに熱くなって損失を増やすことも避けられたことでしょう。
負けるときの自制の方が、調子が良いときに稼ぐよりもずっと難しいものです。特に、FXのような個人投資では、会社の仕事のように上司のチェックがないだけに、自分で守るべきルールを決めておくことは本当に大切です。
ルールを守った上で自分の裁量で判断すべきことを見つけることが、仕事でも個人投資でも大事です。
これらの関係を下図に示します。
青線は各月の損益pipsです。幸い赤字になった月は一度もありませんでした。
赤線は各月のポジションを保有した時間を分単位で表したものです。2月・7月・9月・10月は、ポジション保有時間が3時間を超えたものの、他の月で平均を下げています。
全体的には、指標に動きがあるときを取引が増えるので、毎月一律3時間という訳にはいきません。
次に、毎月の損益pipsを毎月の取引時間で割ってみます。
1分足1本当たりで稼げるpipsというのは、経済指標発表前後だけの取引に徹した場合でも、この程度です(もし負けても、この程度しか損が出来ません)。
中途半端なスキャルやデイトレをしている方は、このことをご存じなのでしょうか。
経済指標発表前後ですらこの程度ですから、何もないときに取引していると、この何倍も取引時間が長くなってしまいます。それではチャートから目を離している時間が増えてしまうので、いずれ大きな損失を被ることに繋がってしまいます。
このブログで最も重視しているルールは、ポジション長持ちを避けるということです。その上で損益をプラスにしたり効率良く稼ぐために、経済指標発表前後に取引を限定し、その勝ちパターンを分析している訳です。
では、良いお年を!
来年も宜しくお願いします。
損益pipsは+3063pips(月平均255pips)でした。
年初資金は、本ブログでの取引通貨ペアで最も高いGBPJPYの1枚分の投資資金の10倍(¥579,680)でした。年末残高は¥889,999なので、年間損益比は1.54です。
正直言って、2017年はちょっと出来過ぎでした。
以前に書いたように、このブログの取引方法では例年20%強のプラス収益で安定していました。たぶん今年は、ブログを始めたことで、分析結果を図示したり記したことが良かったのでしょう。来年もこのぐらいの成績をあげることが出来たら、ブログの宣伝文句も「年間30%ぐらいの投資収益が目指せます」と改訂することにしましょう。
なお、年間取引時間は32時間28分(月平均2時間42秒)でした。
月平均で3時間以下に取引時間を抑えるという本ブログのルールは守れました。ポジション長持ちを避けることで逸した利益もあったでしょうが、アテが外れたのに熱くなって損失を増やすことも避けられたことでしょう。
負けるときの自制の方が、調子が良いときに稼ぐよりもずっと難しいものです。特に、FXのような個人投資では、会社の仕事のように上司のチェックがないだけに、自分で守るべきルールを決めておくことは本当に大切です。
ルールを守った上で自分の裁量で判断すべきことを見つけることが、仕事でも個人投資でも大事です。
これらの関係を下図に示します。
青線は各月の損益pipsです。幸い赤字になった月は一度もありませんでした。
赤線は各月のポジションを保有した時間を分単位で表したものです。2月・7月・9月・10月は、ポジション保有時間が3時間を超えたものの、他の月で平均を下げています。
全体的には、指標に動きがあるときを取引が増えるので、毎月一律3時間という訳にはいきません。
次に、毎月の損益pipsを毎月の取引時間で割ってみます。
1分足1本当たりで稼げるpipsというのは、経済指標発表前後だけの取引に徹した場合でも、この程度です(もし負けても、この程度しか損が出来ません)。
中途半端なスキャルやデイトレをしている方は、このことをご存じなのでしょうか。
経済指標発表前後ですらこの程度ですから、何もないときに取引していると、この何倍も取引時間が長くなってしまいます。それではチャートから目を離している時間が増えてしまうので、いずれ大きな損失を被ることに繋がってしまいます。
このブログで最も重視しているルールは、ポジション長持ちを避けるということです。その上で損益をプラスにしたり効率良く稼ぐために、経済指標発表前後に取引を限定し、その勝ちパターンを分析している訳です。
では、良いお年を!
来年も宜しくお願いします。
以上
2017年12月23日
予習が間に合わない!
以前からお読み頂いている方は、そんなひどいことを言わないでしょうけど、大きく動く指標でも、なかなか年間利確pipsは大きくできません。でも新たにお読みいただく方にアピールできることは、このブログで取り上げている分析とシナリオは、指標発表の1〜数日前に投稿し、ほぼシナリオ通りの取引を1年を通して行って勝てていることです。
ただ、残念なことに、ポジションを取るタイミングや条件は示せても、利確・損切のタイミングは事前に示せていません。
でも、これは仕方ありません。過去の反応程度がわかっていても、それは目安であって毎回の取引が目安からどれだけばらついた反応をするのかはわからないからです。当てるのは方向といつ勝負すべきかだけです。
さて、何となくテクニカル分析よりもファンダメンタル分析の方が、指標発表前後の取引に限っては、結果(反応)に因果関係があるだけ事前分析が有効なのだと思います。テクニカル分析を下に見る訳ではないものの、指標発表前後に限っては、テクニカル分析の予告性(とでもいうべきか)は、ほとんどアテにできません。当然、ファンダメンタル分析だからと言って、定量的根拠のない定性的解釈なんて、短期取引に限ってほとんど意味を持ちません。
いわゆるファンダメンタル分析は、政策や金利や物価や景気を大きく捉えて、長期的な動向を探るものばかりです。よって、テクニカル分析のように次のローソク足が陽線か陰線かの分析に向かないと思われています。
けれども、テクニカル分析だって週足での移動平均線を取り上げて、1分足の動きを論じる人なんて居ません。成長率や景況指数が上がったり失業率が下がったりすれば、その国の通貨が買われやすくなる傾向は、ファンダメンタル分析に基づいています。
それにも関わらず、短期取引にファンダメンタル分析があまり使えないと断じられていたことは、テクニカル指標のような定量的な分析手法が入門書に記されていないことが原因でしょう。
ここを誤解している文系の方は多いと感じるのが、そもそも真理(分析手法の汎用性)というのは的中率100%のことではありません。それは、経済に限らず科学・工学でも同じです。
せいぜい70%程度の期待的中率であっても、その70%に達する傾向・根拠を見つけ出すことが大事です。最終的に70%でも、その70%の再現性が得られれば、それは分析手法として成り立ちます。これを確率的再現性の活用と言います。
初心者やアマチュアのFX取引に必要なスキルは、この確率的再現性を見出す分析力です。
90%とか99%などというほぼ必勝法と言える根拠など、もともと初心者やアマチュアはアテにすべきではないのです。
なぜなら、もしもそんな根拠が存在し、それを我々初心者やアマチュアが見つけ出せるなら、投資はもっと誰でも簡単に勝てるようになるはずです。でも、アマチュアの投資は勝てる人より負ける人の方が多いのです。
もしもそんな根拠が存在しても、それが3年に1度の機会しか適用できないなら、初心者やアマチュアがその機会を捉えることができません。使えないほど高度なテクニックは、プロの華麗な技を鑑賞するのに留めた方が良いでしょう。ポジション長持ちに繋がる方法論は大けがの元です。
存在の根拠にせよ、存在しても有用性に欠ける分析法など、意味がないのです。必要とされているのは、もっとお手軽で真面目なだけで実現できる日常業務のような分析法でなければいけません。
もし考察すべき点があるなら、90%は無意味でも、70%を75%や80%までなら引き上げたときの方が、利確pips?取引回数が稼げるのではないかという改善の問題です。
ここまで書いておいて感触の話をするのは気が引けるものの、以前、取引の根拠を75%にしていたら、取引の機会は週2・3回しかありませんでした。それを70%に下げたら、今度は分析記事を書くのが追い付かなくなるほど、取引機会が増えました。
よって、取引する上でベストな期待的中率がいくらかはわからないものの、期待的中率70〜75%の間のどこかに線引きしないと、米英欧豪の4国の主要指標発表に分析がとても間に合わないことは確かです。
ただ、残念なことに、ポジションを取るタイミングや条件は示せても、利確・損切のタイミングは事前に示せていません。
でも、これは仕方ありません。過去の反応程度がわかっていても、それは目安であって毎回の取引が目安からどれだけばらついた反応をするのかはわからないからです。当てるのは方向といつ勝負すべきかだけです。
さて、何となくテクニカル分析よりもファンダメンタル分析の方が、指標発表前後の取引に限っては、結果(反応)に因果関係があるだけ事前分析が有効なのだと思います。テクニカル分析を下に見る訳ではないものの、指標発表前後に限っては、テクニカル分析の予告性(とでもいうべきか)は、ほとんどアテにできません。当然、ファンダメンタル分析だからと言って、定量的根拠のない定性的解釈なんて、短期取引に限ってほとんど意味を持ちません。
いわゆるファンダメンタル分析は、政策や金利や物価や景気を大きく捉えて、長期的な動向を探るものばかりです。よって、テクニカル分析のように次のローソク足が陽線か陰線かの分析に向かないと思われています。
けれども、テクニカル分析だって週足での移動平均線を取り上げて、1分足の動きを論じる人なんて居ません。成長率や景況指数が上がったり失業率が下がったりすれば、その国の通貨が買われやすくなる傾向は、ファンダメンタル分析に基づいています。
それにも関わらず、短期取引にファンダメンタル分析があまり使えないと断じられていたことは、テクニカル指標のような定量的な分析手法が入門書に記されていないことが原因でしょう。
ここを誤解している文系の方は多いと感じるのが、そもそも真理(分析手法の汎用性)というのは的中率100%のことではありません。それは、経済に限らず科学・工学でも同じです。
せいぜい70%程度の期待的中率であっても、その70%に達する傾向・根拠を見つけ出すことが大事です。最終的に70%でも、その70%の再現性が得られれば、それは分析手法として成り立ちます。これを確率的再現性の活用と言います。
初心者やアマチュアのFX取引に必要なスキルは、この確率的再現性を見出す分析力です。
90%とか99%などというほぼ必勝法と言える根拠など、もともと初心者やアマチュアはアテにすべきではないのです。
なぜなら、もしもそんな根拠が存在し、それを我々初心者やアマチュアが見つけ出せるなら、投資はもっと誰でも簡単に勝てるようになるはずです。でも、アマチュアの投資は勝てる人より負ける人の方が多いのです。
もしもそんな根拠が存在しても、それが3年に1度の機会しか適用できないなら、初心者やアマチュアがその機会を捉えることができません。使えないほど高度なテクニックは、プロの華麗な技を鑑賞するのに留めた方が良いでしょう。ポジション長持ちに繋がる方法論は大けがの元です。
存在の根拠にせよ、存在しても有用性に欠ける分析法など、意味がないのです。必要とされているのは、もっとお手軽で真面目なだけで実現できる日常業務のような分析法でなければいけません。
もし考察すべき点があるなら、90%は無意味でも、70%を75%や80%までなら引き上げたときの方が、利確pips?取引回数が稼げるのではないかという改善の問題です。
ここまで書いておいて感触の話をするのは気が引けるものの、以前、取引の根拠を75%にしていたら、取引の機会は週2・3回しかありませんでした。それを70%に下げたら、今度は分析記事を書くのが追い付かなくなるほど、取引機会が増えました。
よって、取引する上でベストな期待的中率がいくらかはわからないものの、期待的中率70〜75%の間のどこかに線引きしないと、米英欧豪の4国の主要指標発表に分析がとても間に合わないことは確かです。
以上
2017年12月19日
信用できない!
高い確率や低い確率というのは、高い/低いという言葉を決めておかないと、人によって解釈が異なります。このブログでは70%以上の確率を「高い」と言って、それ未満の確率を「低い」と言っています。
でも、本稿はそんな話じゃありません。
最近の分析記事で多用している下右図は、直後1分足(x)と直後11分足の値幅(y)の関係を表しています。この図の場合、回帰式の係数が1.1050なので、平均的には反応を伸ばしやすい指標だと言えるでしょう。
ざっくり言えば、ここでの「平均的」とは、回帰線(赤線)が各点分布の中心を通っている、というだけのことです。その式のx(直後1分足)の係数が1.1050ということは、y(直後11分足)が平均的に10.5%長くなるということです。
正確には面倒くさい話だから気にしなくても構いません。
それでも、どうしても気になると言うのなら、この式は「線から各点までのy軸に平行な距離の二乗値の総和の平方根が線の上下で0になるように求めています。やっぱり、何を言っているかなんて気にしても仕方ありません。
映画『マトリックス』の3作目で、人類を救おうとしている主人公に、彼を送り出す政治家がこう言います。「この機械がどうなっているかなんてちっともわからない。でも、この機械が何のために動いているかならわかる」
うんうん、と思います。
だから理解しておくべきことは、この式の厳密な意味でなく、もっとざっくりとした正確な意味です。
この式は「平均的な反応の伸び率を表し」ており、線の上下のどちらに多くの点があるかを表していません。直後1分足が陽線(横軸の0より右)で線より上に点があれば直後11分足は反応を伸ばしていますが、線より下ならだいたい直後11分足は直後1分足の値幅を削るか反転しています。直後1分足が陰線(横軸の0より左)で線より下に点があれば直後11分足は反応を伸ばしていますが、線より上ならだいたい直後11分足は直後1分足の値幅を削るか反転しています。
だからこの式(線)は各点の中心を通っているものの、線の上下にある点の個数が等しいとは限りません。陽線であれ陰線であれ、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばした否かは下図で数えています。
この図は、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしたことと、直後1分足の値幅を直後11分足が削ったことと、直後1分足と直後11分足とが反転したことと、3通りの確率を求めています。
では、ふたつの図で、どちらをアテにした方が稼げるのでしょうか。
復習すると、線と点で表した平均的にどのぐらい反応を伸ばしているかという図と、直後1分足と直後11分足の反応が伸びたか縮んだか反転したかの3通りに単純化した図と、どちらを参考にした方が稼げるのでしょうか。
そんなこと、誰にもわかるはずありません。
実際の取引では、指標発表の0.001秒前にポジションを取得し、指標発表の1分後ちょうどや11分後ちょうどにポジションを解消している訳じゃありません。いくらきちんと確率を求めても、そんな取引に徹することなんて、とてもできません。
アテにしてない癖に信用している、というのなら、自分の娘と同じです。でも、アテにしている癖に信用していない、というのは職場の部下のようです。それでも、職場は色んな関係次第で高い生産性を発揮したりします。やっぱり客観性というのは他人の関係でなければ生まれないのですね。
今年は自分のブログを始めて忙しかったけれど、来年はヨソのブログを参考にしてもっと勉強します。
でも、本稿はそんな話じゃありません。
最近の分析記事で多用している下右図は、直後1分足(x)と直後11分足の値幅(y)の関係を表しています。この図の場合、回帰式の係数が1.1050なので、平均的には反応を伸ばしやすい指標だと言えるでしょう。
ざっくり言えば、ここでの「平均的」とは、回帰線(赤線)が各点分布の中心を通っている、というだけのことです。その式のx(直後1分足)の係数が1.1050ということは、y(直後11分足)が平均的に10.5%長くなるということです。
正確には面倒くさい話だから気にしなくても構いません。
それでも、どうしても気になると言うのなら、この式は「線から各点までのy軸に平行な距離の二乗値の総和の平方根が線の上下で0になるように求めています。やっぱり、何を言っているかなんて気にしても仕方ありません。
映画『マトリックス』の3作目で、人類を救おうとしている主人公に、彼を送り出す政治家がこう言います。「この機械がどうなっているかなんてちっともわからない。でも、この機械が何のために動いているかならわかる」
うんうん、と思います。
だから理解しておくべきことは、この式の厳密な意味でなく、もっとざっくりとした正確な意味です。
この式は「平均的な反応の伸び率を表し」ており、線の上下のどちらに多くの点があるかを表していません。直後1分足が陽線(横軸の0より右)で線より上に点があれば直後11分足は反応を伸ばしていますが、線より下ならだいたい直後11分足は直後1分足の値幅を削るか反転しています。直後1分足が陰線(横軸の0より左)で線より下に点があれば直後11分足は反応を伸ばしていますが、線より上ならだいたい直後11分足は直後1分足の値幅を削るか反転しています。
だからこの式(線)は各点の中心を通っているものの、線の上下にある点の個数が等しいとは限りません。陽線であれ陰線であれ、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばした否かは下図で数えています。
この図は、直後1分足よりも直後11分足が反応を伸ばしたことと、直後1分足の値幅を直後11分足が削ったことと、直後1分足と直後11分足とが反転したことと、3通りの確率を求めています。
では、ふたつの図で、どちらをアテにした方が稼げるのでしょうか。
復習すると、線と点で表した平均的にどのぐらい反応を伸ばしているかという図と、直後1分足と直後11分足の反応が伸びたか縮んだか反転したかの3通りに単純化した図と、どちらを参考にした方が稼げるのでしょうか。
そんなこと、誰にもわかるはずありません。
実際の取引では、指標発表の0.001秒前にポジションを取得し、指標発表の1分後ちょうどや11分後ちょうどにポジションを解消している訳じゃありません。いくらきちんと確率を求めても、そんな取引に徹することなんて、とてもできません。
アテにしてない癖に信用している、というのなら、自分の娘と同じです。でも、アテにしている癖に信用していない、というのは職場の部下のようです。それでも、職場は色んな関係次第で高い生産性を発揮したりします。やっぱり客観性というのは他人の関係でなければ生まれないのですね。
今年は自分のブログを始めて忙しかったけれど、来年はヨソのブログを参考にしてもっと勉強します。
以上
2017年12月17日
4-4-2. 英国経済実態指標(2017年暫定版)
最終稿は12月22日のGDP確定値発表後に作成します。
英国GDPの80%弱はサービス部門が占めています。小売業はGDPの30%程度を占めています。金融業もGDPに大きく寄与していると思われますが、その比率は資料によってまちまちでよくわかりません。
鉱工業・製造部門はGDPの10数%を占めているようです(これも資料によって数値が違います)。そして、鉱工業部門と一部重複するものの、エネルギー関係もGDPの10%を占めるとされています。エネルギー関係がGDPの10%も占めるのは、先進国では英国だけです。エネルギー関係も含めた鉱工業・製造業部門は、輸出の80%程度を占めています。そのためか、英国の鉱工業生産指数・製造業生産指数は、他の主要国に比べて非常に大きく反応します。
小売指数も生産指数も、英国の実態指標は他の国のそれよりもかなり大きく反応します。実態指標で指標発表後に50pipsにも及ぶ反応を年に何度も起こすのは英国指標だけです。では、英国経済はそれほど世界に影響を与えるのか。そんな訳ありません。この現象は、それだけGBPが投機対象だということを示しているのでしょう。
こんな指標で取引を繰り返すには、反省と分析を繰り返すだけでは不十分です。その場の流れにうまく乗れないと、分析上手だけでは勝てないのです。取引が難しい指標が多い分野です。
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。
英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントでした。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、問題はどこまで鈍化するのかが見通せないことです。先が見通せないときは、為替レートは頭を押さえられがちです。当面、英国指標への反応は、平均的にGBP高に小さくGBP安に大きくなると思われます。
漠然としたことにも対策は必要です。例えば、指標毎の過去平均反応pipsを見て、GBP高は1割小さくGBP安は3割大きく見込んでおけばどうでしょう。
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は、前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
9月29日に発表された4-6月期GDP確定値は、前期比+0.3%・前年比+1.5%でした。
10月25日に発表された7-9月期GDP速報値は、前期比+0.4%・前年比+1.5%でした。
11月23日に発表された7-9月期GDP改定値は、前期比・前年比ともに速報値と同値でした。
ロイターが伝えるところでは、7-9月期GDP改定値前年比の伸びは過去5年間で最低だそうです。それでも、+1.5%となったのは、家計支出の伸びに助けられた、とのことです。
「ん」って思いませんか?
だって、物価上昇の伸びに比して賃金の上昇が小さい状態が続いていたのが、ここ最近の一貫した英国経済への見方でした。今回の結果は、企業投資の伸びが抑えられて家計消費が大きかったのなら、ここ最近の見解を変えなければいけないかも知れません。
次回、7-9月期GDP確定値は12月22日に予定されています。家計消費がそのままで、EU離脱を睨んだ企業投資低迷が今後のトレンドになるのかに注目しましょう。
(分析事例) 四半期GDP速報値 (2017年10月25日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値 (2017年11月23日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値 (2017年9月29日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
確報値も市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想がほぼ当たります。過去17回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(頻度12%)しかありません。発表結果が市場予想と異なったことは6回(頻度35%)しかありません。その結果、確定値も追撃にはあまり向いていません。
英国経済に占める個人消費は約40%です。そのほとんど30%程度が小売に依るものです。
日米でそれが70%を占めることを踏まえると、影響は小さい気がします。ところが、です。他国の消費動向指標(小売売上高を含む)に比べると、英国のそれは桁外れに大きく反応します。
消費関連指標として、BRC小売売上高調査と小売売上高指数が発表されます。BRC小売売上高調査は、発表時刻の関係(09:01発表)で反応が小さい上に、東証開場時刻のUSDJPYの動きで反応がよくわかりません。よって、先述の桁外れの反応があるのは、小売売上高指数の方です。
小売売上高指数の前月比・コア前月比は上下動が大きく、予想が困難です。前年比・コア前年比の推移を見ると、2016年末頃から下降基調となっています。一時は前年比7%程度まで売上が増えていたのに、最近では1〜2%付近となっています。マイナス転換が近いことを予感をさせます。
8月17日に発表された7月分結果は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。
9月14日に発表された8月分結果は、久しぶりに前年比・コア前年比が+2%以上となりました。結果、100pipsもの陽線で反応しました。
10月19日に発表された9月分結果は、コア前年比が+1.6%へと減少したことを始め、他もどちらかと言えば前月より下がりました。それにも関わらず、この後にBOEは利上げを行いました。驚きです。
GDP計算にはコア指数なんて関係ありません。指数の前月比だけを見てとると、3月集計分を基準1として、4-6月期は+1.7%、7-9月期は+2.2%で、その差+0.5%分だけ7-9月期のGDP前期比にプラス寄与するでしょう。
11月16日に発表された10月分結果と12月14日に発表された11月分結果は、前月比が+0.3%・+1.1%と好調です。但し、前年比はとうとう10月分でマイナス転換しました。前年比は2013年以来の大きな落ち込みだったので、当面は発表前に弱気な動きが続くのではないでしょうか。
(分析事例) 小売売上高指数 (2017年11月16日発表結果検証済)
さて、この小売売上高指数の取引にあたっては、指標発表前に安易にポジションを取るべきではありません。
直前10-1分足が20pips以上のヒゲを形成したことは過去42%もあります。加えて、この42%のヒゲの伸びた方向は、指標発表直後1分足の反応方向と関係ないのです。本指標の直前10-1分足は、跳幅平均21pips・値幅13pipsと、そんじょそこらの指標の発表直後よりも大きく動くのです。
がしかし、直前10-1分足のヒゲではなく、値幅方向ならば指標発表結果の良し悪しを示唆しがちです。
まず、判別式として、前月比事前差異+前年比事前差異+3?コア前月比事前差異+コア前年比事前差異、の解の符号は、直前10-1分足値幅方向との方向一致率が74%です。
直前10-1分足は、74%の期待的中率で市場予想と前回結果からアテにできます。
事後差異判別式は、3?前月比事後差異+1?前年比事後差異+4?コア前月比事後差異+2?コア前年比事後差異、で求まります。この判別式の解の符号と直後1分足は84%の確率で方向一致します。前月比とコア前月比の発表結果の市場予想とのズレが、反応方向に強く影響するということです。
但し、そこまでわかっていても、直後1分足のヒゲの長さ(戻しの大きさ)は、長跳幅の40%にも達しているので、追撃を行うときには高値(安値)掴みに気を付けないといけません。本指標は、過去平均の反応が大きい指標なので、参加者も多く値動きが早くなります。そういう意味で取引が難しい指標です。
通信速度に不安がある出先でのスマホ取引には、あまり向いていませんよね(何度か痛い目に遭いました)。
2017年は、本指標で8回取引きし、4勝4敗で勝率は50%でした。シナリオ単位では17勝9敗(勝率65%)でした。勝ちは大きく、負けは追撃で挽回できており、比較的抑えられています。
ともあれ、反応が大きくヒゲが長い指標では、こうした勝ち方になってしまいます。2018年は、ポジション毎の取引時間をもっと短縮して、利益も損失ももっと小さく抑え、その代わりに勝率向上によってもっと安全な取引を行います。
鉱工業生産指数と製造業生産指数とは同時発表されます。いずれも企業生産高の基準年を100として指数化した経済指標です。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
10月10日に発表された8月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.4%でした。前月比プラス推移は鉱工業生産指数が3か月連続、製造業生産指数が2か月連続です。
7-9月期GDPは、鉱工業・製造業部門に関しては改善が期待できます。
11月10日に発表された9月分鉱工業生産指数前月比は+0.7%、同月分製造業生産指数前月比も+0.7%でした。予想と乖離がかなり大きかったものの、陽線での反応は過去平均程度でした。前週に発表されたBOE利上げで、当分は上に伸び難い状況になったことを示唆する動きでした。
12月8日に発表された10月分は、前年比が鉱工業・製造業ともに大きく前回を上回りました。もともと、前年比のグラフ推移は、昨年の10月分が鉱工業生産指数・製造業生産指数ともに大きく落ち込んでいたので、指標発表直後の反応はほとんどありませんでした。次回11月分集計結果が発表される来年1月以降は、前年がかなり良い時期だったので、悪い数字が続き始めると予想されます。
(分析事例) 鉱工業生産指数・製造業生産指数 (2017年12月8日発表結果検証済)
本指標発表前は、2?鉱工業生産指数前月比事前差異+2?鉱工業生産指数前年比事前差異+1?製造業生産指数前月比事前差異+1?製造業生産指数前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が21%です(不一致率79%)。
市場予想の全体的な良し悪しに対し、指標発表時刻が迫ると逆方向に反応しがちです。この妙な特徴は、指標発表10分前までに一方向に値動きが長く大きいときほどアテになります。発表10分前にポジションが解消されがちなのでしょう。
そして意外なことに、本指標と製造業PMIとは同月集計分の実態差異に相関がありません(方向一致率が50%前後)。念のため、PMIの前月集計分や翌月集計分と本指標の実態差異を比較しても、方向一致率はやはり50%前後です。
PMIをアテにして、本指標結果の良し悪しを予想することは、サイコロを振って決めるのと同じだということです。
指標発表直後の反応は、指標結果に素直な方向に大きく跳ねます。その方向は、3?鉱工業生産指数前月比事後差異+2?鉱工業生産指数前年比事後差異+1?製造業生産指数前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が79%です。
つまり、鉱工業生産指数の前月比・前年比が市場予想に対しどちらにどれだけズレるかが、本指標分析の目的となります。製造業生産指数は無視しても構わない、とは言えないものの、反応方向への寄与は鉱工業生産指数に及びません。
本指標の際立つ特徴は、直後1分足と直後11分足が同方向だったとき、指標発表後1分以内の跳幅を1分経過後に上回る確率が100%となっている点です。同方向でなかった場合にも、76%の確率で直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が上回っています。
これはありがたい特徴です。指標発表後の初期反応を見てから追撃しても、とりあえず利確しやすいのです。
終値同士を比べても、直後1分足と直後11分足が同方向だった場合、それら終値同士を比較して反応が伸びていたことが3回に2回程度あります。但し、同方向でなく直後11分足が反転した場合を含めると、その確率は50%を僅かに上回る程度に下がってしまいます。
とりあえず、指標発表後は反応を伸ばすと信じて早期追撃を開始し、その後は短期取引で様子を見ながら、しつこい追撃で戦果を拡大できる機会が年に何度かあるでしょう。そのとき大きく稼ぎましょう。
2017年は10回の発表時取引を行い9勝1敗でした。シナリオ単位では28勝10敗(勝率74%)で、毎回の平均取引時間は8分42秒とやや長くなっていました。年間178pipsを稼ぎ、1回の平均利確は18pipsです。これは、本指標直後11分足の平均的な値幅21pipsに対し悪くありません。
ほぼ反応しないことに加え、現地不動産の情報が入手しずらく、取引は行いません。
主な住宅関連指標には、RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数・ライトムーブ住宅価格・ネーションワイド住宅価格・建設業PMI、が挙げられます。
いずれも2017年後半は下降基調になっています。
最も反応が大きい建設業PMIは、住宅だけでなく建設業全般の景気指標です。長期的には下降基調となっており、EU離脱投票が行われた2016年6月分が直近ボトム(46)になっていました。その後はやや戻したものの、2017年9月分では再び50を下回りました(48.1)。10月分(50.8)、11月分(53.1)は持ち直したものの、直近ピークの5月分(56.0)を上抜けることは難しいでしょう。
ーーー$€¥ーーー
英国GDPの80%弱はサービス部門が占めています。小売業はGDPの30%程度を占めています。金融業もGDPに大きく寄与していると思われますが、その比率は資料によってまちまちでよくわかりません。
鉱工業・製造部門はGDPの10数%を占めているようです(これも資料によって数値が違います)。そして、鉱工業部門と一部重複するものの、エネルギー関係もGDPの10%を占めるとされています。エネルギー関係がGDPの10%も占めるのは、先進国では英国だけです。エネルギー関係も含めた鉱工業・製造業部門は、輸出の80%程度を占めています。そのためか、英国の鉱工業生産指数・製造業生産指数は、他の主要国に比べて非常に大きく反応します。
小売指数も生産指数も、英国の実態指標は他の国のそれよりもかなり大きく反応します。実態指標で指標発表後に50pipsにも及ぶ反応を年に何度も起こすのは英国指標だけです。では、英国経済はそれほど世界に影響を与えるのか。そんな訳ありません。この現象は、それだけGBPが投機対象だということを示しているのでしょう。
こんな指標で取引を繰り返すには、反省と分析を繰り返すだけでは不十分です。その場の流れにうまく乗れないと、分析上手だけでは勝てないのです。取引が難しい指標が多い分野です。
【4-4-2.(1) 経済成長】
少し前までのIMF予想では、英国の2017年経済成長は2.0%となっていました。最新の見通しでは、2017年が1.7%、2018年が1.5%です。対する米国は2017年・2018年ともに2.1%(4月時点で2017年は2.3%)で、EUはともに1.9%・1.7%となっています。
英国との関係が深いEU・米国に成長率が今年抜かれるという点がポイントでした。
現状は先々の成長鈍化が予想されており、問題はどこまで鈍化するのかが見通せないことです。先が見通せないときは、為替レートは頭を押さえられがちです。当面、英国指標への反応は、平均的にGBP高に小さくGBP安に大きくなると思われます。
漠然としたことにも対策は必要です。例えば、指標毎の過去平均反応pipsを見て、GBP高は1割小さくGBP安は3割大きく見込んでおけばどうでしょう。
6月30日に発表された1-3月期GDP確定値は、前期比+0.6%・前年比+2.0%でした。
9月29日に発表された4-6月期GDP確定値は、前期比+0.3%・前年比+1.5%でした。
10月25日に発表された7-9月期GDP速報値は、前期比+0.4%・前年比+1.5%でした。
11月23日に発表された7-9月期GDP改定値は、前期比・前年比ともに速報値と同値でした。
ロイターが伝えるところでは、7-9月期GDP改定値前年比の伸びは過去5年間で最低だそうです。それでも、+1.5%となったのは、家計支出の伸びに助けられた、とのことです。
「ん」って思いませんか?
だって、物価上昇の伸びに比して賃金の上昇が小さい状態が続いていたのが、ここ最近の一貫した英国経済への見方でした。今回の結果は、企業投資の伸びが抑えられて家計消費が大きかったのなら、ここ最近の見解を変えなければいけないかも知れません。
次回、7-9月期GDP確定値は12月22日に予定されています。家計消費がそのままで、EU離脱を睨んだ企業投資低迷が今後のトレンドになるのかに注目しましょう。
(分析事例) 四半期GDP速報値 (2017年10月25日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP改定値 (2017年11月23日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期GDP確定値 (2017年9月29日発表結果検証済)
速報値は、早期参加・追撃徹底に適しています。少なくとも発表から1分足を過ぎて、直後1分足値幅を削ることは27%あっても、直後1分足と逆方向に反転したことは7%しかありません。
一方、改定値の市場予想は、前回発表値(同期速報値)といつも同じです(2013年1-3月期以降、例外は2回)。発表結果も、ほぼ市場予想通りになりがちです(例外6回)。その結果、指標発表後は、直後11分足の戻り比率(1ー値幅/跳幅)が48%にも達し、かなり上下動が大きくなっています。反応は一方向に伸びずに途中反転することも多く、追撃に向いていません。
確報値も市場予想が前回改定値となっていることが多く、また、その市場予想がほぼ当たります。過去17回の確報値発表時の市場予想が前回改定値と異なったことは2回(頻度12%)しかありません。発表結果が市場予想と異なったことは6回(頻度35%)しかありません。その結果、確定値も追撃にはあまり向いていません。
【4-4-2.(2) 実態指標】
(2-1) 小売
英国経済に占める個人消費は約40%です。そのほとんど30%程度が小売に依るものです。
日米でそれが70%を占めることを踏まえると、影響は小さい気がします。ところが、です。他国の消費動向指標(小売売上高を含む)に比べると、英国のそれは桁外れに大きく反応します。
消費関連指標として、BRC小売売上高調査と小売売上高指数が発表されます。BRC小売売上高調査は、発表時刻の関係(09:01発表)で反応が小さい上に、東証開場時刻のUSDJPYの動きで反応がよくわかりません。よって、先述の桁外れの反応があるのは、小売売上高指数の方です。
小売売上高指数の前月比・コア前月比は上下動が大きく、予想が困難です。前年比・コア前年比の推移を見ると、2016年末頃から下降基調となっています。一時は前年比7%程度まで売上が増えていたのに、最近では1〜2%付近となっています。マイナス転換が近いことを予感をさせます。
8月17日に発表された7月分結果は前回を下回り、グラフ推移を見ると2016年12月頃を起点とする下降基調がはっきりしてきました。
9月14日に発表された8月分結果は、久しぶりに前年比・コア前年比が+2%以上となりました。結果、100pipsもの陽線で反応しました。
10月19日に発表された9月分結果は、コア前年比が+1.6%へと減少したことを始め、他もどちらかと言えば前月より下がりました。それにも関わらず、この後にBOEは利上げを行いました。驚きです。
GDP計算にはコア指数なんて関係ありません。指数の前月比だけを見てとると、3月集計分を基準1として、4-6月期は+1.7%、7-9月期は+2.2%で、その差+0.5%分だけ7-9月期のGDP前期比にプラス寄与するでしょう。
11月16日に発表された10月分結果と12月14日に発表された11月分結果は、前月比が+0.3%・+1.1%と好調です。但し、前年比はとうとう10月分でマイナス転換しました。前年比は2013年以来の大きな落ち込みだったので、当面は発表前に弱気な動きが続くのではないでしょうか。
(分析事例) 小売売上高指数 (2017年11月16日発表結果検証済)
さて、この小売売上高指数の取引にあたっては、指標発表前に安易にポジションを取るべきではありません。
直前10-1分足が20pips以上のヒゲを形成したことは過去42%もあります。加えて、この42%のヒゲの伸びた方向は、指標発表直後1分足の反応方向と関係ないのです。本指標の直前10-1分足は、跳幅平均21pips・値幅13pipsと、そんじょそこらの指標の発表直後よりも大きく動くのです。
がしかし、直前10-1分足のヒゲではなく、値幅方向ならば指標発表結果の良し悪しを示唆しがちです。
まず、判別式として、前月比事前差異+前年比事前差異+3?コア前月比事前差異+コア前年比事前差異、の解の符号は、直前10-1分足値幅方向との方向一致率が74%です。
直前10-1分足は、74%の期待的中率で市場予想と前回結果からアテにできます。
事後差異判別式は、3?前月比事後差異+1?前年比事後差異+4?コア前月比事後差異+2?コア前年比事後差異、で求まります。この判別式の解の符号と直後1分足は84%の確率で方向一致します。前月比とコア前月比の発表結果の市場予想とのズレが、反応方向に強く影響するということです。
但し、そこまでわかっていても、直後1分足のヒゲの長さ(戻しの大きさ)は、長跳幅の40%にも達しているので、追撃を行うときには高値(安値)掴みに気を付けないといけません。本指標は、過去平均の反応が大きい指標なので、参加者も多く値動きが早くなります。そういう意味で取引が難しい指標です。
通信速度に不安がある出先でのスマホ取引には、あまり向いていませんよね(何度か痛い目に遭いました)。
2017年は、本指標で8回取引きし、4勝4敗で勝率は50%でした。シナリオ単位では17勝9敗(勝率65%)でした。勝ちは大きく、負けは追撃で挽回できており、比較的抑えられています。
ともあれ、反応が大きくヒゲが長い指標では、こうした勝ち方になってしまいます。2018年は、ポジション毎の取引時間をもっと短縮して、利益も損失ももっと小さく抑え、その代わりに勝率向上によってもっと安全な取引を行います。
(2-2) 生産
鉱工業生産指数と製造業生産指数とは同時発表されます。いずれも企業生産高の基準年を100として指数化した経済指標です。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
9月8日に発表された7月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.5%でした。
10月10日に発表された8月分鉱工業生産指数前月比は+0.2%、同月分製造業生産指数前月比は+0.4%でした。前月比プラス推移は鉱工業生産指数が3か月連続、製造業生産指数が2か月連続です。
7-9月期GDPは、鉱工業・製造業部門に関しては改善が期待できます。
11月10日に発表された9月分鉱工業生産指数前月比は+0.7%、同月分製造業生産指数前月比も+0.7%でした。予想と乖離がかなり大きかったものの、陽線での反応は過去平均程度でした。前週に発表されたBOE利上げで、当分は上に伸び難い状況になったことを示唆する動きでした。
12月8日に発表された10月分は、前年比が鉱工業・製造業ともに大きく前回を上回りました。もともと、前年比のグラフ推移は、昨年の10月分が鉱工業生産指数・製造業生産指数ともに大きく落ち込んでいたので、指標発表直後の反応はほとんどありませんでした。次回11月分集計結果が発表される来年1月以降は、前年がかなり良い時期だったので、悪い数字が続き始めると予想されます。
(分析事例) 鉱工業生産指数・製造業生産指数 (2017年12月8日発表結果検証済)
本指標発表前は、2?鉱工業生産指数前月比事前差異+2?鉱工業生産指数前年比事前差異+1?製造業生産指数前月比事前差異+1?製造業生産指数前年比事前差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直前10-1分足の方向一致率が21%です(不一致率79%)。
市場予想の全体的な良し悪しに対し、指標発表時刻が迫ると逆方向に反応しがちです。この妙な特徴は、指標発表10分前までに一方向に値動きが長く大きいときほどアテになります。発表10分前にポジションが解消されがちなのでしょう。
そして意外なことに、本指標と製造業PMIとは同月集計分の実態差異に相関がありません(方向一致率が50%前後)。念のため、PMIの前月集計分や翌月集計分と本指標の実態差異を比較しても、方向一致率はやはり50%前後です。
PMIをアテにして、本指標結果の良し悪しを予想することは、サイコロを振って決めるのと同じだということです。
指標発表直後の反応は、指標結果に素直な方向に大きく跳ねます。その方向は、3?鉱工業生産指数前月比事後差異+2?鉱工業生産指数前年比事後差異+1?製造業生産指数前月比事後差異、という判別式を用いると、この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率が79%です。
つまり、鉱工業生産指数の前月比・前年比が市場予想に対しどちらにどれだけズレるかが、本指標分析の目的となります。製造業生産指数は無視しても構わない、とは言えないものの、反応方向への寄与は鉱工業生産指数に及びません。
本指標の際立つ特徴は、直後1分足と直後11分足が同方向だったとき、指標発表後1分以内の跳幅を1分経過後に上回る確率が100%となっている点です。同方向でなかった場合にも、76%の確率で直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が上回っています。
これはありがたい特徴です。指標発表後の初期反応を見てから追撃しても、とりあえず利確しやすいのです。
終値同士を比べても、直後1分足と直後11分足が同方向だった場合、それら終値同士を比較して反応が伸びていたことが3回に2回程度あります。但し、同方向でなく直後11分足が反転した場合を含めると、その確率は50%を僅かに上回る程度に下がってしまいます。
とりあえず、指標発表後は反応を伸ばすと信じて早期追撃を開始し、その後は短期取引で様子を見ながら、しつこい追撃で戦果を拡大できる機会が年に何度かあるでしょう。そのとき大きく稼ぎましょう。
2017年は10回の発表時取引を行い9勝1敗でした。シナリオ単位では28勝10敗(勝率74%)で、毎回の平均取引時間は8分42秒とやや長くなっていました。年間178pipsを稼ぎ、1回の平均利確は18pipsです。これは、本指標直後11分足の平均的な値幅21pipsに対し悪くありません。
(2-3) 住宅
ほぼ反応しないことに加え、現地不動産の情報が入手しずらく、取引は行いません。
主な住宅関連指標には、RICS(王立公認不動産鑑定士協会)住宅価格指数・ライトムーブ住宅価格・ネーションワイド住宅価格・建設業PMI、が挙げられます。
いずれも2017年後半は下降基調になっています。
最も反応が大きい建設業PMIは、住宅だけでなく建設業全般の景気指標です。長期的には下降基調となっており、EU離脱投票が行われた2016年6月分が直近ボトム(46)になっていました。その後はやや戻したものの、2017年9月分では再び50を下回りました(48.1)。10月分(50.8)、11月分(53.1)は持ち直したものの、直近ピークの5月分(56.0)を上抜けることは難しいでしょう。
以上
4-4-3. 英国収支関連指標(2017年版)
英国の貿易規模は、輸出額が世界11位、輸入額が世界6位です(2015年)。そして、対内直接投資と対外直接投資はともに世界2位の規模です(2015年)。
FXをやる上で「それがどうした」という話ですが、2016年のブリグジット投票結果によって今後これら数字がどう変化するのかはFXにも関係あるかも知れません。それで見ているものの、取引は行っていません。
以前は貿易収支単独での発表もよくありました。その頃は、貿易収支発表前後に小さいものの反応があった、と記憶しています。
がしかし、2016年11月集計分(2017年1月発表)以降、本指標は鉱工業生産指数・製造業生産指数と同時発表されています。そして、発表時の反応は明らかに貿易収支に対してでなく、鉱工業生産指数・製造業生産指数に対して生じています。これら指標と同時発表される限り、例えそれら指標が全て予想通りで貿易収支だけが予想通りでなくても、貿易収支での反応はほとんど起きません。
だから指標発表前後の取引を行うなら、今のところ貿易収支の予想や結果には注意を払わなくても構いません。
何か、以下を読む気がなくさせるような結論ですが、でもまぁ興味を持ってください。最初に記したように、英国の貿易規模は、輸出額が世界11位、輸入額が世界6位で、対内直接投資と対外直接投資はともに世界2位の規模があったのです(2015年)。2016年以降の数字がどう変化していくのかは、今後のFX取引にも影響があるでしょう。
EURGBPは2015年7月頃にボトム(GBP高値)に達しました。GBPUSDではそれより早く2014年8月頃にピーク(GBP高値)に達しています。2016年6月のEU離脱投票後にGBP安が進んだイメージがありますが、それは違います。GBPが高値を付けて、下降基調に転じたのはそれより1年以上前からです(国民投票実施が現実味を帯び始めてから)。
こういう動きを後から理解すると、やっぱり大きな資金を動かしているプロには敵わないことがよくわかります。
EURGBPを見てみると、2015年7月安値(GBP高値)が0.6928で、EU離脱投票が行われた2016年6月始値が0.7680、直近高値(GBP安値)の2017年8月が0.9306です。この間のGBP安は、離脱投票前に752pips、離脱投票後が626pips進んだ訳です。現時点ではまだ、対EURで見る限り、離脱投票前の方がGBP安が進んでいたのです(※ この段落の数値は2017年終値で後日修正の可能性があります)。
ともあれ、為替レートと貿易収支は相関が高いと考えられます。英国の主要貿易相手先はEUですから、ここではGBPUSDよりもEURGBPの影響に注視しています。
貿易収支は、2013年〜2014年頃まで毎月80〜100億GBPの赤字で上下していました。ところが、2015年5月集計分をピークとして、その後は下降基調(赤字拡大基調)になっています。時期的にはやはりEURGBPレートの動きとほぼ一致しています。
原因と結果が逆説的になるかも知れませんが、GBPの動きを予想するとき、EURGBPの動きが貿易収支動向と相関が高いことは知っておいて良いでしょう。残念ながら、もっと取引しやすいGBPJPYやGBPUSDの動きを直接示唆する兆候ではありませんが。
2015年以降の主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。大きな動きは次の通りです。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が471B.GBP、輸出が304B.GBP(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
上位に欧州各国が並ぶのは当然として、米国(2位)・中国(3位)・日本(11位)が欧州外の主要貿易相手国です。2017年分が集計できたら、中国の順位が上がっているかも知れません。確か、中国主席訪英で経済的な合意がいくつかあったと、記憶しています。
ただ、国別の貿易総額を並べて見ると、英国は満遍なく各国と取引していることがわかります(その他が大きい)。
これは、後述するように英国の投資先と関係しているのかも知れません。そして、投資の歴史が古いだけに分散投資にも長けているのかも知れません。
次に貿易品目です。これも金額ベース・通関ベースで、2016年データです。2017年分はまだデータが揃っていないため未発表です。
グラフは、色付きが分野別集計値で、白抜きはその内訳から注目している品目を抜き出したものです。
意外にも、石油関係輸出が少なく貿易収支に寄与していないことと、食料品等の分野の輸入が少ないことに驚きます。
英国と言えば北海油田が有名ですが、原油価格が2倍になっても、機械類・輸送機器等の分野の輸出にはまったく追いつきませんね。化学薬品や原材料製品も含めた工業製品の輸出入が中心です。輸送機器類はエンジンを始め航空機関連で、化学製品は医薬品が中心です。
一方、GBP安によってインフレが進行しているものの、それは食料品を中心とする輸入物価上昇が原因と言いきれない気がします。もともと輸入が多い上、原材料製品分野の非貨幣用金の赤字が目立ちます。2016年はブリグジット選挙の年だったので、GBP下落を見越して金の購入が増えたようです。
そして、英国と言えば、日本と同様に投資国です。投資国としての歴史の長さと金融国というイメージから、対外投資額がさぞ大きいのではないかとイメージしています。
下図は、2015年末時点での対内・対外投資残高です。
対外投資残高は合計で約1兆GBPで、意外にも対内投資と拮抗しています。対外投資の半分近くがEU諸国への投資です。
そして、日米は英国に投資していた一方で英国の日米への投資が少ないことと、中国(含香港)への投資が少ないことが意外です。2015年末集計データということもあって、この内容がブリグジット確定後にどう変化したかは資料改訂が待たれます。
大きくは前述の通り、2013年〜2014年頃まで毎月80〜100億GBPの赤字で上下していました。ところが、2015年5月集計分をピークとして、その後は下降基調(赤字拡大基調)になっています。現在も少しずつ赤字幅が増えるトレンド中です。
それにしても、GDP規模が日本の半分程度(300兆円ぐらい)で、過去何年間にも亘って毎月1〜2兆円近い赤字が続く状態というのは、どういう状況なのでしょう。米大統領風に言えば、国内で産まれた価値の10%弱が毎年々々国外流出しているのです。
が、これは正しい表現ではありません。貿易収支は金額ベースで、その対価としてモノやサービスが国内に増えたとも言えるからです。これはJPYが流出しても、日本資本の海外工場からの輸入品が増えた場合、日本の国力が低下したと言えないことを考えればわかります。
貿易収支だけを見ても、本当に国力が低下しているかどうかなんてわかりません。厳密に他の収支を見ても、やっぱりわかりません。国力の定義がはっきりしないからです。国力を経済力に置き換えても、影響力に置き換えても同じです。
FXをやる上で「それがどうした」という話ですが、2016年のブリグジット投票結果によって今後これら数字がどう変化するのかはFXにも関係あるかも知れません。それで見ているものの、取引は行っていません。
以前は貿易収支単独での発表もよくありました。その頃は、貿易収支発表前後に小さいものの反応があった、と記憶しています。
がしかし、2016年11月集計分(2017年1月発表)以降、本指標は鉱工業生産指数・製造業生産指数と同時発表されています。そして、発表時の反応は明らかに貿易収支に対してでなく、鉱工業生産指数・製造業生産指数に対して生じています。これら指標と同時発表される限り、例えそれら指標が全て予想通りで貿易収支だけが予想通りでなくても、貿易収支での反応はほとんど起きません。
だから指標発表前後の取引を行うなら、今のところ貿易収支の予想や結果には注意を払わなくても構いません。
何か、以下を読む気がなくさせるような結論ですが、でもまぁ興味を持ってください。最初に記したように、英国の貿易規模は、輸出額が世界11位、輸入額が世界6位で、対内直接投資と対外直接投資はともに世界2位の規模があったのです(2015年)。2016年以降の数字がどう変化していくのかは、今後のFX取引にも影響があるでしょう。
(1) 中長期トレンド考察
EURGBPは2015年7月頃にボトム(GBP高値)に達しました。GBPUSDではそれより早く2014年8月頃にピーク(GBP高値)に達しています。2016年6月のEU離脱投票後にGBP安が進んだイメージがありますが、それは違います。GBPが高値を付けて、下降基調に転じたのはそれより1年以上前からです(国民投票実施が現実味を帯び始めてから)。
こういう動きを後から理解すると、やっぱり大きな資金を動かしているプロには敵わないことがよくわかります。
EURGBPを見てみると、2015年7月安値(GBP高値)が0.6928で、EU離脱投票が行われた2016年6月始値が0.7680、直近高値(GBP安値)の2017年8月が0.9306です。この間のGBP安は、離脱投票前に752pips、離脱投票後が626pips進んだ訳です。現時点ではまだ、対EURで見る限り、離脱投票前の方がGBP安が進んでいたのです(※ この段落の数値は2017年終値で後日修正の可能性があります)。
ともあれ、為替レートと貿易収支は相関が高いと考えられます。英国の主要貿易相手先はEUですから、ここではGBPUSDよりもEURGBPの影響に注視しています。
貿易収支は、2013年〜2014年頃まで毎月80〜100億GBPの赤字で上下していました。ところが、2015年5月集計分をピークとして、その後は下降基調(赤字拡大基調)になっています。時期的にはやはりEURGBPレートの動きとほぼ一致しています。
原因と結果が逆説的になるかも知れませんが、GBPの動きを予想するとき、EURGBPの動きが貿易収支動向と相関が高いことは知っておいて良いでしょう。残念ながら、もっと取引しやすいGBPJPYやGBPUSDの動きを直接示唆する兆候ではありませんが。
2015年以降の主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。大きな動きは次の通りです。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が471B.GBP、輸出が304B.GBP(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
上位に欧州各国が並ぶのは当然として、米国(2位)・中国(3位)・日本(11位)が欧州外の主要貿易相手国です。2017年分が集計できたら、中国の順位が上がっているかも知れません。確か、中国主席訪英で経済的な合意がいくつかあったと、記憶しています。
ただ、国別の貿易総額を並べて見ると、英国は満遍なく各国と取引していることがわかります(その他が大きい)。
これは、後述するように英国の投資先と関係しているのかも知れません。そして、投資の歴史が古いだけに分散投資にも長けているのかも知れません。
次に貿易品目です。これも金額ベース・通関ベースで、2016年データです。2017年分はまだデータが揃っていないため未発表です。
グラフは、色付きが分野別集計値で、白抜きはその内訳から注目している品目を抜き出したものです。
意外にも、石油関係輸出が少なく貿易収支に寄与していないことと、食料品等の分野の輸入が少ないことに驚きます。
英国と言えば北海油田が有名ですが、原油価格が2倍になっても、機械類・輸送機器等の分野の輸出にはまったく追いつきませんね。化学薬品や原材料製品も含めた工業製品の輸出入が中心です。輸送機器類はエンジンを始め航空機関連で、化学製品は医薬品が中心です。
一方、GBP安によってインフレが進行しているものの、それは食料品を中心とする輸入物価上昇が原因と言いきれない気がします。もともと輸入が多い上、原材料製品分野の非貨幣用金の赤字が目立ちます。2016年はブリグジット選挙の年だったので、GBP下落を見越して金の購入が増えたようです。
そして、英国と言えば、日本と同様に投資国です。投資国としての歴史の長さと金融国というイメージから、対外投資額がさぞ大きいのではないかとイメージしています。
下図は、2015年末時点での対内・対外投資残高です。
対外投資残高は合計で約1兆GBPで、意外にも対内投資と拮抗しています。対外投資の半分近くがEU諸国への投資です。
そして、日米は英国に投資していた一方で英国の日米への投資が少ないことと、中国(含香港)への投資が少ないことが意外です。2015年末集計データということもあって、この内容がブリグジット確定後にどう変化したかは資料改訂が待たれます。
(2) 貿易指標
大きくは前述の通り、2013年〜2014年頃まで毎月80〜100億GBPの赤字で上下していました。ところが、2015年5月集計分をピークとして、その後は下降基調(赤字拡大基調)になっています。現在も少しずつ赤字幅が増えるトレンド中です。
それにしても、GDP規模が日本の半分程度(300兆円ぐらい)で、過去何年間にも亘って毎月1〜2兆円近い赤字が続く状態というのは、どういう状況なのでしょう。米大統領風に言えば、国内で産まれた価値の10%弱が毎年々々国外流出しているのです。
が、これは正しい表現ではありません。貿易収支は金額ベースで、その対価としてモノやサービスが国内に増えたとも言えるからです。これはJPYが流出しても、日本資本の海外工場からの輸入品が増えた場合、日本の国力が低下したと言えないことを考えればわかります。
貿易収支だけを見ても、本当に国力が低下しているかどうかなんてわかりません。厳密に他の収支を見ても、やっぱりわかりません。国力の定義がはっきりしないからです。国力を経済力に置き換えても、影響力に置き換えても同じです。
以上
2017年12月15日
4-5. 豪州・NZ経済指標(2017年版)
【4-5.(1) 特徴】
豪州の経済指標発表前後の取引はAUDJPYで、NZの経済指標発表前後の取引はNZDJPYで行っています。
AUDとNZDはいずれも、被投資国通貨>資源国通貨>高金利通貨、の特徴があります。
被投資国通貨というのは、リスクにはからっきし弱いという特徴です。少なくとも円クロスやドルストレートでは、何かリスクが起きると主要国通貨で最も下落しがちです。
資源国通貨というのは、原油を始めとする資源価格の変動の影響を受けやすい通貨です。ともに原油なんてほとんど算出していないのに、原油価格の上下動に影響を受けがちです。但し、乳製品ぐらいしか輸出していないNZDがここに属するのは不思議です。
高金利通貨というのは、先進国において、という前提が付きます。このままでは、2018年中にAUDもNZDもUSDとの政策金利逆転が起きます。それによって、何が起きるかは2018年の大きなFX上のイベントのひとつだと言えます。
【4-5.(2) 定性的背景】
つい10年前(2007年頃)には、新興国成長による資源価格高騰が生じており、豪州には鉱山開発等に海外からの投資が流入しました。鉱山ブームが終わった現在は、住宅市場に海外資金が流入しています。海外資金が流入し続けている理由は、中長期の経済成長が見込まれているだけでは説明しきれない面があります。
おそらくこれは、政治が安定し個人の権利が安心して行使できる先進国で、且つ、毎年移民を受け入れ続けていることが、主に中国からの投資先として魅了的なのだと推察されます。中国を除く豪州への投資国は日本が挙げられます。こちらは資源国に対し国是として分散投資を続けてきた歴史があります。
よって、AUDはひとたびどこかで地政学的リスクが生じると、先進国通貨で最も売られやすくなります。被投資国であるが故に、投資されていた資金が本国に戻ろうとすると考えられ、実際に資金が引き上げられるよりも大きく急速にAUDは下落してしまうのです。
そして、主要国政策金利の現状と過去との差異は次の通りです。
現在 2016年11月 差異
NZ 1.75% 同左 0%
豪州 1.50% 同左 0%
米国 1.25% 0.50% +0.75%
英国 0.50% 0.25% +0.25%
日本 0.10% 同左 0%
欧州 0.00% 同左 0%
ちなみに、各国通貨の対USDレート(11月足始値)は次の通りです。
現在 2016年11月 差異
NZDUSD 0.66 0.71 △7%
AUDUSD 0.77 0.76 +1%
GBPUSD 1.33 1.22 +9%
JPYUSD 0.0088 0.0095 △7%
EURUSD 1.16 1.10 +5%
もしも政策金利の差異だけで対USDレートが決まるなら、AUDやNZDは有利な金利差が小さくなったので、1年前よりマイナスにならないといけません。一方、GBPとJPYとEURは、不利な金利差が大きくなったので、プラスにならないといけません。でも現実は上表の通りです。
という訳で、この1年間に金利差以外の要因が対USDレートの方向を決めていたのは、AUDとJPYということになります。
※ 教科書的には、金利からインフレ率を差し引いたり、成長率をどうこうしたり色々すべきです。がしかし、そんなことをしてもどうせ為替レートの増減とは一致しません。だから、ここはこれで良いのです。
【4-5.(3) 定量的背景】
以下、ふたつのチャートをご覧ください。いずれも月足で、上図は見慣れたものにトレンドチャネルを引いたもの、下図は月足始値基準です。
上図からは、AUDJPYが現在、微妙な位置にあることがわかります。だから買を薦めている訳ではありません。レジスタンスとなっているトレンドラインを下抜けたら、大きく下げる可能性もあるので、そんな危ない橋は渡りません。
下図は、2018年の指標取引に役立てるために作成しました。2018年は、AUDJPYと指標結果の方向一致率を求め、更にASX(豪株価)月足始値基準チャートも追加して指標結果との方向一致率を求めたいと思います。
以上
4-5-1.豪州・NZ政策決定指標(2017年版)
豪州指標中心で取引を行い、NZ指標はRBNZ(NZ中銀)金融政策発表時のみを扱っています。
そのRBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)は、ともに「当面の利上げなし」と説明しています。そのため、以前に比べて最近の反応は小さく持続時間も短くなっています。以前は、これら発表時の反応は大きく一方向に伸びがちで追撃が容易だっただけに残念です。
そんな訳で、直近はAUDJPYとNZDJPYの指標分析と取引をあまり行っていません。
12月5日に発表されたRBA金融政策の結論は「市場予想通り現状維持」でした。本結論に至るRBAの豪州経済への認識は、政策発表時の声明に要約されています。
以下、同声明を補足しながら要約しておきます。
まず、豪州に取り巻く経済環境について、です。
多くの先進国・地域で成長が加速すると見込まれるものの、不安を2点指摘しています。
ひとつは、中国が融資をやや絞る政策を採っているため、直近の輸出規模がやや小さくなる可能性がある点です。もうひとつは、主要国の金融政策が緩和水準を縮小しつつあるものの、賃金が伸び悩んでインフレ率が上昇しないため、成長が加速する兆しがない、という点です。
経済情勢については、7-9月期GDP前年比が伸びたことを示唆しています。実際、本発表の翌日に発表されたGDP前年比は+2.8%と久しぶりの大きな伸びとなりました。
中銀予想の中心は、今後数年に亘って成長率が平均で3%前後になるというものです。景況感は強く、設備稼働率は上昇し、鉱業以外の事業投資見通しは一段と改善し、先行きを示す経済指標はこれまでよりもさらに良好となっています。そして、公共投資増加も経済を下支えしています。
不安要素は家計消費の見通しで、家計所得の伸びが緩やかにも関わらず家計債務の水準が高いため、僅かにそれらの関係が改善しても急成長には繋がりそうにない点です。
個別事象がそうした見方を裏付けています。
AUDは、過去2年間のレンジ内に留まっています。がしかし、通貨が上昇すれば、景気とインフレ率が現在想定されているペースより鈍くなることが予想されます。ただ、AUDが直近レンジ内に収まっている以上、現在の経済状況は為替レートが原因ではないということになります。
現在、インフレ率は低水準に留まり、CPIが2%を下回る水準で推移しています。インフレ率は、経済の加速に従って徐々に上昇すると、引き続き予想しています。このことは、雇用状況の賃金の伸びが依然弱く、この傾向が暫く続く可能性が高い、と見込まれているためです。けれども、いずれ賃金は幾分押し上げられると見込まれます。その論拠は、労働参加率の上昇を伴いつつ失業率が低下し、全ての州で改善している点です。よって、今後も雇用状況が堅調に改善することを示唆しており、それが経済の加速に従ってCPIも上昇すると見込んでいる訳です。
問題は、住宅債務が以前から家計所得の伸びを上回るペースで拡大していることです。家計債務の拡大が続く中期的リスクに対応するため、APRA(豪健全性規制庁)は、住宅購入時の信用審査を厳格化する規制を設けました。その結果、家計債務の所得比が改善しつつあり、住宅価格はここ半年ほぼ変化していません。シドニーではむしろ低下しました。東部主要都市では、今後数年で集合住宅の追加供給が計画されており、家賃の伸びは大半の都市で引き続き低水準となっています。
こうした経済情勢の改善の兆しは、(以前に比べて)低金利を維持する政策によってもたらされています。よって、RBAは引き続き現在の政策金利を維持することを決めました。
(分析事例) RBA金融政策 (2017年12月5日発表結果検証済)
(分析事例) RBA金融政策理事会議事録 (2017年6月20日公表結果検証済)
当面、議事録公表時の取引は行いません。議事録への関心が高いのは、僅かな文言の違いが金融政策変更の兆しでないかに関心が高い時期だけです。現在のように近々の政策変更が見込まれないときは、議事録公表時の反応はあまり大きくありません。
RBA金融政策発表時は、直後11分足は陽線率が72%です。がしかし、直後1分足の陽線率は62%とそれより小さくなっています。陽線率・陰線率の偏りが、直後11分足の方が大きいというのは珍しい特徴です。
また、2017年後半になって、明らかに発表直後の反応が小さくなっています。よって、当面は分析記事に記している反応の過去平均値は、やや高めになっていると見込んでおく必要があります。
指標発表前の取引には注意が必要です。
直前10-1分足はあまり動かず、直前1分足の方が大きく動きがちです。特に、直前1分足は、以前に数10pips動いたことがあり、他の指標のように特に陰線率が高い訳でもないので、この期間に取引を行うことは余計なリスクを負うことに他なりません。読みの通りなら反応が小さく取引の旨味が少なく、現地報道等に不案内で何か発表で変化が起きそうだとしても、それを知らずに取引してしまうことになりかねずリスキーです。
指標発表直後は、幸いというか意外なことに、「市場予想通り現状維持」だった場合、逆ヒゲを形成することが少ないので、あまり心配いりません。10pips以上の逆ヒゲは過去1回(頻度4%)しかありません。
直後1分足と直後11分足は方向一致率が81%あり、方向一致時に跳幅同士・値幅同士を比較して反応を伸ばしたことが各77%・73%となっています。発表直後には反応が伸びると信じるしかありません。この数字なら、初期反応の方向を確認したら追撃を早期開始すべきでしょう。
なお、全ての場合(直後1分足と直後11分足が反転した場合も含めて)において、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは59%です。
2017年は5回の取引を行い、指標単位で5勝(勝率100%)、シナリオ単位で6勝2敗(勝率75%)でした。1回の取引時間は平均6分41秒で、合計38pipsの利確(1回当たり8pips)に繋がっています。
これは、最近でこそ反応が小さい発表になったものの、過去平均の直後1分足跳幅が29pipsもあるため、発表時刻を跨いだポジションが取れないためです。それでも以前は追撃だけで稼げたものの、最近は反応が小さい上に反転率が高いため、単純な追撃戦で稼ぐことが難しくなりました。この傾向は2018年も暫く続くと予想されます。
まぁ、反応は取引が終わってみないと誰にもわからないのだから、利確の多寡よりも勝率にこだわって我慢強くやっておきましょう。勝率さえ高く維持できていれば、そのうち大きく反応するときに大きく稼げる機会もあるでしょう。
次に、RBNZの金融政策について、です。
NZは、9月総選挙によって政権交代が起きて間もなく、RBNZ総裁人事もなかなか決まりませんでした。12月11日、やっとRBA総裁にエイドリアン・オア氏が指名されました。就任は2018年3月27日と発表されています。それまでは、現在のスペンサー総裁代行が施策責任者ということになります。
これまで、RBAの金融政策の目標は物価安定に限られていました。同国財務相に依れば、2018年3月までに雇用最大化を加えるとのことです。今回の人事は、この法律改正に関わる作業を進めるため、RBA副総裁の経験があり事務と調整の実務に長けた人選との評をどこかで見かけました。
11月9日に発表されたRBNZ金融政策は「市場予想通り現状維持」でした。
声明及び会見では「かなりの期間緩和的であり続けるだろう」という見通しが示され、これは直近のRBNZの姿勢と一致しています。がしかし、インフレが目標レンジの中心付近に留まる見通しと、長期的なインフレ期待は2%にしっかり定着しているとの見方を示しました。経済見通しは総じて非常にポジティブとの見解も示されています。
その後の関連解説記事を見ると、利上げ時期の予想が前倒しされているそうです。これは、労働党新政権の財政政策が今後3年間で毎年0.5%ずつ成長率を押し上げる可能性があり、米国とNZの政策金利は2018年中に逆転してNZD安が続くと見込まれるため、です。
なお、RBNZはNZD高を嫌います。
8月10日、RBNZ金融政策発表後の会見で、RBNZ総裁は「NZDの下落を望む」と発言したようです。これもいつも通りの発言です。ただ、当日のロイターの解説に依れば「RBNZはは歴史的に外為市場への介入には極めて消極的な姿勢」にも関わらず、「介入能力がある」ことを強調したそうです。そのため、RBNZ総裁会見が行われた10:00頃から、NZDJPYは大きく下げました。
8月10日のNZDJPYの水準は80円、NZDUSDの水準は0.73ドル、AUDNZDの水準は1.08NZDでした。
(分析事例) RBNZ政策金利 (2017年9月28日発表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では「市場予想通り現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちでした。無理をしなくても、反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、以前はpipsが稼ぎやすかったのです。
2017年は、特に後半にこうした傾向と異なる反応をすることが見受けられました。
それでも、直後1分足と直後11分足の方向一致率は90%に達し、そのうち直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことも90%に達しています。発表から1分を過ぎたら利確の機会を狙い、直後1分足値幅を下回ったら、順張り再追撃を行えば良いのです。直後1分足と直後11分足が反転したことなど、過去10%も起きていません。
現地夏時間は5時発表(日本では冬)なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年は2回(2月・5月)しか取引が出来ず、その2回は幸い利確でした。シナリオは追撃のみ2勝0敗です。平均取引時間は1分55秒で、それで何と110pipsを稼ぎました。
2018年は、こうした容易に追撃で稼げる状況に再び戻ることを期待しています。
以下は、豪州についてのみ取り上げます。NZは金融政策発表時しか取引しないため、個別指標は注目していません。そもそもNZDJPYはスプレッドが大きいので、短期取引するには大きく反応することがわかっている指標でないと取引が難しいのです。
豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しています。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
景気指標では取引を行っていません。
両国の代表的な経済誌もわからないし、内政・外交の主要議題も掴めません。むしろ、景気指標を取引対象としてでなく、総合的な雰囲気を掴む手段として利用する方が有用です。但し、豪州経済の場合、それは貿易収支を見ても代用できます。
11月14日に発表された10月分指数は+21と、大きく上昇しました。直近ピークの+16(2016年1月分)を上回り、この数字は少なくとも過去5年間で最大です。
そして、12月12日に発表された11月分指数は+12と急減しました。この数字も5月分以来6か月ぶりの低水準です。実態指標の10月分小売売上高が久しぶりにプラス転換したものの、来月分はあまり期待できないかも知れません。一方、収支指標の10月分貿易収支は黒字幅が縮小しています。貿易黒字の縮小(もしくは今後の赤字再転換)が、内需拡大による消費財輸入増によるものか否かは、NAB企業景況感・小売売上高を見比べながら考えないと、ちょっとわからなくなってきました。
輸入物価指数やPPI(生産者物価指数)はほぼ反応せず、取引には不向きです。もともとAUDJPYはボラティリティが大きいので、反応が小さい指標は分析しても傾向が読み取れません。
四半期毎に発表される豪州物価指標はCPIに注目しておけば十分です。
7月26日に発表された4-6月期CPI前年比は+1.9%でした。1-3月期の+2.1%を下回ったものの、まだ2016年1-3月期を起点とする上昇基調は維持されています。
10月25日に発表された7-9月期CPI発表は、前期比が+0.6%、前年比が+1.8%でした。実態指標における7・8・9月集計分の小売売上高前月比が良くなかったことが現れています(CPIと個人消費ないしは小売売上高とは、各国ともに実態差異の方向一致率が高い傾向があります)。
まだ、上昇基調が下降に転じたとは言えませんが、上下どちらに向かうかがわからなくなりました。
次回発表は1月31日となります。
(分析事例) 四半期消費者物価指数 (2017年7月26日発表結果検証済)
四半期CPIの取引には注意点があります。
指標結果に対する反応方向があまり素直とは言えません(事後差異と直後1分足の方向一致率が63%)。後から見てみれば騙しに相当する逆跳幅(逆ヒゲ)も大きく良く発生しています。但し、この騙しは指標発表直後3-10秒以内に収まります(反転します)。
でも安心です。
反応程度はかなり大きくなりがちで、指標結果の良し悪しへの反応持続時間が長いのです。直後1分足終値より直後11分足終値が同方向に伸びていた確率が高いのです(71%)。つまり、指標発表直後の跳びの方向はアテにならないものの、暫く経てば反応方向が定まります。だから無理に欲張って発表時刻を跨いだポジションなんて持たずに、追撃で安全にpipsを稼ぐ方針に徹する方が良いでしょう。
2017年は本指標で3回の取引を行えました。結果、1回の平均取引時間は2分31秒で、1回当たり平均10pips強を稼いでいます。指標単位で3勝(勝率100%)、シナリオ単位で5勝3敗(勝率63%)でした。
なお、シナリオ単位で負けた3回のうち2回は、追撃開始が早すぎて騙されたのです。こうして、過去のデータを調べ直して発表直後の3〜10秒は危ないという経験則を記せるようになった訳です。
先に、失業率と労働参加率の関係を押さえておきましょう。
現在のように失業率が低下してくると、賃金も上昇しがちです。その結果、これまで就業を諦めていた人や躊躇していた人も、仕事に就こうとし始めます。すると、労働参加率が上昇して一時的に失業率の低下が停滞します。
現在の豪州雇用市場はこうした状況にあると捉えられます。
一方、最近のRBA金融政策発表時の声明では、常勤雇用者数の改善に関心が高いことが示されています。つまり、RBAが利上げを先延ばししているのは、雇用の量から質の確保に政策目標が変化したのです。こうした声明内容の変化は、2017年に入って目立つようになったように見受けられます。
11月16日に発表された10月分雇用統計では、新規雇用者数が+0.37万人、失業率は5.4%でした。注目すべき失業率は直近ボトム(2017年5月・10月の5.5%)を下回り、2015年1月の6.4%から低下傾向が続いています。
12月14日に発表された11月分は、新規雇用者数が+6.16万人、失業率は5.4%でした。
常勤雇用者数は前月の+3.1万人から+4.19万人に増加しています。そして、失業率は前月と同じですが、行動者率が前月の65.2%から65.5%に上昇しているので、実質的には失業率も改善と言ってよいでしょう。
12月5日のRBA声明で触れられていたように、雇用内容は改善の兆しが窺えます。
(分析事例) 豪州雇用統計 (2017年8月17日発表結果検証済)
2015年末頃を境に、本指標は反応程度が小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。
過去の傾向から言えば、直後1分足の反応方向は、ー5?失業率の差異[%]+2?新規雇用者数の差異[万人]+1?労働参加率の差異[%]、という判別式符号と80%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。この式にはまだ、常勤雇用者数が係数として反映されていません。その検討が必要かも知れません。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。但し、本指標での取引には注意が必要です。
かなり大きく反応する指標で、直後1分足値幅方向は指標結果に素直な傾向があります。がしかし、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きくなることが多々あります(無作為サンプル5回で頻度40%)。指標発表時刻を跨いだポジションを持っているときに、こうした動きをされると、例え分析が当たっていても逆方向に大きく動いたときに損切せざるを得ません。だから、通常のやり方では年間を通して思ったほどに稼げません。
これほど騙しが多い指標では、発表直後でなく、10秒待ってじっくりと追撃ポジションを取らないといけません。10秒待ってポジションが取れるような機会を待つしかないので、10秒経つともうポジションが取れないほど跳ねていることもあります。発表直後の跳ねで追撃することは諦め、その後の戻りを狙って追撃ポジションを取るべきでしょう。よって、反応が大きい指標の割に稼ぎにくいのです。
でも間違えないように。稼ぎにくくても損するよりマシです。
そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。直後1分足跳幅よりも直後11分足跳足が超えて反応を伸ばしたことは、両者が方向一致したときですら70%に達していません。
比較的早い時期に反応が伸びから縮みに移行しやすい指標です。
と、偉そうなことを記しても、本指標での取引は、2017年に3回行い1勝2敗(勝率33%)です。シナリオ単位では6勝2敗(勝率75%)なので、年間の利益は25pips確保できたものの、ちょっと問題があります。
2018年に問題点を詳しく分析し、もっと負けにくさを研鑽したいと思います。
そのRBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)は、ともに「当面の利上げなし」と説明しています。そのため、以前に比べて最近の反応は小さく持続時間も短くなっています。以前は、これら発表時の反応は大きく一方向に伸びがちで追撃が容易だっただけに残念です。
そんな訳で、直近はAUDJPYとNZDJPYの指標分析と取引をあまり行っていません。
【4-5-1.(1) 金融政策】
12月5日に発表されたRBA金融政策の結論は「市場予想通り現状維持」でした。本結論に至るRBAの豪州経済への認識は、政策発表時の声明に要約されています。
以下、同声明を補足しながら要約しておきます。
まず、豪州に取り巻く経済環境について、です。
多くの先進国・地域で成長が加速すると見込まれるものの、不安を2点指摘しています。
ひとつは、中国が融資をやや絞る政策を採っているため、直近の輸出規模がやや小さくなる可能性がある点です。もうひとつは、主要国の金融政策が緩和水準を縮小しつつあるものの、賃金が伸び悩んでインフレ率が上昇しないため、成長が加速する兆しがない、という点です。
経済情勢については、7-9月期GDP前年比が伸びたことを示唆しています。実際、本発表の翌日に発表されたGDP前年比は+2.8%と久しぶりの大きな伸びとなりました。
中銀予想の中心は、今後数年に亘って成長率が平均で3%前後になるというものです。景況感は強く、設備稼働率は上昇し、鉱業以外の事業投資見通しは一段と改善し、先行きを示す経済指標はこれまでよりもさらに良好となっています。そして、公共投資増加も経済を下支えしています。
不安要素は家計消費の見通しで、家計所得の伸びが緩やかにも関わらず家計債務の水準が高いため、僅かにそれらの関係が改善しても急成長には繋がりそうにない点です。
個別事象がそうした見方を裏付けています。
AUDは、過去2年間のレンジ内に留まっています。がしかし、通貨が上昇すれば、景気とインフレ率が現在想定されているペースより鈍くなることが予想されます。ただ、AUDが直近レンジ内に収まっている以上、現在の経済状況は為替レートが原因ではないということになります。
現在、インフレ率は低水準に留まり、CPIが2%を下回る水準で推移しています。インフレ率は、経済の加速に従って徐々に上昇すると、引き続き予想しています。このことは、雇用状況の賃金の伸びが依然弱く、この傾向が暫く続く可能性が高い、と見込まれているためです。けれども、いずれ賃金は幾分押し上げられると見込まれます。その論拠は、労働参加率の上昇を伴いつつ失業率が低下し、全ての州で改善している点です。よって、今後も雇用状況が堅調に改善することを示唆しており、それが経済の加速に従ってCPIも上昇すると見込んでいる訳です。
問題は、住宅債務が以前から家計所得の伸びを上回るペースで拡大していることです。家計債務の拡大が続く中期的リスクに対応するため、APRA(豪健全性規制庁)は、住宅購入時の信用審査を厳格化する規制を設けました。その結果、家計債務の所得比が改善しつつあり、住宅価格はここ半年ほぼ変化していません。シドニーではむしろ低下しました。東部主要都市では、今後数年で集合住宅の追加供給が計画されており、家賃の伸びは大半の都市で引き続き低水準となっています。
こうした経済情勢の改善の兆しは、(以前に比べて)低金利を維持する政策によってもたらされています。よって、RBAは引き続き現在の政策金利を維持することを決めました。
(分析事例) RBA金融政策 (2017年12月5日発表結果検証済)
(分析事例) RBA金融政策理事会議事録 (2017年6月20日公表結果検証済)
当面、議事録公表時の取引は行いません。議事録への関心が高いのは、僅かな文言の違いが金融政策変更の兆しでないかに関心が高い時期だけです。現在のように近々の政策変更が見込まれないときは、議事録公表時の反応はあまり大きくありません。
RBA金融政策発表時は、直後11分足は陽線率が72%です。がしかし、直後1分足の陽線率は62%とそれより小さくなっています。陽線率・陰線率の偏りが、直後11分足の方が大きいというのは珍しい特徴です。
また、2017年後半になって、明らかに発表直後の反応が小さくなっています。よって、当面は分析記事に記している反応の過去平均値は、やや高めになっていると見込んでおく必要があります。
指標発表前の取引には注意が必要です。
直前10-1分足はあまり動かず、直前1分足の方が大きく動きがちです。特に、直前1分足は、以前に数10pips動いたことがあり、他の指標のように特に陰線率が高い訳でもないので、この期間に取引を行うことは余計なリスクを負うことに他なりません。読みの通りなら反応が小さく取引の旨味が少なく、現地報道等に不案内で何か発表で変化が起きそうだとしても、それを知らずに取引してしまうことになりかねずリスキーです。
指標発表直後は、幸いというか意外なことに、「市場予想通り現状維持」だった場合、逆ヒゲを形成することが少ないので、あまり心配いりません。10pips以上の逆ヒゲは過去1回(頻度4%)しかありません。
直後1分足と直後11分足は方向一致率が81%あり、方向一致時に跳幅同士・値幅同士を比較して反応を伸ばしたことが各77%・73%となっています。発表直後には反応が伸びると信じるしかありません。この数字なら、初期反応の方向を確認したら追撃を早期開始すべきでしょう。
なお、全ての場合(直後1分足と直後11分足が反転した場合も含めて)において、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びたことは59%です。
2017年は5回の取引を行い、指標単位で5勝(勝率100%)、シナリオ単位で6勝2敗(勝率75%)でした。1回の取引時間は平均6分41秒で、合計38pipsの利確(1回当たり8pips)に繋がっています。
これは、最近でこそ反応が小さい発表になったものの、過去平均の直後1分足跳幅が29pipsもあるため、発表時刻を跨いだポジションが取れないためです。それでも以前は追撃だけで稼げたものの、最近は反応が小さい上に反転率が高いため、単純な追撃戦で稼ぐことが難しくなりました。この傾向は2018年も暫く続くと予想されます。
まぁ、反応は取引が終わってみないと誰にもわからないのだから、利確の多寡よりも勝率にこだわって我慢強くやっておきましょう。勝率さえ高く維持できていれば、そのうち大きく反応するときに大きく稼げる機会もあるでしょう。
次に、RBNZの金融政策について、です。
NZは、9月総選挙によって政権交代が起きて間もなく、RBNZ総裁人事もなかなか決まりませんでした。12月11日、やっとRBA総裁にエイドリアン・オア氏が指名されました。就任は2018年3月27日と発表されています。それまでは、現在のスペンサー総裁代行が施策責任者ということになります。
これまで、RBAの金融政策の目標は物価安定に限られていました。同国財務相に依れば、2018年3月までに雇用最大化を加えるとのことです。今回の人事は、この法律改正に関わる作業を進めるため、RBA副総裁の経験があり事務と調整の実務に長けた人選との評をどこかで見かけました。
11月9日に発表されたRBNZ金融政策は「市場予想通り現状維持」でした。
声明及び会見では「かなりの期間緩和的であり続けるだろう」という見通しが示され、これは直近のRBNZの姿勢と一致しています。がしかし、インフレが目標レンジの中心付近に留まる見通しと、長期的なインフレ期待は2%にしっかり定着しているとの見方を示しました。経済見通しは総じて非常にポジティブとの見解も示されています。
その後の関連解説記事を見ると、利上げ時期の予想が前倒しされているそうです。これは、労働党新政権の財政政策が今後3年間で毎年0.5%ずつ成長率を押し上げる可能性があり、米国とNZの政策金利は2018年中に逆転してNZD安が続くと見込まれるため、です。
なお、RBNZはNZD高を嫌います。
8月10日、RBNZ金融政策発表後の会見で、RBNZ総裁は「NZDの下落を望む」と発言したようです。これもいつも通りの発言です。ただ、当日のロイターの解説に依れば「RBNZはは歴史的に外為市場への介入には極めて消極的な姿勢」にも関わらず、「介入能力がある」ことを強調したそうです。そのため、RBNZ総裁会見が行われた10:00頃から、NZDJPYは大きく下げました。
8月10日のNZDJPYの水準は80円、NZDUSDの水準は0.73ドル、AUDNZDの水準は1.08NZDでした。
(分析事例) RBNZ政策金利 (2017年9月28日発表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では「市場予想通り現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちでした。無理をしなくても、反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、以前はpipsが稼ぎやすかったのです。
2017年は、特に後半にこうした傾向と異なる反応をすることが見受けられました。
それでも、直後1分足と直後11分足の方向一致率は90%に達し、そのうち直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことも90%に達しています。発表から1分を過ぎたら利確の機会を狙い、直後1分足値幅を下回ったら、順張り再追撃を行えば良いのです。直後1分足と直後11分足が反転したことなど、過去10%も起きていません。
現地夏時間は5時発表(日本では冬)なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年は2回(2月・5月)しか取引が出来ず、その2回は幸い利確でした。シナリオは追撃のみ2勝0敗です。平均取引時間は1分55秒で、それで何と110pipsを稼ぎました。
2018年は、こうした容易に追撃で稼げる状況に再び戻ることを期待しています。
【4-5-1.(2) 財政政策】
以下は、豪州についてのみ取り上げます。NZは金融政策発表時しか取引しないため、個別指標は注目していません。そもそもNZDJPYはスプレッドが大きいので、短期取引するには大きく反応することがわかっている指標でないと取引が難しいのです。
豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しています。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
【4-5-1.(3) 景気指標】
景気指標では取引を行っていません。
両国の代表的な経済誌もわからないし、内政・外交の主要議題も掴めません。むしろ、景気指標を取引対象としてでなく、総合的な雰囲気を掴む手段として利用する方が有用です。但し、豪州経済の場合、それは貿易収支を見ても代用できます。
11月14日に発表された10月分指数は+21と、大きく上昇しました。直近ピークの+16(2016年1月分)を上回り、この数字は少なくとも過去5年間で最大です。
そして、12月12日に発表された11月分指数は+12と急減しました。この数字も5月分以来6か月ぶりの低水準です。実態指標の10月分小売売上高が久しぶりにプラス転換したものの、来月分はあまり期待できないかも知れません。一方、収支指標の10月分貿易収支は黒字幅が縮小しています。貿易黒字の縮小(もしくは今後の赤字再転換)が、内需拡大による消費財輸入増によるものか否かは、NAB企業景況感・小売売上高を見比べながら考えないと、ちょっとわからなくなってきました。
【4-5-1.(4) 物価指標】
輸入物価指数やPPI(生産者物価指数)はほぼ反応せず、取引には不向きです。もともとAUDJPYはボラティリティが大きいので、反応が小さい指標は分析しても傾向が読み取れません。
四半期毎に発表される豪州物価指標はCPIに注目しておけば十分です。
7月26日に発表された4-6月期CPI前年比は+1.9%でした。1-3月期の+2.1%を下回ったものの、まだ2016年1-3月期を起点とする上昇基調は維持されています。
10月25日に発表された7-9月期CPI発表は、前期比が+0.6%、前年比が+1.8%でした。実態指標における7・8・9月集計分の小売売上高前月比が良くなかったことが現れています(CPIと個人消費ないしは小売売上高とは、各国ともに実態差異の方向一致率が高い傾向があります)。
まだ、上昇基調が下降に転じたとは言えませんが、上下どちらに向かうかがわからなくなりました。
次回発表は1月31日となります。
(分析事例) 四半期消費者物価指数 (2017年7月26日発表結果検証済)
四半期CPIの取引には注意点があります。
指標結果に対する反応方向があまり素直とは言えません(事後差異と直後1分足の方向一致率が63%)。後から見てみれば騙しに相当する逆跳幅(逆ヒゲ)も大きく良く発生しています。但し、この騙しは指標発表直後3-10秒以内に収まります(反転します)。
でも安心です。
反応程度はかなり大きくなりがちで、指標結果の良し悪しへの反応持続時間が長いのです。直後1分足終値より直後11分足終値が同方向に伸びていた確率が高いのです(71%)。つまり、指標発表直後の跳びの方向はアテにならないものの、暫く経てば反応方向が定まります。だから無理に欲張って発表時刻を跨いだポジションなんて持たずに、追撃で安全にpipsを稼ぐ方針に徹する方が良いでしょう。
2017年は本指標で3回の取引を行えました。結果、1回の平均取引時間は2分31秒で、1回当たり平均10pips強を稼いでいます。指標単位で3勝(勝率100%)、シナリオ単位で5勝3敗(勝率63%)でした。
なお、シナリオ単位で負けた3回のうち2回は、追撃開始が早すぎて騙されたのです。こうして、過去のデータを調べ直して発表直後の3〜10秒は危ないという経験則を記せるようになった訳です。
【4-5-1.(5) 雇用指標】
先に、失業率と労働参加率の関係を押さえておきましょう。
現在のように失業率が低下してくると、賃金も上昇しがちです。その結果、これまで就業を諦めていた人や躊躇していた人も、仕事に就こうとし始めます。すると、労働参加率が上昇して一時的に失業率の低下が停滞します。
現在の豪州雇用市場はこうした状況にあると捉えられます。
一方、最近のRBA金融政策発表時の声明では、常勤雇用者数の改善に関心が高いことが示されています。つまり、RBAが利上げを先延ばししているのは、雇用の量から質の確保に政策目標が変化したのです。こうした声明内容の変化は、2017年に入って目立つようになったように見受けられます。
11月16日に発表された10月分雇用統計では、新規雇用者数が+0.37万人、失業率は5.4%でした。注目すべき失業率は直近ボトム(2017年5月・10月の5.5%)を下回り、2015年1月の6.4%から低下傾向が続いています。
12月14日に発表された11月分は、新規雇用者数が+6.16万人、失業率は5.4%でした。
常勤雇用者数は前月の+3.1万人から+4.19万人に増加しています。そして、失業率は前月と同じですが、行動者率が前月の65.2%から65.5%に上昇しているので、実質的には失業率も改善と言ってよいでしょう。
12月5日のRBA声明で触れられていたように、雇用内容は改善の兆しが窺えます。
(分析事例) 豪州雇用統計 (2017年8月17日発表結果検証済)
2015年末頃を境に、本指標は反応程度が小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。
過去の傾向から言えば、直後1分足の反応方向は、ー5?失業率の差異[%]+2?新規雇用者数の差異[万人]+1?労働参加率の差異[%]、という判別式符号と80%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。この式にはまだ、常勤雇用者数が係数として反映されていません。その検討が必要かも知れません。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。但し、本指標での取引には注意が必要です。
かなり大きく反応する指標で、直後1分足値幅方向は指標結果に素直な傾向があります。がしかし、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きくなることが多々あります(無作為サンプル5回で頻度40%)。指標発表時刻を跨いだポジションを持っているときに、こうした動きをされると、例え分析が当たっていても逆方向に大きく動いたときに損切せざるを得ません。だから、通常のやり方では年間を通して思ったほどに稼げません。
これほど騙しが多い指標では、発表直後でなく、10秒待ってじっくりと追撃ポジションを取らないといけません。10秒待ってポジションが取れるような機会を待つしかないので、10秒経つともうポジションが取れないほど跳ねていることもあります。発表直後の跳ねで追撃することは諦め、その後の戻りを狙って追撃ポジションを取るべきでしょう。よって、反応が大きい指標の割に稼ぎにくいのです。
でも間違えないように。稼ぎにくくても損するよりマシです。
そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。直後1分足跳幅よりも直後11分足跳足が超えて反応を伸ばしたことは、両者が方向一致したときですら70%に達していません。
比較的早い時期に反応が伸びから縮みに移行しやすい指標です。
と、偉そうなことを記しても、本指標での取引は、2017年に3回行い1勝2敗(勝率33%)です。シナリオ単位では6勝2敗(勝率75%)なので、年間の利益は25pips確保できたものの、ちょっと問題があります。
2018年に問題点を詳しく分析し、もっと負けにくさを研鑽したいと思います。
以上
4-5-2. 豪州経済実態指標(2017年版)
豪州経済の特徴は、意外なことにGDPの約70%をサービス業が担っています。農業及び工業セクターはGDPの10%程度です。一方、GDPの計算には重複する部分も多いので専門的な知識が必要になるものの、別の視点から論じれば、GDP1.7兆AUDに対して豪州の貿易総額は500億AUDにも達しています(2016年)。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
貿易規模の拡大/縮小は、直接的には工業セクター規模の拡大/縮小を意味します。がしかし、雇用や消費に高いギア比で間接的に影響します。そのギア比が高いことが豪州経済の特徴と言えるでしょう。
肯定的な豪州経済の解説記事では、先進国で最も人口増が見込まれる国として中長期の展望を楽観的に描くものが多いものの、現状の輸出品目を見る限りそれほど先行きが明るいようにも思えません。
少ない人口で広大な国土を持つ国にも関わらず、既得権益層の所得水準が高いため、移民による多少の人口増があっても、フロンティアとしての発展が阻害されていると言う方が、歴史的には良く見かける話だという気がします。
グラフで過去の推移を示します。
2016年4-6月に+3.3%に達して以降、やや低調です。
当初、この原因は中国経済の失速が挙げられていました。がしかし、2016年11月分貿易収支が2年8か月ぶりに黒字転換し、2017年年初からの貿易黒字はほぼ150億AUDに達しました。それにも関わらず、GDP前年比が伸び悩んでいる原因として、2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎた、と解釈すべきです。
2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎると、翌年2016年7-9月期〜2017年4-6月期は、前年比計算で良い数字が出にくくなります。逆に言えば、そのせいで2017年7-9月期分からは前年比が数値改善となりやすくなっていました。
その結果、12月6日に発表された7-9月分GDP前年比は+2.8%と、大きく伸びました。直近ピークだった2016年4-6月期の+3.3%まであと少しです。
ただ、RBA見込みでは、成長率が3%に達するのが2019年と見込んでいます。貿易収支も黒字幅を減らしつつあり、小売(消費)の実力が意外に低い懸念もあって、FRBとRBAの政策金利差も2018年にはなくなりそうです。
AUD高にはなりにくい状況が進行しつつあるように思えます。
(分析事例) 豪州四半期GDP (2017年12月6日発表結果検証済)
反応は安定してかなり大きく、発表後に初期反応の値幅を削ることはあっても、反転する確率は低いため、小さな負けを覚悟して順張り追撃を繰り返していれば、年間を通して4回の取引でプラスにできるでしょう。
こういうやり方に徹して収益を上げるためには、同じやり方を繰り返す・高値(安値)掴みをするぐらいなら取引しない、という鉄壁の意思が必要です。
2017年は2回の取引を行い、指標単位で2勝(勝率100%)、シナリオ単位で4勝1敗(勝率80%)でした。取引時間は1指標平均で2分10秒です。追撃に徹するシナリオのため、利確pipsは15pipsで、1回当たり7pipsしか取れていません。発表直後の跳ねが大きいので、これはこれで仕方ないでしょう。
消費(小売)指標こそ20pips弱の反応が期待できるものの、それ以外の住宅指標や生産指標にはあまり反応しません。中長期的にはAUDの上下動が大きいものの、個々の実態指標への反応が小さいことは意外です。きっと、AUDは長期投資向きなのでしょう。
小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出されています。この数字には、ネット通販の売上高を含めていません。いずれ、それも含めて発表されるようになるのでしょう。豪州経済指標には、消費活動の多寡を直接示す指標が、小売売上高しかありません。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まりがちです。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちになるのにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかありません。その一方、非資源関連企業の収益は、小売を中心に長期的に拡大傾向と見なされています。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も拡大していくと見込まれています。
小売売上高前月比は、あまり大きく反応せず、しかも最初に跳ねてもその後の反応が伸び悩む傾向があります。こういう指標は追撃が難しいので、あまり大きな利確が期待できません。取引が難しい指標と言っても良いでしょう。
本指標の市場予想は「やる気あるのか」というぐらい+0.4%付近を保っています。市場予想がほぼ一定なのに、2017年には3月末のサイクロンによる浸水被害や復興需要もあって、市場予想から大きくズレることが多くなりました。その結果、最近の反応は以前に比べて大きくなっています。
驚くべきことは、それでも市場予想が+0.4%付近でほぼ一定なままです。エコノミストだって、きっとやる気が出ない指標だってあるのでしょう。
グラフからは、市場予想を上回ったことは下回ったことよりも明らかに少ないことが見てとれます。但し、前月比がマイナスとなったことは5回しかありません。つまり、発表結果は市場予想よりも下ブレしやすいものの、マイナスになることは稀なのです。予想と結果の乖離が小さくなりがちな売りで稼ぐなら、利確は小さく狙うべきでしょう。
12月5日に発表された10月分小売売上高前月比は+0.5%でした。
2017年に入って以前よりも大きく上下動しています。4月分以降のサイクロン被害の復興需要と見られる動きを除けば、小売売上高が減少している可能性があります。
(分析事例) 小売売上高 (2017年12月5日発表結果検証済)
直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねることがあります。けれども、こうした動きは、指標発表後の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目に遭わないように気を付けましょう。
指標発表直後の反応程度は平均的(直後1分足跳幅の平均18pips)で、反応方向は指標結果の良し悪しに素直(事後差異と直後1分足の方向一致率は86%)です。とは言え、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは50%です。初期に反応してその後は伸び悩む傾向があります。
追撃をするなら、直後1分足と直後11分足は平均的に30%強のヒゲを形成することを目安として覚えておきましょう。この性質を利用して短期取引で僅かなpipsを狙うのが最も良さそうです。
2017年は本指標で6回取引し、結果は指標単位で5勝1敗(勝率83%)、シナリオ単位で14勝3敗(勝率82%)でした。取引時間は1回の発表当たり平均して3分39秒に抑えられており、収益は年間で67pipsでした。
成績は悪くありません。
四半期小売売上高は、毎月発表される小売売上高と反応程度は同程度です(直後1分足跳幅の平均が20pips弱)。但し、なぜか3回に2回程度の割合で、市場予想は前期結果よりも高めで、発表結果は市場予想を下回る、という特徴があります。
2016年7-9月期から2017年7-9月期までの5回の前期比推移は、△0.1%、+0.9%、+0.1%、+1.5%、+0.1%、です。
次回2017年10-12月期分は2018年2月に発表されます。+1.5%を超えれば、凸凹の激しい動きも上昇基調と捉えることができます。
(分析事例) 四半期小売売上高 (2017年5月9日発表結果検証済)
ここ最近のRBA金融政策発表時の声明では、住宅価格の動向について必ず触れられています。そのため、住宅建設許可件数、住宅ローン件数、四半期住宅価格指数、の動きには注目しています。但し、取引は四半期住宅価格指数でのみで行っています。
四半期住宅価格指数は、前期比・前年比が発表されます。
反応程度は小さく(直後1分足跳幅の過去平均7pips)、指標結果の良し悪しへの反応方向もあまり素直ではありません(事後差異と直後1分足の方向一致率は、前年比に対し47%、前月比に対し43%)。
それではなぜ四半期住宅価格指数を取り上げるのかというと、直前10-1分足の陽線率が73%、直前1分足の陰線率が69%、直後1分足の陰線率が73%、直後11分足の陰線率が75%と、ちょっと異常な偏りがあるためです。指標の予想や結果がどうあれ、これでは逆方向にポジションを取れません。
何より、直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%あり、それら方向が一致するときには直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が超えたことが83%に達しています。つまり、数pipsで良ければ、初期反応を確認してから追撃しても勝ちやすいのです。
(分析事例) 四半期住宅価格指数 (2017年6月20日発表結果検証済)
グラフ推移は下図の通りです。グラフは、12月12日発表の2017年7-9月期までしかプロットしていません。10-12月分の発表は2018年3月となります。
まず、前年比は周期的な脈動によって、暫く下降することを予感させます。そして、前年比が下降するということは、前期比がそろそろマイナスに転じる可能性をも予感させます。
けれども、過去の傾向を見る限りでは、これが本指標に適用できないことがわかります。過去には、前年比が下降に転じたからと言って、必ずしも前月比が低下していません。
ですが、そんなことはどうでも良いのです。なぜなら、前述の通り本指標への反応に異常な偏りがあるため、指標結果を予め分析しようがしまいが、それに反して取引するのが勝率を下げてしまうからです。アホらしくて指標結果の良し悪しを分析するよりも、陰線率や陽線率が大きく変化しないかだけ見る気しかしません。
あまり反応しないので注目していません。
主な指標には四半期民間設備投資が挙げられますが、再び鉱山ブームが起きて資源開発に力が入る時代にでもならない限り、反応は限定的(小さい)ままでしょう。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
貿易規模の拡大/縮小は、直接的には工業セクター規模の拡大/縮小を意味します。がしかし、雇用や消費に高いギア比で間接的に影響します。そのギア比が高いことが豪州経済の特徴と言えるでしょう。
肯定的な豪州経済の解説記事では、先進国で最も人口増が見込まれる国として中長期の展望を楽観的に描くものが多いものの、現状の輸出品目を見る限りそれほど先行きが明るいようにも思えません。
少ない人口で広大な国土を持つ国にも関わらず、既得権益層の所得水準が高いため、移民による多少の人口増があっても、フロンティアとしての発展が阻害されていると言う方が、歴史的には良く見かける話だという気がします。
【4-5-2.(1) 経済成長】
グラフで過去の推移を示します。
2016年4-6月に+3.3%に達して以降、やや低調です。
当初、この原因は中国経済の失速が挙げられていました。がしかし、2016年11月分貿易収支が2年8か月ぶりに黒字転換し、2017年年初からの貿易黒字はほぼ150億AUDに達しました。それにも関わらず、GDP前年比が伸び悩んでいる原因として、2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎた、と解釈すべきです。
2015年7-9月期〜2016年4-6月期までが高すぎると、翌年2016年7-9月期〜2017年4-6月期は、前年比計算で良い数字が出にくくなります。逆に言えば、そのせいで2017年7-9月期分からは前年比が数値改善となりやすくなっていました。
その結果、12月6日に発表された7-9月分GDP前年比は+2.8%と、大きく伸びました。直近ピークだった2016年4-6月期の+3.3%まであと少しです。
ただ、RBA見込みでは、成長率が3%に達するのが2019年と見込んでいます。貿易収支も黒字幅を減らしつつあり、小売(消費)の実力が意外に低い懸念もあって、FRBとRBAの政策金利差も2018年にはなくなりそうです。
AUD高にはなりにくい状況が進行しつつあるように思えます。
(分析事例) 豪州四半期GDP (2017年12月6日発表結果検証済)
反応は安定してかなり大きく、発表後に初期反応の値幅を削ることはあっても、反転する確率は低いため、小さな負けを覚悟して順張り追撃を繰り返していれば、年間を通して4回の取引でプラスにできるでしょう。
こういうやり方に徹して収益を上げるためには、同じやり方を繰り返す・高値(安値)掴みをするぐらいなら取引しない、という鉄壁の意思が必要です。
2017年は2回の取引を行い、指標単位で2勝(勝率100%)、シナリオ単位で4勝1敗(勝率80%)でした。取引時間は1指標平均で2分10秒です。追撃に徹するシナリオのため、利確pipsは15pipsで、1回当たり7pipsしか取れていません。発表直後の跳ねが大きいので、これはこれで仕方ないでしょう。
【4-5-2.(2) 実態指標】
消費(小売)指標こそ20pips弱の反応が期待できるものの、それ以外の住宅指標や生産指標にはあまり反応しません。中長期的にはAUDの上下動が大きいものの、個々の実態指標への反応が小さいことは意外です。きっと、AUDは長期投資向きなのでしょう。
(2-1)小売
小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出されています。この数字には、ネット通販の売上高を含めていません。いずれ、それも含めて発表されるようになるのでしょう。豪州経済指標には、消費活動の多寡を直接示す指標が、小売売上高しかありません。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まりがちです。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちになるのにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかありません。その一方、非資源関連企業の収益は、小売を中心に長期的に拡大傾向と見なされています。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も拡大していくと見込まれています。
ーーー$€¥ーーー
小売売上高前月比は、あまり大きく反応せず、しかも最初に跳ねてもその後の反応が伸び悩む傾向があります。こういう指標は追撃が難しいので、あまり大きな利確が期待できません。取引が難しい指標と言っても良いでしょう。
本指標の市場予想は「やる気あるのか」というぐらい+0.4%付近を保っています。市場予想がほぼ一定なのに、2017年には3月末のサイクロンによる浸水被害や復興需要もあって、市場予想から大きくズレることが多くなりました。その結果、最近の反応は以前に比べて大きくなっています。
驚くべきことは、それでも市場予想が+0.4%付近でほぼ一定なままです。エコノミストだって、きっとやる気が出ない指標だってあるのでしょう。
グラフからは、市場予想を上回ったことは下回ったことよりも明らかに少ないことが見てとれます。但し、前月比がマイナスとなったことは5回しかありません。つまり、発表結果は市場予想よりも下ブレしやすいものの、マイナスになることは稀なのです。予想と結果の乖離が小さくなりがちな売りで稼ぐなら、利確は小さく狙うべきでしょう。
12月5日に発表された10月分小売売上高前月比は+0.5%でした。
2017年に入って以前よりも大きく上下動しています。4月分以降のサイクロン被害の復興需要と見られる動きを除けば、小売売上高が減少している可能性があります。
(分析事例) 小売売上高 (2017年12月5日発表結果検証済)
直前10-1分足や直前1分足が大きく跳ねることがあります。けれども、こうした動きは、指標発表後の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目に遭わないように気を付けましょう。
指標発表直後の反応程度は平均的(直後1分足跳幅の平均18pips)で、反応方向は指標結果の良し悪しに素直(事後差異と直後1分足の方向一致率は86%)です。とは言え、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは50%です。初期に反応してその後は伸び悩む傾向があります。
追撃をするなら、直後1分足と直後11分足は平均的に30%強のヒゲを形成することを目安として覚えておきましょう。この性質を利用して短期取引で僅かなpipsを狙うのが最も良さそうです。
2017年は本指標で6回取引し、結果は指標単位で5勝1敗(勝率83%)、シナリオ単位で14勝3敗(勝率82%)でした。取引時間は1回の発表当たり平均して3分39秒に抑えられており、収益は年間で67pipsでした。
成績は悪くありません。
ーーー$€¥ーーー
四半期小売売上高は、毎月発表される小売売上高と反応程度は同程度です(直後1分足跳幅の平均が20pips弱)。但し、なぜか3回に2回程度の割合で、市場予想は前期結果よりも高めで、発表結果は市場予想を下回る、という特徴があります。
2016年7-9月期から2017年7-9月期までの5回の前期比推移は、△0.1%、+0.9%、+0.1%、+1.5%、+0.1%、です。
次回2017年10-12月期分は2018年2月に発表されます。+1.5%を超えれば、凸凹の激しい動きも上昇基調と捉えることができます。
(分析事例) 四半期小売売上高 (2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
ここ最近のRBA金融政策発表時の声明では、住宅価格の動向について必ず触れられています。そのため、住宅建設許可件数、住宅ローン件数、四半期住宅価格指数、の動きには注目しています。但し、取引は四半期住宅価格指数でのみで行っています。
四半期住宅価格指数は、前期比・前年比が発表されます。
反応程度は小さく(直後1分足跳幅の過去平均7pips)、指標結果の良し悪しへの反応方向もあまり素直ではありません(事後差異と直後1分足の方向一致率は、前年比に対し47%、前月比に対し43%)。
それではなぜ四半期住宅価格指数を取り上げるのかというと、直前10-1分足の陽線率が73%、直前1分足の陰線率が69%、直後1分足の陰線率が73%、直後11分足の陰線率が75%と、ちょっと異常な偏りがあるためです。指標の予想や結果がどうあれ、これでは逆方向にポジションを取れません。
何より、直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%あり、それら方向が一致するときには直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が超えたことが83%に達しています。つまり、数pipsで良ければ、初期反応を確認してから追撃しても勝ちやすいのです。
(分析事例) 四半期住宅価格指数 (2017年6月20日発表結果検証済)
グラフ推移は下図の通りです。グラフは、12月12日発表の2017年7-9月期までしかプロットしていません。10-12月分の発表は2018年3月となります。
まず、前年比は周期的な脈動によって、暫く下降することを予感させます。そして、前年比が下降するということは、前期比がそろそろマイナスに転じる可能性をも予感させます。
けれども、過去の傾向を見る限りでは、これが本指標に適用できないことがわかります。過去には、前年比が下降に転じたからと言って、必ずしも前月比が低下していません。
ですが、そんなことはどうでも良いのです。なぜなら、前述の通り本指標への反応に異常な偏りがあるため、指標結果を予め分析しようがしまいが、それに反して取引するのが勝率を下げてしまうからです。アホらしくて指標結果の良し悪しを分析するよりも、陰線率や陽線率が大きく変化しないかだけ見る気しかしません。
(2-3)生産
あまり反応しないので注目していません。
主な指標には四半期民間設備投資が挙げられますが、再び鉱山ブームが起きて資源開発に力が入る時代にでもならない限り、反応は限定的(小さい)ままでしょう。
以上
4-5-3. 豪州収支関連指標(2017年版)
豪州貿易収支では取引を行っていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足です。
まず、主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が254B.AUD、輸出が257B.AUD(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
ともあれ、この図からは中国との貿易額が圧倒的に大きいことがわかります。
後掲するように全体の収支は、2016年に数年ぶりに貿易黒字化し、2017年もその状態が続いています。その原因は、中国経済がそれ以前に比べて好調になったため、という解説が多かったと記憶しています。
豪州の場合、貿易収支の改善/悪化が経済全般の上向き/下向きといった結論に結び付く解説記事が多くなります。そうした傾向は日米欧も同じですが、より豪州経済解説記事では顕著です。ざっくり、貿易総額500B.AUDはGDP1700B.AUDに対し1/3弱を占めているためです(数値は2016年基準)。
そういう意味で、豪州貿易収支は豪州経済全般の先行指標とも言える性格があります。貿易収支が改善/悪化すれば、雇用や消費に影響を与えると考えられています。よって、中国経済の好不調は対中輸出額に影響するので、中国経済指標でもAUDは大きく動く訳です。
次に、輸出品目についてです。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸をご覧ください。このグラフから「おや」っと思うことがあると思います。
鉄鉱石・石炭・天然ガスといった資源関連の輸出金額が大きいことならご存じだったでしょう。けれども、工業・化学製品の輸出額が食糧・食品(飲料・煙草を含む)よりも大きいことは意外ではないでしょうか。
2010年前後の中国の大発展のようなことが起きる地域がなければ、今後、主要輸出品目である資源関連の輸出金額が大きく伸びるとも思えません。中国で廃炉が進めば、むしろ、鉄鉱石・石炭は輸出減少の可能性さえあります。
牛肉はブランドが有名な割に、金額ベースで見る限り大したことありません。例え、牛肉輸出が2倍に伸びても、貿易収支全体金額への影響は大したことないのです。
と言っても、工業・化学製品を伸ばすには、ライバルが多すぎる上に、豪州は高賃金で地理的にも不利です。
こうして見ると、多くの豪州経済解説記事で豪州経済の中長期展望について、人口増に伴う成長と楽観視しているものの、疑問に思うことがあります。
尤も、このブログのように短期FX取引に特化している限り、上述の中長期展望は知識として持っていれば十分です。
指標の動きは次の通りです。
2013年の貿易収支は赤字と黒字を行き来していました。2014年になると4月分が赤字転換して、その後はずるずると毎月の赤字額が増えていきました。その額は、2015年になると毎月△20〜40億AUDの赤字が続く状態に達しました。改善の兆しは2016年からです。2016年は年初から上下動があったものの、11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、その後は現在(2017年9月分発表)に至るまで黒字が継続しています。
2017年年初からの貿易黒字は約150億AUDに達しました。
グラフは2015年以降のデータを纏めたものです。
まず、大掴みに見れば、2016年11月分が黒字転換してからは12か月連続で黒字が続いています。但し、どちらかと言えば黒字幅が徐々に小さくなっているように見受けられ、近々には赤字に再転換する可能性も窺わせています。
2017年に入ってからは、1-3月期+8.33億AUD、4-6月期+3.00億AUD、7-9月期+3.29億AUD(修正値を集計)、となっています。なお、昨年2016年7-9月期は△5.29億AUDの赤字でした。
10月分は修正値がまだ発表されていませんが、12月7日発表では+0.11億AUDでした。これは2016年11月分で黒字転換してからの黒字最低額となっています。1月に発表される修正値では赤字化する可能性さえあります。
豪州貿易指標では取引をしていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足だったからです。
けれども、豪州貿易収支は豪州経済の雇用や消費のトレンドを示唆している可能性があります。そして、それは中国経済指標の影響を受けている可能性が高い、と考えられます。
2018年は、中国指標のAUDへの影響や、本指標と他の豪州経済指標の定量的な関係について勉強したいと思っています。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足です。
(1) 中長期トレンド考察
まず、主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が254B.AUD、輸出が257B.AUD(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
ともあれ、この図からは中国との貿易額が圧倒的に大きいことがわかります。
後掲するように全体の収支は、2016年に数年ぶりに貿易黒字化し、2017年もその状態が続いています。その原因は、中国経済がそれ以前に比べて好調になったため、という解説が多かったと記憶しています。
豪州の場合、貿易収支の改善/悪化が経済全般の上向き/下向きといった結論に結び付く解説記事が多くなります。そうした傾向は日米欧も同じですが、より豪州経済解説記事では顕著です。ざっくり、貿易総額500B.AUDはGDP1700B.AUDに対し1/3弱を占めているためです(数値は2016年基準)。
そういう意味で、豪州貿易収支は豪州経済全般の先行指標とも言える性格があります。貿易収支が改善/悪化すれば、雇用や消費に影響を与えると考えられています。よって、中国経済の好不調は対中輸出額に影響するので、中国経済指標でもAUDは大きく動く訳です。
次に、輸出品目についてです。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸をご覧ください。このグラフから「おや」っと思うことがあると思います。
鉄鉱石・石炭・天然ガスといった資源関連の輸出金額が大きいことならご存じだったでしょう。けれども、工業・化学製品の輸出額が食糧・食品(飲料・煙草を含む)よりも大きいことは意外ではないでしょうか。
2010年前後の中国の大発展のようなことが起きる地域がなければ、今後、主要輸出品目である資源関連の輸出金額が大きく伸びるとも思えません。中国で廃炉が進めば、むしろ、鉄鉱石・石炭は輸出減少の可能性さえあります。
牛肉はブランドが有名な割に、金額ベースで見る限り大したことありません。例え、牛肉輸出が2倍に伸びても、貿易収支全体金額への影響は大したことないのです。
と言っても、工業・化学製品を伸ばすには、ライバルが多すぎる上に、豪州は高賃金で地理的にも不利です。
こうして見ると、多くの豪州経済解説記事で豪州経済の中長期展望について、人口増に伴う成長と楽観視しているものの、疑問に思うことがあります。
(2) 指標関係
尤も、このブログのように短期FX取引に特化している限り、上述の中長期展望は知識として持っていれば十分です。
指標の動きは次の通りです。
2013年の貿易収支は赤字と黒字を行き来していました。2014年になると4月分が赤字転換して、その後はずるずると毎月の赤字額が増えていきました。その額は、2015年になると毎月△20〜40億AUDの赤字が続く状態に達しました。改善の兆しは2016年からです。2016年は年初から上下動があったものの、11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、その後は現在(2017年9月分発表)に至るまで黒字が継続しています。
2017年年初からの貿易黒字は約150億AUDに達しました。
グラフは2015年以降のデータを纏めたものです。
まず、大掴みに見れば、2016年11月分が黒字転換してからは12か月連続で黒字が続いています。但し、どちらかと言えば黒字幅が徐々に小さくなっているように見受けられ、近々には赤字に再転換する可能性も窺わせています。
2017年に入ってからは、1-3月期+8.33億AUD、4-6月期+3.00億AUD、7-9月期+3.29億AUD(修正値を集計)、となっています。なお、昨年2016年7-9月期は△5.29億AUDの赤字でした。
10月分は修正値がまだ発表されていませんが、12月7日発表では+0.11億AUDでした。これは2016年11月分で黒字転換してからの黒字最低額となっています。1月に発表される修正値では赤字化する可能性さえあります。
豪州貿易指標では取引をしていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足だったからです。
けれども、豪州貿易収支は豪州経済の雇用や消費のトレンドを示唆している可能性があります。そして、それは中国経済指標の影響を受けている可能性が高い、と考えられます。
2018年は、中国指標のAUDへの影響や、本指標と他の豪州経済指標の定量的な関係について勉強したいと思っています。
以上
2017年12月13日
FOMCとMPCの件
明日未明(12月14日04:00)に利上げ折込済のFRBの金融政策が発表され、21:00には前月に利上げしたBOEの金融政策が発表されます。
ちょっと危なくて手が出せません。
FOMCの方は、利上げ折込済ということは事実売りの公算が高いものの、米景気が好調なことを踏まえると、声明と記者会見での今後展望次第で、どう動くかがわかりません。無理に取引するなら売りで臨みますが、いつも通り無理をする必要なんてありません。
MPCの方は、小手先の金融政策よりもEU離脱後が見通せるようになるまで、どうしようもありません。もともとGBPは投機的に動く通貨なので、プロが早く方向を定めてくれないと、安心して取引ができません。これも無理に取引するなら売りで臨みますが、無理をする必要なんてありません。
そのために、確率的に素直といえる発表前後の動きを以前から調べているものの、今回はちょっと確率的な自信が持てません。こんなときは、記者会見後の動きに追従するようにしましょう。
ちょっと危なくて手が出せません。
FOMCの方は、利上げ折込済ということは事実売りの公算が高いものの、米景気が好調なことを踏まえると、声明と記者会見での今後展望次第で、どう動くかがわかりません。無理に取引するなら売りで臨みますが、いつも通り無理をする必要なんてありません。
MPCの方は、小手先の金融政策よりもEU離脱後が見通せるようになるまで、どうしようもありません。もともとGBPは投機的に動く通貨なので、プロが早く方向を定めてくれないと、安心して取引ができません。これも無理に取引するなら売りで臨みますが、無理をする必要なんてありません。
そのために、確率的に素直といえる発表前後の動きを以前から調べているものの、今回はちょっと確率的な自信が持てません。こんなときは、記者会見後の動きに追従するようにしましょう。
以上