問題1
今後、建設業において、高齢化等により技能労働者が大量に離職し、労働力人口が総じて減少するために、建設現場の生産性の向上がなお一層求められている。
あなたが経験した 建築工事のうち、生産性向上をめざして、 品質を確保したうえで施工の合理化を行った工事を 1 つ選び、工事概要を具体的に記入したうえで、次の 1.から 2.の問いに答えなさい。 なお、 建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。
[ 工事概要 ]
イ.工 事 名
ロ.工 事 場 所
ハ.工事の内容
新築等の場合:
建物用途、構造、階数、延べ面積(又は施工数量)
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
改修等の場合:
建物用途、主な改修内容、施工数量又は建物規模
ニ.工 期 ( 年号又は西暦で年月まで記入 )
ホ.あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において、あなたが計画した 施工の合理化の事例を 2 つあげ、それぞれの事例について、次の?@から?Cを具体的に記述しなさい。
ただし、2つの事例の2から4の内容は、それぞれ異なる内容の記述とする。
?@工種又は部位等
?A施工の合理化が必要となった原因と実施した内容
?B実施する際に確保しようとした品質と留意事項
?C実施したことにより施工の合理化ができたと考えられる理由
2. 工事概要にあげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、品質を確保したうえで行う施工の合理化の方法であって、 建設資材廃棄物の発生抑制に効果があると考えられるものについて、次の?@から?Aを具体的に記述しなさい。
ただし、1.の?Aから?Cと同じ内容の記述は不可とする。
?@ 施工方法
?A そう考える理由
解答試案と分析
工事概要であげた工事で品質を確保したうえで施工の合理化を行った事例
【 事例1】
工種又は部位等:鉄筋工事
?A 原因と実施した内容:
確認検査を余裕をもって早期に行うことができ、品質基準にそった品質管理確保ができるため、鉄筋の継手を監理者の承認を得た上、柱・梁配筋に先組み工法を採用し、作業の合理化、工程の短縮、配筋精度の向上を図り、確認検査を行い品質を確保した。
?B 品質と留意事項:
機会式継手は、告示に適合したものを用いて的確に実施する。また、足元の良いヤードで組立て作業をするので、確実な施工とチェックが可能となる。
?C 合理化となる理由:
足元の良いヤードでの組立て作業なので、安全で作業効率が良い。また、現場の作業進捗にかかわらず、確実に行えるので、作業員数の標準化が図られる。
(解説)
施工の合理化とは、省力化、省人化、工期の短縮、安全化などを総称した呼称で使用した意味に使われる。したがって、工事の中で実施した、施工の省力化、機械化、工期の短縮、施工効率の向上、資機材の効率的利用、合理的な仮説計画による考慮を具体的に記述する。設問では、品質を確保したうえでの合理化であるから、単に、材料のグレード、建物機能・性能を下げることは含まれない。また、構法、工法、納まり、使用材料の変更を伴う場合は、設計者・発注者の承諾を得なければならない。
?@工種、部位については、?A以降の記述の前提になる部分で、内容について整合性が取れていることが必要である。
?A実施した内容は、何をどうしたか具体的に書かれていることが必要である。
?B品質と留意事項は、?Aで記述した合理化により、品質が同等か、同等以上になることを記述し、その内容に、客観性、妥当性があることが必要である。
?C合理化となる理由は、?Aで実施したことが省力化、工期の短期、安全化等になることを具体的に記述し、かつ、その理由に客観性、妥当性があることが必要である。
「実施する際に確保しようとした品質と留意事項」が新たに出題されたため、答案をまとめる能力が要求された出題であった。施工の合理化が必要となった原因としては、「当初から工期が厳しかった」「天候の影響で躯体工事が遅延した」「労働者の人員が不足していた」などを記述するとよい。
また、実施する際に確保しようとした品質と留意事項としては、「重要品質を確保するためにどう留意したか」を記述する必要があり、施工の合理化の問題であったが、品質の内容も加味された出題であった。
【 事例2】
?@工種又は部位等:
左官工事(住戸内床仕上)
?A原因と実施した内容:
内装工事の床仕上下地の施工について、熟練左官工の労務が不足していたため、フローリング下地はモルタル金ごて仕上げに変えて、セルフレベリング工法を採用した。
?B品質と留意事項:
セルフレベリング材による床下地の平滑性を確保するため、流し込み作業中及び硬化するまでの間、開口部をふざぎ、風による表面のしわが発生しないよう、通風のない作業環境に留意した。
?C合理化となる理由:
セルフレベリング工法はモルタル金ごて仕上げと違い、調合や作業環境等に留意することで比較的作業員の技量にも影響されにくく、作業についてもこて押え等の工程がないことから、熟練左官工の労務の省力化を図ることができるため。
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