デッキプレート、頭付きスタッドの注意事項?@
【技能資格】
頭付きスタッド、鉄筋スタッドの溶接技能者の資格と条件
スタッド溶接に従事できる溶接技能者は、(一社)スタッド協会のスタッド溶接技術検定試験に合格した有資格者である。
この資格は、スタッド協会で統一した試験を行い、技術証明書として発行される。
資格にはA級、B級およびF級(2012年から実施)があり、各資格の作業範囲は下表に示す内容で規定されている。
一方、鉄筋スタッド溶接の資格は、特にないので表を参考にする。
横向きの場合はスタッドの軸径は16mmが最大、
下向きの場合はスタッドの軸径は 22mm(F級を持っていれば25mm)が最大
となっている。
なお、表に示す値を超える軸径を要求される場合は、鉄骨工事担当者と十分な検討を行い、作業環境、機器、溶接条件等をより厳しく管理し、技量試験を行い溶接技能者の技量の確認を行った上で十分注意して施工を行う。
【コンクリート止め】
コンクリート止め鉄板支持用丸鋼を梁に溶接付けする場合のショートビード
写真に示すような丸鋼のショートビード溶接は母材への影響が無視できず、問題がないとはいえず、できるだけ避ける必要がある。
特に梁の端部は避けたい部分である。 最近では、Z形状およびL形状として先端部で溶接長が取れるタイプのものがあり、こうしたものの採用等でショートビードを回避する必要がある。
【 焼抜き栓溶接 】
焼抜き栓溶接の溶接棒でE4316又はE4916を使い分ける判断基準
E4316及びE4916の頭文字Eは被覆アーク溶接棒を示し、数字の前半2文字の「43」または「49」は 溶着金属のJIS規格における引張強さ(N/mm 2 )の下限値を、後半2文字の「16」は被覆材が低水素系であることと全姿勢溶接が可能であることを表している。
従って、溶接する鉄骨梁の母材強度により、軟鋼(400N/mm 2 級)の場合は「E4316」、高張力鋼 (490 N/mm 2 級)の場合は「E4916」を使い分けることになる。
各メーカー別に各種銘柄があるが、使用前には溶接棒の容器に記載されている「JIS Z 3211 E4316」または「JIS Z 3211 E4916」を確認する。
【 電気配管 】
合成スラブのデッキ上に、電気配管を敷設する場合の注意すべき事項
合成スラブにおいて床電路システムとしてフロアダクトシステムがよく使用されている。フロアダクトを使用した際に以下の4つの耐火要求を満足させる必要がある。
1) 耐火区画機能?
2) 火災時の構造耐力?
3) ダクトによる延焼・漏煙防止
4) 支持梁の耐火性能確保
合成スラブデッキ電気配管不具合事例
(50Φと配管が太く、鉄筋、デッキと接している)
1)、2)については、ダクトによるコンクリートの断面欠損を差し引いた有効コンクリート厚さが、火災時の構造耐力上、耐火区画性能上必要な厚さを確保する必要がある。
特に一方向性スラブの場合、コンクリート厚さが比較的薄くなるため耐火構造上問題になる恐れがあるため、十分なコンクリート厚さの確保が必要となる。
3)、4)についてはコンクリートスラブに埋設されることから、必然的に要件を満足している場合が多いようあるが、ダクト下側のコンクリート厚さが4cm以上確保されていなければならない。
仮にデッキ山部にフロアダクトを埋設した場合、コンクリート厚さの不足によりダクト下側のコンクリート厚さが耐火性能を満足しないことがある。その場合には耐火被覆を施す必要がある。
・電路底面からデッキ山部までのかぶり厚さを15mm以上(2時間耐火構造)確保し、吹付けロックウールを電路の下面のデッキ谷部に吹付け厚20mm、吹付け幅75mm + 電路幅 + 75mmで吹付ける。
フロアダクト下側のコンクリート厚さが40mm以下の場合
・デッキ谷部に埋設し、デッキ底面から1時間耐火構造で25mm、2時間耐火構造で40mm以上のかぶり厚さを確保する。
・また、φ30mm程度のPF菅であればデッキ谷部に 2d(d=直径)以下の間隔で2本埋設することができる。
デッキ谷部にフロアダクトと埋設する場合
(参考)
建築基準法施行令 第107条
耐火性能に関する技術的基準
法第2条 第七号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。
一 次の表に掲げる建築物の部分にあっては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
二 壁及び床にあっては、これらの通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあっては、30分間)加えられた場合に、当該火熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。
三 外壁及び屋根にあっては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあっては、30分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。
【 スタッド取付けピッチ 】
梁の高力ボルト継手部(スプライスプレート設置部)にスタッドを打設できない場合
不足分を増し打ちする場合が多いが、もともとのピッチが狭い場合には、増し打ちできない場合もあるのでスタッドの最小ピッチの規定(スタッド軸径の7.5倍以上)をクリアするように施工する。
スタッド打増ししてない例
スタッド打増ししてる例
※増打ちが必要か否かは工事監理者に確認する。
【 デッキ受け 】
柱周りの納まりで柱幅と梁幅の差が少ない場合のデッキ受けの要否
デッキプレート溝部(フラットな谷部)が柱周りにかかる場合はデッキ受けが必要となる。
端部の納まりはデッキプレートの割付けにより決まるので、FB等の受け材が不要な最小寸法はないと考える。
下図右側ように、デッキプレートの割付けが梁からスタートして梁に50mm載っている場合、端部の溝部が60mm、山部が180mmなので、柱-梁間の差(150mm)の部分に溝部がない ので受け材は不要。
反対に、下図左側のように梁際に調整板(薄くてデッキ床荷重を支持できない)を用いると、柱-梁間の差が50mmでもデッキの溝部がこの範囲に存在するので、端部のデッ キ受けが必要となる。
デッキプレートは溝部にて荷重が伝達するので、その部分には必ず受け材が必要となる。
【 メッシュ筋のかぶり 】
合成スラブでメッシュ筋が4枚重なる部分のかぶり確保
溶接金網の重ね継手は、一般的に直交筋の効果を活用した重ね継手としており、応力伝達を期待する継手では、「横筋間隔+50mm以上、かつ150mm以上」の重ね継手を採用している。
応力伝達継手の場合、重ね継手長さL1は横筋間隔+50mm以上かつ150mm以上とする。
規格寸法の溶接金網を端から順に並べると、溶接金網の重なり通り最大で4枚重ねとなってしまうので、下図のように継手の位置をずらして、最大3枚にする。
ただし、3枚重ねにした場合でも背の低いバーサポートを使用するなど跳ね上がり防止に工夫が必要。
位置をずらす工夫をすると
一方、異形鉄線を使用した溶接金網や普通の異形鉄筋を格子状に配置した鉄筋格子を使用した場合、直交筋の効果を期待しない延長筋型の重ね継手(いわゆる鉄筋の重ね継手のイメージ)を採用するケースもある。この継手を採用した場合は、重なりを緩和できるのでかぶり厚さの確保は容易になる。
この延長筋型の重ね継手は性能評価機関の評定を取得していたり、特許に関連する技術も含まれているので、詳しくは各メーカーに確認する。
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