(午前の部)令和4年6月 12 日(日)
※ 問題番号[ No.21 ] 〜 [ No.30 ]までの 10問題のうちから、 7問題を選択し、解答してください。
[ No.21 ]
乗入れ構台の計画に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱は、荷重に対する安全性を確認した上で兼用した。
2. 道路から乗入れ構台までの乗込みスロープは、勾配を 1/8 とした。
3. 乗入れ構台の支柱の位置は、使用する施工機械や車両の配置によって決めた。
4. 乗入れ構台の幅は、車両の通行を2車線とするため、7m とした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
乗入れ構台の支柱と山留めの切梁支柱を 兼用する場合は、荷重に対する 安全性を確認する。
2.◯
道路から乗入れ構台までの 乗込みスロープの勾配は、 一般に 1/10 〜 1/6とする。
3.×
乗入れ構台の支柱の位置は、 地下構造図と重ね合わせるなどして、基礎梁、柱、梁等の位置と重ならないように配置して決める。
4.◯
乗入れ構台の幅は、使用する施工機械、車両・アウトリガーの幅、配置及び動線等により決定する。通常、計画される幅員は、 4〜10mである。最小限1車線で 4m、2車線で 6m程度は必要である。
[ No.22 ]
土工事に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 根切り底面下に被圧帯水層があり、盤ぶくれの発生が予測されたため、ディープウェル工法で地下水位を低下させた。
2. 法付けオープンカットの法面保護をモルタル吹付けで行うため、水抜き孔を設けた。
3. 粘性土地盤を法付けオープンカット工法で掘削するため、円弧すべりに対する安定を検討した。
4. ヒービングの発生が予測されたため、ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させた。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
ディープウェル工法とは、根切り部内あるいは外部に径500〜1,000mmの菅を打ち込み、帯水層を削孔して、径300〜600mmのスクリーン付き井戸ケーシング管を設置てウェルとし、水中ポンプあるいは水中モーターポンプで帯水層の地下水を排水する工法である。 盤ぶくれの防止対策として用いられる工法である。
※盤ぶくれの発生が事前の検討により予測された場合の対策
?@掘削底面(不透水層)下の地下水位(圧)をディープウェル等によって低下させる。
?A止水性の山留め壁を延長し、被圧帯水層の下の不透水層に根入れする。
?B掘削場内を地盤改良し、地下水を遮断し土被り圧を増加させる。
2.◯
法付けオープンカット工法とは、 安定な斜面を残して掘削する方法で、建物の周囲が広い場合に適用される。法付けオープンカット工法の法面は雨水、乾燥の繰り返しにより崩れやすくなっているため、モルタル吹付け、シート張り、集水・排水溝により法面を保護する。 モルタル吹付けとする場合、法面に水抜き孔を設ける。
3.◯
法付けオープンカット工法のすべり面の形状が経験的に 円形に近いことから、粘性土地盤では、 円弧すべり面を仮定することが一般的である。
4.×
ウェルポイントで掘削場内外の地下水位を低下させるのは、 砂質地盤におけるボイリング発生防止の対策である。粘性土地盤で発生する ヒービングの発生防止には有効ではない。
[ No.23 ]
山留め工事の管理に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 傾斜計を用いて山留め壁の変形を計測する場合には、山留め壁下端の変位量に注意する。
2. 山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、工事の影響を受けない付近の構造物に設置する。
3. 山留め壁は、変形の管理基準値を定め、その計測値が管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。
4. 盤圧計は、切梁と火打材との交点付近を避け、切梁の中央部に設置する。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
傾斜計を用いる方法は、 山留め壁設置直後から変形測定ができるので、よい方法であるが、不動点を壁下端とすることが多いため、壁下端が動いた場合、 測定値の確からしさが損なわれるので注意が必要である。
2.◯
山留め壁周辺の地盤の沈下を計測するための基準点は、 山留め壁から離れた不動点とみなせる位置に設ける。
3.◯
山留め壁は、変形の 管理基準値を定め、その計測値が 管理基準値に近づいた場合の具体的な措置をあらかじめ計画する。変形の管理基準値と具体的な措置については、特に確立されたものはないが、公共建築工事標準仕様書で以下のように記されている。
「山留め設置期間中は、常に周辺地盤及び山留めの状態について、 点検及び計測する。異常を発見した場合は、直ちに適切な措置を講じ、監督職員に報告する。」(公共建築工事標準仕様書建築工事編 3.3.2)
4.×
切梁にかかる軸力は、端部より中央部の方が低くなるため、盤圧計(油圧式荷重計)を切梁の中央部に設置しても、正確に軸力を計測できない。また、安全上の点からも好ましくない。油圧式荷重計は、 火打梁の基部や腹起しと切梁の接合部に設置するのが好ましい。
[ No.24 ]
場所打ちコンクリート杭地業に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とした。
2. アースドリル工法における鉄筋かごのスペーサーは、孔壁を損傷させないよう、平鋼を加工したものを用いた。
3. オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がない場合やわずかな場合にはハンマーグラブにより掘りくずを除去した。
4. リバース工法における孔内水位は、地下水位より1m 程度高く保った。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
コンクリートの打込みにおいて、トレミー管のコンクリート中への挿入長さが長すぎると、 コンクリートの流出が悪くなるため、最長でも 9m程度とする。(建築工事監理指針)
2.◯
ケーシングチューブを用いる場合(オールケーシング工法)、 スペーサーはD13以上の鉄筋を用いる。ケーシングチューブを用いない場合(アースドリル工法、リバース工法及びBH工法)は、鉄筋であると孔壁を破損するので、 杭径 1.2m以下の場合は鋼板 4.5×38mm、杭径1.2mを超える場合は鋼板 4.5×50mm程度のものとする。
3.◯
オールケーシング工法における孔底処理は、 孔内水がないか少量の場合には、掘削用の ハンマーグラブを用いて、掘削時に底部に落下した堀りくずを除去する。
4.×
リバース工法は静水圧により孔壁の崩壊を防ぐ工法のため、掘削に際しては、孔内水位を 地下水位より 2 m以上高く保持する。
[ No.25 ]
鉄筋のガス圧接に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。ただし、鉄筋は、SD 345 のD 29 とする。
1. 隣り合うガス圧接継手の位置は、300mm 程度ずらした。
2. 圧接部のふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。
3. 柱 主筋のガス圧接継手位置は、梁上端から 500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、柱の内法高さの 3/4 以下とした。
4. 鉄筋の中心軸の偏心量は、5mm 以下とした。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
隣り合うガス圧接継手の位置は、 400mm 以上ずらさなければならない。
隣り合う重ね継手の中心位置は、重ね継手長さの約0.5倍又は1.5倍以上ずらす。
2.◯
圧接部の ふくらみの長さは、鉄筋径の 1.1 倍以上とした。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(イ))
3.◯
柱主筋のガス圧接継手位置は、 梁上端から500mm 以上、1,500mm 以下、かつ、 柱の内法高さの 3/4 以下とする。
4.◯
圧接部における鉄筋中心軸の 偏心量は、 鉄筋径の 1/5以下(径が異なる場合は細い方の径による)とする。
(公共建築工事標準仕様書建築工事編 5.4.4(エ)(カ))
題意よりD29であるので、 29÷5 = 5.5mm.
よって、5mm以下は規定値の範囲内である。
[ No.26 ]
コンクリートの調合に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 普通コンクリートに再生骨材H を用いる場合の水セメント比の最大値は、60%とする。
2. コンクリートの調合強度を定める際に使用するコンクリートの圧縮強度の標準偏差は、コンクリート工場に実績がない場合、1.5 N/mm 2 とする。
3. 単位水量 は、185 kg/m 3 以下とし、コンクリートの品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。
4. 高強度コンクリートに含まれる塩化物量は、塩化物イオン量として 0.30 kg/m 3 以下とする。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
再生骨材H とは、 建築物の解体などによって発生したコンクリート塊を粉砕、磨砕(まさい)等の処理を行って製造したコンクリート用の再生骨材である。
公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(b)より、水セメント比の最大値は、次による。
?@普通、早強及び中庸熱ポルトランドセメント並びに混合セメントA種の場合は 65%、低熱ポルトランドセメント及び混合セメントB種の場合は 60%、普通エコセメントの場合は 55%とする。
?A再生骨材Hを使用する場合は、 60%とする。
2.×
コンクリートの調合強度は、コンクリートの調合を決定する際に目標とする圧縮強度であり、コンクリートの調合管理強度とコンクリートの圧縮強度の 標準偏差から定められる。コンクリート工場に実績がない場合、 2.5N/mm 2
または (調合管理強度)×0.1の大きい値とする。
3.◯
コンクリートの品質を確保するために、 単位水量は、一般に 185 kg/m 3
以下とし、所要の品質が得られる範囲内で、 できるだけ小さくする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編 6.3.2(イ)(c))
単位水量が 大きくなると 乾燥収縮、ブリーディング、打込み後の沈降などが大きくなり、コンクリートの品質、特に 耐久性上好ましくない。
4.◯
荷卸し地点で 塩化物イオン( Cl -
)量として 0.30 kg/m 3
以下とする。(JIS A 5308)
3に含まれるアルカリ総量を、Na2O換算で、3.0kg以下にする。
?A抑制効果の混合セメント等の使用
?B安全と認められる骨材の使用
したがって、高強度コンクリートにおいても、コンクリート中のアルカリ総量は、3.0kg/m 3
以下とする。 −>
[ No.27 ]
高力ボルト接合に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 締付け後の高力ボルトの余長は、ねじ1山から6山までの範囲であることを確認した。
2. ねじの呼びがM 22のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とした。
3. 高力ボルトの接合部で肌すきが1mm を超えたため、フィラープレートを入れた。
4. ナット回転法による締付け完了後の検査は、1次締付け後の本締めによるナット回転量が 120°±45°の範囲にあるものを合格とした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
締付け後の 高力ボルトの余長は、 ねじ1山から6山までの範囲であること。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.8(1)(ア)(d))
2.◯
ねじの呼びが M 22のトルシア形高力ボルトの長さは、締付け長さに 35 mm を加えた値を標準とする。(JASS6)
3.◯
高力ボルトの接合部で 肌すきが 1mm を超える場合は、 フィラープレートを入れる。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.4.6(2))
4.×
ナット回転法による締付け完了後の検査は、 1次締付け後のナットの回転量120° ±30° の範囲にあるものを合格とする。(JASS6)
[ No.28 ]
大空間鉄骨架構の建方に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. リフトアップ工法は、地組みした所定の大きさのブロックをクレーン等で吊り上げて架構を構築する工法である。
2. 総足場工法は、必要な高さまで足場を組み立てて、作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。
3. 移動構台工法は、移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、構台を移動させ、順次架構を構築する工法である。
4. スライド工法は、作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、そのユニットを所定位置まで順次滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
リフトアップ工法とは、地上または構台上で組み立てた屋根架構を、先行した構築した構造体を支えとして、 ジャッキ等により引き上げていく工法である。地組みした所定の大きさのブロックを、 クレーン等で吊り上げて架構を構築する工法は、ブロック工法である。
2.◯
総足場工法は、 必要な高さまで足場を組み立てて、 作業用の構台を全域にわたり設置し、架構を構築する工法である。
3.◯
移動構台工法は、 移動構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、 構台を移動させ、 順次架構を構築する工法である。
4.◯
スライド工法は、 作業構台上で所定の部分の屋根鉄骨を組み立てた後、その ユニットを所定位置まで順次 滑動横引きしていき、最終的に架構全体を構築する工法である。
[ No.29 ]
木質軸組構法に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設けるため、胴差部において、構造用面材相互間に、6mm のあきを設けた。
2. 接合に用いるラグスクリューは、先孔にスパナを用いて回しながら締め付けた。
3. 接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ軽くめり込む程度とし、工事中、木材の乾燥収縮により緩んだナットは締め直した。
4. 集成材にあけるボルト孔の間隔は、許容誤差を ±5mm とした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
1階及び2階の上下同位置に構造用面材の耐力壁を設ける場合は、 胴差部において、構造用面材相互間に、原則として、 6mm以上のあきを設ける。(木造住宅工事仕様書)
2.◯
木材の接合等に用いるラグスクリュー(ヘッドがナット状の木ねじ)の締付けは、 そのまま締め付けると木材が割れるので、 先に孔をあけてから、スパナを用いて回しながら行う。
3.◯
接合金物のボルトの締付けは、座金が木材へ 軽くめり込む程度とし、工事中、木材の 乾燥収縮により緩んだナットは締め直す。
4.×
集成材にあけるボルト孔の間隔の許容誤差は、 ±2mmとする。
[ No.30 ]
揚重運搬機械に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1. 建設用リフトは、土木、建築等の工事の作業 で使用されるエレベーターで、人及び荷を運搬する。
2. タワークレーンのブーム等、高さが地 表 から 60m以 上 となる場合、原則として、航空障害灯を設置する。
3. 移動式クレーンは、旋回範囲内に 6,600 V の配電線がある場合、配電線から安全距離を2m以上確保する。
4. ロングスパン工事用エレベーターは、安全上支障 がない場合、搬器の昇降を知らせるための警報装置を備えないことができる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
建設用リフトとは 荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、土木、建築等の工事の作業に使用されるもの(ガイドレールと水平面との角度が80度未満のスキップホイストを除く。)をいう。(労働安全衛生法施行令第1条)
2.◯
タワークレーンのブーム等、 高さが地表または水面から 60m以上となる場合、原則として、 航空障害灯を設置する。(建築工事監理指針)
3.◯
移動式クレーンは、 6,600 V の配電線から安全距離を 2m以上確保する。(建築工事監理指針)
4.◯
ロングスパン工事用エレベーターは、 安全上支障がない場合、搬器の昇降を知らせるための 警報装置を備えないことができる。
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