09節 自動ドア開閉装置
16.9.1 適用範囲
(a) この節では、建築物の出入口に使用する標準的なスライデイング及びスイングタイプの自動ドア開閉装置(以下、この節では「開閉装置」という。)を対象としている。
開閉装置とは、JIS A 4702 (ドアセット)に規定するドアセットに開閉のための制御部及び駆動部(懸架部を含む。)を取り付け、歩行者等を検出する検出装置(以下「センサー」という。)の信号でドアが開閉する装置のことである。
(b) 施工計画書の作成は,16.1.1(c)を参照する。
(c) 開閉装置の施工範囲は、関連工事との区分を明確にすることが必要である。
16.9.2 性 能
標準的な開閉装置の性能値は、「標仕」表16.9.1及び2に示されているが、ドアの質量,面積がこれを超える場合は.設計図書に性能が特記される。
また、自動ドアの安全対策については、全国自動ドア協会から「自動ドア安全ガイドライン(スライド式自動ドア編)」及び「多機能トイレ用自動ドア安全ガイドライン」が発行されているので参考にされたい。
16.9.3 機 構
(a) 開閉装置は、駆動装置、制御装置及びセンサーより構成される。図16.9.1はスライデイングドア用の納まりの例で各部の名称を示す。
図16.9.1 引分け開閉装置の納まりの概略図
(1) 駆動装置
動力部、作動部、ドア懸架部よりなり、制御装置から指令を受けてドアを開閉する。駆動方式には、表16.9.1に示すものがある。
なお、ドア懸架部とは、吊り戸車及びハンガーレールをいう。
表16.9.1 駆動方式の種類
(2) 制御装置
センサーから開閉信号を受けて駆動装置を制御する装置をいう。
(3) センサー
人体の自動検出又は人為操作によって制御装置へ制御を送る装置をいう。センサーには、表16.9.2に示すものがある。また「標仕」16.9.3(e)はドア走行部の安全を考慮して、すべてに補助センサーを併用することとしている。補助センサーには、図16.9.1にある補助光電スイッチのように、センサーと分かれている「分離型」と、センサーの中に補助センサー機能が含まれる「一体型」がある。
表16.9.2 センサーの種類
(4) ドアの開閉方式
表16.9.3に示すものがある。
表16.9.3 ドアの開閉方式の種類
(5) 自動扉機構については、「標仕」で要求する品質を満たすものとして(-社)公共建築協会の「建槃材料・設備機材等品質性能評価事業」(1.4.4 (e)参照)で評価した製品があるので参考にするとよい。
(b) 停電及び電源を切った場合に、ドアは手動で開閉できるものとする。
(c) 開閉装置を床又は屋外に設置する場合は、絶縁低下を起こさず、また、支障なく使用できるなど、常に正常な機能を維持するため、開閉装置内部に水が浸入しても直ちに排水できる構造とする。
16.9.4 工 法
(a) 施工の注意事項は、次のとおりである。
(1) 建具枠及びドア等の取付けに十分耐え得る構造であることを確認する。
(2) 開閉装置を取り付ける前に、ドア回りの関連工事が、開閉装置の取付けやドアの作動に支障のないように施工されていることを確認する。
(3) 床又は屋外に設置する開閉装置の埋込み部分及びマットスイッチのマット敷込み部分には、呼び径65mm程度の排水管が設けられていることを確認する。
また、高齢者、障害者等の通過が予想される場合は、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課監修「建築設計基準及び同解説」3.5.3(4)[スライド式自動扉]による。
(4) マットスイッチのリード線の接続部は、自己融着テープ等で防水処理を行う。なお、多雪寒冷地で凍結のおそれがある楊合は、電熱ヒーターを敷設するなどマットスイッチやガイドレール部分の凍結を防止する装置が必要である。
(5) 引戸は、全閉時での戸先隙間が一定で、また、ドアとガイドレール、無目及び中間方立との隙間が一定であることを確認する。
(6) 開き戸は、ピボット軸と駆動軸との同心、無目及び床埋込みケースの水平を確認し、また、ドア全周とサッシ及び床との隙間、全閉時での戸先隙間が一定であることを確認する。
(b) 取付け及び調整完了後に、表16.9.4に示す項目を確認する。
表16.9.4 取付け及び調整完了後の確認項目
表16.9.5 ドア質量とドア開速度・閉速度
(c) 「建築設計基準及び同解説」の自動ドアに関する項の抜粋を次に示す。
3.5.3 扉
高齢者、障害者等の通行を考慮し、開閉速度、センサー等を設定する。
図3.5.13 自動ドア感知域と留意事項