(午前の部)令和5年6月11日(日)
※ 問題番号[ No.21 ]〜[ No.30 ]までの 10問題のうちから、7問題を選択し、解答してください。
ただし、7問題を超えて解答した場合、減点となりますから注意してください。
問題は、四肢択一式です。正解と思う肢の番号を1つ選んでください。
[ No.21 ]
乗入れ構台及び荷受け構台の計画に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.乗入れ構台の支柱の位置は、基礎、柱、梁及び耐力壁を避け、5m間隔とした。
2.乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より10cm上になるようにした。
3.荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計の10%とした。
4.荷受け構台への積載荷重の偏りは、構台の全スパンの60%にわたって荷重が分布するものとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
乗入れ構台の支柱の位置は、地下構造図と重ね合わせるなどして、 基礎、柱、梁及び耐力壁の位置を 重ならないように配置し、支柱の 間隔は 3〜6m程度として計画する。
2.×
乗入れ構台の大引下端は、躯体コンクリート打設時に床の均し作業ができるように、 1階のスラブ上端より 20〜30cm程度上に設定する。(建築工事監理指針)
3.◯
荷受け構台の構造計算に用いる作業荷重は、 自重と積載荷重の合計の10%とする。
4.◯
荷受け構台を構成する部材については、 積載荷重の偏りを考慮して検討し、通常は 構台全スパンの60%にわたって、 積載荷重が分布するものと仮定する。
[ No.22 ]
地下水処理工法に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.ディープウェル工法は、初期のほうが安定期よりも地下水の排水量が多い。
2.ディープウェル工法は、透水性の低い粘性土地盤の地下水位を低下させる場合に用いられる。
3.ウェルポイント工法は、透水性の高い粗砂層から低いシルト質細砂層までの地盤に用いられる。
4.ウェルポイント工法は、気密保持が重要であり、パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにする。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
ディープウェル工法は、掘削溝内・外に ディープウェル(深井戸)を設置し、ウェル内に流入する 地下水を ポンプで 排水させる工法である。施工時の特徴として、 初期のほうが安定期よりも地下水の 排水量が多い。
2.×
ディープウェル工法は、 砂層や 砂礫層等で、 透水性の高い地盤で、 排水量が多い場合に適している。(建築工事監理指針)
3.◯
ウェルポイント工法は、吸水管を地中に設置し、 真空ポンプにより 強制的に地下水を集めて排水する工法で、透水性の高い 粗砂層から低い シルト質細砂層までの地盤に適用可能である。
4.◯
ウェルポイント工法の留意事項は、地下水位低下の際に地盤た多少沈下するため、 周辺環境の調査をすること、ポンプの故障に備え 予備ポンプの設置をすること、気密保持のため、 パイプの接続箇所で漏気が発生しないようにすること等が挙げられる。(建築工事監理指針)
[ No.23 ]
既製コンクリート杭の施工に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.荷降ろしのため杭を吊り上げる場合、安定するように杭の両端から杭長の1/10の2点を支持して吊り上げる。
2.杭に現場溶接継手を設ける際には、原則として、アーク溶接とする。
3.継ぎ杭で、下杭の上に杭を建て込む際には、接合中に下杭が動くことがないように、保持装置に固定する。
4.PHC杭の頭部を切断した場合、切断面から350mm程度まではプレストレスが減少しているため、補強を行う必要がある。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
既製コンクリートの杭の吊り上げは、 支持点(杭の両端から杭長の1/5の点)近くの2点で支持する。
2.◯
既製コンクリート杭に 現場溶接継手を設ける場合は、原則として アーク溶接とする。
3.◯
継ぎ杭とは、1本の杭では長さが不足し、 継手を設けてもう1本の杭を連結させて打込む杭をいう。下杭の上に杭を建て込む場合、 下杭を保持する装置を設けて、接合時に 動かないように留意する。
4.◯
PHC杭(プレテンション方式遠心力高強度プレストレスとコンクリート杭)の 杭頭を切断した場合は、切断面から 350mm程度まではプレストレスが 減少しているので、設計図書により 補強を行う。(建築工事監理指針)
[ No.24 ]
鉄筋の機械式継手に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.トルク方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、ロックナットを締め付けることで鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。
2.グラウト方式のねじ節継手とは、カップラーを用いて鉄筋を接合する工法で、鉄筋とカップラーの節との空隙にグラウトを注入することで緩みを解消する。
3.充填継手とは、異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法である。
4.端部ねじ継手とは、端部をねじ加工した異形鉄筋、あるいは加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、雌ねじ加工されたカップラーを用いて接合する工法である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
トルク方式のねじ節継手は、ねじ節鉄筋とねじ鉄筋に、 カップラー(接合金具)を用いて接合し、 ロックナットにより 締め付け固定する方法で、鉄筋とカップラーとの間の緩みを解消する。
2.◯
グラウト方式のねじ節継手とは、ねじ節鉄筋とねじ筋鉄筋を、 カップラーを用いて鉄筋を接合し、 グラウト材を 充填して鉄筋とカップラーの節を固定する方法で、 グラウト材を注入することで緩みを解消する。
3.×
異形鉄筋の端部に鋼管(スリーブ)をかぶせた後、外側から加圧して鉄筋表面の節にスリーブを食い込ませて接合する工法は、 圧着継手である。 充填継手とは、内面の 凹凸のついた比較的径の 大きい鋼管(スリーブ)に異形鉄筋の端部を挿入した後、スリーブ内に高強度の 無収縮モルタル等を充填して接合する工法である。
4.◯
端部ねじ継手とは、 端部をねじ加工した異形鉄筋、または加工したねじ部を端部に圧接した異形鉄筋を使用し、 雌ねじ加工された カップラーを用いて接合する工法である。
[ No.25 ]
型枠支保工に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.支柱として用いるパイプサポートの高さが3.5mを超える場合、高さ2.5m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。
2.支柱として用いる鋼管枠は、最上層及び5層以内ごとに水平つなぎを設けなければならない。
3.支柱としてパイプサポートを用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
4.支柱として鋼管枠を用いる型枠支保工は、上端に作業荷重を含む鉛直荷重の2.5/100に相当する水平荷重が作用しても安全な構造でなければならない。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
支柱として用いるパイプサポートの高さが 3.5mを超える場合、水平つなぎを設ける位置は、 高さ2.0m以内ごとに水平つなぎを2方向に設けなければならない。(労働安全衛生規則第242条第六号イ、第七号ハ)
2.◯
「 最上層及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における 5枠以内ごとの箇所に、 水平つなぎを設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。」と定められている。(労働安全衛生規則第242条第八号ロ)
3.◯
「鋼管枠以外のものを支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の 5/100に相当する 水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第四号)
4.◯
「鋼管枠を支柱として用いるものであるときは、当該型枠支保工の上端に、設計荷重の 2.5/100に相当する 水平方向の荷重が作用しても安全な構造のものとすること。」と定められている。(労働安全衛生規則第240条第3項第三号)
[ No.26 ]
コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの圧送開始前に圧送するモルタルは、型枠内に打ち込まないが、富調合のものとした。
2.圧送するコンクリートの粗骨材の最大寸法が20mmのため、呼び寸法100Aの輸送管を使用した。
3.コンクリート棒形振動機の加振は、セメントペーストが浮き上がるまでとした。
4.外気温が25℃を超えていたため、練混ぜ開始から打込み終了までの時間を120分以内とした。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは、 型枠内に打ち込まなず破棄する。また、先送モルタルは、セメントの配分を多くした 富調合のものとする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(ウ))
2.◯
コンクリート輸送管の径は、コンクリートポンプの圧送性に直接影響し、 径が大きいほど 圧力損失が少なくなり、圧送性も良くなる。 粗骨材の最大寸法が20mmの場合の輸送管の呼び寸法は 100A以上とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.1(3)(イ)、表6.6.1)
3.◯
コンクリート打込み時におけるコンクリート 棒形振動機によるコンクリートへの加振は、 セメントペーストが浮き上がるまで実施する。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.5(3))
4.×
コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間の限度は、 外気温が25℃以下で120分以内、 25℃を超える場合は90分以内とする。(公共建築工事標準仕様書建築工事編6.6.2(1))
[ No.27 ]
鉄骨の建方に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.架構の倒壊防止用に使用するワイヤロープは、建入れ直し用に兼用してもよい。
2.スパンの寸法誤差が工場寸法検査で計測された各部材の寸法誤差の累積値以内となるよう、建入れ直し前にスパン調整を行う。
3.建方に先立って施工するベースモルタルは、養生期間を3日間以上とする。
4.梁のフランジを溶接接合、ウェブをボルトの配列が1列の高力ボルト接合とする混用接合の仮ボルトは、ボルト1群に対して1/3程度、かつ、2本以上締め付ける。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄骨の建方時に架構の 倒壊防止としてワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを 建入れ直し用に兼用してもよい。(JASS6)
2.◯
工場で計測した寸法と現場で測定した寸法は、鋼製巻尺の違いや、搬入時までの温度変化による材料の伸縮により、 異なる場合がある。そのため、各部材の 寸法誤差は、 累積値以内となるように、建入れ直し前に スパン調整を行う必要がある。
3.◯
建方に先立って施工するベースモルタルは、モルタル中心塗り部分のモルタルの塗厚さを 30mm以上50mm以下とし、養生期間を 3日とらなければならない。(JASS6)
4.×
高力ボルト接合における 仮ボルトの締付けは、1群のボルト数の 1/2以上、かつ 2本以上バランスよく配置して締め付ける。(公共建築工事標準仕様書建築工事編7.10.5(3))
また、ウェブを高力ボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とする混用継手は、原則としてウェブの 高力ボルトを先に本締めまで行った後、フランジ溶接を行う。
[ No.28 ]
大断面集成材を用いた木造建築物に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.梁材の曲がりの許容誤差は、長さの1/1,000とした。
2.集成材にあけるドリフトピンの下孔径は、ドリフトピンの公称軸径に2mmを加えたものとした。
3.集成材にあける標準的なボルト孔の心ずれは、許容誤差を±2mmとした。
4.接合金物にあけるボルト孔の大きさは、ねじの呼びがM16未満の場合は公称軸径に1mmを、M16以上の場合は1.5mmを加えたものとした。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
梁材の曲がりの許容誤差は、長さの 1/1,000以下とする。
2.×
集成材にあける ドリフトピンの孔の径の許容誤差は、特記がなければピン径と同径とする。
木造建築物に用いる大断面集成材の許容誤差は下表のとおりである。
3.◯
大断面集成材に設ける標準的な ボルト孔の心ずれは、許容誤差を ±2mm以内とする。
4.◯
接合金物にあけるボルトの孔あけ加工の大きさは、ねじの呼びが M16未満の場合は公称軸径に 1mmを加えたものとし、 M16以上の場合は 1.5mmを加える。(公共建築木造工事標準仕様書5.2.4(1)(c)?F,表5.2.1)
[ No.29 ]
建設機械に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.ブルドーザーは、盛土、押土、整地の作業に適している。
2.ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、機動性に優れている。
3.アースドリル掘削機は、一般にリバース掘削機に比べ、より深い掘削能力がある。
4.バックホウは、機械の位置より低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
ブルドーザーは、車体の前方に ブレード(排土板)がついており、地面を整地するために用いられる。 盛土、押土、整地の作業に適している。
2.◯
ホイールクレーンは、同じ運転室内でクレーンと走行の操作ができ、 小回りが利くので 狭い場所でも設置できる。つり上げ荷重はトラッククレーンに比べて 小さい。
3.×
リバース掘削機は、一般に アースドリル掘削機に比べて 深い掘削能力がある。リバース掘削機の施工深さは約 70m程度、アースドリル掘削機は約 50m程度である。
4.◯
バックホウは、アームの先端に バケットを装着した掘削に用いられる建設機械で、機械の位置より 低い場所の掘削に適し、水中掘削も可能だが、高い山の切取りには適さない。
[ No.30 ]
鉄筋コンクリート造の耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の増設工事に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。
1.増設壁上部と既存梁下との間に注入するグラウト材の練上り時の温度は、練り混ぜる水の温度を管理し、10〜35℃の範囲とする。
2.あと施工アンカー工事において、接着系アンカーを既存梁下端に上向きで施工する場合、くさび等を打ってアンカー筋の脱落防止の処置を行う。
3.コンクリートポンプ等の圧送力を利用するコンクリート圧入工法は、既存梁下との間に隙間が生じやすいため、採用しない。
4.増設壁との打継ぎ面となる既存柱や既存梁に施す目荒しの面積の合計は、電動ピック等を用いて、打継ぎ面の15〜30%程度となるようにする。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
耐震改修工事における現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁の施工においては、現場施工時の 水温の管理を十分に行い、 水温10℃以上の水を用いて グラウト材を練り上げ、練り上げ時の温度が 10〜35℃の範囲のものを注入する。
2.◯
あと施工アンカー工事の接着系アンカーの固着において、 上向き作業の場合は、接着剤の漏出防止及び取り付けボルトまたは アンカー筋脱落防止の処置を行う。(公共建築改修工事標準仕様書建築工事編 8.12.5(2)(オ))
3.×
コンクリート 圧入工法は、既存の梁面との間にすき間が生じないように、ポンプ等で圧力で加えながら打込む工法なので、打継ぎ面の施工には適している。圧入工法は、 既存梁と増築壁との接合をより確実を行うことができる。
4.◯
既存コンクリート表面は、平滑であり、打継ぎ面として適当ではないので、 目荒しを施す。この目荒しの程度は、特記によるが、特記のない場合、一般には、既存柱・梁の目荒しは、 電動ピック等を用いて、平均深さ 2〜5mm(最大で 5〜7mm)程度の凹面を合計が 打継ぎ面の15〜30%程度の面積となるように全体にわたってつける。(建築改修工事監理指針)
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