新年あけましておめでとうございます。
2018年の最初の朝英語の会梅田のテーマが発表されました。今回は2020年の東京オリンピックに導入が検討されている顔認証に関する技術についてです。東京オリンピックの開催が2年後に迫っています。しかし開催直前の平昌オリンピックも含めて、まだまだ政治危機及びそれがもたらす経済リスクに関して予断を許さない状態が続いています。スポーツに関する投資やビジネス、それが生み出す様々なベネフィットも期待されるのですが、このような国際大会の開催には以前にも増して多様なインフラの整備やマネジメントが求められるようになってきています。その中で今回取り上げられたトピックはスポーツ大会等のセキュリティ面を確保するための技術です。
残念ながら、ミュンヘン・オリンピックやボストン・マラソンなど、大規模スポーツイベントにおけるテロ対策は現代では必要不可欠です。また現代社会においては、あらゆる場所へのアクセスに本人確認が必要となり、認証方式が交換不能な生態認証に進化していっています。東京オリンピックだけでなく、日本ではゴールデン・スポーツイヤーと呼ばれ、来年にはラグビーワールド・カップ、2021にはマスターズ・ゲームとこれらをてこにした新たなビジネス・モデルが期待されています。
セキュリティの問題だけでなく、チケットの販売、交通、出入国の審査、買い物など今後あらゆる場面で顔認証を始めとするIT技術が進化していくでしょう。
Facial Recognition Is Only the Beginning: Here’s What to Expect Next in Biometrics on Your Phone
Paying with Your Face〜Face-detecting systems in China now authorize payments, provide access to facilities, and track down criminals. Will other countries follow?
?
それでも生態認証を利用したIT技術は政府や企業に個人情報へのアクセス権を与えることになり、その管理の手法・安全性が問われることになります。意図しない情報漏洩のリスクだけでなく、過去の苦い経験から権力によるプライバシーの侵害なども懸念されています。約70年前に未来のディストピアを描いた傑作として古典となった「1984」でジョージ・オーウェルは全体主義国家における先端技術を利用した監視社会の怖さを描いています。実際、顔認証システムが高度に発達した中国では、この技術は政府が国内の人々の活動の監視を強化するために使われるのではないかと懸念する研究者もいます。
In China, facial recognition is sharp end of a drive for total surveillance
事実、先日男女の賃金格差の問題でBBC中国の編集局長を辞任したキャリー・グレイシー女史は中国駐在時のジャーナリストに対する様々な監視活動他取材への妨害などの問題をBBCのラジオ番組で赤裸々に語っていました。このようなサーベイランスに生体認証システムから得られた個人情報が使われたとしても不思議ではありません。また認証システムとして最も安全と思われた顔認証システムでさえも簡単にハッキングが可能である事が先日中国で行われたエキジビジョンで紹介されていました。
BBC Woman's Hour (Podcast)
http://www.bbc.co.uk/programmes/b09kq14q
1964年の東京オリンピック時には国家予算に匹敵するくらいのインフラ投資が世界銀行からの借款を通じて実行され,その投資がその後の日本の経済成長を支えたといいます。我々は2020年の東京オリンピックを日本の未来を変える祭典に出来るでしょうか。日本人の真価が問われています。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image