2016年11月26日
日曜東京〜第36回ジャパンC(G?T)
注目のキタサンブラック(父ブラックタイド)は最内枠に入り、例によってこれが先行する。ラストインパクト、リアルスティールら層の厚いディープインパクト産駒勢がスローを嫌って先行することも考えられなくはないが、外国馬も今年はフランスとドイツのみということで、キタサンブラックを突いて先行するとは思えない。今年はペースが上がる気配がない。
とすると、キレ味勝負よりは底力勝負に徹したいゴールドアクター(父スクリーンヒーロー)が早めに動いてキタサンをけん制し、ラストインパクト、リアルスティールあたりが徐々に進出・・・という流れはなんとなくイメージできる。平均的な流れで、特に有力どころはどの馬にも均等にチャンスが分配される流れになりそう。
とすると、仕掛けのタイミングは非常に微妙だし、戦法によって結果が異なる可能性もある、まるでハンデ戦のような難しくも楽しいJCが展開される予感。こういう大激戦のレースになると、賞金が高い日本のG?Tでは、直線でバラけることはほとんどなく、インコースを通るのが絶対的に優位とされる東京コースは一番大事なところでゴチャつくことが多い。
近年ルール改正の影響はジョッキーの騎乗の粗さにも現れているが、そういうことがないことを願いつつ最終決断を下すと、今年はヨーロッパの馬にチャンスが久々にめぐってくる気がする。今年のJCは、フランスのイラプト(父ドゥバウィー)にした。
北米の馬たちは、スピード競馬のJCを好んで連続して来日することも珍しくなかったが、プライド高いヨーロッパの馬たちは、前年大敗したりするとたいていは翌年の来日を見送る。フランス馬イラプトは、いちおう昨年は完敗という評価で間違いないと思うが、それでも再び来日してきた。前年の完敗を受けてそれでもなお来日してきたのは、記憶が正しければ、同じくフランスのエルナンド以来ではないだろうか?
ひと昔前のヨーロッパといえば、フランケルに代表される「ガリレオ×デインヒル」の配合が、さすがにちょっとやりすぎだろうというくらいのブームになっていた。しかしいくら優秀な産駒を送るからといって、そんな偏差が大きい配合が長く続くはずもなく、替わって近年ヨーロッパで最も熱い血であるとされるようになったのが、イラプトの父ドゥバウィーである。
ドゥバウィーがヨーロッパで人気を博すようになった背景には、特にフランスが積極的な姿勢を見せる「スピード競馬への転換」が挙げられる。シーキングザゴールド(シーキングザパールらの父)を経由したミスタープロスペクターの血は完全なスピード血統で、少し前のヨーロッパの競馬のイメージを一新している。フランケル登場による影響も大きかった。
だからもう何年も外国馬が勝てなくなっているJCでも、過去のようにコテコテのヨーロッパ血統ではないだけに、外国馬にとって勝算希薄とされるJCでまったくのノーチャンスではなくなりつつあるのだ。少なくとも陣営は、昨年の競馬を完敗とはまったく認識していないのである。
前走カナダのG1をまくるような競馬で快勝したのは、確かに相手は微妙ではあったものの、あれはもうまったく力が違うという証拠。パスキエ騎手とは不動のコンビ(訂正:今回はブドー騎手に乗り替わり。パスキエと不動のコンビかと思ったが、ブドーとコンビなら、まあ響きは似ている)で、昨年は少しゴチャついたところに入ってしまった不利も多少響いてコンマ3秒差6着、巻き返しは十分期待できる。
正直、日本馬が外国馬を破るのはうれしい。ただ、外国馬が強くないと、JCなんてちっともおもしろくないというのが本音である。そろそろ、もういい加減に目を覚ましてほしい。そして、それがプライド高きフランス馬であるなら、日本の競馬を愛するファンとしても大歓迎である。
相手は迷ったが、ルージュバック(父マンハッタンカフェ)にした。スローの流れになると、ルージュバックのキレがモノを言う。そういう展開になる可能性が高いと思う。府中の1800m戦で強いというのは、今の底力をそんなに必要としない府中2400mには、厳しい流れになりやすい2000mよりもむしろ適性が高いとも思える。序盤から急がされないレースこそ、ルージュバックにとって適性が高いレースだと思う。
ルージュバックも戸崎騎手とは不動のコンビ、良いときも悪いときもすべて知り尽くした人馬のコンビである。そういうコンビだからこそ、この難しいレースを自分たちにとって優位な形に持っていくことができる。昔オルフェーヴルの池添騎手がダービーのときに語ったことばを思いだす。乗り替わりの馬には絶対に負けたくない・・・戸崎騎手にもその気持ちを貫いてほしい。
当然ここを狙っていたゴールドアクターは自らキタサンをつぶしにいくわけだから、ゴールドアクターとキタサンブラックはサバイバルの形になるはず。キタサンブラックの強さは認めるものの、私はゴールドアクターのほうが上だと思う。早くにJC参戦を決めた皐月賞馬ディーマジェスティ(父ディープインパクト)はいかにも府中向き、あとは力関係だろう。
福永騎手からルメールに乗り替わってきた菊花賞2着のレインボーライン(父ステイゴールド)と、福永騎手が選んだ形になったシュヴァルグラン(父ハーツクライ)は同格と思えるが、やっぱり枠の差はいかんともしがたく、レインボーラインを上に見たい。
ムーアが乗ると怖いリアルスティール(父ディープインパクト)もいちおう押さえるが、前が厳しくなったときは、大穴でヒットザターゲット(父キングカメハメハ)の大駆けの可能性も、完全には無視できないと思う。
このところアクシデントが多いだけに、とにかくクリーンで少しでも多くのファンが納得できる内容あるジャパンカップに期待したい。
◎ イラプト
〇 ルージュバック
▲ ゴールドアクター
△ レインボーライン、シュヴァルグラン、ディーマジェスティ、キタサンブラック、ヒットザターゲット
とすると、キレ味勝負よりは底力勝負に徹したいゴールドアクター(父スクリーンヒーロー)が早めに動いてキタサンをけん制し、ラストインパクト、リアルスティールあたりが徐々に進出・・・という流れはなんとなくイメージできる。平均的な流れで、特に有力どころはどの馬にも均等にチャンスが分配される流れになりそう。
とすると、仕掛けのタイミングは非常に微妙だし、戦法によって結果が異なる可能性もある、まるでハンデ戦のような難しくも楽しいJCが展開される予感。こういう大激戦のレースになると、賞金が高い日本のG?Tでは、直線でバラけることはほとんどなく、インコースを通るのが絶対的に優位とされる東京コースは一番大事なところでゴチャつくことが多い。
近年ルール改正の影響はジョッキーの騎乗の粗さにも現れているが、そういうことがないことを願いつつ最終決断を下すと、今年はヨーロッパの馬にチャンスが久々にめぐってくる気がする。今年のJCは、フランスのイラプト(父ドゥバウィー)にした。
北米の馬たちは、スピード競馬のJCを好んで連続して来日することも珍しくなかったが、プライド高いヨーロッパの馬たちは、前年大敗したりするとたいていは翌年の来日を見送る。フランス馬イラプトは、いちおう昨年は完敗という評価で間違いないと思うが、それでも再び来日してきた。前年の完敗を受けてそれでもなお来日してきたのは、記憶が正しければ、同じくフランスのエルナンド以来ではないだろうか?
ひと昔前のヨーロッパといえば、フランケルに代表される「ガリレオ×デインヒル」の配合が、さすがにちょっとやりすぎだろうというくらいのブームになっていた。しかしいくら優秀な産駒を送るからといって、そんな偏差が大きい配合が長く続くはずもなく、替わって近年ヨーロッパで最も熱い血であるとされるようになったのが、イラプトの父ドゥバウィーである。
ドゥバウィーがヨーロッパで人気を博すようになった背景には、特にフランスが積極的な姿勢を見せる「スピード競馬への転換」が挙げられる。シーキングザゴールド(シーキングザパールらの父)を経由したミスタープロスペクターの血は完全なスピード血統で、少し前のヨーロッパの競馬のイメージを一新している。フランケル登場による影響も大きかった。
だからもう何年も外国馬が勝てなくなっているJCでも、過去のようにコテコテのヨーロッパ血統ではないだけに、外国馬にとって勝算希薄とされるJCでまったくのノーチャンスではなくなりつつあるのだ。少なくとも陣営は、昨年の競馬を完敗とはまったく認識していないのである。
前走カナダのG1をまくるような競馬で快勝したのは、確かに相手は微妙ではあったものの、あれはもうまったく力が違うという証拠。パスキエ騎手とは不動のコンビ(訂正:今回はブドー騎手に乗り替わり。パスキエと不動のコンビかと思ったが、ブドーとコンビなら、まあ響きは似ている)で、昨年は少しゴチャついたところに入ってしまった不利も多少響いてコンマ3秒差6着、巻き返しは十分期待できる。
正直、日本馬が外国馬を破るのはうれしい。ただ、外国馬が強くないと、JCなんてちっともおもしろくないというのが本音である。そろそろ、もういい加減に目を覚ましてほしい。そして、それがプライド高きフランス馬であるなら、日本の競馬を愛するファンとしても大歓迎である。
相手は迷ったが、ルージュバック(父マンハッタンカフェ)にした。スローの流れになると、ルージュバックのキレがモノを言う。そういう展開になる可能性が高いと思う。府中の1800m戦で強いというのは、今の底力をそんなに必要としない府中2400mには、厳しい流れになりやすい2000mよりもむしろ適性が高いとも思える。序盤から急がされないレースこそ、ルージュバックにとって適性が高いレースだと思う。
ルージュバックも戸崎騎手とは不動のコンビ、良いときも悪いときもすべて知り尽くした人馬のコンビである。そういうコンビだからこそ、この難しいレースを自分たちにとって優位な形に持っていくことができる。昔オルフェーヴルの池添騎手がダービーのときに語ったことばを思いだす。乗り替わりの馬には絶対に負けたくない・・・戸崎騎手にもその気持ちを貫いてほしい。
当然ここを狙っていたゴールドアクターは自らキタサンをつぶしにいくわけだから、ゴールドアクターとキタサンブラックはサバイバルの形になるはず。キタサンブラックの強さは認めるものの、私はゴールドアクターのほうが上だと思う。早くにJC参戦を決めた皐月賞馬ディーマジェスティ(父ディープインパクト)はいかにも府中向き、あとは力関係だろう。
福永騎手からルメールに乗り替わってきた菊花賞2着のレインボーライン(父ステイゴールド)と、福永騎手が選んだ形になったシュヴァルグラン(父ハーツクライ)は同格と思えるが、やっぱり枠の差はいかんともしがたく、レインボーラインを上に見たい。
ムーアが乗ると怖いリアルスティール(父ディープインパクト)もいちおう押さえるが、前が厳しくなったときは、大穴でヒットザターゲット(父キングカメハメハ)の大駆けの可能性も、完全には無視できないと思う。
このところアクシデントが多いだけに、とにかくクリーンで少しでも多くのファンが納得できる内容あるジャパンカップに期待したい。
◎ イラプト
〇 ルージュバック
▲ ゴールドアクター
△ レインボーライン、シュヴァルグラン、ディーマジェスティ、キタサンブラック、ヒットザターゲット