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2014年02月14日

マグニシア県

マグニシア県(ギリシア語: Μαγνησ?α / Magnisía)は、ギリシャ共和国のテッサリア地方を構成する行政区(ペリフェリアキ・エノティタ)のひとつ。人口約21万人(2005年)。古代にはマグネシアと呼ばれた。県都はヴォロス。



目次 [非表示]
1 名称
2 地理 2.1 位置・広がり
2.2 地勢
2.3 主要な都市・集落

3 気候
4 歴史 4.1 古代
4.2 キリスト教の時代
4.3 現代

5 行政区画 5.1 市(ディモス)
5.2 旧自治体(ディモティキ・エノティタ)
5.3 郡(エパルヒア)

6 古代都市
7 交通 7.1 鉄道
7.2 道路
7.3 空港

8 著名な出身者
9 脚注
10 外部リンク


名称[編集]

マグネシア県の名称は、ギリシャ中央部に位置するテッサリア地方の南東部に居住していたマグネテス人 (Magnetes) に由来している。

また、古代のアナトリア半島(現在のトルコ)にも、マグネシア人が入植し、二つのマグネシアという都市を建設した。ひとつ (Magnesia ad Sipylum) は現在のトルコのマニサであり、ひとつ (Magnesia on the Maeander) はイオニア地方のメンデレス川沿いにあった。

滑石の鉱山があり、滑石から作られた白色の粉はマグネシアと呼ばれた。ここからマグネシウムの語源となっている。マグネット(磁石)の語源であるとする説もあるが、これには異説もある。

地理[編集]

位置・広がり[編集]

マグニシア県は、地理的には、2大都市であるアテネとテッサロニキの丁度中間に位置する。

マグネシア県の南西部はフティオティダ県、西部および北部はラリサ県と県境を接し、東部はエーゲ海に面している。

マグネシア県の東にはスポラデス諸島が所在する。リゾート地で有名なスキアトス(英語版)や、自然豊かなスコペロス島、チチュウカイモンクアザラシなどが生息する自然公園があるアロニソス島などの島々は、かつてマグネシア県に所属していたが、現在は別の行政区(スポラデス県)となっている。

毎年200万人を超える観光客が夏季を中心に訪れている。

地勢[編集]





アルガラスティとパガセティコス湾
マグネシア県東部のピリオ半島には、県最大の山であるピリオ山(Pelion)がそびえる。また、県北東部のラリサ県との県境には、マウロヴニ山脈が走っている。フティオティダ県との県境にはオトリス山がある。ピリオ山(Pelion)やケンタウロス山は、自然景観が良好で観光の名所となっている。また山頂や中腹には、聖人や生神女マリアを祀る教会が立ち並んでいる。これらの教会には古代の遺物や中世以前のイコン画などが遺されている。

県内にはアルミロス平野とヴォロス=ヴェレスティノ平野という2つの平野が広がっている。県内に大きな川が無いために、水路は発達していないが、ピリオ山からはアナヴロス川、プラタノレマ川、クシリアス川という小さな川が流れる。

県北部にはカルラ湖(Lake Karla)がある。また、スルピ湾付近には湿地帯が広がっていて、多種の渡り鳥が見られる。この湿地は、アルミロス近郊の低地に茂るナラの森林とともに、保護地域としてNatura 2000に登録された。

海岸部には、地震による陥没によって形成された有名なパガセティコス湾(Pagasetic Gulf)が広がっている。

主要な都市・集落[編集]

人口3000人以上の都市・集落は次の通り。
ヴォロス (Β?λος : ヴォロス市) - 82,439人
ネア・イオニア (Ν?α Ιων?α : ヴォロス市) - 30,804人
アルミロス (Αλμυρ?ς : アルミロス市) - 7,566人
ネア・アンヒアロス (Ν?α Αγχ?αλος : ヴォロス市) - 5,514人
アグリア (Αγρι? : ヴォロス市) - 5,229人
ヴェレスティノ (Βελεστ?νο : リガス・フェレオス市) - 3,270人

県下最大の都市は県都である港湾都市ヴォロスである。ヴォロスはテッサリア地方第2の都市であり、ヴォロス港はギリシャ国内で3番目に繁栄している商業港となっている。

カリクラティス改革(2011年1月施行)以前はヴォロスに加え、ネア・イオニアやイオルコスを加えたヴォロス都市圏(約14万3000人)には、県人口の約70%が居住している。

県人口の大半は県東部およびパガシティコス湾(Pagasetic Gulf)沿岸に住んでいるとも言える。







ヴォロス







ネア・アンヒアロス







アグリア



気候[編集]

県の平均気温は17℃であり、平均降水量は年540mmである。8月には気温が37℃から38℃ぐらいまで上昇することもある。気候は県内で差異があり、パガセティコス湾沿岸ではやや多湿であり、ネア・イオニアではやや乾燥、ヴェレスティノやアルミロスでは大陸性な気候となる。

歴史[編集]





マグネシア地域
古代[編集]

ヘシオドスの『ギュナイコーン・カタロゴス』(Catalogue of Women)によると、デウカリオーンとピュラーの娘であり、ヘレーンの姉妹であるパンドーラーは、ゼウスとの間にギリシア人の祖とされる息子グライコスを産んだ。一方で、同じくデウカリオーンとピュラーの娘テュイアーは、ゼウスとの間に2人の息子、マグネースとマケドノスをもうけた。この2人は、ヘレーンの3人の子であるドーロス、クスートス、アイオロスとともにギリシア世界を形成した古代民族の始祖とされた。現在のマグネシア県にあたる地域は、マグネースが支配したとされたためにその名が付けられた。

また、神話の英雄であるイアーソーンやペーレウスとその子アキレウスの故郷としても知られている。磁石を意味する英語の「マグネット」(magnet)は、ギリシャ語で「マグネシアの石」を意味する「マグニティス・リトス」(μαγν?της λ?θος)に由来するという説があるように、この地域では鉄鉱や磁鉄鉱だけでなく、マグネシウムやマンガン(双方とも名称はこの地域に由来する)が産出されることが、古くから錬金術師達に知られていた。紀元前7世紀以前の植民時代には、マグネシアの都市国家も植民都市を建設し、リディア地方のスピル山(Mount Sipylus)の麓や、イオニア地方のメンデレス川沿いに、マグネシアという都市を建設した。(前者は、現トルコの都市マニサである。)

キリスト教の時代[編集]

紀元後5世紀には、現在のマグネシア県の地域にキリスト教の教会が存在していた。それは、第3回公会議の議事録にデメトリアス司教のクレオニコスという人物が連名していることから分かり得る。この時代にはキリスト教が著しく浸透し、県内のネア・アンヒアロスには5つものバジリカが建設された。その後、一般的に心霊主義が広がりを見せると、伝統となったペリオリティカとよばれる建築様式の寺院や教会、修道院などがピリオ山に多く建造された。これらは今でも数多くこの地域に残っている。

現代[編集]

現在のマグネシア県は、1947年にラリサ県から分割して創設された。

2006年には県内で大規模な洪水が起こり、大きな被害を受けた。

行政区画[編集]





マグニシア県とスポラデス県
市(ディモス)[編集]

マグニシア県は、以下の自治体(ディモス、市)から構成される。人口は2001年国勢調査時点。

3(アロニソス),7(スキアトス(英語版)),8(スコペロス)の各市はスポラデス県に所属する。



自治体名

綴り

政庁所在地

面積 Km2

人口


1 ヴォロス Β?λος ヴォロス (el) 387.1 144,420
2 アルミロス(英語版) Αλμυρ?ς アルミロス (el) 909.8 21,169
4 ザゴラ=ムレシ(英語版) Ζαγορ?-Μουρ?σι ザゴラ (el) 150.5 6,936
5 南ピリオ(英語版) Ν?τιο Π?λιο アルガラスティ (el) 369.4 11,563
6 リガス・フェレオス(英語版) Ρ?γας Φερα?ος ヴェレスティノ 549.8 12,096


旧自治体(ディモティキ・エノティタ)[編集]





マグネシア県の旧自治体(2010年まで)
カリクラティス改革(2011年1月施行)以前の広域自治体(ノモス)としてのマグネシア県は、以下の基礎自治体(ディモスおよびキノティタ)から構成されていた。改革後、旧自治体は新自治体(ディモス)を構成する行政区(ディモティキ・エノティタ)となっている。

下表の番号は右図と対応している。「政庁所在地」欄で太字になっているものは、新自治体の政庁所在地となったものを示す。※はキノティタ。



旧自治体

綴り

政庁所在地

新自治体


1 ヴォロス Β?λος ヴォロス ヴォロス
2 アグリア Αγρι? アグリア ヴォロス
3 エソニア Αισων?α ディミニ ヴォロス
4 アルミロス Αλμυρ?ς アルミロス アルミロス
5 アロニソス Αλ?ννησος アロニソス (スポラデス県)
6 アルガラスティ Αργαλαστ? アルガラスティ 南ピリオ
7 アルテミダ Αρτ?μιδα アノ・レホニア ヴォロス
8 アフェテス Αφ?τες ネオホリ 南ピリオ
9 ザゴラ Ζαγορ? ザゴラ ザゴラ=ムレシ
10 イオルコス Ιωλκ?ς イオルコス ヴォロス
11 カルラ Κ?ρλα ステファノヴィキオ リガス・フェレオス
12 ミリエス Μηλι?ς ミリエス 南ピリオ
13 ムレシ Μουρ?σι ツァガラダ ザゴラ=ムレシ
14 ネア・アンヒアロス Ν?α Αγχ?αλος ネア・アンヒアロス ヴォロス
15 ネア・イオニア Ν?α Ιων?α ネア・イオニア ヴォロス
16 ポルタリア Πορταρι? ポルタリア ヴォロス
17 プテレオス Πτελε?ς プテレオス アルミロス
18 シピアダ Σηπι?δα ラフコス 南ピリオ
19 スキアトス Σκι?θος スキアトス (スポラデス県)
20 スコペロス Σκ?πελος スコペロス (スポラデス県)
21 スルピ Σο?ρπη スルピ アルミロス
22 フェレス Φερ?ς ヴェレスティノ リガス・フェレオス
23 アナヴラ ※ Αν?βρα アナヴラ アルミロス
24 ケラミディ ※ Κεραμ?δι ケラミディ リガス・フェレオス
25 マクリニツァ ※ Μακριν?τσα マクリニツァ ヴォロス
26 トリケリ ※ Τρ?κερι トリケリ 南ピリオ

Διοικητικ? δια?ρεση νομο? Μαγνησ?ας (πρ?γραμμα Καποδ?στριας) - 旧マグニシア県の自治体・集落一覧(1999年 - 2010年)

郡(エパルヒア)[編集]

県には以下の3つの郡(エパルヒア)があったが、2006年以降法的な位置づけは行われていない。


郡名

綴り

中心地


ヴォロス郡 Β?λος ヴォロス
アルミロス郡 (en) Αλμυρ?ς アルミロス
スコペロス郡 Σκ?πελος スコペロス


古代都市[編集]
パガサエ(ヴォロス近郊)
イオルコス
デメトリアス (ヴォロス近郊)
ネア・アンヒアロス

交通[編集]





ヴォロス駅(1995年)




ヴォロス港
鉄道[編集]

19世紀後半に鉄道が敷設された。
ギリシャ国鉄(OSE) (Hellenic Railways Organisation)

道路[編集]

アテネとテサロニキを結ぶ国道1号線が県内を通過しており、欧州自動車道路E75号線にも指定されている。
自動車道路国道1号線 (en) : 〔… - テサロニキ - ラリサ〕 - ヴェレスティノ - 〔ラミア - アテネ〕
国道6号線 (en) : 〔イグメニツァ - トリカラ - ラリサ〕 - ヴェレスティノ - ヴォロス[1]
国道30号線 (en) : 〔アルタ - トリカラ - ファルサラ〕 - アンヒアロス - ヴォロス[2]
欧州自動車道路E75号線

空港[編集]
ネア・アンヒアロス空港(英語版) (ヴォロス市ネア・アンヒアロス地区)

ヴォロスの南西約20kmのネア・アンヒアロスに空港(ヴォロス空港、中央ギリシャ空港とも称される)があり、他のヨーロッパ地域とを空路で繋いでいる。

著名な出身者[編集]
イアーソーン(ギリシア神話の英雄)
ペーレウス(ギリシア神話の英雄)
ハラランボス(89-202、司教)
リガス・ヴェレスティンリス・フェレオス(1757-1798、詩人)
ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978、画家・彫刻家)
アレクサンドロス・パパディアマンディス(1851-1911、作家)
ヴァンゲリス(1943、作曲家・音楽家)
フェドン・ギジキス (1917-1999、ギリシャ大統領)
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