この前母の面会に行ったときにはニコニコしてほんのちょっと言葉も出て来ました。
それまではずぅっと無表情で、老化には逆らえないんだなぁと思っていましたが、
その日はいくらかはっきりしていました。
「あぁ、近頃見かけない表情をしている。
もっと頻繁に面会に行って話しかけてあげないといけないな」って思いました。
さて、母は元カレの写真をずっと大切に持っていました。
「お寺の息子さんでね、とても親切で礼儀正しい人だったの。
公園でデートをしていたときに、ポケットからチューイングガムを取り出して
あなたもひとつどうですか?」
って差し出されたときにカッコイイって思ったそうです。
そう、チューイングガムなんていえば日本にはまだなくて
アメリカの軍人さんから「ギブ・ミー・チューイングガム」
「ギブ・ミー・チョコレート」といってもらっていた時代のこと。
その珍しいものをさりげなく差し出されて”ポッ”となった母の姿が目に浮かびます。
私の姉は母が昔の恋人の写真をいつまでも持っているなんてお父さんに失礼だと
快く思っていませんでした。
そういわれればそうなのかなぁ・・
でも、母は婚約していて、結婚を目前に控えているときに
彼は交通事故で亡くなったのです。
生きている人間じゃない、たった1枚残された亡くなった人の写真・・・
捨てられない母の気持ちがわかるような気がしました。
だから父もそのことについてはあえて何も言わなかったんだろうなって思いました。
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2012年07月12日
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