月経困難症: やさしい医科学ノート

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2020年06月09日

月経困難症

月経困難症は思春期から閉経期までの女性に起こりえる月経期間中に下腹部，腰部痛に加えて頭痛，悪心，嘔吐といった症状を呈するものである．25歳以下の日本人女性の約4割近くに認められるとも言われている．子宮内膜症，子宮筋腫，後屈子宮，骨盤内炎症などが原因となることがあるが，このような因子を持たないことも多く，客観的な指標が乏しいことから，周囲の人々や患者自身にも気づかれにくいため初診時に産婦人科へ受診しない者も認められる．

治療に関しては鎮痛剤や漢方薬といった対症療法で軽快する場合もあるが，経口避妊薬（ピル）が奏功する場合が多いため治療薬として用いられている．経口避妊薬の副反応として血栓症が知られている．血栓症は血管内で血液が凝固して血流を遮断することにより発症すると考えられている．

静脈系の血栓症として深部静脈血栓症が知られている．深部静脈血栓症は下肢の静脈に血栓を形成して疼痛や炎症を引き起こす．膝下静脈より近位に血栓が形成された場合は，血栓が血流にのって下大静脈を経由して右房，右室，肺動脈へ移動して塞栓となり肺硬塞を引き起こす可能性がある．

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