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2019年09月19日

近年の成人に対する心肺蘇生法

概論

心肺停止していない人間は主に気道を介した 呼吸と心臓から拍出される血液による 循環により生命活動を行なっていると捉えることが出来る.心臓の鼓動は 感情と結びついていることがあり,感情は心臓から送られる血液によって栄養される 脳機能により 意識に関わってくる.近年の心肺停止者に対する心肺蘇生法は 胸骨圧迫により心臓を外部より圧迫することで,心拍を模して循環動態の回復を図ろうとするものである. 人工呼吸についても,気道を確保して外部より空気を送り込むことで生理的な呼吸を模していると考えられる.

心肺蘇生法が必要な状況はしばしば切迫した状況であり,心肺蘇生に関する知識を有していても有効な 心肺蘇生法(CPR)を施すことが出来ない場合も少なくない.そのため,心肺蘇生法に関してできる限り単純化して多くの人が心肺蘇生法の恩恵を享受できるようにできる仕組みやガイドラインが考案されている.

ここでは胸骨圧迫と人工呼吸による心肺蘇生法を紹介しているが,突然の心停止に陥った成人に対しては胸骨圧迫だけによる ハンズ・オンリー・CPR(Hands only CPR)も次点として推奨されている.医療従事者や適切な訓練を受けたヘルス・ケア・プロバイダーだけでなく,より多くの市民にCPRへ参加して頂き,より多くの人々を突然の心停止から救う機会を作っていって欲しいという考えが根底にあるようである.

この記事ではAHAガイドライン2015を参考としている.これまでのところ最も正しい心肺蘇生法というものは確立されているとは言い難いが,AHAガイドラインは実行,結果,評価,修正といったプロセスを踏んでいるため,改良を盛り込み推敲を繰り返している点で優れていると考えられるためである.

C-A-Bによる心肺蘇生法

成人に対する有効な心肺蘇生法は,大まかにC-A-B順番で施行することが良いとされている.C-A-Bの解釈については次のとおりである.

  • C-ompressions 胸骨圧迫
  • A-irway 気道確保
  • B-reaths 人工呼吸

尚,以前のガイドラインではA-B-Cの順番が良いとされていた時期もあるが,近年では胸骨圧迫がことさら重要と認識されC-A-Bに順番が改変された経緯がある.詳細な心肺蘇生法のアルゴリズムはガイドラインを参照されたいが,質の高い心肺蘇生法の要点は次のとおりである.

  • 心肺停止と判断したら10秒以内に胸骨圧迫を開始する
  • しっかりと深く速く胸骨圧迫を行う

  •  胸骨圧迫の速さは1分間に100-120回の速さで行う.近年のガイドラインの改定で速さの上限が明示された.
     成人に対する胸骨圧迫では少なくとも5cmは胸が凹むように行う.

  • 胸骨圧迫したら胸郭が元に戻ってから次の胸骨圧迫を行う

  •  1回の胸骨圧迫毎に胸郭の凹みが完全に戻るのを待ってから,次の胸骨圧迫を施さなければならない.これは胸腔内圧を下げたり,静脈血が心臓に戻ってくる作用( 静脈還流)を助けたり,心室の拡張を促し血液が心室へ充満したりする効果が期待されており,質の高い心肺蘇生法につながると考えられる.疲れてくるとついつい忘れがちで胸骨圧迫されている体に寄っ掛かりがちあるため注意が必要である.救助者が2人以上いる場合には胸骨圧迫を5セットまたは2分間行った時点で交替が勧められており,もし疲労が早いならばそれよりも早い時間で胸骨圧迫を交替すべきであるとされている.

  • 胸骨圧迫の中断を最小限にする
  • 有効な送気を行う
  • 過換気を避ける


 気道確保して人工呼吸を行うが1回の呼吸は1秒間程度で胸部が挙上することが目視で確認出来ればよく,それ以上長く送気したり,腹部が挙上する程度の強さである場合は人工呼吸が過剰となっている可能性が考えられる.過換気は胃内に送気することで横隔膜挙上による胸腔の圧迫のみならず,血中二酸化炭素濃度の低下に伴う脳神経障害の可能性が考えられるためである.



(記載内容はAHA ガイドライン2015 を参照してありますが,他の記事と同様に解釈にあたっては免責事項をご確認の上で参照ください.)




















posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床医学

2019年09月01日

眼瞼黄色腫

眼瞼黄色腫 xanthelasma



眼瞼黄色腫は全ての黄色腫の中で最も一般的であり,50歳以上の者に認められることがあるが,脂質異常症とは無関係である.このため 家族性高コレステロール血症の診断基準には用いられていない.但し,子供や若年成人に認められる場合はこのような遺伝性疾患の検索をした方が望ましい.

眼瞼黄色腫は上眼瞼,下眼瞼,内眼角に局在して現れる無痛性のクリーム色の多形性丘疹または丘斑である.月や年単位でゆっくりと大きくなる.

眼瞼黄色腫は家族性高コレステロール血症や家族性?V型高脂血症と結び付けられて考えられることがあるが,約半数以上の患者で脂質異常が見出されない.しかし,内服加療しているものでは検査値は修飾されていると考えるべきである.脂質異常症と関連が考えられる場合には遺伝性と続発性の鑑別を要する.続発性脂質異常症の場合には胆汁性肝硬変,糖尿病,甲状腺機能亢進症,慢性腎不全,アルコール依存症,単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)などの内科的疾患やベータブロッカー,エストロゲンの内服について精査を要する.

治療


眼瞼黄色腫は再発することが珍しくない.外科的切除,レーザー,電気凝固術,トリクロロ酢酸と言った治療選択肢がある.











posted by Alice at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床医学
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