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2017年01月20日
流線【第2話】
健吾が通っている「海藤高校」はK県の海沿いにある私立高校で、多少、名の知れた進学校だ。
毎年学年から数人ほど、日本屈指のT大学へ進学者がいる程度のレベルであるが、
ほどほどに部活にも力を入れていて、どのスポーツも県大会には必ず出場し、
何年かに一回地方大会、10年に一回全国大会に進む生徒もいる。
そのため海藤高校も「文武両道」を謳い文句に
中学から高校へと上がる新入生を引き寄せている。
実際に引き寄せられる新入生は毎年増加傾向にあり、
今年の倍率は3倍ほどだったそうだ。
電車の、横になって寝ている酔っ払いたちを、
ゾンビとけなしていたはずの健吾も気が付かないうちに意識を失っていた。
気が付くと海藤高校前駅に着いており、乗り過ごさないよう、
慌ててひざの間に挟んであったリュックを片手で持ち上げ駆け足で電車を降りた。
電車を降りると、
「うーす。爆睡してたなー」
と同級生の山口俊平が朝から軽快に、朝にしては少し陽気に声をかけてきた。
(寝てるとこ見てたのか)
(見てたなら声かけてくれよ。。。危うく寝過ごすとこだった。。。)
「今『見てたなら起こしてくれよ』って思った?」
「残念!俺は緒方の坊主が姿が見てみたい!」
いつものことながら朝から人一倍テンションが高い。
(ナンダコイツ。。。)
眠気のせいで、頭の中に靄がかかっている健吾は
「いい性格してるな」
と何とか絞り出して皮肉を言ってやったが
「あざーす」
なんて軽く返してきた。
残念。ほめてない。
たわいもない会話をしてくる俊平を軽く流しながら海藤高校への並木道を歩いてゆく。
二人でタラタラ歩いていると、
対抗車線側の歩道をツカツカと追い越して歩いていく桐川の姿を横目にとらえた。
俊平も同様に桐川の歩く、とも言えないスピードで足を動かす姿を見て
「おー、キリさん今日も歩くの早いねー。」
「きっと毎日、競歩大会なんだな!」
なんて軽口をたたいている。
さすがに反応してやらないのはかわいそうなのでとりあえず
「桐川のお父さんは元競歩選手らしいぞ」
なんて意味のないウソをで返してみると、俊平は
「え?まじ?」
と、まんまと騙された。
(純粋だな。。。)
「残念。大嘘だ。ほらさっさと行くぞ」
寝過すかもしれない自分をほおって行こうとした俊平に少し仕返しをしてやり、
桐川と同じ電車にもかかわらず、
学校に到着する時間に違いが出るのは印象が良くないと考え、
健吾は歩くスピードを変えた。
「おい、ちょっと待てよ、いま騙したよな!?おい、待てよ!」
健吾は桐川と同じぐらいのスピードで歩き、遅れて俊平も二人についていった。
第3話↓
https://fanblogs.jp/dapochi/archive/13/0
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