韓屋の中でもさまざまな催しでにぎわっていた。
子供たちが夢中になるものが並んでいる。
ボランティアだろうか、ここではさすがに介添えのスタッフがついていたが、
なんとなく行列していて、なんとなく順番を変わっていて、
なんとなく自主的にみなで楽しんでいる。
軽いコスプレを体験できる民族衣装のコーナーは、
さすがにお金がかかるようだが、
その他の遊びはお金を払わなくても体験できるので、
子供たちも気兼ねなく並んで遊んでいる。
遊び方を間違えたり、並び順でもめたりしないよう、
周りの大人が声をかけたり、見守っているのが微笑ましい。
お金を取ったり、ルールで縛り付ける必要はないのですよね。
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今年、どこかで似たような感覚を覚えたな、と記憶を手繰る。
まったく違う風景だが、5月に訪れたロンドンのフェスが同じ空気感だった。
大勢の人が集まっても、なにかで括りつける必要はないのだ。
昔の韓屋を再現する建物の奥では、かまどに火をくべている。
機織りの音が連なる横で、焚き木の爆ぜる音がする。
日が傾きはじめたこの時間でもアジュマはせわしなく働いている。
「なにか作っているのかな?」
「ちょっと聞いてみますよ」
そういうと彼はかまどに木を放り込んでいるアジュマに話しかけた
この時間になるとかまどが焚き火のようで、恋しく暖かい。
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「スンドゥブ(豆腐)を即製で作るみたいですよ」
「へえ、このカマドで作るんだあ」
「豆をこしたものを茹でて、それでできるみたいです」
「それじゃあ、豆腐にならないよ。ニガリを入れると固まるんだよ」
「スンドゥブの作り方は知りませんでしたよ」
「さっきの餅もおいしそうだったなあ」
「待っていればもうすぐできるわよ」
「よおし、食べさせてもらおう」
「湯気が熱いから、鍋の周りは気をつけてね」
みなで好き勝手なことを語らい、ニギヤカに火を囲んでいると、
知らない間にアジュマも話しの輪に加わっていた。
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「日が落ちると少し冷えるね」
「もう10月だぜ」
「そうですね、中秋でした」
湯気が立つできたての豆腐は、手作りの味が暖かかった。
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