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2014年10月31日

Coffee Coffee Coffee @Seoul

IMG_9708-548bf.jpg

5日目は朝から雨が降っていた。

写真が撮れないのでは9割方やることがなくなってしまう。
カジノに行けば時間も天候も関係はないのだが、
雨の中、出かけていくのが億劫だった。
それにあの「時計」も「外光」もない空間に
身を置く気分にはならなかったのだ。

昨日灼けつくような暑さの中、歩き回った疲れを理由に、
午前中の時間を無為に過ごす。
晴耕雨読ではないが、文庫本だけがやけに進んだ。

雨を恨む気は毛頭ない。
7月の梅雨時に旅に出てくるほうが悪いのだ。

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キッチンでコーヒーを淹れながら、
近所の店で買ってきたパンでブランチをとる。

航空券の下落とウォン安に乗っかって、
今年の春から「毎月ソウル」を決行、
いつのまにかこの安宿を定宿にしている。

地下鉄の駅から近いこと(徒歩5分)、
空港シャトルのバス停が目の前(徒歩3分)、
とここを気に入っている理由がいろいろあるが、
そのうちのひとつが「コーヒー」だ。

オーナーがコーヒーショップ経営も兼ねているらしく、
ちゃんとしたレギュラー・コーヒーを淹れたてで飲める。
自分にとっては「夏にビール」以上の必需品。
メキシコでもモロッコでもベトナムでも欠かさず飲んでいた。
「旅先にコーヒー」、聞いたことないですね。

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キャラメルマキアート酵素ブラック


ところがアジア系の客が多いこの宿ではこのコーヒーがホトンド減らない。

そう、ご承知の通り、アジア系の国々ではあま〜いコーヒーが主流。
まあアジアに限らず、ヨーロッパやアメリカでも
砂糖やミルクをドチャドチャ入れて飲みますなあ。
エスプレッソのデミタス・カップにも角砂糖2〜3個入れますからねえ。

「ブラック」を好むのはたぶん日本人だけです。

食後の「お茶」の習慣の違いじゃないでしょうね。
食後の口内をシブイお茶でさっぱりさせるのが日本式。
脂っこい料理を甘めのコーヒーで洗い流すのが欧米式。

韓国ももちろんアジア。
「コピー」と呼ばれているコーヒーはホットでもアイスでも
ベタベタに甘くて、気を失いそうになる。

アジアのコーヒーで多いのはミルクの代わりに練乳。
しかも確実に底に沈殿する量を。

日本では「ベトナム・コーヒー」と呼ばれるやつがアジアの主流派かな。
ホトンドが豆じゃなくて、インスタント(ネスカフェと呼ぶ)。
こいつはシンガポールでも「コピー」と呼ばれていたので、
ソウルでその言葉を聞いて、懐かしさを覚えました。

最近はホトンドが「3IN1」というヤツで、
コーヒー、ミルク、砂糖が1袋にパッケージされているヤツで手軽に飲める。
あ、そうそう、これ、けっこうお土産にオススメですよ。
ミルクティ版もあるので、お試しを。

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淹れたてのレギュラー・コーヒーに砂糖を入れて、ミルクを入れて・・・
なんてことまでして飲まないのですね。

なので、宿のコーヒーはいつまでたっても減らない。
減らしているはわたしだけなのです。
「3IN1」も好きですけどね、ガボガボ飲めるものではないのです。

雨音、文庫本、コーヒー・・・ 旅先でまた時間の無駄遣い。


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2014年10月30日

Help Help Help @Seoul

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灼熱の市場を抜け、駅に戻った。

広大なスペースの市場は青果のエリア、果物のエリア、乾物のエリア、
調理済み食材のエリアなど、バラエティに富んでいた。
市場の端には「唐辛子(コチュ)の問屋」エリアがあって、
乾燥されたコチュがサイズに分けられて、
あるいは巨大なグラインダーで粉にされて、売られていた。

そこで働いている人たちはゴーグルにマスクをしていて、
ちょっとした武装集団。

そう、コチュの粉末が舞い散る中で働いているので、
防護体勢が必要なのですね。

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韓国の唐辛子は写真にしても色鮮やか。
これは韓国の唐辛子の特徴らしく、いい色が出て、さほど辛くない。
辛味は日本のもののほうがよっぽど強く、
チゲ(鍋物)やグク(汁物)を作るには
辛くが強くなく、赤みがよく出る韓国産がむいているらしい。

ちなみにこの唐辛子、原産地はアメリカ大陸。
コロンブスがヨーロッパに持ち帰り、
ヨーロッパに広まるとポルトガル経由で日本に伝わり、
秀吉の朝鮮出兵で韓国に持ち込まれたとされている。
韓国では比較的歴史の浅い食べ物なのです。

毎年恒例の11月に行われる『キムジャン』、
(1年分のキムチを各家庭が一斉に漬ける時期)には、
白菜が山のように積まれ、横付けしたトラックがその山を買い付ける。
次から次に白菜が売りさばかれ、お祭り状態。
その喧騒はなかなかの見ものだとか。

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地下鉄への階段を下りていると、
ショッピング・カードに大きな荷物をくくりつけたオバアチャンが、
重そうな荷物に悪戦苦闘していた。

声をかけようと思った瞬間、下から上がってきたビジネスマンが声をかけた。

彼と一緒に一気に持ち上げ、階段を下ろしてしまおう、と
歩み寄ると、オバアチャンが手を振る。

「ダイジョウブだよお。なんとかなるからさああ」

ハングルはわからないが「大丈夫」を意味する「ケンチャナヨ」だけは聞き取れた。
合わせて手を振っていれば、それは断りの合図だろう。

彼と二人で出しかけた手を引っ込めた。

「でも運びますよ」
言葉はわからないが、ビジネスマンの彼がそんな風なことを言ったのだろう。
ろくすぽしゃべれないこちらは荷物の横に立ち尽くす。

「ダイジョウブさあ」

そういうと一段、また一段、ゆっくりゆっくり重いカートを下ろしはじめる。
思わず彼と目をあわす。

「そういわずに。無理しないで」

彼が手を出すと、オバアチャンは手を振る。
どう見ても階段を下りる姿が危なっかしい。
それでも助けは借りず、一人で運ぶ心積もりなのだろう。

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無理やり運ぶわけにもいかず、目が合った彼と苦笑い。
お互い、オバアチャンを気にかけながら、上りと下りに歩みを進めた。

韓国のオババは、時には図々しくて、時にはお節介で、
それでもこういう気丈な面もあるのです。


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2014年10月29日

Wish Wish Wish @Seoul

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地下鉄8号線で「可楽市場駅」を目指す。

ソウル中心部から南東、
やや郊外といってもいいエリアに可楽洞市場(カラッドン・シジャン)はある。
ここは韓国各地からあらゆる青果が集まる場所、
街なかにある「市民の台所」といった規模ではなく、
「ソウルの胃袋」といってもいい巨大な市場だ。

地下鉄の駅から地上に這い上がるとムッとした熱気が襲ってくる。

駅出口から5分も歩かずに巨大な市場の巨大なゲートが見えた。
中に歩みを進めると広大なスペースが広がっている。
市内の市場とは打って変わって、
「青果市場」そのものの空間が目の前に広がった。

深夜から早朝に繁忙期を迎えるこの市場は、
昼に近いこの時間となると「もぬけの殻」に近い状態。
広いスペースでは残った人たち後片づけ、
ワンブロック隣の小売店のオバチャンたちは、
せわしそうに店先の売り物を整えていた。

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キュウリ、ナス、スイカ、玉ネギ・・・見慣れた野菜が並ぶ。
エリンギやシイタケ、自然薯、見ているだけでも楽しい。
皮をむいたニンニク(マヌル)や唐辛子(コチュ)、
サンチュなど韓国らしい食材がやっぱり多く売られている。

市場の出店のアジュマ(オバチャン)は
野菜の皮をむいたり、芽を取ったりと忙しい。
それ以上に口先はもっと忙しくて、
隣あった店同士で声を渡らせ、アレヤコレヤとくっちゃべっている。
手先は休まず、口先はもっと休まず、です。

カメラを向けるとあからさまにイヤな顔をする人もいるので、
ここでもデカイ声で
「サジン(写真)ジュセヨ〜」(正確には「写真撮って」になってます)
と先手を打つ。

仕事の最中に無断で写真撮られれば、いい顔する人は少ないですよね。
こちらは日常に割り込む土足の観光客。
礼を尽くして許してもらえれば、うれしい次第。

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なかには茶目っ気たっぷりで、
ポーズまでつけてくれるオババもいたりするが、
「仕事してよ〜」「手動かしてよ」と日本語で促すと
恥ずかしがって、手元を動かしてくれる。

他のオババが「モデルだよ、アンタ〜」なんてヒヤカシて。
そうなると照れ笑いが止まらない。

「なんか買っていきなよ〜」

「ニホンジンデスヨ」

「それじゃあ、しかたないね」

なんてヤリトリも繰り返される。

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山のようにある野菜の下作り、
退屈な作業を黙々とこなすより、楽しく明るく、ニギヤカに。
市場で働くオバチャンたちはどこの国でも威勢よく元気がいい。
写真を撮りながら、こちらがエネルギーをいただいているのかも。

というわけで、カメラを指差しながら「ジュセヨ〜」とオネダリオネダリ。


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2014年10月28日

Order Order @Seoul

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翌日はすっかり夏の暑さが戻ってきた。

7月の梅雨時季だが、午前中からすでに蒸し暑く、
このところの雨が湿度の上昇に拍車をかけていた。
4日目にして、暑さのピークだ。

朝一でクリーニング屋へ。
普通の街なかの店なので、英語も日本語も通じない。
店内ではオヤジサンが忙しそうにアイロンを動かし、
オバサンはミシンを走らせていた。

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「アンニョンハセヨ〜」

店に飛び込むときは無駄にでかい声でアイサツしたほうがいい。
こちらはアヤシイ外国人なのだから。
ローカルの言葉でアイサツするだけで店員の表情はかなり変わる。
これは韓国に限らず、どこの国でも通用する方法。

ミシンを止めて、オバサンが応対してくれた。
店先で短パンを見せ、ポケットの状態を示す。
オバサンは理解を示しながら短パンを改めた。

「ダイジョウブデスカ?」

「大丈夫よ」

両方のポケットのほかに、
ズレたウェストのボタンも付け替えてほしかったので、指で示す。
繰り返しオバサンはうなづいた。

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「イクラカカリマスカ?」

「3箇所で2,000Wね」

「ナマエハイリマスカ?

「大丈夫よ、預かるわ」

「キョウ、ヨル、ヨロシク?」

「大丈夫、できるわよ」

完全なブツ切り韓国語だが、オバサンは笑顔で受けてくれた。
観光客などやってくるはずもない店で、やさしい対応。
しかも相手はろくすぽ韓国語も話せないというのに。

「オネガイシマス」

受け取りも名前も残さないことにちょっとだけ不安を感じ、
宿の名前を告げて、店を後にした。

「ま、なんとかなるでしょ」

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古着の短パン=8,000W
修繕代   =2,000W

併せれば、新品の短パンが買えてしまう値段に苦笑しかけたが、
観光客では体験できない貴重な経験に感謝、感謝。

クリーニング屋でのやり取り=プライスレス?


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2014年10月27日

Sewing Sewing @Seoul

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閃きのもとは自分が撮った写真だった。

「ピマッコル通り」を探して歩いていたとき、なにげなく出会ったクリーニング店。
店先の裁縫具を写真に収めていた。
https://fanblogs.jp/delfin/archive/45/0

この2枚目の写真を撮影しながら
「韓国ではクリーニング屋さんが営繕も行うのだなあ」と勝手に想像をめぐらしていた。
どこのクリーニング屋にもミシンと縫い糸が置かれていたのだ。
「クリーニングのついでに縫いものとは合理的な商売だな」と
シャッターを押していた。

「この辺にクリーニング屋さん、あるかな?」

「なんできゅうに?」

唐突な質問にスタッフが驚く。

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「服を修理してくれる店を探すよりも
クリーニング屋さんが手っ取り早いでしょう?」

「ああ、そういうことかあ」

「韓国ではクリーニング屋さんが縫い物もしてくれるでしょ?」

「そういわれれば、そうだね。忘れていたよ。よく知ってるね」

「写真を撮ったんだよ、クリーニング屋さんの店先を」

「へえ、へんなところを撮るんだね」

「あはは、おもしろい絵があれば、ね」

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「クリーニング屋ならここを出てすぐのところにあるよ」

「ホント? いくらぐらいかなあ」

「わからないよ、頼んだことないから。
でも裾上げとかは安いから、たいしたことないんじゃないかなあ」

「だといいけど。まあパンツの値段より高かったらやめとくよ」

「それはそうだ、新品買いなおしたほうがいいよ」

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彼がいうとおり、補修代にお金を払うなら、
新品のパンツを買いなおしたほうがマシだろう。

そういっても短い丈のパンツが売られてないんだけどね。


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2014年10月26日

Pocket Pocket @Seoul

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ポケットの中の大穴をまさぐりながら、コーヒーを落とした。

キッチンに腰掛けて待っていると、スタッフの一人がひょっこり顔を出した。
彼はきれいな英語を話す。

「コーヒー好きですねえ」

「今落としているけど、飲む?」

「いや、水でいいです。コーヒー苦い」

笑いながらミネラルウォーターのサーバーに手をやった。

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「聞いてくれるかな、笑い話があるんだ」

「なに?」

「今日、この短パンを買ったんだ。トンデムンで」

「そう。セカンド・ハンド(中古)?」

「そうそう。だからサイドのポケットをチェックして、
お尻のポケットをチェックして、小さいポケットをチェックして、
ポケットのボタンをチェックして、ジッパーをチェックして…」

「OKだから買った?」

「そう。で、今、帰ってきて、履いてみたら…」

「うん」

「このポケットだよ〜〜」

左右のメインのポケットを引っ張り出して、穴を見せた。

IMG_0425.jpg
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「あははは、両方! チェックしなかったの?」

「まさかメインのポケットが破れてるとは思わないよ。
周りのポケットばっかりチェックしたんだよ〜。
ごみ入ってないかとか、ボタンついているかとか。
6箇所もあるから念入りにチェックしたんだけど、
2箇所のメインはチェックしなかったんだよ〜〜」

「あはは、ダメですね〜」

彼は笑いながら、腰を下ろした。
バカな話をしている間にコーヒーが落ちたので、カップに注ぎ入れた。

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「あ!そうだ! 宿の近くにクリーニング屋さんある?」

彼に笑われながら話しをしていると、自分の記憶に閃きが走った。


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2014年10月25日

Walk Walk Walk @Seoul

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夏の旅の必需品をゲットして、少し気楽になり、街歩きを続けた。

いつものようにあてもなく、
アッチを巡り、コッチに行き止まり、ソッチを歩き回る。
正確にいうと写真になるものを求めて、動き回っているだけかな。

1〜2時間は当たり前に歩き続け、
足が疲れるとカフェで小休止、
そしてまた歩く。
ショピングをしないので、行く先々で引っかかることもなく、
コーヒーを飲んでるとき以外は歩き続けている。

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そのかわり、気に入ったシーンを見つければ、
いい絵が切り取れるまでいくらでもその場で待ち続ける。
一箇所にずっと留まってシャッター・チャンスを待っているときは、
贅沢な時間の使いかただ、なんて一人悦に入ったりして。

勤勉な観光客にいわせれば、なんとまあ、時間を無駄にする観光客よ、
ということになるでしょうね。

普段はバイクにも乗って、クルマもあるので恐ろしいほど歩かないくせに、
旅先となるとカメラ片手に延々、歩いているオバカぶり。

日頃のマイナスを取り戻すかのように歩数を重ねている。
写真も撮れなくなる夕闇の頃には、
脛の筋肉(前の部分ですね)が痛くなっている。
これがその日の限界指数。
テニスをやっているせいか、他の部分は痛くならないが、
脛の部分が張ってくるとその日は普通の歩きさえもおぼつかなくなる。

そうなるとあとは宿に帰って、ぶっ倒れて眠るだけだ。

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この日は「短パン」以外、たいした収穫もなく、
夕食を食べて宿に戻った。

シャワーを浴び、シャツを換え、リフレッシュ。
そして買ってきた短パンを履いた。

ウェストがピッタリでひと安心。
また足を運んで「オバチャン、はけるヤツに替えておくれよ〜」といっても
代わりはバミューダーばかりなり、という不安が払拭されたかな。


コーヒーを飲もうとキッチンへ。

部屋のドアを閉め、
何気なくポケットに手を突っ込むと中には穴が開いていた。
ご丁寧に右も左も。

それもかなりの大きさで。


FOREVER 21 Japan
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2014年10月24日

Pants Pants Pants @Seoul

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中古屋街を抜けた角にも古着屋があった。

タメモトで折り重なったパンツを物色すると、
ポケットがたくさんついたアーミー・カラーのパンツを掘り当てた。

短い!

やっと「短パン」がみつかった。
お尻のポケット、サイドのポケットはしっぱりボタンがついている。
ジッパーもスムーズに動く。
他にも探してみたが、短いタイプはこいつしかない。

サイズ!

タグの表示を見ると、USサイズで自分のサイズにピッタリだ。

「オバチャン、これいくら?」パンツを掲げ、値段を尋ねた。

「8,000Wだよ」

換算すると約500円。
1000円(13,000W)出すと新品が買えるが、
「短い丈」に出会えるかわからなかった。

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旅先の買い物は「出会ったら買え」がセオリー。
「次の場所でいいや」とか「またどこかで買えるかも」と思っていると、
二度と巡り合えないことが多い。
微妙に柄が違ったり、色合いが異なったり、
「ああ、あれがよかった」なんてことがよくある。

これはあっちこっちを旅してきて学んだ経験則。

テンション上がっている旅先なので、
ヘンなモノを買ってしまうこともあるが、
本当に必要かどうか、自分自身に問いかけ、
「迷ったら、買え!」がセオリーだ。

「買わずして、後悔するか」
「買ってしまって、悔やむか」
いずれにしろ悔やむならどっちにします?

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古着にしては高い気がしたが、迷ったので買い。
試着できないが、履き捨てるつもりで買い求めた。

「他に長いのも上着もあるけど、どう? おまけするわよ」

お金を渡そうとすると店のオバチャンが商売っ気を出す。

「あはは、これだけでいいよ」

こういうところで買い物する場合、まとめて買うのがコツだ。
点数を増やせば、値切りやすくなるし、
値切れなければおまけをもらう、なんて手もある。

そのことが一瞬、頭をよぎったが、他に欲しいものがない。
単品でこの値段では値切るわけにもいかないし、
半ば試しで買う短パンをまとめ買いしてもしかたがない。
それに「短い」短パンはこの一枚しかないのだ。

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お金を渡し、袋に詰めてもらった。
相変わらず、旅先で実用品しか買い求めないなあ。

ところがこの「実用品」には大きな穴があったのだ。


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2014年10月23日

Ride Ride Ride @Seoul

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ランチタイムを過ぎた時間、雨はまだ降り続いていた。

遅めの昼食をとるため、宿で傘を借り、出かけることにした。
ちょうどそこへ非番のスタッフが顔を出した。

「でかけるの?」

「ランチを食べにね。そっちはもう食べた?」

「いや、忙しくて食べてないんだ」

「じゃあ、一緒に食べないか?」

「いや、行かなきゃいけないところがあって。一緒に行く?」

「雨なのに?」

「ダイジョウブ、クルマだよ」

IMG_8759.jpg
チャンジャは慶尚道の方言で、正しくはチャンランジョッ!海鮮キムチ! 


定宿にしている「HOSTEL KOREA」はその名の通り「安宿」だ。
http://www.hostelkorea.com/
「安宿」=ドミトリー(寮)のベッドにシャワー・トイレ共同という印象だが、
韓国の「安宿」には意外にもシングル・ルームが多い。

シャワー・トイレは共同で、
シングル・ルームのサイズは4畳ぐらいだが、
ベッド、TV、冷蔵庫、エアコンが備わっている。
ドミトリー・スタイルとも数百円しか変わらず、
一人旅にはこれがけっこう重宝する。

とはいえ、¥4000程度でエコノミー・ホテルに泊まれてしまうので、
長期滞在の人がメインだ。
相場的にはドミトリーで¥2000弱。
上記のシングルで¥2000ちょっとという感じだろうか。

宿によっては「シャワー・トイレつき」の部屋もあるので、
快適さはホテル以上かな。
ソウルのゲストハウス紹介はここに一覧がある。
http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/AC/AC_JA_6_4.jsp

「ホステル」や「ゲストハウス」はソウルの場合、
なぜか「朝食付き」というところが多く、
このあたりも「食の充実」にこだわる韓国らしい。
ご飯とキムチは好きなだけ、という宿が多いが、
ホステル・コリアの場合、朝食はトーストとコーヒーだ。

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そのホステルで働くスタッフ2名が、
「独立」を目指し、別棟にあったドミトリーとシャワー付の部屋を
オーナーから借り受けた、というのだ。

この7月から彼らは自分たちの「ニュー・ビジネス」に駆け回りつつ、
ホステルのスタッフ仕事もこなしているので、
休むまもなく忙しいらしい。

知り合いのホステルにシングル・ベッドをもらい受けに行くところに
バッタリ出くわしたのだ。

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「このクルマでこれからベッドをもらいにいくんだ」

「じゃあ、手伝おうか?手があったほうがいいだろ?」

「それは悪いよ。【お客さん】だし」

「あはは、【お客さん】はおもしろいな。いいよ、雨でどうせなにもできないんだ」

「じゃあ、行こう」

英語が流暢な彼の運転するクルマの助手席に乗り込んだ。


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2014年10月22日

Classic Classic @Seoul

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古着屋にも露店にも出物はなく、あきらめて東大門(トンデムン)へ抜けた。

どういうわけか、「短い」短パンがない。
古着の山をさんざんひっくり返してみたのだが、
出てくるのはヒザ下まである丈のパンツばかり。
いわゆる「バミューダー」というヤツだろうか。
びみょ〜に長ったらしいのだ。

旅先の宿や町歩きで使いたかったので、
ヒザにかからない歩きやすい短い丈のパンツを探したのだが、
出てくるものは次から次にヒザ下丈。
店先に並べられているものも長めの短パンばかりなのだ。

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気になって、道行く人たちに目をやると、
ヒザ下丈の短パンばかりが闊歩していた。

韓国では長めの短パンが主流?
古着だから短いのがない?
時代はバミューダー?
「?」マーク満載。

旅先で処分できるシロモノで、と古着屋を漁っていたが、もはや降参。
新品なら普通にあるはず、とトンデムンを埋め尽くしている問屋街を目指した。

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ソウルの旅行ガイド


「ガラクタ市」から川を渡ると、トンデムンの東のハズレに当たる。

店先に吊るされたもの、店内に並べられたもの、
束になったもの、ハンガーにかけられたもの…
ドイツもコイツも丈が長い。
「短パン」なのに長いとはヘンな話しだが、真の「短パン」に出会えない。
ジョグ用か、サッカー用でないとダメなのだろうか。

歩いたことがない一本裏の通りに潜りこんでみる。

カーペットやフローリングを売る問屋街の合間に中古品街が軒を並べていた。
古い電器屋を中心に、楽器屋、看板屋が連なる。
店先ではオヤジサンが電子ジャーをひっくり返して修理している。
その反対側では客が好みの蛇口を探している。

ここに持ってくればなんとか直してくれる、
あるいは壊れた部品を見つけることができる、そんなエリアなのだろう。
店先の「中古品」はとても売り手がつきそうにもないものばかりで、
「売り」よりも「修理」で賄っているのか、そんな想像を掻き立てる。

子供の頃、こんな電器屋さんや修理屋さんがあったなあ。
日本では直さなくなったものも、
ここでは手を入れて、甦らせ、どこかで働き出すのだろう。

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電器屋の合間には食堂や茶屋があり、
店先では指先を黒くした働く手のオヤジサンが一服している。
修理待ちのオバチャンが退屈そうにアイスをほおばっている。

近代化したソウルの街では、日本では消えてしまった風景に出会える。


楽天トラベル
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