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2014年11月11日

ウクライナ情勢がサッカー選手に与えた悲痛

2014年2月後半、ウクライナでは大規模な反政府デモの結果、ヴィクトル・ヤヌコビッチ政権が事実上崩壊。それ以降ウクライナ東部の各地で親欧米派と親ロシア派の対立が起きるようになった。それにより、サッカー界にもさまざまな影響が出ている。その中でも特に大きな影響を受けたウクライナの国内リーグ関連の動きや現在の状況について、実際に直面した選手たちにも聞いたことも踏まえてここでは記していきたいと思う。

 ウクライナ・プレミアリーグは3月からの試合は軒並み延期となった。3月15日に試合が再開するも、クリミア半島及び東部での試合は引き続き延期となったり、もしくは別の都市で行われる試合もあり、結局クリミア半島では1カ月にわたり試合が開催されなかった。

 ウクライナリーグはUEFA(欧州サッカー連盟)ランキングではトップ10(8位)に入っている欧州の強豪リーグであり、国内でのサッカー人気も高い。14年4月16日、本来は3月2日に行われるはずだったリーグの大一番は1カ月半の延期を経てキエフで開催されたが、ディナモ・キエフ対シャフタール・ドネツクの一戦は5万9360人の観客でスタジアムが埋め尽くされたほどだ。


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所属クラブが突然なくなるという事態に
 今回のウクライナでの情勢の変化により、大きく影響を受けたプロサッカークラブとしては、クリミア半島内を本拠地とする13−14シーズンにウクライナリーグに所属していた、FCセヴァストポリとSCタフリヤ・シンフェロポリ(ウクライナプレミアリーグ初代優勝クラブ)、そしてウクライナ2部リーグに所属していたジェムチュジナ・ヤルタがまず挙げられる。

 3月16日、ご存じのようにロシア編入をめぐる住民投票がクリミア自治共和国ならびにセヴァストポリ特別市(以下クリミア)で行われた。賛成多数という結果を受け、ロシア側はクリミアはロシア領になったと主張するも、ウクライナ暫定政権はクリミアのみで領土に関する住民投票を行うことは憲法違反にあたり無効であると反発。米国、EU(欧州連合)もウクライナ暫定政権を支持し、クリミアをめぐる問題はいまなお続いている。

 こうした中で、クリミア半島内のプロサッカークラブは、3月のリーグ再開から約1カ月、ホームであるクリミア半島内のスタジアムで試合をすることができず、他の地域での試合を余儀なくされた。さらにはFCセヴァストポリとSCタフリヤ・シンフェロポリ、及びジェムチュジナ・ヤルタは13−14シーズン終了をもって、ウクライナリーグから撤退。14−15シーズンはロシア3部リーグに参戦し、14年8月から試合を行っている。(UEFAはロシアリーグへの編入を正式には認めていないが困難な状況下も考慮して試合は禁止していない)

 しかし、クラブがそのままロシア3部リーグへ移行したわけではない。ロシア3部リーグでは外国籍選手の登録が認められていないため、両クラブに所属していた多数のウクライナ人選手は選手登録ができず、クラブはいったん解散し、新しいクラブとしてロシア3部リーグへ参戦したのである。このことにより、13−14シーズンまで在籍していたこれらのクラブの選手及びスタッフのほぼすべての人は、所属クラブが突然なくなるという事態に陥った。


次回へ続く・・・
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