Helen Merrill の名曲です。
「ニューヨークのため息」 と称される独特のセクシーなハスキーヴォイスがジャズって感じです。 アンニュイな歌唱 は「あ〜、大人の歌!」って思っちゃいます。
この歌詞がくせ者で、簡単なようで意外と勘違いしやすいんです。
You'd be so nice to come home to
タイトルにもなっている最初の英文が一番のくせ者。
You would be so nice to come home to. は実は
It would be so nice to come home to you. の意味なんです。
直訳すれば「 貴方のもとへ帰るのは素敵でしょうね 」となります。
これを、「貴方が帰ってきたら素敵でしょうね」と勘違いするケースが多いんです。
最後の to がとても大切なわけです。You は would be nice の主語であると同時に、
to come home to の目的語になっているんですね。つまり to come home to you 。
You are hard to deal with. = It is hard to deal with you. 「君は扱いにくい」
He is easy to talk to. = It is easy to talk to him. 「彼は話しかけやすい」
などの英文と同じ構造の英文なんですね。
不定詞は形容詞を説明する副詞的用法。「〜するのに・・・である」
帰るのは貴方ではなくて私。
「貴方のいる家へと毎日私が帰宅できたら素敵だろうなあ」と
結婚(同棲)後の生活を妄想している歌 なんですね。
「貴方が私の元へ帰ってきたら嬉しい」という意味ではないんです。
さらに、もう一つのポイントが、
You'd be so nice の would be です。
いわゆる 仮定法過去 の用法ですね。
If I could come home to you, it would be so nice. と書き換えれば、
仮定法の基礎を理解していたら理解できますよね。
「実際の現実として今そうではないけれども、そうできたら良いなあ〜」という 妄想状態!
それが仮定法です。嘘を言ってみる。現実は知っているけれど。
実際、この曲が日本で発売されたときの邦題は 「帰ってくれたら嬉しいわ」 でした。
間違っていたわけです。訳詞されたジャズ評論家ご自身も誤訳を認めています。
世の中は確実に進歩しているんだと、実感できます。
より多くの日本人が英語を理解するようになったんですね。
20代のときに、LPレコードで買ったのがこれ。
青っぽいジャケットが印象的なんです。
コンピアルバムのCD。これは僕のお気に入りの一枚です。
残念ながら、今は在庫なしのようですね。
コンピアルバムはバラエティーに富んでいて、
スタンダード曲をたくさん聴けるので良いですよね。
ヘレン・メリルはここにも収録されています。
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